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デジタル社会の未来に求められるコンサルティングと人材育成・経営

公開日
2023.06.28
更新日
2024.10.02

ブレインパッドは、企業のデータ活用・分析の内製化を支援するサービスのビジネスパートナーとして、Ascent Business Consulting株式会社を迎え、両社の連携により、日本企業のDX推進およびデータ活用の内製化を支援していくことを発表した。

【関連】ブレインパッド、データ活用の内製化支援サービスのビジネスパートナーとして、DXコンサルティングに強みを持つAscent Business Consultingとの連携を強化

Ascent Business Consulting株式会社は、2012年6月に設立され、DX戦略策定やDX実行推進のコンサルティング事業を主軸に、DX人材強化に係る教育事業なども展開している。

両社の提携を記念して、ブレインパッドの執行役員であり、内製化サービス推進責任者である神野雅彦が、Ascent Business Consulting株式会社の代表取締役である北村貴明氏と、専務取締役の廣瀬雅史氏を迎え、デジタル社会における現在と未来におけるコンサルティングについて様々な切り口で語り合った。

■登場者紹介

  • 北村貴明
    Ascent Business Consulting株式会社 代表取締役

シンクタンク、日系コンサルティング企業及び外資系コンサルティングファームを経て、2012年6月に起業し現職。外資系コンサルティング在籍時代は常にトップクラスの成績を納め、年間最優秀プロジェクト賞や社長賞など数々の賞を受賞。起業後は、働き方をテーマに事業を展開しており、2018年に著書「クールワーカーズ」を出版。

  • 廣瀬雅史
    Ascent Business Consulting株式会社 専務取締役

外資系コンサルティングファームを経て、2012年6月に共同創業し現職。コンサルティング事業部責任者。事業会社の新規事業立て直し・金融業界500億超システム刷新等の高難易度案件等を支援し常に高評価を獲得。現在までのクライアントリピート率90%超。

  • 神野雅彦
    株式会社ブレインパッド
    執行役員 内製化サービス推進/金融インダストリー責任者

大手IT企業、外資系企業、海外駐在、日系コンサルティング会社および外資系コンサルティングファームを経て、2018年に有限責任監査法人トーマツに入所。2022年1月よりブレインパッドに参画。戦略コンサルタントとしての経験を活かし、顧客企業のデータドリブン企業への変革、DX推進体制の強化、データ組織・人材開発の伴走支援、金融領域の活性化、デジタル基盤を含むトランスフォーメーションを実現するためのビジネス開発、プランニング等を担う。2022年10月より現職。2022年12月より、一般社団法人金融データ活用推進協会(FDUA)標準化委員会 委員長代行を務める。

※登場者の所属部署・役職は取材当時のものです。

写真左から、Ascent Business Consulting株式会社・北村貴明氏、
株式会社ブレインパッド・神野雅彦、
Ascent Business Consulting株式会社・廣瀬雅史氏

Ascent Business Consultingが手掛ける事業

株式会社ブレインパッド・神野雅彦(以下、神野) 北村さんから、まず会社の紹介と自己紹介をお願いします。

Ascent Business Consulting株式会社(以下、ABC)・北村貴明氏(以下、北村氏) 弊社は、12年前に私と廣瀬で(当時はまだ一般的な言葉ではありませんでしたが)DXやIT関連のプロジェクトを支援するためのコンサル会社として立ち上げました。今はコンサル会社を基軸として、5つの事業に取り組んでいます。

Ascent Business Consulting株式会社・北村貴明氏

景気が上向いていた時期なので、設立当初から多くの案件を受注することができたのですが、私と廣瀬では「2馬力」しかないので、それらの案件を着実に実行するために、フリーランスのコンサルタントに次々と仕事をお願いしていったのです。

その方法でうまく仕事が回るようになってきたので、「コンサルポータル」というフリーランスのコンサルタントを、企業からの依頼内容とマッチングして派遣する事業につなげていきました。これが2つ目の事業です。

その事業を拡大していこうと考えたときに、フリーランスにとって何かメリットになることを提供できないかと、フリーランスのためのシェアオフィスを始めたのが3つ目の事業です。

我々はどちらかと言うとプロジェクトの上流工程から携わることが多いのですが、下流工程の要員が足りないという課題に必ず突き当たります。お客様から、下流工程の要員もABCから出してほしいと要望されるようになり、4つ目のエンジニアリング事業を始めました。

エンジニアリング事業では、エンジニアの社内教育も実施するわけですが、これを外部にも展開できると考えて、教育事業を始めました。これが5つ目の事業になりました。

こういった経緯で、DXやITをご支援するというコンサルティング事業に軸足を置きつつ、徐々に5つの事業に広げてきました。

私自身はコンサル会社を3社渡り歩き、最後はIBMビジネスコンサルティングサービス(現日本IBM)にいました。廣瀬とはそこでの先輩・後輩という間柄です。

Ascent Business Consulting株式会社・廣瀬雅史氏(以下、廣瀬氏) 私もABCの創業から参画していて、今はABC主体で実施するコンサルティング事業とコンサルポータル事業の両方を含む「コンサルティング事業部」を統括しています。お客様にはABC側から様々な提案をさせていただいて、ABCだけで要員が足りなければコンサルポータルに登録しているフリーランスのコンサルタントをマッチングするというサービスの責任者を担っています。

