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ソーシャルメディアの現状 前編


※ブレインパッドはBrandwatchの国内正規パートナーであり、本記事はBrandwatch(英国)の許可を得て翻訳転載しています。

※翻訳元:https://www.brandwatch.com/reports/state-of-social/view/

 

はじめに

2025年のソーシャルメディアの世界で、ブランドマーケターの成功の鍵は何でしょうか?

様々なプラットフォーム、常に変化するアルゴリズム、進化する消費者行動に対応するため、ソーシャルメディアの担当者は、アナリスト、トレンドリサーチャー、データエンジニアとしての能力が求められます。それだけでなく、状況に合わせて柔軟に変化できる能力や、ユーザー心理を理解する洞察力も必要とされています。
(最後の2つについては確かなデータはありませんが、最近ではこれらが求められていると感じます。)

このレポートは、マーケターやアナリストが不要な情報に惑わされず、重要なポイントを見極め、2025年に向けてより効果的な戦略を立てるために役立つベンチマークと、データを提供することを目的としています。

 

レポートの調査結果
  1.  ブランド認知度
    平均すると、ブランドに関する議論全体の中で、ブランド自身が開始した議論はわずか1%強(1.11%)にとどまっている
  2. 感情
    オンライン上では、テクノロジー業界は最も高い割合で怒りの言及を受け、エンターテイメント業界は最も喜びの言及を受けている
  3. 世代
    ベビーブーマー世代は、他の世代よりもエネルギー業界について積極的に発言する傾向があり、Z世代とミレニアル世代はエンターテイメント業界に関する会話が大部分を占めている
  4. ピーク日
    ブランドに関する言及が最も多いのは水曜日と木曜日であり、最も少ないのは日曜日である
  5. その他にも
    8つの主要産業におけるユニークな対話の原動力について
    ※このセクションは【ソーシャルメディアの現状 後半】にて解説いたします。

方法論

2024年2月1日から7月31日までの期間に、Brandwatch Consumer Researchを使用して、8つの業界にわたる347ブランドに関する7億1860万件のオンライン上での言及を分析しました。

調査対象とした8つの業界は以下の通りです。

  • 自動車
  • 消費財(CPG)
  • テクノロジー製品
  • エネルギー
  • エンターテインメント
  • 金融
  • 食品
  • 小売

347のブランドクエリを調査して業界平均値を把握するとともに、業界特有の傾向を詳しく分析するために、一般的な業界動向も併せて調査しました。

ソーシャルのベンチマーク

このセクションでは、8つの業界におけるソーシャルエンゲージメントに関した様々な指標のベンチマークを紹介します。さらに、オーディエンスとより良い関係を構築するためのヒントもご紹介します。

※紹介するベンチマークは、厳選された347のブランドに基づいた業界平均値です。自社ブランドの状況を把握するためには、このベンチマークを参考にしつつ、独自の分析を行うことをおすすめします。

オーディエンスの感情と意見のベンチマーク

感情分析と意見分析は、自社ブランドや製品、サービス、そしてソーシャルチャンネルで共有しているコンテンツに対する世間の評価を把握するのに役立ちます。感情分析では、投稿から特定の感情を読み取り、意見分析では投稿が肯定的、否定的、中立のいずれの文脈に当てはまるかを分析します。これらの分析は、ブランドの健全性を評価する上で重要な指標となります。

消費者は、ブランドについてどのような感情を抱き、どのように表現しているのでしょうか?

ソーシャルメディア上の会話で表現された消費者感情(業界別)
出典:Brandwatch Consumer Research
チャートは、8つの業界にわたる347のブランドの感情比較分析(エモーション分析)を示しています
2024年2月1日~7月31日の期間にソーシャルメディア、ブログ、フォーラム、レビューサイトに投稿された公開情報を収集

感情別に分類された会話を業界別に見てみると、次のことが分かります。

  1. エンターテイメントおよび小売業界は、ポジティブな投稿が多く見られ、約50%が「喜び」のカテゴリーに分類されている
  2. 消費者向けテクノロジーブランドは、怒りの言及が最も多く、言及の37%が怒りのカテゴリーに分類された。
  3. 食品および消費財(CPG)業界は、「嫌悪感」の言及の割合が最も高く、それぞれ29%と28%を占めた
  4. エネルギー業界は、「悲しみ」と「恐怖」に関する言及の割合が最も高かった
業界全体の消費者感情

