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ゆうちょ銀行は、「お客さまの声を明日への羅針盤とする『最も身近で信頼される銀行』を目指すこと」を経営理念とし、現在はデータ利活用に向けて、行内においてデータ分析力の強化と業務改善に取り組んでいます。
また、リアルとデジタルの相互補完により、顧客にとってより価値のある新しいリテールビジネスへの変革を推進しています。
行内におけるデータサイエンティストの育成に力を注いでおり、組織の体制作りや個々のスキル・特性に合わせた進路策定など、行内におけるデータ活用の影響力も高まっています。
今回、ゆうちょ銀行の秋山氏・大竹氏をお招きし、「データ利活用とデータサイエンティストの育成について」をテーマとして、パートナーであるブレインパッドと共にお話ししていきます。
■登壇者
※本記事は、2022年11月1日に配信された、「<オンラインセミナー>ゆうちょ銀行と語る「データドリブンな企業文化の醸成」の今と未来」のレポート記事になります。
ブレインパッド・櫻井 洸平(以下、櫻井) ゆうちょ銀行様の人材育成・分析組織立ち上げに関するプロジェクトマネジメントを行っている櫻井と申します。第二部では、データサイエンティストとして活躍している営業統括部の秋山さん、 営業事務部の大竹さんをお招きし、ブレインパッドの育成プロジェクトリーダーの鬼頭と共にデータサイエンティストを育成するポイントとなる部分をお伝えしていきます。
今回は、「データ利活用とデータサイエンティストの育成について」がテーマとなっております。では、鬼頭さんからゆうちょ銀行の人材育成プロジェクトの概要をお聞きしてもよろしいでしょうか?
ブレインパッド・鬼頭 拓郎(以下、鬼頭) プロジェクトのスタートは2021年12月からです。最終的に「データドリブンな企業文化の醸成を行う」ことを目的として、人材育成計画・組織立ち上げに関わるロードマップの作成などのコンセプトメイキングを行いました。
また、伴走支援を行い、プロジェクトメンバーに対してデータサイエンティストとして活躍できるようになるサポートにも取り組んでいます。
櫻井 大竹さんと秋山さんはメンバーとして選出されたということですね。では、どのようにしてプロジェクトを進めているのでしょうか?
鬼頭 ゆうちょ銀行の現状に合わせてカスタマイズしながら進めています。ブレインパッドも含めて、4人のプロジェクトマネージャーがメンバーをサポートしながら、各部門の課題抽出・テーマ選定、解決策・効果の検討という流れからテーマを選定し、分析を行っています。
ブレインパッドの培ったノウハウから、適切なデータ分析方法から分析期間、いずれ想定されるハードルなども含めて共にプロジェクトを進めています。個人のスキル差も含めて個々にあったサポートも実施することをこころがけています。
櫻井 コミュニケーションを取りつつスムーズにプロジェクトを進められているようですね。秋山さんと大竹さんに、データ分析のスキルやバックボーンをお聞きしたいと思います。
ゆうちょ銀行・秋山氏(以下、秋山氏) スキル面では、プロジェクトに参加する前から営業実績の集計等でデータベースを利用していました。知識面では、銀行業務や証券アナリストの学習を通して最低限の金融知識はある状態でした。ただ、データサイエンティストとして必要な統計学やプログラミングの知識は全くありませんでした。
ゆうちょ銀行・大竹氏(以下、大竹氏) 私は学生時代に統計学を学んでいました。しかし、改めて今回のプロジェクトに参加して分析がビジネスの意思決定を左右することに気づき、統計学とプログラミングの学習を進めています。
櫻井 データベース・統計学・BIツールを学ばれていたということですね。分析プロジェクトのメンバーとして選出された感想はいかがでしたか?
秋山氏 コストをかけて人材育成を行うため、それに見合うだけの成果・成長を見せたいと感じました。また、プロジェクト参加にあたっては、現在の所属部署の業務調整の必要があったことから、周りの社員が私の業務調整に協力いただけたことに感謝して取り組もうと考えました。
大竹氏 「プロジェクトに参加した上で成果を出す」ことに不安が強い状態だったといえます。しかし、プロジェクトの目的が「データドリブンな企業文化の醸成」であり、私自身がデータ活用によって意思決定を行えるようになるという変化が必要と感じていたことから、参加を決定しました。
櫻井 意欲を持って取り組まれているということですね。現在・過去も含めて、これまではどういったデータ分析業務に取り組まれてきましたか?
秋山氏 業務と関連性のある若年層のお客さまに関するデータ分析を行いました。商品やサービスの利用動向を分析・モデルを作成し、プッシュ通知施策を実施しました。また、施策の効果検証も行うことで、これまでは得られなかった新たな示唆をを得ることができました。
現在はお客さまのLTV算出というテーマで分析を行っています。
大竹氏 私の場合は、所属部署でクレジットカードの経理業務をやっていたので、クレジットカードの利用拡大に向けた分析をテーマとして選定しました。クレジットカードのマーケティングなどは他部署で実施しているので、その部署の社員に情報収集・ヒアリングをしながら取り組みました。
データに触れたことがない・見たことがない状態だったため、データの理解からスタートしながら分析についてはブレインパッドに協力してもらうことで前に進めました。最終的には分析結果を活かしたマーケティングの実施まで至り、現在は効果検証の実施中です。
櫻井 それぞれの経験に合わせたうえでデータ分析業務に取り組んでいる点がとてもいいと思いました。では、秋山さんに質問です。事業の課題に取り組み解決する難しさに対して、どのような点に苦労されましたか?また、どのような工夫が大切だと思われますか?