Ascent Business Consulting株式会社・廣瀬雅史氏

IBMビジネスコンサルティングサービスに新卒で入社して、最初のプロジェクトのマネージャーが北村でした。これが私たちの出会いです。北村が担当しているインダストリーが金融でしたので、私も金融系のプロジェクトに長い間一緒に取り組んできました。最近では金融に限らずあらゆる業界で、システム企画やシステム戦略策定、プロジェクトマネジメントなどに携わっています。

神野 ありがとうございます。お二人と私が出会ったのは9年前、私の担当案件でコンサルティングメンバーが足りないときにご支援をいただいてから、長いお付き合いをしてきました。それから、つらみ、哀しみ、そして楽しみもあったと思いますが、一緒に苦難や多くのハードルを乗り越えたことでこうやって笑い合える仲になることができたと思っています。

株式会社ブレインパッド・神野雅彦

このたびブレインパッドと貴社で、相互補完によるビジネスパートナーの関係を築けることになって本当に嬉しく思っています。現時点でも数多くの仕事があり、また今後やっていきたいこと、仕掛けていきたいこともあるので、是非お力を貸していただきたく、今後ともよろしくお願いいたします。


DXの危機意識を持ち始めた日本

神野 さて、我々3人の共通項はコンサルタントということです。これまで、戦略立案や標準化などに携わってきたので、今日はコンサルにまつわる話を中心に進めていきたいと思っています。

たとえば「DXって何?」という話になると、「Web会議のシステムがあるので、うちではDXをやっています。デジタル化されています」という話をよく聞きます。しかし、我々の立場からすると「ちょっと違いませんか?」と言いたくなります。それは、ITのツールを使っている、つまり手段のことだけにすぎないからです。

DXブームが始まって5年ぐらい経ちましたが、それほど進展していません。これまでDXというと、ITを導入しそれを使う、という手段の話だったのが、ここに来て、経営目線で「どうやってデジタルを使いこなしいくか」が本格的な論点になりつつあると感じています。

ちなみにブレインパッドでは、「デジタルとはビジネスとITを融合させたもの」と定義しています。これ以降は、「デジタル」をこの意味で使っていきましょう。

ツールの話といえば、このところChatGPTが話題になっていて、「岸田総理がOpenAIの代表と会談した」という話がもてはやされています。しかしそれよりも、ChatGPTと同等、もしくは超える技術が自国から出てこないことに危機意識が見られない部分に不安を感じます。DXと言うと、どうしてもテクノロジーに寄ってしまったり、ツールを使うという話になったり、ツールに使われてしまったりしている状況を見ていると、根深い課題なのではなかろうかと思っています。


DXに振り回されている世の中

神野 このような状況を踏まえて、お二人の考えを聞かせてください。まずは我々が支援しているDXについて、何か感じていることがおありでしょうか。

北村氏 神野さんのおっしゃる通り、DXやITには様々な切り口があると思っています。しかし、どうしても手段にフォーカスされがちです。本来は「その手段を使って何をするか」が重要なはずです。みなさん、手段を使いこなしているイメージが湧いていないんだと思います。だから目に見えるものに囚われて、「Chat GPTがこんな文書を作ったのか、すごい!」「AIでプロ顔負けのイラストも描けるんだ!」と受け身の反応をしてしまう。もう少しツールを使いなれてきて、デジタルを使いこなすとはどういうことかをイメージできるようになれば、意識も変わるのではないかと期待しています。

昔は、読み書き算盤と言われていました。読み書きは当然のこと、数も扱えないと社会で役に立たないという意味だと思います。そんな中、今「算盤」が一気に飛躍して、読み書きIT、読み書きDXとも言える状況になっていると思います。

読み書きは義務教育でも、その後の高等教育でもしっかり教えるのですが、ITに関してはようやく最近になって、学校でプログラミングを教えるようになったばかりです。しかしここでいうプログラミングとは、アルゴリズムをコンピューターがわかる言語に置き換えるだけのことですので、プログラミングができるからといって、ITがわかったということにはなりません。

ITやDXと言われているものが、まだまだ世の中には浸透しきっていないのです。ITやDXでビジネスを変えていく、世の中が変化していくという話に、みんなが共通したイメージを持てるようになるのは、まだまだ時間がかかるのではないでしょうか。

神野 我々データサイエンティスト集団が言う「データの価値」についても、理解は進んでいるものの、まだまだ深まってはいません。何となくわかっている、あるいはすごくよくわかっているという方たちは、先進的な取り組みをされていますが、そのような事例はまだまだ多くありません。海外と比較すると圧倒的に少ないと思います。

