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3月23日に開催した「DOORS-BrainPad DX Conference2022」。
3000人を超える視聴申し込みをいただいた本イベントの内容をお届けいたします。
今回は
による、『「Ploom X」で実装した機械学習のマーケティング活用事例』と題した、日本たばこ産業のDX戦略の詳細をお届けいたします。
多くのデータを持つ企業においても、データをどのように活用すればいいのかは大きな課題の1つ。そこで、今回は、日本たばこ産業の新商品のマーケティング施策の課題や機械学習の活用方法について、対談の詳細をみていきしょう。
株式会社ブレインパッド・兵藤 誠(以下、兵藤) このセッションでは、日本たばこ産業の阪口さんに登壇いただき、「新商品のマーケティングに役立つ機械学習の仕組み」について、お話を詳しく聞きたいと思っております。
日本たばこ産業は、2021年7月に新ブランド商品の「Ploom X」という加熱式たばこの販売を開始しました。当時は「そもそも誰に売るのか、どうやって売っていくのか」に関して、手探りな状態だったと思います。
そのうえで、阪口さんにお聞きしたいのですが、Ploom Xの詳細や商品のコンセプト、どのような思いで作っているのかなどを教えていただけますでしょうか?
日本たばこ産業・阪口 瑞貴氏(以下、阪口氏) Ploom Xは2021年7月にリリースされた新商品です。加熱式たばこの市場自体は、2016年ごろから急速に広がってきている状況でした。Ploom Xはコロナの影響で、家にいらっしゃるお客様が多くなってきた中に投入された次世代型の加熱式たばこです。
「TRULY UNIQUE」というコンセプトを掲げ、吸いごたえや使いやすさといった「機能性の向上」だけでなく、特徴的なデザインなどの「情緒的な価値」を磨き上げたような商品になっています。
参考:https://ploom.clubjt.jp/ploomx/
兵藤 今までの紙巻たばこや他の加熱式たばことは、訴求しているポイントが変わりましたね。
阪口氏 日本たばこ産業として、使うユーザーの方の「個性を表すような加熱式たばこ」にしていきたいと思っているため、そう言っていただけるとありがたいです。
兵藤 発売前の「これからマーケティングをしていかなければならない」タイミングでは、どのような課題を持っていたのか、教えていただけますでしょうか?
阪口氏 加熱式たばこ市場は、2016年から広がっています。その中でも、お客様自身が求めているのは、割と高い温度で加熱するたばこでした。そのため、「お客様のニーズに応えられる加熱式たばこ」を用意することが最大の課題だと思っていました。
また、デバイスが投入されて以降、コロナも相まって「タバコとデジタル」が強い結びつきを帯びてきました。その点から、「どのようにすればお客様に最高のデジタル体験を届けられるのか」といった全体の設計が必要になってきている状態でした。
全体的な設計においては、理想とするようなカスタマージャーニーも作りましたが、「土台となるデータの活用」や「ベストなタイミングでどのようにコミュニケーションできるのか」といったツールの活用について悩んでいましたね。
そして、その課題は日本たばこ産業の知見だけでは解決できないため、どのように実現すればいいのかといった部分に課題を感じていました。
兵藤 設計としてはしっかり土台を作れたものの、「具体的にはどうする?」「どうやって進めていこうか」といった課題もあったということですね。では、様々な選択肢がある中で、ブレインパッドに依頼しようと判断した理由はありますか?
