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最終更新日:2023.11.27
※本記事は、ブレインパッドが運営する人工知能ブログ「+AI」に掲載されている記事の転載版になります。
日本の製造業における人手不足は深刻度を増しています。そのような中、いかに現場の作業効率を上げて、生産性を向上できるかは日本の製造業の大きな課題となっています。近年では人手不足対策として、AIやIoTなどの先進技術を導入し、作業効率化や生産性向上に繋げている企業もあります。今回は製造業・工場の物流面の課題にAIがどのように活用できるのか見ていきましょう。
平成30年7月に経済産業省の調査(※製造業における人手不足の現状 および外国人材の活用について)による、「製造業における人手不足の現状について」では、人手不足は94%以上の大企業・中小企業において顕在化しており、32%の企業は「ビジネスにも影響が出ている」と回答しています。
製造業・工場が、物流面で抱えている課題としてあるのは、主に「担当者の勘や経験などを基に属人的に行っている業務」と「紙のファイルでの管理や手動でのデータ入力などアナログな方法で行っている業務」に分かれます。
そこで本記事では、この人手不足の課題に対して、AIの先進的な技術を活用している事例を紹介し、AIがどのように作業の自動化や省人化、生産工程の合理化を実現できるのかを説明します。
ここでは物流サービス事業者A様の事例をご紹介します。「担当者の勘や経験などを基に属人的に行っている業務」の1つとして配車計画があります。配車計画には「時間指定」「車両・車種の指定」「集荷と配送の混在」「マルチデポ」など、多種多様な制約条件があり、これまでは担当者が暗黙知によって計画を立案していたました。これに対して数理最適化技術を用いて、これまで人手で行っていた日毎の配車計画、車両台数やルートの算出を自動化することに成功しました。その結果、「配車手配の最適化による大幅なコスト削減」や「業務の脱属人化」を実現しました。
ここでは物流サービス事業者B様の事例をご紹介します。「担当者の勘や経験などを基に属人的に行っている業務」のもう1つとして人員配置計画があります。人員配置計画には「契約形態」「国・会社の労働基準」「勤務日の間隔」「休日・連休の取得回数」「従業員のスキル」など、多種多様な制約条件があります。従来は熟練者が膨大な時間をかけて計画を立案していました。これに対して予測技術と数理最適化技術を用いて、必要作業量の将来予測の算出と人員配置の最適化を自動化することに成功しました。その結果、「要員手配の最適化によるコスト削減」や「業務の脱属人化」を実現しました。
ここでは物流サービス事業者C様の事例をご紹介します。「紙のファイルでの管理や手動でのデータ入力などアナログな方法で行っている業務」としては在庫管理があります。この業務は班長などのベテラン社員がパートやアルバイトを雇い、人海戦術に頼っている部分が多く残っている分野でもあります。また、ベテラン社員のノウハウによって生産性が大きく変わる分野でもあります。在庫管理をするのは人の目視や手作業であるため、在庫を数え間違えたり、正確な在庫数を把握できていなかったケースもありました。また正確な数を発注ができないために、在庫不足による機会ロスや、反対に余剰在庫を抱えてしまうということもありました。これに対してAIを活用して、在庫管理業務のシステム化を行い、作業効率を向上させようと試みました。ベテラン社員の作業指示をAIが代替し、パートやアルバイトの代わりをロボットが行うことでアナログな管理体制から脱却しました。
以上のように、AIを導入することで製造業・工場が物流面で抱えている課題を解決し、業務プロセスやヒト・モノの動きの最適化、そして業務効率化などのメリットを得ることができます。その結果、従来のシステムやプロセスで発生していた無駄を省略することができるため、コスト削減にも繋がります。
実際に、スマートファクトリー化の波に伴って、工場にAIを導入する企業も増えてきました。
いまや、製造・物流の領域においてAI活用は単なるトレンドではなく、ビジネス課題を解決するための強力なサポートツールとして活用されています。
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