廣瀬氏 実際にコンサルティングの現場でお客様と接していると、ITに関しては導入することが目的という側面がまだまだ強い実感があります。ここ10年のIT投資を見ていても、基本的にはシステム導入とその手前の企画段階に使うお金が多い。その点についてはずっと変わっていません。

変わっていることは何かと考えると、「飛び道具」のようなものです。ちょっと前だとWeb3ですね。5Gもそうですが、数年前にはよく聞いた言葉だけど、最近聞かなくなった、ということがITの世界では繰り返されています。テクノロジーのトレンドだけが変化しているということです。ChatGPTもその文脈で捉えるとわかりやすいですね。

とはいえ、今までと違う動きも出てきています。デジタルがビジネスと関わりが深いという概念が浸透してきた結果、ITサイドとビジネスサイドが一体となってシステム企画をするとか、アジャイル的な取り組みをするといったことが一般的になってきました。この2、3年で、経営層もこうした取り組みに真剣にコミットし始めたと感じます。ゆっくりではありますが、動き出しています。

神野 今って第3次AIブームでしたよね。その前に1990年前後の第2次AIブームがあり、さらにその前、1950年代から1960年代にかけて、第1次AIブームもありました。技術は段階的に進化していますし、進歩自体はいいことですし、飛び道具的に使うことも当然あると思います。しかし、違和感があるのは、道具を使うというより、使わされている、あるいは振り回されているといった状況になっていることです。道具を使って何かを導き出すことが本来であるはずなのに、日本の市場の中でそれがどれだけできているのかは、疑問が残ります。

スタートアップ企業を見ても、新しい形のビジネスを導出するケースがまだまだ日本では少ないと思っています。海外のスピードを考えると、日本のテクノロジーが今後どれだけ進化していくことができるのか、まだまだ期待できるところはあるのかもしれません。

とはいえ、エッジの効いた、先を見据えた動きができる前衛的な人たちも一方にいらっしゃいます。やはり企業の取り組みには差が出てきています。そのような状況で我々コンサルタントは、何をしていくべきかを次に議論したいと思います。

DX時代にコンサルタントとしてすべきこと

神野 私のスタンスは、お二人もご存知のように、クライアントファーストです。クライアントが喜んでくれることが第一です。だからといってお客様の言いなりになることはありません。質の高い専門知識でお客様を高みへと導いていくことが使命だと考えています。イノベーターでもあり、リーダーでもあるわけで、自ら道標になりながら、変革を促していくことが求められているということです。

直近では、金融業界を変えていきたいと、金融業界全体のデータ活用水準を引き上げることを目的として設立されたFDUA(一般社団法人金融データ活用推進協会)に積極的に関わるようになったりと、何とかして業界変革の一助になりたいと、最大限の努力を今まさにしているところです。

北村氏 私が最も衝撃を受けたのは、「コンサルタントは課題を解決するのが仕事じゃないよ。課題を定義するのが仕事だよ」という上司の言葉です。お客様は「これがうちの課題だ。解決に力を貸してくれ」とおっしゃるわけですが、その一歩手前で「そもそもなぜこんな課題が発生しているんですか? 実は本当はこちらを解決した方がいいんじゃないですか?」とか、「こちらを解決してほしいとおっしゃいますが、もっとこちらにフォーカスしたほうが効果があるんじゃないですか?」などと言うことが課題定義なんです。お客様のおっしゃることのもっと根本から見直して、本当の課題や今変えるべきところをどうやって見つけるかが、コンサルタントにとって一番価値があると思っています。

課題認知能力を発揮するためには、様々なことを万遍なく知っておく必要があります。先ほど神野さんがおっしゃったFDUAの理事をするとか、様々な場所にアンテナを張って、世の中のトレンドを押さえる努力をしないと課題認知能力は培えません。

課題定義はスキルというより、経験や知識を総合することで可能になることですので、DXならDXを、テクノロジーも含めて根本的に理解していないと課題に行き着けないのです。

廣瀬氏 DXを加速させたり支援することを考えたときに、すごく矛盾した発言かもしれませんが、コンサルティング会社がコンサルティングだけやっていたらダメだと思っているんです。

最近、なぜ私にご相談をいただけるんだろうということを考えるんです。ABCはコンサル会社ですが、事業もやったり、事業立ち上げも支援したり、事業を伸ばすこともしたりしています。私個人としては、Webマーケティングを勉強してSEOやリスティング広告もやったり、どぶ板営業もしたり、組織を作ることもしたりと、さまざまなことをやってきました。元々はIT系コンサルをしていたわけですから、それに様々なビジネス経験が加わったことで、ビジネスとITのつなぎ目が実感としてわかるわけです。

そうなると、お客様がどの出発点から課題解決に取り組めばよいかとか、本来はこういうことで困っているのだろうといったことを、ビジネスサイドの視点で見ることができるのです。視点・視座を縦横にずらしながら話ができるということです。ある取り組みをビジネスとして成立させようと思うと、システム的にはこうなる、といった話もできます。

