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一般社団法人金融データ活用推進協会(FDUA)では、金融機関初となるデータ活用の標準化の取り組みとして、2023年6月末に「金融データ活用組織チェックシート」をリリースしました。このシートは、金融データ活用の在るべき組織の標準を策定し、各金融機関がセルフチェックできる形式で作成されたもので、計画の開始からリリースまでには半年ほどの時間を要しており、内容は非常に精査されたものといえます。
では、FDUAが「金融データ活用組織チェックシート」に期待する価値と効果はどういったもので、金融データの活用によって、どのように人と組織がアップデートされていくのでしょうか。
今回は「金融機関初となるデータ活用の標準化に向けた取り組みとは?〜FDUAと考える金融データで人と組織の可能性をアップデートする方法〜」と名付けたセミナーの内容をお届けします。
■登壇者
※所属部署・役職は取材当時のものです。
株式会社ブレインパッド・神野 雅彦(以下、神野) 皆さん、こんにちは。ブレインパッドの神野と申します。昨今、金融データ活用に関する取り組みが注目を浴びており、ニュースでも話題になっています。私たちブレインパッドも金融機関向けのデータ活用支援を積極的に行っており、その専門性から一般社団法人金融データ活用推進協会(FDUA)へも参画しています。
この度、私が委員長代行を務めるFDUAの標準化委員会が、金融業界のデータ活用の標準化を目指し、6月末に「金融データ活用組織チェックシート」のリリースを行いました。今日は、その取り組みに参加するコアメンバーと共にセミナーを進めてまいります。
では、岡田さんから自己紹介をよろしくお願いいたします。
一般社団法人金融データ活用推進協会・岡田 拓郎氏(以下、岡田氏) 金融データ活用推進協会の代表理事、岡田拓郎です。私の経歴は地方銀行から大手銀行、銀行協会と、システムやデジタルに関わる様々な立場からなります。これらの経験から、業界全体での取り組みの価値を感じ、活動しています。
神野 以前、ブレインパッドのDOORSカンファレンスにご登壇いただき、その節はありがとうございました。次に、白石さんに自己紹介をお願いします。
三井住友カード株式会社・白石 寛樹氏(以下、白石氏) 三井住友カードの白石寛樹です。FDUAでは、標準化委員会の委員長と理事を務めています。
神野 白石さんも以前、ブレインパッドのDOORSカンファレンスにご参加いただき、ありがとうございました。最後に、中村さん、お願いします。
株式会社セブン銀行・中村 義幸氏(以下、中村氏) セブン銀行の中村です。私はセブン銀行でAIとデータ活用の推進を担当し、昨年からFDUAに参加しました。現在は委員長代行として活動しています。
神野 本日はよろしくお願いします。私はブレインパッドの執行役員で、金融インダストリーの責任者を務めています。また、FDUAでは標準化委員会の委員長代行を務めています。
今回のセミナーでは、標準化委員会が特に重視している金融業界のデータ活用活性化について中心的に話を進めていきます。特に、「金融データ活用組織チェックシート」についても触れていきたいと思います。
神野 では、FDUAの中に標準化委員会を設立した目的と経緯について、岡田さんにお伺いしてもよろしいでしょうか?
岡田氏 FDUAは金融業界のスタンダード作りを目指しています。会員である金融機関の声を反映し、企画・出版委員会、データコンペ委員会、そして標準化委員会の3つを設立しました。企画・出版委員会では成功事例を作成し、データコンペ委員会では人材育成に注力する体制を整えています。
成功事例を作りつつ、これから業界の標準化を進める上で足りないものを考えたとき、「組織そのものが変わらなければ、業界のデータ活用は進まない」という結論に至りました。
「優秀な人材と教科書があっても、組織が変わらなければ人材は離れてしまう」と考えています。大手から中小企業までの金融機関では、数十人規模でデータ分析や企画を行っていても、組織内の立ち位置や何ができるのかという客観的な評価が難しいことも少なくありません。
特に中小企業では、「何を改善すべきか」「組織として何を決定すべきか」がわからないという声が多かったのです。
そこで、金融業界の組織として自己評価できる基準、モノサシが必要だと考えました。これがあれば、金融業界のデータ活用が進み、顧客や社会の課題を解決できると思い、標準化委員会を設立しました。
神野 標準化委員会の委員長とFDUAの理事を務める白石さん、いかがですか?