秋山氏 データ分析の結果をビジネス施策につなげる点に難しさを感じました。参加している分析プロジェクトの流れは、事業課題から分析テーマを選定して分析を実施し、分析結果をもとに施策を展開し、効果検証を行うという流れになっています。
そのうえで、初回で扱ったテーマに関しては、顧客の分析のみで終わってしまい、施策の展開までにたどり着きませんでした。要因は、分析のみにフォーカスしすぎたために、施策実行フェーズの見通しが甘かったことだと思っています。
分析は一人で完結することも多いですが、施策を展開する場合は多くの関係部署も含めたコミュニケーションが必要です。そのため、施策実施までの計画も含めて分析を行うことを念頭に置かなければなりません。
課題を乗り越えられた要因は、「コミュニケーションや施策の実行も含めてデータサイエンティストに求められる要素が把握できた」点です。そのため、次の分析においては施策の実行、関係各所との調整を念頭に置いたうえで分析を行うことができています。
また、私の上司がよく言う言葉で「結果にこだわる」ことが大切だと感じています。実は、2回目の分析もそのままであれば、1回目と同じ結果になるところでした。しかし、その結果を回避するために、関係各所と調整を繰り返したことで、施策の実施までたどり着きました。「結果にこだわり、やり切ること」までできました。
櫻井 データ分析によって得た気付きを次の分析に活かし、施策につなげていくという姿勢は私も大切だと感じています。データを見つける力・解く力・使ってもらう力を意識し、施策につなげていく考え方は、1年間を通して得られた育成の成果も現れていると思いました。
では、データ分析業務に関わり、成長を感じられた場面などはありますか?
秋山氏 機械学習や統計の知識と データサイエンティストに求められる分析に基づいた課題解決スキルが身に着きました。分析だけで終わらせるのではなく、結果につなげるための動きがわかるようになったと思います。
大竹氏 仮説を立てて実証するスキルが身に付きました。経理の仕事では、数字の正確性が求められていたものの、データ分析では創造力が求められると感じています。分析を進める中で日々、得られる結果に対してなぜなのかを考える中で成長したと感じています。
櫻井 期間はまだ短いものの、お二人共ポイントを把握して成長されているということですね。ここで鬼頭さんに質問ですが、データサイエンティストを育てていく工夫や注力するポイントなどはありますか?
鬼頭 ご質問いただいた内容に付随して関連知識のアドバイスを行うように意識しています。また、伴走するための答え方として、あくまでもヒントにとどめる言い方を心掛けています。
櫻井 伴走のアドバイスも工夫されているということですね。秋山さん、大竹さんが分析支援サポートによって得られたものは具体的にどういったものがありますか?
秋山氏 本などから知識として学んだ内容を実際の分析業務で活用できないという悩みを解決できました。例えば、本で学んだ知識の活用についてブレインパッドに相談すると、実際の分析データを用いて疑似的にアウトプットを作成してくれるため、効率的な学習につながっています。
大竹氏 ブレインパッドのサポートによって「効率的かつ高い視座で分析を進めていける」点がメリットだと感じています。常駐していただいているので、疑問点に対して、自分で考え続けるよりもスピーディーに解決できるので分析がスムーズに進捗できているので本当に助かります。
櫻井 本で学ぶ内容だけでなく、実践の相談からアウトプットまでサポートしている点にメリットが感じられたということですね。分析を行いながら仮説を立て実証し、施策に応用していく視座を持つことができた点は私も嬉しく思います。
鬼頭 お二人とも意識高く業務に取り組んでいると感じております。知的探究心やビジネス価値の想像・課題の解決に応用したいといった意思が伺えます。
そして、データサイエンティストと一言とひとことでいっても、研究者として優れているケースやビジネス課題を発見して応用できる力にすぐれているケースでは進路も異なるため、今後お二人に合った進路を共に作っていきたいと感じています。
櫻井 各個人の特性に合わせて進路を選択できる点も含めてお聞かせいただきありがとうございました。では、最後に、スキル・プロジェクト・ゆうちょ銀行としてのこれからなど、今後の展望についてお聞きしてもよろしいでしょうか?
秋山氏 プロジェクト面では、現在レベルとして3段階(初級・中級・状況)に分かれている内の2段階目である中級を目指したいと思っています。経験がなかった状態からでも、データサイエンティストとして成長できる点を周囲の人々に伝え、企業文化の醸成に貢献したいです。
スキル面では、 現在はローコードツールを使用しているため、システムに処理されているコードの意味までは理解できていません。そのため、今後は処理内容を見て意味がわかるレベルまでスキルを高めたいと感じています。
私自身は、所属部署においてプロモーションなどの企画業務から培った実務のスキルと参加している分析プロジェクトで身に付けるデータ分析スキルの双方を高いレベルで兼ね備えた人材となって、ビジネス課題の解決に向けた意思決定に資する人材となることが目標です。
大竹氏 スキル面では、更に仮説を立てるスキルをより強化していきたいと考えています。
プロジェクト面では、データ活用とはあまり接点がなかった私が所属している営業事務部においてもデータ活用を積極的に取り入れて行きたいです。実際に、営業事務部では「分析することはないのでは?」といった意見もありましたが、ブレインパッドとワークショップを行ったことで営業店に配備しているタブレット端末に対するアプリ配信業務に課題があることを発見できて、分析を実施しました。
そのため、事務作業の中でもデータ活用の余地があることが明確化できたため、積極的に取り組んでいく予定です。
最終的には、社内にデータドリブンな文化を根付かせるために、自分が実施した分析結果を活用した結果として、収益への効果をしっかりと出していきたいと考えています。
櫻井 お二人であれば、プロジェクトの目標である「データドリブンな文化を根付かせたい」といった思想を体現できると感じました。また、分析の効果を出したうえで、ビジネスにどのように貢献するのかといったマインドセットを持っている点が素晴らしいと思います。
本日はありがとうございました。
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