専門分化が進んでいるので、今のコンサルは点でワークを任されることが多いのですが、それでは事業と事業の間が切れてしまい、データの統合が求められるDX推進が難しくなります。事業化の経験や視座がないとビジネスとITをつなげることはできません。点ではなく面で事業と事業をつなげることができるコンサルタントは、価値が高いのではないかと思っています。

神野 総じてコンサルティングを提供する中で、事業を知っているか、知らないのかが必ず議論にあがって、ある業務のどのプロセスを知っているから安心だ、といった話になりがちです。それをお客様が求めるのは当然としても、コンサルタントが縦割りの専門性を極めることは一つのキャリアモデルであるかと思いますが、廣瀬さんのおっしゃるように、やはり万遍なく事業を知っているほうがいいと思います。それこそ、経営視点でのアドバイザリーを展開できるようになるのではないでしょうか。コンサル組織もそういう視座で作っていくとより強くなっていくのではないでしょうか。

廣瀬氏 一つひとつの知識があるに越したことはないのですが、どちらかと言うとビジネスとしてどういう全体設計になっているのか、その骨子を捉えながら、細かいところは勉強するでもいいし、詳しい方に教えてもらうでもいいと思っています。

「算盤」が「DX・IT」に変わってしまった

神野 では続けて、人材育成について話していきたいと思います。人材育成の話をするといまだに「教育のことですか?」、「研修のことですか?」と聞かれることが多いのが現状です。しかし必要なのは、先ほども申し上げたように、デジタルやITを「使いこなせる」人材にしていかなければならないということで、そのために必要な能力(ケイパビリティ)を有する人材をいかにして育てていくのかということだと思うのです。まさしく、人を変革させることが必要になると思います。

少子高齢化が進み、人材を採用するのが容易ではなくなりました。貴社の「コンサルポータル」のような形で外部人材と連携していくことも必要ですが、やはり内部の人材も育てなければいけないという、お客様にとってはジレンマとも言える状況になっています。「リスキリング・バブル」はその現れです。

そんな中、貴社では「BasisPoint Academy」という事業を始められました。その誕生の経緯や目的を教えてください。

北村氏 我々ABCは、スキルがある人材が時間や場所に囚われずに活躍できる場が日本中にあれば生産性が上がると考え、そういう世界を作りたいと考えています。ただ、この世界観の中で働ける人には、先ほど議論したようなスキルを持っていることが前提なわけです。

日本のビジネスパーソンが今までどうやってスキルを身につけてきたかと言うと、ほとんどの人は社会人になってから身につけました。今までは、日本の会社がちゃんと教えてくれていたということです。ただこの10年でそれが変わってしまいました。

ポータブルスキルという普遍的なスキルがあります。文章を書くとか、プレゼンをするとか、コミュニケーションを取るとか、交渉するといったことです。これらのスキルは、以前は、ほとんどの会社であまり苦労せずに底上げすることができてきたのです。言い換えると、要するに「読み書き算盤」のことなのですが、この10年ぐらいで算盤に位置するものが、ITやDXスキルに変わってしまったのです。この部分の底上げが、日本企業ではできていないのです。

この変化に気づいた人は独学で勉強したり、起業して身につけたりしています。しかしそうでない人は、重要なピースであるはずのITやDXのスキルを身につけられるかどうかが、その底上げに力を入れている会社にいるかどうかという運任せになっています。そこで誰もが、これらのスキルを体系的に身つけてもらえる環境が必要だと思って、BasisPoint Academyを立ち上げました。

ITやDXのスキルは新しいポータブルスキルですから、学歴や職歴に関係なく重要なもので、それさえ身につければ、我々の世界観の中にも入ってもらえます。したがってITやDXのスキルの底上げを支援することは、我々の目指すビジョンの実現に近づくということでもあるのです。

さらに、どの企業でも内製をしたいので、ITやDXのスキルを持つ人材を育てたいという課題を持っているはずですが、今までそれに特化した教育をしてこなかったですから、どうやって育てていいかわかりません。ですから我々は、そういう企業に向けて人材育成サービスを提供できればとも思っているのです。

神野 また海外の話になるのですが、アクセンチュアなどのコンサルファームが採用条件から大卒以上を外したというニュースがありました。労働人口を確保したいなら、大卒ではなく、高卒の人たちに一から教え込んで、育てていけばいいという発想です。アメリカよりずっと少子化で困っている日本ならもっと浸透する可能性が高いのではないでしょうか。世界では、そういう大きな変化が出てきているんですよね。

IT、テクノロジー、デジタルは、あくなき追求が続く世界です。少し前までは、データ活用のトレンドとして、深層学習の知識が必要だと、先進手法や技術について求められていましたが、今はChatGPTのAPIを使いこなせるほうがトレンドに合っているといった状況になっています。こういう変化に対応できるようにするためにBasisPoint Academyを始めたというのはすばらしい着眼点だと思います。