白石氏 まず、FDUAへ参加できて光栄です。FDUAが立ち上がる記者会見の前日に、岡田さんの熱い思いを聞き、「標準化」の意味するものは壮大だと感じていました。
一方で、社内でも自分の立場を理解し、説明するためには、外部の視点、つまり標準化の視点が必要だと思っています。事業会社としての活動とFDUAでの活動は両方有意義で、強い思いを持って参加しています。
中村氏 セブン銀行でAIデータ活用の推進を行いながら、「自社がどのレベルにあるのか、今後何を推進するべきか」などの点を、さまざまな企業と情報交換をしながら自社の立ち位置を明らかにし、考えを深めることを繰り返してきました。
岡田さんから声をかけていただき、その思いを聞いたとき、「自社だけで悩み、試行錯誤を繰り返すのではなく、一緒に進むことで迷わずに進め、業界全体に貢献できる」と感じ、参加を決めました。
神野 多くの金融機関の方々にご協力いただいており、管理監督省庁のなかでもFISC(金融情報システムセンター)様には議論にも参加してもらったことで、攻めと守りの両面から標準化を進めることができたのではないかと思います。
神野 ここからは、標準化委員会の各取り組みについて、一つ一つ焦点を当てていきたいと思います。まずは6月末にリリースされた「金融データ活用組織チェックシート」について、作成の中心となった中村さんからお話を伺ってもよろしいでしょうか。
中村氏 「金融データ活用組織チェックシート」は、自社の各項目のスコアを把握するシートです。これを用いて自社を定量評価し、ベンチマークと比較することで、自社の金融データ活用レベルを把握できます。FDUAとしては、このシートの結果を集めて金融業界全体のデータ活用レベルの向上を推進したいと考えています。
神野 現在地の把握が目的ということですね。白石さんから何か補足はありますか?
白石氏 現在地の把握方法は、取り組み開始以降、多くの議論を経て形成しました。金融機関に従事する個人や組織の視点を踏まえ、共通理解から目的を設定するプロセスが重要だと感じました。
神野 つまり、チェックシートの目的は、金融機関の立ち位置の明確化と、現在地から弱みや強みの把握、そしてレベルアップによる業界全体の底上げということがわかりました。現在地を把握するということは、非常に良いものではないでしょうか。
それでは、様々なチェックシートやリストが存在する中で、この「金融データ活用組織チェックシート」の位置付けについて、続けて中村さんに伺いたいと思います。
中村氏 これまでのデータ活用におけるチェックシートには、業界特化型がありませんでした。個人や企業に対してデータサイエンスレベルやDXスキルをチェックするものが殆どだったといえるでしょう。
「金融データ活用組織チェックシート」は金融機関特化型で、膨大な構造化データやプライバシー性の高い個人情報の扱いなど金融機関ならではの事情に焦点を当てています。他のチェックリストとは別に使用可能で、金融業界におけるデータ活用レベルの判定に適した位置付けです。
神野 データサイエンティスト協会の「データサイエンティストチェックリスト」があるように、我々は金融特化版として「金融データ活用組織チェックシート」を作りました。いかに金融に特化した内容作りができるかが重要な論点でした。
では、白石さんは「金融データ活用組織チェックシート」の位置付けはどのように考えましたか?
白石氏 チェックシートの位置づけは「金融領域特化」と「データ活用を主軸とすること」ですね。特に、“活用”というキーワードは協会の成り立ちも含め、目的として明確に設定し、ブレさせない必要があると考えています。神野さんとも話し合いを何度も行いましたし、取り組みの要ですね。
神野 最後に、岡田さん、チェックシートの位置づけはどう感じていますか?
