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2024年12月18日に開催された日本マイクロソフト株式会社主催のビジネス提案イベント「AI Challenge Day for Financial Service 」に参加しました。イベントの様子やブレインパッドの提案内容をご紹介します。
「AI Challenge Day for Financial Service」は日本マイクロソフト株式会社主催のビジネス提案イベントです。これまでに3回開催されたAI Challenge Dayは、RAG技術の精度評価や改善がメインテーマでしたが、4回目となる今回は新しい AI Challenge Day ということで、金融業界をターゲットとした業界特化型となっていました。参加企業は、生成AIを強みとして事業を展開する日本マイクロソフトのパートナー企業9社でした。各社が4つのテーマの中から1つを選び、テーマ発表から3週間で金融業界の抱える課題を解決するソリューションを構想し、仮想提案を実施しました。
開催日
2024年12月18日(水)
場所
日本マイクロソフト品川オフィス(品川グランドセントラルタワー)
実施内容
金融業界における業界課題を生成AIを用いて解決する!
今回のテーマ
私たちは、「監査や業務効率化を目的としたAIによるドキュメント処理」を選択しました。ブレインパッドは多数の金融業界のクライアントを支援しており、お客様から直接お悩みを伺う機会があります。「業務効率化」に関しては、以下のようなお悩みが多くあることに着目しました。
次に「AIによるドキュメント処理」を用いて何を実現するかを検討しました。生成AIで文章を扱う場合の用途を”確認”・”抽出”・”要約”・”生成”に分類し、部署の業務ごとに用途別で提供できるソリューションを考え出しました。
ソリューションの検討内容とクライアントの課題を鑑み、私たちは「審査にかかるコストの削減を目的としたAIエージェント」というコンセプトの提案をすることにしました。
「審査にかかるコストの削減を目的としたAIエージェント」は、お客様に向けて発信する文章を作成する企画担当者が利用することで、短時間で審査基準を満たす文章の作成が可能になることを目指したソリューションです。作成する文章の質が上がり、結果として審査担当者の審査コストを下げることも可能と考えています。
本ソリューションは、以下の3つの主要機能を備えています。
イベントでは、提案内容に親しみを持っていただくため、以上の3つの機能を持つAIエージェントということでPECA*1という愛称をつけて紹介しました。
(*1)Proofread(校閲)、Explain(説明)、Create(生成)ができるAIエージェントの頭文字から付けた社内愛称。ブレインパッドのサービス名やプロダクト名ではありません。
「審査にかかるコストの削減を目的としたAIエージェント」を実現した技術を説明します。
今回は、複数のエージェントが相互に連携しながらコンテンツをチェック・生成する、マルチエージェントシステムを採用しました。システムの構築においては、エージェント開発プラットフォームであるCrewAIを活用し、エージェントの推論エンジンには、Azure OpenAIのgpt-4oを採用しました。
【参考】CrewAI:https://www.crewai.com/
コアとなるエージェントは3つあります。
コンテンツの生成機能はこれら3種類のエージェントが連携することで実現しています。
なお、イベント当日はコンテンツ生成のデモをご紹介しました。
品質の高いコンテンツのチェック・生成を実現するため、以下の技術的な工夫をしています。
当日は金融業界のお客様も多数参加されており、ブレインパッドの発表にもご質問を多く頂きました。いただいた質問の一部を紹介します。
皆さま、実業務に活かす際の課題点を気にされており、拡張性や精度の工夫を説明したことでさらに興味を持っていただけました。今回のデモでは一部法令のみを対象としましたが、社内マニュアルやチェックリスト、社内規定を読み込ませることも可能です。また、精度向上には社内の審査基準を明確にすることが重要であり、今後は実際の社内マニュアルを利用して検証を進め、精度改善に必要な項目を整理していきたいと考えています。
今回の「AI Challenge Day for Financial Service」の様子は、日本マイクロソフト株式会社の金融サービスブログ(Industry Blog 金融 金融サービス Archives – マイクロソフト業界別の記事)にて動画と発表資料をご覧いただけます。(ブレインパッドの発表は34:11~)
本システムのさらなる発展を目指し、2つの方向性を展望として述べます。
私たちは、多様な業界や業務への横展開とチェックエージェントの信頼性向上という技術の深堀の両軸で取り組みを続けることで、コンテンツ作成プロセスの高度な効率化を実現し、ひいてはユーザーが戦略的な意思決定に注力できる環境づくりを目指します。
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