今回貴社にお声がけしたのも、データ活用に関しては我々も教えられるのですが、受講生と話をしていると、そもそもデジタルって何ですか?ロジカルシンキングって何ですか?プレゼンテーションって何ですかといった質問が出てくるのです。パワーポイントの資料を作るのも初めてとなると、分析ができても、企画書も報告書も作れません。そういった部分を補完しつつ、デジタルの基礎をもう一度教えていく必要性を、お客様と話をしていて思うことが多い。その部分を補完してもらいながら、データ活用を教えていければいいと考えたのが、今回提携をお願いした理由です。

「リスキリング」が広義に受け取られすぎている

廣瀬氏 先ほど北村の話の中で個人向けの話が出てきたので、法人向けの視点で私が思うことをお話しします。

コンサルティングの中でDXの話をしていくと、お客様の論点が大きく2つあると感じます。1つは社内でDXを推進するための人材がそもそも足りていないという話です。

もう1つが重要なのですが、DXを推進し生産性アップができたとして、業務をしなくて良くなった人たちをどこに再配置するかという話があります。経営層は「戦略的な分野に配置したいんだ」と言います。新しいテクノロジーを活用して新しいビジネスを立ち上げてほしいと言うのですが、「そんなこと本当にできるんですか?」と逆に問いかけるようにしています。

人材の流動性が高まっている中、2年や3年しか在籍しない人材を育成しても仕方ないので、会社に残りたくなるキャリアパスのしくみを作ることもけっこう大事なのかなと思います。

神野 「業務効率が高まって、今までの3分の1の時間で終わるようになりました。では残りの3分の2で何をしますか」ということですよね。その時間を戦略的な施策に投資していくという話なのですが、戦略的な投資となると、技術研究やデータサイエンスにお金を出そうといった話になるわけですが、重要なのは実行するための人材であり、戦略的な人材配置と育成こそが、我々が支援していかなければならないところだと考えます。

我々コンサルタントとしては、流行り物に飛びつくよりも、しっかりと着実に企業に貢献することのほうが重要です。リスキリングという言葉一つを取ってみても、個人がやりたいことを勉強するのに補助金を出すのだとしたら、従来の社会人留学と同じで違和感があります。会社がやりたい事業を実現するための人材育成にお金を出すということが今求められていることだからです。そのあたりが少しずれていないかと懸念しています。

北村氏 私も同じ感想を持っています。我々より上の世代、たとえば60代の人も70歳ぐらいまで働かないといけない時代になりました。ということは、今40歳の人の社会人人生はまだ30年もあるということなのです。この人たちが求められるデジタルスキルを持ち合わせていないとされています。だとすると、やりたくてもやれる仕事がないという状態だということです。逆に今の40歳未満の人たちはデジタルネイティブ世代で、身の回りにスマホやPCがあるのがあたりまえの環境で育った世代です。意図して学習しなくてもついていけているんですよね。

このギャップがあると思っています。ギャップを埋めるために、40代でも50代でも業務に必要なスキルを今からでもがんばって1から学びましょう、というのが本来のリスキリングだったはずです。しかしそれが広義に受け取られすぎて、何だか「学びたい人が学べばOK」という風になってしまっていると感じています。

「知の高速道路」にどう対応するか

神野 続いて、経営の話に移っていきたいと思います。既に議論の中にも出てきましたが、ビジネスサイドも経営サイドも本気でデジタル活用に取り組んでいかないと、ビジネスで成功できない時代になりました。中期経営計画にデジタル活用を盛り込むなど、デジタルを経営に活かすことが重要かつ必要です。

デジタルがあることを前提にビジネスを考えないといけません。経営にそういうケイパビリティが必要とされるようになったのは大きな変化です。したがって、もうデータがないという話はない――はずなのですが、実際にはデータがない、整理されていないというお客様がまだまだいらっしゃるようです。

とある業務の活動分析をしたいという会社があったので、「ならばこういうデータはありますか」と尋ねたら、「データは最近構築したDWHに直近1年分が入っているが、それ以前の10年分は紙しかない。そこで、「まずは、10年分をスキャンして全部データとして登録しますか?そこから、データ化された情報を分析していきましょうか?」という話ぐらいしかできませんでした。しかしながら、それこそ今30代の人たちが成長して事業を回したり、データ基盤を作ったりするようになれば、そんな話もなくなるだろうとも思います。つまりは、デジタルデータを使いこなすことが前提の人材なので、そもそも仕事がデータ化されているという状況が期待できます。

そうなれば私たちの事業の動かし方や支援の仕方も変わってきて、求められることも変わってくるのではないでしょうか。

北村氏 ひとつ例を出そうと思うのですが、将棋棋士の藤井聡太さんの話です。藤井さんってめちゃくちゃ若いじゃないですか。あれだけ若いのに圧倒的な力を身につけているのはなぜか。これにはいろんな説があるのですが、同じく将棋棋士の羽生善治さんが言っていたのは、「知の高速道路」があるという話です。今まで棋士が強くなっていく道筋として、まず家庭で将棋を覚えて、次に地元の道場でいろいろな大人と将棋を指して、その中で強い者が地方大会で戦い、勝ち残ったものが奨励会で切磋琢磨する――要はアナログで強い相手を見つけて、限られた時間の中で強くなっていったわけです。