岡田氏 私自身や業界全体の視点からも「活用」は重要なワードです。AIブームの時期から現在までを見てみると、ディープラーニングや大規模言語モデルChatGPTのような新技術の導入で現場が混乱するケースは多いです。
流行りの時は予算や人材が割り振られ、組織も形成されますが、その後、ビジネスでの活用状況がシビアに見られます。その結果、「金融機関にデータ活用やデータサイエンティストは必要ないのでは」という話になることも少なくありません。
データ活用は、長期的な視点での蓄積が必要です。そのため、流行りで終わらせない指標を用意し、経営に必要な要素を明確にするべきだと思っています。
FDUAを作ったのは、「足りないものは何か」「経営がどう判断すべきか」を明確にし、データ活用を進める環境を作ることが必要だと思ったからです。
神野 ここまでで、本チェックシートの位置付けが明確になりました。中村さん、次はチェックシートを使う人の立場について教えていただけますか?
中村氏 チェックシートを使用する人は、DMO(データマネジメントオフィス)を想定していますが、DMOがいない場合はIT・ビジネスサイド、データ活用推進者を想定しています。ITの詳細な技術の話など、回答できない項目も考慮し、チェックシートの粒度を決定しました。
神野 評価する立場により変わる部分もありますが、DMO相当の人々からIT・ビジネス担当まで視野に入れたことは強みと言えるでしょう。
では、チェックした後の活用方法についてもお話しいただけますか?
中村氏 初めは、チェック結果の活用方法に焦点を当てていましたが、定期的にチェックシートの内容を検討する中で、振り返りや気づきを得られること、ベンチマークと比較することの意義を感じ始めました。
神野 評価となると、金融業界を変えるひとつの入口になると感じています。その観点で考えてみて何か思うことはありますか?
白石氏 チェックシート作成に参加した結果、「無自覚だった項目への自覚を促す」効果を感じました。中村さんの話にもあるように、チェックシートを見直すことで得られる気付きがこの取り組みの真価で、それを元にFDUAで議論し、新たな道を開けると期待しています。
神野 チェック結果をデータ化し、数値で認識することで成長を促すために、金融機関がデータをどれほど活用しているかを可視化する重要性を感じています。
チェックシートにはいくつかテーマがあったと思いますが、その違いについて中村さんから教えていただけますか?
中村氏 チェックシートのテーマは「活用レベル」と「インフラレベル」で3つずつ、計6つに分けています。最初の3つはデータ活用について、「どんなデータを使って、どんな組織がどんなビジネス効果を出すのか」を見る活用レベルです。
他の3つはインフラについて、「どんな基盤があり、組織としてどう人材育成に取り組むか、全体のガバナンスをどう評価するか」をチェックできるようにしています。
神野 チェックシートとして網羅性が重要ですから、たくさんの議論をさせていただきました。テーマの分け方は初見でもわかりやすい構成を導き出したので、是非多くの金融機関で使っていただけると嬉しいです。
それでは、各社との協議を経て決めたチェック項目の考え方について教えていただけますか?
中村氏 チェック項目の作成にはアドバイザーとなる各社に制限なく設問を考えてもらい、それを基にしました。結果、アドバイザーによって設問数は異なり、非常に多くの設問を作成してくれたアドバイザーもいました。
しかし、チェックシートは使ってもらわなければ意味がないため、途中離脱を避けるために全項目を30分で終えられる設問数にしました。そのため、各項目は10問ずつにしました。
神野 精査には半年かかりました。客観的に見て「良いものができた」と思っています。網羅的であり、週に数時間でチェックシートの内容を検討できるので、成果につながりやすいと思います。
神野 「金融データ活用組織チェックシート」は現状バージョン1.0・初版となっています。次は2.0、次版になると想定されますが、どういった位置付けなのでしょうか?
中村氏 初版のチェックシートは、議論の結果、入門レベルとなっています。素案ではベストプラクティスレベルのテーマもありましたが、「多くの金融機関が回答できる」ことに重きを置き、入門編から作成しました。次第にレベルアップしていくチェックシートを作る計画です。
神野 質問項目は、ライト・ポップ・クイックの要素を満たすようにしました。これにより、答えることに挫折しないような網羅的で簡単に取り組めるものを用意できたと思います。
では、結果をまとめた後のベンチマークについてはどのように考えていらっしゃいますか?
中村氏 FDUAの参加金融機関にセルフチェックをお願いし、その結果をまとめてベンチマークを作成します。各金融機関が意義を把握してもらった上で実施し、そこから生まれるベンチマークを共有・活用する予定です。
神野 チェックシートの内容、作成コンセプト、期待する効果など、全体的な理解が深まったと思います。では、発案者の岡田さんはこれまでの議論をどう感じていますか?