阪口氏 データの利活用の実現方法を考えるにあたって、今までローンチしてきた「デバイスに関する定量的なデータ」や「新しい製品プロダクトの定性的な調査」、「ファクトに基づいた分析」をしていく必要があると感じました。
そういった中で、ブレインパッドとはすでに5年間ほどお付き合いしていた状態でした。そのため、ブレインパッドに対してはデータサイエンスに関する知見が高く、プロジェクトの目的に即し、丁寧にプロジェクトマネジメントを行っているという肌感がすでにあったことから、そのように判断しましたね。
兵藤 実際に紙巻きたばこがまだメインだった頃から、お付き合いさせていただき、予測モデルや集計を行い、そのデータから結論の予測までのお話をさせていただきました。過去の業務や姿勢が評価されて、今回のようなお話をいただけたのであれば喜ばしいです。
兵藤 ここからは、日本たばこ産業からの依頼に対して、ブレインパッドがどのように取り組んでいったかについて詳しくお話いたします。
ブレインパッド・安田 佑喜(以下、安田) 今回、機械学習を用いて作成しているモデルは2つあります。
1つ目は機械学習によりユーザーの興味/趣向の学習・推定を行うモデルです。実際のユーザーがどのような興味や趣向性を持っているのかといった点を、それぞれの行動から学習・推定します。
2つ目は機械学習によって、ユーザーロイヤリティの学習・推定を行うモデルです。ここでいうロイヤリティは「ユーザーが日本たばこ産業の商品に関して、どのくらい興味を持っているのか」という点ですね。
目的は新モデルを作るだけでなく、実際に「業務の方に適用できる形で作りたい」というご要望に沿うため、プロジェクトの進行自体も大きく分けて2つのパートに分けました。
1段階目は、PoCと呼ばれる実際のデータを使って、「目的のモデルが作れるのかどうかの検証」を行うこと。2段階目は、検証後に作成したモデルを「実業務に適用できる仕組み作り」を行うことを目的としました。
多くの場合はPoCだけを確認し、「実際に業務適用するのはちょっと難しい」といったパターンになることが多いものの、今回は業務適用まで行いました。
兵藤 新商品を販売するとしても、「どういうお客様にどういうアプローチをすればいいのか」という点を把握するためにセグメントが必要でした。
そのため、既に日本たばこ産業のファンなのか、今後ファンになりそうなのか、ファンが欲しているのかといった点を踏まえ、「誰に何をコミュニケーションしていくのか」という点を設計していかなければなりません。そのために、紹介いただいた2つの取り組みが必要だったということですね。
兵藤 今回は、モデルを作って定期的に予測した結果をフィードバックし、業務に使っていく仕組みを作りました。しかし、毎週・毎月といった結果が出るだけではビジネスに活かすことはできません。
では、「今こういった感じで使っているものの、今後はこういう形で使っていきたい」という話など、展望があればお聞かせいただけないでしょうか?
阪口氏 これまでは「人の目ではわからないため、勘や経験の中から予測する」ことが多かったと思います。
しかし、今はお客様がどういった状態なのか「データが教えてくれる」ステージです。そのため、データに基づいてマーケティングオートメーションや各種ツールにつなげ、「自動的にお客様とコミュニケーションが取れる」状態を作ったり、販促を打っていったりという使い方をしていきたいと感じます。
分析という観点では、そもそも定量的な指標がなければ、ユーザーがどのような偏移を辿ったのかがわかりません。そのため、Ploom Xのファンになっていただくために、キーポイントとなるところは何だったのか、それに伴って打ち手をどうするのかといった点に対して、より深い分析を重ねる必要があると感じています。
兵藤 人の勘といったところも大事ではあるものの、今回はデータを基にそういう仕組みも自動的に回せるようにしたということですね。
阪口氏 そうですね。「データ・人どちらでも」という状態にしました。
兵藤 今回は仕組みを作り、精度だけ確認して終わってしまうのではなく、予測した結果が毎回でてくるようになりました。では、仕組みを作ったことで、得られたメリットや効果、変化についての話があれば教えていただけないでしょうか?
阪口氏 これまで、セグメント・離脱した状態に関して、人の勘やルールベースなどの定義を行っていました。しかし、データで結果を把握できるようになったことで、工数が減少したと感じています。
また、予測モデルや確率を取り扱っていくことで仕組み構築を考え、「ユーザーがどのような行動をとったのか」といった背景まで、自然に考えをめぐらせるようになったという変化はありますね。定量的な結果と定性的なデータを組み合わせることで、より顧客理解が深まっていくようになりました。
兵藤 実際モデル作っている時にも、ただ結果を示すだけでなく、「結果に対して、こういう行動・特徴が寄与していました」という話を基にできるようになり、理由と結果の因果関係に対してディスカッションを行うことも数多くありました。そういう点でも、モデルの仕組み化と作る意味を感じました。
この記事の続きはこちら
【後編】「Ploom X」で実装した機械学習のマーケティング活用事例~BrainPad DX Conference 2022~実践セミナー_対談
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