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ブレインパッドは2023年6月5日(月)から16日(金)にかけて、大型DXカンフレンス(以下、DOORSカンファレンス)をオンライン開催しました。
視聴した方々には、各セッションの感想をお聞きするのに加えて、(ご自身の会社、所属部署の)DXの取組有無や成果有無、DXを進めるにあたっての課題といったアンケートを実施。結果合計「560件」の回答がありました。
一般的なDX調査レポートと比較するとサンプル数はやや小さくなりますが、日ごろから業務でDXに対して向き合っている企業の回答者が多く、さまざまな示唆を得られる貴重な情報になりました。
本記事では、その中から興味深かったインサイトを中心にお届けします。
読者の皆様の、DX推進の参考になれば幸いです。
※アンケート実施概要
アンケートに回答した方々の業務やミッションは、以下の通りでした。
「DX推進」を中心に、「データ」、「マーケティング」が続き、これら(薄いオレンジ色で囲った部分)で、全体の74.95%を占めています。
また、ミッション実現に向けた、業務上の課題は何かについてもお聞きしました。
パートナー選定への課題意識は低いものの、「組織・人材・教育」カテゴリが609件(31.38%)を占めています。
こうした課題カテゴリに、役職機能有無を組み合わせてみました。
役職機能有無によって、課題内容に明白な差分は見受けられず、各々「組織・人材・教育」が30%を占めています。
また課題カテゴリに、業界・産業情報を組み合わせたところ、業界・産業に関わらず「組織・人材・教育」への課題感の強さがうかがえました。
DXの取り組みにおいて、「すでに成果を感じている」企業は、全体の11.55%。対策や改善に対する取り組みの必要性や情報収集をしている企業(薄いオレンジ色で囲った部分)が67.25%を占めています。
では、具体的にどんな取り組みの成果有無があるのかを、DXピラミッド(※)で定義している領域に沿って質問しました。
(※)DXピラミッドとは、ブレインパッドが提唱するDX整理・分類のフレームワーク。
【関連記事】DXピラミッド 一般から最先端、そして未来まで。わかりにくいDXを、3分で理解する。
要点は、以下になります。
以上、業務やミッション、課題感と各社のDX取り組み状況をふまえて浮かび上がったのは、「組織・人材・教育」が課題であるということでした。
カンファレンスに興味を持った理由について、講演内容が36.72%、カンファレンスのテーマ・コンセプトが33.09%と上位でした。
今回は、「ビジネス価値創造につながる鍵はどこにある?経営と現場をつなぐ「データ活用の自走化」への挑戦」をコンセプトに掲げていました。
先述したように、アンケート結果からも「組織・人材・教育」に課題を持つ方にとっては特に、本コンセプトに興味を示していただいたのではないでしょうか。
合計14セッションの平均評価度数は91%という結果でした。特に満足評価が多かったセッションは、いずれも「マーケティングDX」をテーマにしたものでした。
評価のポイントは「セッション内容が分かりやすかった」が最も多く28.03%。「参考にならなかった」割合は4.49%でした。96%は、セッション内容自体と期待値のギャップが許容範囲内であったことがうかがえます。
また、低評価の理由もお聞きしました。
「参考にならなかったセッションはなかった」が最も多く35.86%だったものの、「最後まで視聴できなかった」が26.03%となり、視聴時間・視聴本数などへの課題が挙げられました。
※いただいたフリーコメント(一部抜粋)
こうしたご意見、フィードバックをふまえて、弊社が発信する各種コンテンツの改善に役立てていきたいと思います。
DOORSカンファレンスの第一回開催時も、「DXピラミッド」に即して調査を実施しました。
【参考記事】ブレインパッド、DXアンケート調査の結果を発表。DXを成功に導くカギとは?
当時とは回答数、設問も違うため一概には比較できないですが、当時も「人材不足」が浮き彫りになっていました。
ここ数年、DXという言葉が定着し、DXに取り組む企業が増えたものの、依然として最大の課題は「人材」であり、さらに「組織」全体にまで及ぶなど、課題感は大きくなる一方です。
これらの課題背景には、データ分析の高度化に伴うスキルの向上、データ分析から得たインサイトや施策のアイデア出し、ビジネス部門との連携、企業文化への浸透、経営や現場との足並みを揃えるための人材、組織の存在がより重要になっていることがうかがえます。
ただし、「人材・組織」の課題は一朝一夕で解決できるものではありません。
優秀なDXプロジェクトマネージャー、データサイエンティストを外部から確保することは至難の業であり、かといって社内でこうした人材を「すぐに」育成することも同様に困難です。
データドリブン経営を目指したデータの収集・分析は、外部パートナーとの知見が必要であり、社内外でDXプロジェクトチームを組成。ただし、外部パートナーに頼ることなく、ゆくゆくは「内製化」を果たすことを視野に入れているDX先進企業が増えています。
ここでいう内製化とは、企業が自社リソース/資産(人材/ファシリティ)を活用して、外部委託することなく事業含めた各種取り組みを自走できる状態をさします。
内製化を視野に入れないと、事業会社はいわゆる「ベンダーロックイン」状態に陥ります。専門家に頼るべき先端技術を使うといった特別な理由などとは関係なく、ただシステムを使う、データを見るということでさえも特定のベンダーにがっちりと握られている状態こそが、まさにベンダーに「ロックイン」されていると言えます。
そうなると、ビジネスのスピード感が求められる時代に、些細な変更でもいちいち見積もりを取ってテストまでやってもらうとなると、かなり大きなタイムラグが発生し、意思決定に大変な時間がかかってしまいます。
こうした弊害をいち早くリスクヘッジするために、DX先進企業は「外部パートナーとの共創」と「内製化」を同時に進めているのではないでしょうか。
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