岡田氏 チェックシートは組織を変えるツール、モノサシとして期待以上のものが作れたと感じています。神野さん、白石さんを含めた業界トップランナーの形式知として使用してもらえると嬉しいです。
チェックシートは最初はFDUAの会員に使ってもらう予定ですが、いずれ全金融機関で活用してもらいたいと考えています。
また、チェックシートを活用した対話の方向性は主に3つあります。1つ目は自己対話。自分自身でチェックしながら新たな気付きを得たり、改善点を見つけたりすることを期待しています。
2つ目は経営との対話。チェックシートで自社を客観的に評価することで「改善が必要な点」や「思ったよりできている点」を経営陣に伝えるツールとして使えます。
3つ目は他の金融機関との対話。協会で設定したベンチマークをもとに自社の強みと弱みを理解し、他社との交流を通じて課題解決を図ることができます。その結果をもとに業界全体の発展に貢献して欲しいと思っています。
神野 岡田さんの考えを聞いた上で、白石さんはチェックシートについてどう感じていますか?
白石氏 中村さんのお話でもあった通り、設定するテーマの検討会に参加した際、「各企業の意見や視点、考え方が大きく違う」と感じました。しかし、それを形式知に落とし込むことができたところが重要で、チェックシートは「ありそうでなかったアウトプット」になりました。全金融機関にこのチェックシートを使ってもらいたいと思っています。つまり、「チェックシートによるチェックを体験してほしい」ということです。
神野 自社のデータ活用状況を見える化し、結果を出すことで自分だけでなく組織全体が変わる可能性があります。
また、内外のコミュニケーションツールとして活用してもらいたいと考えています。このチェックシートは、多様な金融機関や企業の参加と繰り返しのディスカッションにより、多角的な視点から構築されたものです。その網羅性からも、コミュニケーションの恩恵は期待できると思います。
神野 ここまで、チェックシートの使い方について話し合いましたが、話題を変えて苦労した点や楽しかったエピソードについて深掘りしてみましょう。12月からの検討を経て、6月末にリリースしました。
人材育成、組織、ガバナンス、データ基盤、利用データ、ビジネス効果という6つの論点をテーマに設定し、これらを網羅的にチェックできるよう準備しました。各検討委員や関連企業、そして管理監督省庁の協力を得て、公開に至ることができました。
リアルとオンラインの両方での議論や、集合型セミナーなど、様々な手段を駆使してプロジェクトを進めることができたのは良かったと思います。さらに、データサイエンティストや現場担当者の意見を基に議論を深めることができたのも大きな収穫でした。
自分の視点が正しいかどうかよりも、どれほど違うのかを認識することができたのは重要なポイントだったと思います。例えば、DMOという役割が各企業で大きく違うことや、ブレインパッドのようなビジネスパートナー側から見てもプレイヤーの役割が異なることが分かりました。
人材育成についても、eラーニングで十分か、伴走型の支援が必要か、ビジネス貢献の育成に焦点を置くべきかなど、各企業で違いがありました。これらは単純な言葉で説明できる範囲を超えており、網羅的に様々な要素を検討することが重要だと気付かされました。
それでは、中村さん、苦労した点や楽しかった経験についてお聞かせいただけますか?