ところが藤井さんの場合は、生まれたときからインターネットがあって、物心ついたときからずっと強い相手と将棋を指している。相手がいなければAIとも戦える――羽生世代の棋士は獣道を切り開いて進んでいったのに、藤井世代は解決策がわかっている高速道路を駆け抜けてきたということなんですよ。これを私は、デジタルの驚異的な使い方だと思うんです。

世代によってデジタル格差があって、私たちの世代ってどちらかと言うとデジタルがまだあまりなかった頃に育ちました。その後に様々な分野で高速道路に乗った10代、20代がどんどん押し寄せてきて、一気に抜かれるイメージがあります。実はこれをとても恐れているのです。

神野 私もブレインパッドの若手を見ていて、スピード感が違うと感じることがあります。若い人のポテンシャルを考えると、早く社会に出て、一緒にビジネスをするほうがお互いにいいのではないかと思います。

私たちは会議室で上席に厳しい指導として、「千本ノック」を受けてきたのですが、今の若い人たちは自席や自宅で、リモートで受けられる。それはたしかに脅威ですね。というよりも、私たちが受けてきたことが、「古き良き」慣習なんですね。

今の若手は、サブスクリプションで気軽に勉強できるし、勉強する動機も私たちのときとはたぶん違うんですよね。YouTubeを見る感覚で、データサイエンスとかDXなどを「何だかおもしろい説明をしているな」と、エンタメ的な興味で、知識を得ることができるわけです。

一方で私たちは必要に迫られて学術書を読んだり、論文を読んだりして勉強しました。そのどちらも正しいとは思うのですが、スピード感という話になると、やはり「知の高速道路」という感じがします。

北村氏 そういうことが起こっていることを踏まえて、採用も経営戦略も、社員の誰に何をしてもらうかを考えて取り組まないといけないのです。「古き良き」慣習で、一番年上の人に任せる、というやり方では結果が出ないことがたくさん起こりそうな気がします。

クリエイティブ・エコノミーと内製化の論点

北村氏 これは私のイメージですが、例えば、重厚長大な企業は家の模型を作るのにも金型から全部自分たちで作ってきたと思います。そのエンタープライズ系企業が作ったものをパッケージ化してプラモデルのようにして、そのパーツで自由に作れば、少し質は落ちるかもしれないけれど家はできるようになった。さらに今、AIが出てきて何が起こっているかと言うと、パーツを組みあわせれば、センスやがんばり次第でエンタープライズ系企業以上のすごいものが作れる状況になっているのです。

求められているものは品質の高さというよりクリエイティブなのではないでしょうか。その分、事業の難易度もすごく高まってしまった感じがします。

神野  今、「クリエイティブ」という言葉が出てきたので便乗すると、私たちは「クリエイティブ・エコノミー」という言葉を最近よく使っています。クリエイティブ産業の経済ということですが、クリエイティブ産業は範囲が広くて、芸術系の産業とともにIT・ソフトウェア産業も含まれています。芸術系でない一般的な企業においては、空いた時間でクリエイティブなことをしようとすれば、デジタル・ITが関わってくる――そこが内製化の論点だと考えています。

その観点でいくと、今の北村さんのお話はその通りだなあと思います。パッケージ化されたパーツを組み替えれば良いものができるとなれば、パーツ選びこそクリエイティブなセンスであって、今のビジネスに求められるのはそこだと思います。

そうなってくると組織・会社の形も変わってくるはずなのですが、一方で変わらない予感もあります。なぜなら、リモートワークであったり、ノマドワークであったり、徐々に廃れて、オフィス出社型に戻ってしまったことなど、企業にとって、多くの変革のタイミングはあったものの、なかなか取り組むことができていないことから、組織も会社も一足飛びには変わりにくいと思うのです。

その一方で知の高速道路を通ってきた人たちが1社に所属することを望むだろうかとも思うのです。所属するにしても2年単位ぐらいでどんどん会社を変えていくだろうから、定着を前提とした採用の仕方ではなくなるのではないでしょうか。

「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」と信頼残高

北村氏 会社と社員の関係性はこれからめちゃくちゃ変わるでしょうね。

神野 「踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!」で「犯罪者の形が変わった」というシーンがあるのをご存知ですか? 犯罪組織が、階層構造でトップがいて末端がいる形だったのが、レーダーチャート型で、たしかにトップは真ん中にいるのだけど、あとはフラットで、自由意志で独立行動しているという形になったという話です。

北村氏 同じような話は、「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」にも出てきますね。STAND ALONE COMPLEX、つまり孤立した個人でありながらも、全体として集団的な行動を取るという世界観です。

神野 個が個で判断しながら、必要であればチームを組む。100人いたら100人全員が1組織にいるわけではない。それが最終形態なのかなと思いつつも、そういう変化ができないまま、取り残される企業や事業も出てくるのではないかという危惧も同時にあります。

