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草野 「WAVEBASE」の開発にあたって、ブレインパッドにお声掛けいただけたことを、ありがたく思います。最初はどんな風にお話しをいただいて、どのようにプロジェクトを進めていったのでしょうか?
ブレインパッド・早川 遼(以下、早川) 最初はアルゴリズムの検証とブラッシュアップのお話からでした。データのノイズをどう省くかなどの検証からだったため、データサイエンティストによるサポートを行いました。
通常のプロジェクトは検証の段階でストップするものも少なくありません。しかし、今回のプロジェクトはブラッシュアップ後、すぐに次の段階に移行して、システムを作り始めたため、そのスピード感に驚きました。
草野 研究・開発の話だったのが、プロダクトのお話に移行していったわけですね。このスピード感は外販を念頭に置いていたからでしょうか?
山口氏 意識はしていました。また、今回のプロダクトに関しては、最初から現在のシステムになる予定ではなく、新規事業開発として「価値があるのか」「実現できるのか」を検証する段階でブレインパッドに入っていただきました。仮にトヨタのみで開発していた場合、スピード感を持った開発は少し難しかったため、ブレインパッドからの早いフィードバックが非常に効果を発揮したプロダクトとなっています。
草野 プロジェクト自体は全く問題がなく進んでいったのでしょうか?また、ブレインパッドに対して感じた特徴などもお聞かせいただきたいです。
庄司氏 今のところ、プロダクトを作るまではスムーズでしたので、今後ぶつかる壁は「マーケットの壁」だと予想しています。SaaS事業を初めて進めている中で、このスピード感を出せているのはブレインパッドのサポートのおかげと思っています。とくに、弊社からの要望に対するエンジニアの方のフィードバックは期待以上でした。実現可能かどうかさえわからないことを聞いても、ちゃんとした答えが返ってくる点などはありがたいですね。
早川 その点を評価いただけているのは嬉しいことですね。ものすごい技術があるというよりは、エンジニアを含めて「働くメンバーのスタンスや情熱」の違いがあると思っています。
これはブレインパッドの行動指針にある「本質に向き合う」「敬意を払う」の部分が浸透している結果なのかなと。現場の声を拾って、そこから思考するといった姿勢がお客様の結果にも反映されていて嬉しいです。
草野 「WAVEBASE」に関しては、現在はβテストの段階でこれから本格的に導入が始まる流れだと把握できました。今後どのように展開していくのか、教えていただけますか?
庄司氏 できる限り広く使用できるサービスとしていくことを検討しています。材料のデータは、多くの企業では活用していないと想定されるため、まずはデータを蓄積する文化から作っていかなければなりません。
そして、データ利活用やシステムの開発のサポートも行っていきます。その先の展望として、「WAVEBASEを用いて日本の産業競争力の強化につなげたい」と思っています。
草野 実際に使用されている企業からは有効活用できそうな報告などは上がってきていますか?
庄司氏 ある企業では、データを抽出し、モデル作りに成功しました。加えて、分析ができる環境も整え、想像を超える分析力だとその企業からは評価されています。
草野 山口さんからみた手応えはどうでしょうか?
山口氏 新規事業で課題になる、「お客様から買ってもらえない」「お客様の目線に沿った商品ができていない」というマイナス要素はWAVEBASEの場合、クリアできているため、手ごたえを感じている状態です。
私もエンジニアだった時はデータを眺め、何かを生み出したいと思っていましたが、WAVEBASEでは、見えなかった差異をはっきりとデータで示してくれるため、方向性を探す時間の短縮が可能になっています。こういった体感をお客様にも伝えられるようにしていきます。
草野 ブレインパッドとしてもサポートをどのようにしていくか、話し合っていきたいですね。今後、ブレインパッドに期待していることはありますか?
庄司氏 これからお客様からどんどん課題が出てくることが予想されます。トヨタとしても、スクラッチで記述したものを乗せていく、より大きなデータを処理できる処理能力の実装などを共に行っていきたいですね。また、こんなデータ解析の方法があるという提案にも期待しております。
草野 営業の立場の早川さんからみて、どのような心持ちでプロジェクトに挑んでいますか?
早川 前提として、私たちは研究・開発の場や新規事業にここまで深く関わることは多くはないです。そのうえで、難しさと面白みの両面を感じていると思いますね。
草野 データサイエンスのいいところは、データがどのようなものであっても大量のデータをハンドリングする「知識体系」である点ですよね。共にトライして一定の成果が出ていることから、ブレインパッドとしても嬉しい事例です。
DXの大切なところは、トランスフォームと新しいビジネスフォームのチャレンジという領域です。しかし、DXは効率化のための手段として、使用できるものの、それだけでは新しいものは生み出せません。新しい価値を作るという意味で、サービスを作る・新規事業に関わることが大事だと思います。
草野 珍しい体験をさせていただいているのと同時に、今後とも期待に応えていけたらと思っています。トヨタは、社会課題の解決に向かって舵を切っている状況であり、他の大企業もそのような状況かと予想しております。
そんな中で、今回庄司さんはどんな風に一歩踏み出したのか、今見えている景色を教えていただだけますか。
庄司氏 部長の平田から、「ファーストペンギンになりなさい」と言われていました。実は私、今までトヨタの定常的な開発業務に携わったことがないんですよ(笑)。先端研究を開発に持って行くなんて、まずありえないというところから形になったのが今回の事例です。
そういうことは前例がないため、ひたすら自分で進んでいくしかありません。トヨタがそういった挑戦をサポートしてくれる会社だったこと、あとは応援していきたくなるメンタルティを示すことが大切だと思っています。
草野 日本を代表するトヨタ自動車が、「社会課題に向き合う」現場から新規事業が立ち上がっていることから、日本全体にこういった動きが広がっていくと希望を感じました。
そして、そうしたプロジェクトにブレインパッドが呼ばれたという点に誇りを持っています。ブレインパッドとしてもプロジェクトの成功を祈念し、そうなるよう今後もサポートしていきます。
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