ブランドの健全性を確認するもう一つの方法は、分析です。

分析において、投稿がポジティブ、ニュートラル、ネガティブのどの文脈に分類されるかを特定することで、マーケティング担当者は自社のブランド、製品、サービス、そして業界に対する認識を長期的に把握することができます。

業界別のソーシャルメディア上のシェア
出典:Brandwatch Consumer Research
チャートは、8つの業界にわたる347のブランドの比較分析(センチメント分析)を示しています
2024年2月1日~7月31日の期間にソーシャルメディア、ブログ、フォーラム、レビューサイトに投稿された公開情報を収集

センチメント分析の結果
  • 食品および消費財(CPG)業界は、ネガティブな言及を最も多く集めている
  • エネルギー業界は、ポジティブな言及のシェアが最も少ない
  • エンターテインメント業界は、他の7つの業界と比較してネガティブな言及の割合が最も低い
ヒント

このように、ポジティブまたはネガティブな言及の傾向を把握し、要因を深掘りすることで、マーケターはより適切な意思決定を行い、評判管理やエンゲージメント改善が必要な領域を特定し、課題解決につなげることができます。

ポジネガ分析を活用する3つの方法

1. ネガティブなコメントをチャンスに変える

ソーシャルリスニングを活用することで、ブランドはネガティブなコメントで問題を早期に発見することができます。消費者に積極的に関わることで問題を深く理解し、適切なサポートを提供することで、ネガティブな意見を抑えることができるでしょう。

この2つの例を見てみましょう。

Comment
byu/Hefty_Taro_1636 from discussion
inTalesFromTheFrontDesk

 

(親気取りはやめて。子供にゲーム機くらい買ってあげなよ)

 


(LenovoのThinkpadを持っている人って、仕事と生活のバランスがとれていなさそう)

 

もし、任天堂が「親気取りはやめて。子供にゲーム機くらい買ってあげなよ」というような投稿を目にしたら、ペアレンタルコントロール機能を紹介することによって、子どもたちが安心して使用できることをアピールすることができます。

一方、Lenovoのように「仕事と生活のバランスがとれていなさそう」というネガティブなイメージを持たれている場合、仕事と生活のバランスをサポートする機能を宣伝したり、ワークライフバランスに関する役立つコンテンツを提供したりするのも良いでしょう。

2. 製品開発のためのフィードバック収集

企業のSNS担当者は、ソーシャルメディア上で消費者からの製品の不具合や、改善要望などの声に対して直接解決することはできませんが、担当部署に情報を共有することは可能です。

例えば、消費者がアプリやウェブサイトの技術的な問題について不満を述べている場合、企業のSNS担当者はその情報を担当部署に共有し、迅速に対応することで、顧客満足度を高め、長期的に顧客中心の製品開発につなげることができます。

Yes24のグローバルサイトでチケットが買えなくて、結局ソウル公演行けるの韓国のファンだけじゃん。なんで海外ファンの時間を無駄にするの? サイトはクラッシュばっかりしてるし、PayPalもVisaもMasterCardも使えないわ

 

あなたの人生が退屈にならないよう、私たちがお金の管理をお手伝いします。

PNCのアプリは使えないし、オンラインバンキングもダメだ。世界中に展開している銀行のくせに、アプリやウェブさえまともに管理できないなんて。こんな銀行にお金を預ける理由は何だ?)

3. ポジティブなフィードバックを増幅する

ブランドの良い評判や感想に積極的に反応し、称賛することで、オーディエンスからの好感度を高めることができます。

いくつかの良い例を挙げてみましょう。


(この少年は、大好きなホームセンターの従業員の誕生日に花束を贈りました。なんて優しいんでしょう!

 


(これを書いたBarnes and Nobleの店員の方に感謝を申し上げます。)

 

業界別の消費者とブランドの交流

このセクションでは、Xのデータに焦点を当てることにしました。

ソーシャルメディア上で、消費者とブランドはどのように交流しているのでしょうか?以下の図は、さまざまな業界におけるX上でのブランドと消費者との多様な交流の方法を表しています。

業界別の X 上でのブランドソーシャルメディアのやりとり
出典:Brandwatch Consumer Research
X上でのブランドと消費者間のソーシャルメディアのやりとりの内訳を示すチャート
平均値は、データの閲覧と相互比較を容易にするために表示されています。
2024年2月1日から7月31日までのXに関する公共の投稿から収集されたデータ

