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「セールスイネーブルメント」を徹底解説~データと綿密なプログラムで営業のレベルを上げる~

公開日
2022.03.23
更新日
2024.09.19

※本記事は、「成果を上げ続けるブレインパッドのセールスイネーブルメントを徹底分析~『無敗営業』著者 高橋浩一と読み解く、営業組織強化に繋がるデータ活用~」におけるセミナー内容を編集したものです。

ブレインパッドでは、「組織拡大に伴って、組織的に営業が育つ仕組みを作りたい」という目的からセールスイネーブルメントを行っています。セールスイネーブルメントに取り組んだ理由は、営業の職種が細分化され、求められる役割と共にプロフェッショナル化が進み、組織的に成果を出す仕組みを構築する必要性が増してきたからです。

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プロフェッショナル化した5つの営業担当

ブレインパッドでは、営業担当者が5職種に分かれています。

1つ目のインサイドセールスは、顧客と最初に接触し、商談創出を行います。SaaSもあればデータサイエンティストが分析を行うサービスもあるため、何が顧客に適しているのか判断し、その結果によって、アカウントセールスやソリューションにつなぐ担当です。

2つ目のアカウントセールスは、特定の業界や顧客を担当したうえで、課題やニーズを把握し、解決するためのソリューションを提供する役割です。業界の担当者やマーケティング部門、サプライチェーンなど領域も異なるため、得意分野によって領域を分けています。

3つ目のソリューションセールスは、SaaSのビジネス分野でソリューションを販売していきます。

4つ目の営業企画は、戦略の策定と全体のスキルアップ担当です。

5つ目のアライアンスセールスは、パートナー企業と組んで、販売・サービス開発を行っています。

この5つの職種は、ここ2年でプロフェッショナル化してきたものです。そのため、現在もブラッシュアップしている最中だといえます。


プロフェッショナルサービスとプロダクトサービス

ブレインパッドで取り組んでいる2つの事業(サービス)を見てみましょう。プロフェッショナルサービスはデータサイエンティスト・SE・コンサルタントなどが顧客のデータ活用をサポートしていきます。対して、プロダクトサービスでは、自社開発のSaaSや海外からのプロダクトの販売も行っています。2つのサービスを比較すると大きくビジネスの方法が異なる点が特徴です。

プロフェッショナルサービスは稼働上限があります。人的支援であるため、すぐに人を増やせる訳でもありませんし、例え増加しても、プロジェクトの品質を保つために、売上をすぐに伸ばせるわけではありません。そのため、案件の優先順位を決めて、企業一社あたりの単価を上げていくことを重要な要素とし、今後どのように伸ばしていくかという点がセールスイネーブルメントの要となります。

プロダクトサービスに関しては、サービスやソフトウェアを販売しているため、稼働上限が理論上はありません。そのため、一人の営業の売上・利益が最大化していく形式でビジネスを提供しています。加えて、既存顧客を守りつつ、新規顧客をどのように獲得していくのかといった点が大切な要素の1つだといえます。

受注率を上げて、新規商談の機会を作ることを営業担当者一人ひとりが意識したうえで、より効率的に販売していくという点もセールスイネーブルメントでは重要です。


KPIと目標の細分化

営業担当者は上記の図のように各指標におけるKPIを設定し、その数字を追いかけています。商談作成は商談の金額や件数をクォーター・月・個人別でみていくものです。受注件数受注率は、新規と既存で分けています。営業フェーズの進捗数は、商談においてどのくらい進んだのか、クォーター・月別で追っているという形式です。営業フェーズの進捗率は、そのフェーズに上がった進捗率がどの程度変化したのかを表します。

初期フェーズが落ちやすいという課題がずっと残っているため、初期フェーズがどのように進捗していくかを見つつ、施策を行っています。そして、各KPIに対してどのようなテーマに沿ってどのような施策をやっていくのかというところを、クォーター・半期・年で決めて行っているという流れです。

例えば、プロフェッショナルサービスのKPIとして、1社単価を上げるためにアカウントセリング(攻略プラン)や顧客に理解してもらうためのビジョンセリング、具体的な案にするためのディスカッションシートの作り方などを実施施策とするといったこともありました。