廣瀬氏 元々ABCがビジョンとして考えている「世界観」に近いのかなと思います。プロジェクトベースで必要な人材を都度組み替えていくといった組織構成です。

北村氏 1のスキルを持っている人が、今までのように1つの会社と1対1の関係を結んでいるのはもったいなくて、場所と時間の制限がなければ、5つの会社と関係を結ぶことで今までの5倍の生産性になります。これを全国でやればいいし、企業と個人の関係も従属関係ではなく、対等な契約関係にすればいい。

神野 そういう企業は強く変化し、更に成長していくのではないでしょうか。

北村氏 逆に、そういうことができる組織が強くなっていくんでしょうね。

廣瀬氏 今の日本企業でやろうと思うとハードルが高いのかもしれません。どうしても不動産、建築、SIerみたいなツリー構造の組織を作りがちじゃないですか。そうするとなかなかそういう世界にならないのでは。

北村氏 それは信頼残高が見えないからかも。

廣瀬氏 そうかもしれません。私はAIが発達しても人間らしい判断だけは人間に残ると思っているのですが、それが北村さんの言うクリエイティブとたぶん同じものだと思って聞いていました。ただデジタル化されたデータが増えていくと、何が本当か実はわからないといったことが既に起き始めているわけです。この人は信頼できるという関係は、今ここにいる3人も対面で出会ったからこそ信頼し合っているわけで、Webでは作りづらいんじゃないかなと思います。

神野 ところが、人間の承認欲求を絡めるとWebでも信頼残高を増やせるらしいのです。アメリカの国防省で機密情報を漏らした人がいましたが、あれはオンラインゲームのクローズドなチャットの場で、そこで讃えられたいと思ったのが始まりらしく、信頼関係どころか主従関係まで生まれるようです。信頼残高もファクトの残高でなく、認めてほしいという気持ちから発生することがあるということです。逆に対面でもちょっとした言い方次第で信頼残高がなくなってしまうこともあります。

もう1つ会社としての形の話があります。ChatGPTの話題が急上昇したときに、報道会社がChatGPTの会社を見てみようとOpenAIに取材に行きました。すると窓も開いてない。中に人がいるかどうかもわからないんですよ。上場しておらずIRもしていないから全貌はわかりません。受付があって、アポを取って訪問するという考え方がないんですね。社員もその建物の中にはおらず、自宅あるいはノマドで働いているのかもしれませんし、普通にサンノゼから通勤している人もいるかもしれません。

実体はよくわからないけど、極めて高付加価値なものを作っている究極的な形が、OpenAIのような姿なのだと思って見ていました。アジア人、たしか日本人もいたはずですがよくわからない。それこそSTAND ALONE COMPLEXだと思いました。

そういう世界観の会社が出現していることを考えると、我々コンサルタントの支援の仕方も変わってくるように思われます。

「コンサル・ロックイン」からの脱却

神野 では最後のテーマです。コンサルタントとして、未来に向けての話に入っていきたいと思います。

企業に求められる姿が変わってきていて、全ての企業が全社的に変われるのであればいいですが、それは難しそうです。変われるところは変わっていけばいいし、企業の中でも変われる組織だけでも変わっていければいい。アジャイル推進室とかDMO(データマネジメントオフィス)などだけが、まずは先陣を切って、変わるというのもいいかもしれません。

ただそういったときに、今一緒にやらせていただいているようなコンサルティングサービスだけで立ち行くのでしょうか。

北村氏 コンサルティングは非常に範囲の広い仕事ですが、生産性を向上するといったことは、お客様の「本部」と言われる組織の仕事で、私たちは業務の効率化であるとか、売上を増やすためのしくみ作りを支援するといったことが本来の仕事です。

ではなぜ私たちが付加価値を生み出せるかと言えば、先ほど申し上げた、課題認知力とそのベースとなる経験と知識があるからだと思っています。

ではこのまま突き進めていって、10年後、20年後にどうなっているかを考えると、ベストプラクティスをパッケージ化したものを多くの企業に手軽に適用してもらうのが一番だと思うのです。そのパッケージが100社に導入されれば、100社の生産性が高まるわけで、いかに確実に、早く、広範囲にそのパッケージを企業に入れていくかが重要ではないかと思うのです。それがコンサルティングビジネスの行き着く先かなと考えています。

神野 コンサルティングって結局人がやることじゃないですか。そうすると100社に導入するとなれば、人の多い大手コンサルファームが強いことになりますが、そういう話ではないですよね?