エンゲージメントのレベルは業界によって異なります。チャートの要点を以下にまとめます。

  • エンターテイメント業界は、リツイートしたくなるようなシェアしやすいコンテンツ作成が得意
  • 小売や消費財(CPG)業界では、消費者がブランドをタグ付けする傾向が強いため、ブランドは長期的なコミュニケーションを通じて消費者の好みや関心を把握する機会を得ることができる
  • 自動車、食品、テクノロジー製品のブランドは、投稿への返信数が最も多いことから、ブランドの発信するコンテンツが消費者の興味を引いている

最も興味深いのは、ブランド自身のアカウントによる発信が、ブランドに関する会話全体のわずか1%強(1.11%)しか占めていないということです。この数値は、昨年の1.51%からさらに減少しています。

このデータから興味深い疑問が生まれます。それは「ブランドと消費者のどちらがストーリーを作っているのか」ということです。

ブランドに関する会話の大部分は消費者によって行われているため、ブランドが直接的にコントロールできる範囲は限られています。だからこそ、消費者の声に耳を傾けることで、ブランドは自分たちが望むストーリーを維持し、消費者とのつながりを保つことができます。

業界別オーディエンスの世代別内訳

さらに、8つの選択された業界におけるオーディエンスの世代別内訳についても調査しました。

この分析は、XとRedditにおける異なる世代のソーシャルパネルを使用しました。

業界の横断分析:世代別の業界人口統計
出典:Brandwatch Consumer Research
チャートは、8つの業界にわたる会話を世代別に示しています
2024年2月1日~7月31日の期間にXとRedditに投稿された公開情報を収集

業界全体のデータを調査したところ、以下のような結果になりました。

  • ミレニアル世代はどの業界でも会話の大部分を占める傾向にあるが、例外もあるため、自社の状況を独自に分析する必要がある
  • ベビーブーマー世代はテクノロジー製品に関する会話に最も少なく、その割合はわずか6.4%である
  • しかし、エネルギーに関する会話はベビーブーマー世代が最も多い
  • Z世代は、エンターテイメントやテクノロジー製品に関する会話において、他の世代よりも高い割合を占めている

このデータから、テクノロジー製品業界やエンターテイメント業界はZ世代の言葉を取り入れることで、Z世代からのエンゲージメントを高められる可能性があります。しかし、エネルギーなどの規制産業では、顧客と正式な契約が必要となるため、Z世代の言葉に合わせることは難しいでしょう。

マーケティング担当者向けのコツ

各分野において、どの世代がブランドについて活発に議論しているのかを把握し、ベンチマークを設定することで、特定の年齢層への効果的なアプローチ方法を明確化し、ブランドのマーケティング戦略に役立てることができます。

業界別の投稿に最適な曜日

ソーシャルメディアのデータを分析し、業界別にブランドがソーシャルメディアに投稿したり、会話に参加するのに最適な曜日を特定しました。

最適な曜日は、各業界の投稿量が多い曜日であり、投稿量が多いほど、より多くのエンゲージメントが期待できます。

あなたの会社でオーディエンスがオンラインで最も活発になるのはいつでしょうか?

水曜日と木曜日は、ブランドに関連する消費者の言及が最も多い日
出典:Brandwatch Consumer Research
8つの業界におけるソーシャルメディア上の3億5600万件以上の言及を曜日別に分析し、ソーシャルメディアに投稿するのに最適な曜日と2番目に最適な曜日を示しています。
2024年2月1日~7月31日のソーシャルメディア、ブログ、フォーラム、レビューサイト上の公開投稿から収集したデータ

8つの業界に関する会話が最も少なかったのは日曜日でした。

一方、言及数が最も多かったのは水曜日で、木曜日がそれに次いでいました。

  1. 対象の8つの業界に属するブランドは、平均して水曜日と木曜日にソーシャルメディア上でより多く言及されている
  2. エンターテインメントとエネルギー業界のブランドは、金曜日に会話のシェアが最も高くなり、他の業界とは異なる傾向にある
  3. 自動車、金融、食品業界では、木曜日にソーシャルメディアでの言及が増加する

 

いかがでしたでしょうか?

実際の具体的な調査結果をもとにご紹介しましたが、これらの情報を参考にして、より効果的なマーケティング戦略にお役立ていただければ幸いです。

次回の「ソーシャルメディアの現状 後半」では、8つの主要産業におけるユニークな対話の原動力について解説いたします。

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