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6月16日に開催した、「DOORS-BrainPad DX Conference 2021」。
2000人を超える視聴申し込みをいただき、盛況のうちに幕を閉じた本イベントの模様をお伝えしていきます。
今回は、株式会社ブレインパッド 代表取締役社長 草野 隆史による、「データサイエンスの向かうべき先」と題したOpening Keynoteをお届けします。
本イベントのテーマである「経営者の隣にデータサイエンスを。」に込めた思いとは?
ブレインパッドは一言で言えば「データの会社」で、様々な企業のデータの活用を総合的に支援・サポートしています。
そんなデータの会社が、なぜDXイベントを主催するのか?
そのためにはまず、当社が考えるDXの起源まで遡る必要があります。
DXの起源は1995年と考えています。
Windows95というOSの発売があった年で、インターネットの接続機能がデフォルトでOSに組み込まれるということが始まりました。
企業と顧客の接点がソフトウェアになったことで、ソフトウェアの使いやすさというものが、サービスの使いやすさ、顧客体験そのものになってくるという時代が始まり、それまでは業務効率化や研究開発のための手段として使われていたコンピューターが、顧客との差別化、ビジネスの差別化のための手段と変わったのです。
顧客接点がソフトウェアになったことで、顧客の行動がデータとして取れるようになります。顧客が操作したログがデータとして残り、それを分析することで、ネットの向こうにいる見えないお客様のことがわかるようになります。
反面、ログをただストレージを圧迫する邪魔なものと認識する会社もありました。
ただしそれが「今見えない、目の前にいないお客様を理解するための手段」と解釈し、それを活用する会社も同時に現れたのです。
ネット越しで見えないユーザーをデータから理解しアクションを取るという好循環を回せる会社が強くなっていき、世界を席巻していきました。これが今の「テックジャイアント」です。
彼らはその成長を通じて、膨大な資金を集め技術力を集め、その貪欲な成長意欲を持って、活躍の場をリアルにどんどん移してきています。
新しい技術を作り、新しいビジネスモデルを作り、既存事業をひっくり返すようなプレーヤーがどんどん増えてきています。そんな彼らは、ディスラプターとも呼ばれます。
PayPalを売却することで多額の資金を得て、テスラを起業したイーロン・マスク氏もその例です。
テスラの株価は衝撃的です。
トヨタ自動車の1/30も自動車を製造してないテスラには、日本の全自動車メーカーを合算しても超えられない株価が付いています。
つまり彼らの時価総額は自動車メーカーとしての評価ではなく、ソフトウェアメーカー、テックメーカーとしての新たなカテゴリとしての成長を期待されていることが分かります。
マーク・アンドリーセンの「ソフトウェアが世界を飲み込む」という言葉があります(* 2011年8月20日にマーク・アンドリーセンは「ソフトウェアが世界を飲み込む理由」を寄稿し、大きな反響を生んだ。)。
あらゆるビジネスがソフトウェア越しに提供されるようになり、あらゆる会社がソフトウェアを作るようになってくる。結果としてソフトウェアが世界を飲み込もうとしてるというこの予言のような言葉は、まさに今の現状を言い表していると言えます。
すなわちDXというのは、ソフトウェアに飲み込まれないために既存の事業者、既存の業界がどういうリアクションできるかという行動を言ってるのではないでしょうか。
対抗手段としては、テックジャイアントと同じレベルでソフトウェアを開発し、データ活用を行うことであると思っています。
これが、当社が「DXの本質にデータ活用がある」と考える理由です。
データを活用し、サービスをより良くし、それによって力を得たものが世界を飲み込もうとしている状況で、日本には大きな課題があります。
これは、インターネットの普及が始まった1995年を起点した日米のIT投資の推移です。
アメリカは何回かの危機を超え乗り越えつつもIT投資額を増やし続けているのに対して、日本は一貫して横ばい。
2015年時点では1995年時点を割ってしまっている日本は、ソフトウェアが世界を飲み込もうとしている25年間、「ITに投資をしてこなかった」とも言えます。
またこれは、IT人材の分布を日米で比較したものです。海外ではIT人材はユーザー企業の中に多く所属しておりITのシステムを内製化しています。
対して日本はITエンジニアの多くがベンダー側、いわゆるSIerに属してます。
この日本の構造は、同業種で似たようなシステムを作り、バックエンドのシステムを依頼してコスト効率化のためにITを活用するというシーンにおいては非常に有効に働きます。
ただし、差別化のためにITを使おうとすると、ノウハウが漏れやすく、時間もコストもかかってしまいます。つまり、「日本はDXをやるための産業構造になってない」のです。
ただ、もうこれは起こってしまっていることです、
「これを前提に、日本はDXをどう進めていくか」を考える必要があります。
ブレインパッドは、データが世の中を変えていく予感がする2004年に起業しました。
創業以来掲げているミッションが「データ活用の促進を通じて持続可能な未来をつくる」です。
意思決定にデータが活用されることで、さまざまな無駄が減り、社会が少しずつ良くなっていくという未来を私たちは信じているのです。
もともとは、データを預かって分析をする、「データ分析」を専業としていましたがそこから、データを貯めるための環境を作りたいという要望に応えるべく「SI」の仕事を始めました。
また、分析に基づいてWeb上でアクションを取っていきたいという要望に合わせて「デジタルマーケティングツール」を自社開発し、提供するようになっています。
このように、お客様の「データ活用の要望」に応える形で、自分たちのケイパビリティを少しずつ広げてきました。
現在では、DXをどう行うべきかという最上流のコンサルティングから、最終的なシステムの構築、運用、あるいはそのための人材育成までトータルで提供できる、非常に幅広いサービスを提供できる会社になってきました。
現在までにすでに1,000社以上のお客様のデータ活用のためのプロジェクト、様々なプロジェクトをご支援させていただいてきました。
データ活用に関しての知見が「日本一集まっている会社」の一つと言っても過言ではありません。そこでたまった知見、データ活用するためにはどんな課題があるのかといった知見を私たちの中で閉じるのでなく、広く皆様にも知っていただきたいという思いから、今回のConferenceを企画しました。
繰り返しますが、ソフトウェアに飲み込まれないために既存の事業者、既存の業界がどういうリアクションができるかという行動をDXと言うならば、対抗手段は、テックジャイアントと同じレベルでソフトウェアを開発し、データ活用ができないといけません。
多くのお客様と接し、「データ活用の推進が本来意味するもの」を改めて考え、「DXの核心は、データサイエンスにあり。」という思いに至り、本イベントのテーマを「経営者の隣にデータサイエンスを。」と銘打ちました。
本カンファレンスを通じて、データ活用のあり方を皆様と改めて考える機会になればと幸いです。
※DXの定義や意味をより深く知りたい方はこちらもご覧下さい
【関連】「DX=IT活用」ではない!正しく理解したいDX(デジタル・トランスフォーメーション)とは?意義と推進のポイント
この記事の続きはこちら
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