北村氏 お客様とどう分業するかがポイントです。大手コンサルファームは、SIerで言う「ベンダーロックイン」と同様のこと、つまりお客様のソフトウェアをブラックボックス化して、お客様自身が手を出せないようにしています。これをいかに広範囲に脱却させるか。そこに我々のようなコンサル会社の勝ち筋があるのではないでしょうか。

神野 実は、ベンダーロックインに関する記事を先日公開したばかりです。そのときはSIerなどのシステム会社の話だったのですが、「コンサル・ロックイン」という事態も起こっているわけですね。そこは改めて掘り下げたほうがいいかもしれません。

コンサル会社がバーを始めたねらい

神野 ところで、新橋駅徒歩1分のところにあるコワーキングスペース”BasisPoint Premium”にバーを設置されました。これはどういうねらいがあるのですか。

北村氏 「リアル」に集まれる場が大好きなんです。それと今社員が100人ぐらいいますが、もっと発展させたいです。そうすると表面的ではありますが、こんないい場所にこんなスペースを持っているABCってすばらしい会社に見えますよね。それから社内の飲み会をするにしても、外で飲むよりコストパフォーマンスがいい。あとは「最強の誘い文句」があって、お客様に来ていただきたいときに「うちの店で一杯やりませんか」と言うと断りづらいというのもあります(笑)。

その他には自社でイベントを開催しやすいですし、うちのような会社だと社員によるリファラル(紹介)採用が中心になります。社員から「今日リファラル採用に誘う相手と飲みに行くのに会社は費用を出してくれるんですか?」と言われたとき、「それならうちの店をタダで使っていいよ」と言えるじゃないですか。それだけで価値があるわけです(笑)。そうやって考えていくと、トータルコストパフォーマンスがいいのです。それでいて収益源にもなります。

神野 なるほど。やっぱり、着眼点が面白いですよね。

「次もコンサル」ではなく「次はビジネス」をやる

神野 さて、今後一緒に社会をどう変えていきましょうか。私自身は、コンサルティングという形の支援をそろそろやめたいなと思っていて、だからコンサル会社も辞めたんです。そして謳っているのが、「お客様のビジネスパートナーになろう」ということなのです。

私は、コンサルはお客様から「もう要らない」と言われることがゴールだと思っています。お客様を支援して、自走できるようになったら、お役御免なので、支援は終了していいと思っています。本質的にはお客様のビジネスパートナーになることが目標で、それは資本関係がどうという話ではなく、いつでも相談される相手になるということです。私は前職で「CxOアドバイザー」と称して経営層向けの仕事をしていました。経営層向けの顧問のような形で、定期的にアドバイザーとして、様々な困りごとに対する課題と打ち手の方向性を出していく。そういう感じで軽やかに動けることがベストだと考えたのです。だとすれば、何も1,000人もいる大所帯な組織で働く必要もなく、さっきの話ですが、100人で100社の底上げができればいいのではないかと考えています。

北村氏 今のコンサルは労働集約モデルですが、それではやはり限界が来ます。またコンサル会社は好調だけど、その分お客様が吸い取られている感じがしています。そうではなく、「もう要らないよ」と言われるまでお客様をご支援しきることに本望を感じないといけません。

神野 お客様をご支援して、自走できるようになったら、我々は「次もコンサルをしましょう」ではなく、「次は一緒にビジネスをしましょう」と言うべきなのではないでしょうか。たとえば我々がトリガーとなって、富士フイルムのようにフィルム製造メーカーからヘルスケア会社に変わるような、大胆な変革を進めていく。そういうことをこれからのコンサルはやっていっていいのではないでしょうか。知識は与えていいけど、考えたり判断したりするのはお客様――でもこれが難しいんですかね?

廣瀬氏 どうでしょう。私も同じことを考えていて、コンサルは元々知識を提供していたはずが、今はワークの代替が中心になっています。しかしビジネスをどうアレンジしていくかについては、本当は様々な選択肢があるじゃないですか。たとえば「当社ではできませんが、できる会社を紹介します」でもいいかもしれません。それぞれが持っているものを、交換できる仲立ちとして、付加価値を創っていく。その会社だけではできないけれど、自分が持っているアイデアやバックボーンをつなげていけばできる、ということってあると思います。

神野 全国に店舗がある会社が地方の店舗を閉店して、そのまま空き地にしておくなんてことがよくあります。それでコスト削減にはなりますが、売上にはつながりません。空いているなら売上につながるように活用するほうがいいわけで、それこそ我々はデータを持っているわけですから、その空き地の特性を定量で判断して、例えば美容事業が実は向いているといった提案ができると思うんです。

そういうビジネスプロデューサー的な発想で仕事をしていくべきだと思っています。そうしないとコンサル業だけでなく、情報産業、ソフトウェア産業も、次々と登場するChatGPTのようなものに振り回されるばかりではないでしょうか。

北村氏 そうですね。

神野 さて、今日は残念ながらお時間となってしまいましたが、いろいろとおもしろい話ができました。これからもよろしくお願いいたします。本日はありがとうございました。

北村氏廣瀬氏 ありがとうございました。


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2004年の創業以来、「データ活用の促進を通じて持続可能な未来をつくる」をミッションに掲げ、データの可能性をまっすぐに信じてきたブレインパッドは、データ活用を核としたDX実践経験により、あらゆる社会課題や業界、企業の課題解決に貢献してきました。 そのため、「DXの核心はデータ活用」にあり、日々蓄積されるデータをうまく活用し、データドリブン経営に舵を切ることであると私達は考えています。

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