中村氏 さまざまな困難がありました。初めに「6月には結果を出したい」という目標を設定したことから、各テーマについて逆算して隔週で検討会を開催する必要があるという状況になりました。検討会に備えてチェックシートの草案を作成し、アドバイザーによるレビュー、事務局メンバーとの確認、検討委員の承認を経て検討会を開催しました。
さらに、通知や案内の発信、セルフチェック結果の集計、インサイト分析などの業務も行っています。検討会後には議事録を作成するなど、6ヶ月間の継続的なサイクルが非常に大変でした。
神野 では、白石さんにもお聞きしましょう。
白石氏 検討委員の皆さんが参加するという視点から、問題提起や問いかけに対する応答が行われ、良い意味で議論を展開できました。委員長としては、共同作業の範囲をどこまで拡大し、6月末までの初版にどのように調整するかという点が、楽しいと感じつつも難しい部分でした。
神野 最後に岡田さん、お願いします。
岡田氏 一言で言えば、標準化委員会には素晴らしい検討委員会のメンバーが集まった、ということに尽きます。FDUAの委員会・ワーキンググループは全部で20近くありますが、その中で標準化委員会は最も力が注がれている集まりと言えます。
打ち合わせも2時間を超えるケースが多く、金融業界でデータ関連の実務を全うしている人々が集まり、良い成果を作ろうと努力しています。その結果、形式知を超えて「凝縮知」に到達したと感じています。
今後については、このチェックツールを全ての金融機関の方々に使っていただきたいと考えています。
神野 金融機関同士で、業態を超えて同じテーマについて語るという機会はなかなかありません。各社が「自社ではこういう取り組みが可能だけど、他社では難しいだろう」と考えるポイントを共有し、どの軸で評価すべきかを考えながら、実は自分たちができていると思っていたことができていなかった、逆にできていないと思っていたことができていた、といった新たな知見や価値を共有できたと思います。
ブレインパッドとしては、最終的なまとめを一任され、全力で取り組むことができました。初版のリリースに至ることができ、大変うれしく思います。
神野 6月末にFDUAは決算を迎え、標準化委員会も7月以降も続くことから、今後の標準化委員会の活動についてお話ししたいと思います。
例えば、チェックシートを使用した結果や、その結果から1年後の変化をどう予想するのか、岡田さんからお話を伺いたいと思います。
岡田氏 先ほども触れましたが、金融機関のデータ活用はまだ始まったばかりだと思っています。チェックシートを作ったからこそ、これからが本番です。金融機関ごとに評価していただき、フィードバックや改善点が出てくることを予想しています。
私たちはそれらの意見をしっかりと収集し、次の版を作ることで、より効果的なデータ活用のためのチェックリストを作成し、すべての金融機関で使用されるスタンダードにしたいと思っています。だからこそ、今年こそが勝負の年だと思っています。
神野 次に、白石さんにお願いします。
白石氏 岡田さんの話を聞いて、初版のチェックシートを使用することで他の金融機関との対話が可能になると感じました。自社のレベルを決定するのではなく、他社の意見を反映して基準を定めることで、次の活動に向けてのヒントを得やすくなると思います。そういったサイクルを形式知にすることが重要だと思います。
神野 最後に、全体を通じて実務を担当していた中村さんにお話を伺いたいと思います。
中村氏 現在のチェックシートは、検討委員やアドバイザーのすべての意見を反映しているわけではありません。これから優先順位を付けて少しずつ反映していく予定です。チェックシートを使用して業界の平均レベルを可視化し、段階的にレベルアップを促していくことで、次版では標準レベルやベストプラクティスをチェックするシートが必要になると考えています。
これらを考慮に入れて、次のバージョンやレベルのチェックシートを考えていきたいと思います。
神野 最終段階は駆け足で進め、やるべきこと、先送りにすべきことを選定しながら進めたと記憶しています。項目を人々にわかりやすいものに統一したことは英断だったと思います。
ゴールを設定した上で、継続的に取り組んでいくことによって価値が生まれるといえます。ブレインパッドとして貢献できる点は、システム化の点で、次のように感じています。
これらを考慮に入れて、チェックシートのバージョン2.0、3.0に向けて共に取り組んで行きたいと思います。
ここまでのお話をまとめます。FDUAの標準化委員会は金融業界のデータ活用に関わるチェックシートを6月末にリリースしました。チェックシートを利用することで、自社のデータ活用レベルを把握できます。そして、データ活用は自分たちの身近なところで取り組むことができ、金融機関のデータ活用の活性化につながることを目指しています。
この取り組みは、チェックシートのバージョン1.0で終わるのではなく、継続的に取り組んでいくものです。金融業界はデータ活用に前向きになった上で、もっと恩恵を受けるべきだと思っています。
まだ多くの課題やハードルがあるため、FDUA・標準化委員会、金融機関やビジネスパートナー、一般会員・特別会員と協力しながら進めていきたいと思います。
本日のセミナーはここで終わりにしたいと思います。皆さん、ありがとうございました。
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