変わったところでは、ナレッジの蓄積・共有も大きな要素の1つとして行っています。受注・失注商談の振り返りとして、月の中でキーとなる商談をピックアップし、何故受注・失注したのか、テンプレート(どのフェーズ、その中でどのようなアクションがよかったのかなど)を営業担当者の中で振り返ってもらい、共有会をしています。これは、事例として営業へ共有し、営業活動の中で役立ててもらうためのものです。最近では、実際に受注した顧客を呼び、「営業はこのように考えていたが、実際はどうだったのか」を直接聞くといった試みも行っています。

セールスイネーブルメントに対する取り組み

ここからは、ブレインパッドで一人前の営業になるための営業フェーズの考え方、スキル定義、トレーニングをご紹介します。ブレインパッドの営業フェーズの考え方は、「お客様の購入プロセスが前に進んでいるかをマネジメントする」というものです。以前は営業活動に合わせて、見積もり作成や提案などのフェーズを設定していました。しかし、そうなってしまうと人によってフェーズの捉え方にバラツキがでるため変更しました。

そのため、お客様の購入プロセスを基準に営業フェーズを7つに分けています。例えば、お客様からヒアリングをして、課題を特定できたという段階ではフェーズは2のままで、お客様と合意していなければ前に進めません。そのため、営業担当者はフェーズごとに管理し、日々状況を確認しています。

ではフェーズを進めるためにはどのようなアクションをとればよいのでしょうか。我々は複数人の営業担当者(ハイパフォーマー)からヒアリングして、各フェーズごとに何を、どのようにすれば前に進むのか、必要なアクションをまとめました。そのフェーズを進めるために重要と定義したものをキーアクションとしています。

図表ではアカウントセールス・ソリューションセールスの共通項目という視点で分けており、それぞれが前進するためのキーアクションを示しました。

共通項目で6個、個別のアクションで15個、計21個あります。ポイントは、似たような項目であっても経営課題として提案すべきものだったり、CRM領域で提案するべきものだったりがあるため、同じ提案でも必要なキーアクションは異なり、求められるスキルも異なることです。

営業担当者のレベル分けとトレーニング

キーアクション毎に、スキルを定義してレベルを5段階に分けています。レベル1は実施していないor品質が足りていない、レベル5が期待以上のスキルを保有していると定義しています。目指すべきはレベル4においています。

オンボーディングの対象者は営業マネージャーと自身のレベルを定義し、どのスキルを伸ばしていくのか計画を立て日々会話していきます。

キーアクションなどのレベルを上げていくためのトレーニングをみていきましょう。各トレーニングがどのキーアクションに紐づいたものなのかを定義し、共通プログラムも設けています。共通プログラムはSalesBasic、BrainpadBasic、Market/CompBasicの3つに分かれ、オンボーディングを通じてブレインパッドのケーパビリティやマーケティングを把握できるように基礎プログラムを組んでいる状況です。どういった競合がいるのか、AIとは何かをトレーニングから学ぶことも可能です。

また、ロール別ではアカウントプランニングやビジョンセリング、営業一人がどのように予算を達成するかといったゲームプランの研修も行います。自分に足りない要素を見極めつつ、オンボーディングトレーニングを実施してもらう流れとなっています。数が多く、スキルも多岐にわたるため、オンボーディングでは半年ぐらいの時間をかけて受けていくイメージです。

最後に

ブレインパッドのセールスイネーブルメントは、「営業が継続的に成果を創出するための仕組み」です。ファクトとなるデータを元に、オンボーディングプログラムの構築だけでなく、他にも、マネージャー用やテーマ別の施策など様々なものを用意しております。

今後も日々アップデートし、新たな施策にも取り組んでいきます。


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株式会社ブレインパッドについて

2004年の創業以来、「データ活用の促進を通じて持続可能な未来をつくる」をミッションに掲げ、データの可能性をまっすぐに信じてきたブレインパッドは、データ活用を核としたDX実践経験により、あらゆる社会課題や業界、企業の課題解決に貢献してきました。 そのため、「DXの核心はデータ活用」にあり、日々蓄積されるデータをうまく活用し、データドリブン経営に舵を切ることであると私達は考えています。

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