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こんにちは。データ活用によるDX推進を支援する「株式会社ブレインパッド」の近藤です。当DX情報メディア「DOORS」の編集長を務めています。
企業の価値・競争力を向上させるために欠かせない「DX」は、製造業でも様々な形で推進されています。本記事ではそんな製造業DXの定義やビジネスにおける成功事例・DX推進に必要なポイントをまとめているので、製造業DXを自社で取り入れるべきかどうかの判断のヒントになると思います。
製造業DXとは「製造業でDXを推進すること」を指します。つまり、デジタル技術を活用して業務や製品に変革を起こし、価値を創出して競争力を高めることです。
製造業は人・機械・技術が密接に繋がっており、データも多く得られることから、デジタル技術で大きな変革を起こせる業界だと考えられています。まだまだアナログ作業に依存している企業や領域が多いため、DXによる成長が強く期待されているのです。
ちなみに「DX」とは、デジタル技術の活用を通じたビジネスモデルや製品・サービスにおける変革を起こすことです。総務省ではDXを以下のように定義しています。
DX Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)
出典:総務省「デジタルで支える暮らしと経済」
第3のプラットフォーム(クラウド、モビリティ、ビッグデータ/アナリティクス、ソーシャル技術)を利用して、(~中略~)ネットとリアルの両面での顧客エクスペリエンスの変革を図ることで価値を創出し、競争上の優位性を確立すること
DXは単なるIT化を指すのではなく、あくまで「変革」が本質的な意味であり、変革の視点が重要です。DXの意味や詳細について理解を深めたい方は、以下の記事で体系的に学ぶことができるのであわせてご覧ください。
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製造業DXを手掛けると、以下のような発展が見込めます。
このように、あらゆるコストの削減や非効率業務の解消につながることが製造業DXの恩恵と言えます。
では、「製造業DX」とは具体的にどのような例が挙げられるのでしょうか。例えば以下のようなものが製造業DXと言われています。
スマートファクトリーは、DXを推進した工場を指します。主に、工場全体のIoT化を通し、情報の見える化や作業効率改善に役立てます。
またデジタルツインは、現実世界をデジタル上に再現する技術です。これにより、試作にかかるコストの削減や、短期間での開発が可能になります。
マテリアルズ・インフォマティクス(MI)は、材料開発のプロセスをAIやビッグデータを用いて最適化する方法です。
これだけだと製造業DXのイメージがまだ漠然としていると思うので、ここからはマテリアルズ・インフォマティクス(MI)を例に挙げながら製造業DXについて詳しく解説させてください。
例えば「材料開発」の場合、従来は研究者の勘や知識、経験から開発プロセスが決められていたため、研究者には高い能力が要求されることに加え、膨大な研究時間も必要とされていました。一つの材料開発に10年以上の歳月が費やされることも珍しくありません。
そこでMIを推進し、材料開発にAIやビッグデータを活用することで、難解な計算を短時間で処理したり、世界中の研究結果を基に計算結果を予測したりすることを可能にしました。MIというデジタル技術を通して、材料開発を飛躍的に効率化できるようになったのです。
このように、デジタル技術を活用することで従来の問題を解決し、技術革新や業務変革を実現することが製造業DXであり、製造業DXに紐づく技術は複数存在します。
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製造業DXが求められる理由は、主に以下の3つです。
少子高齢化や人口減少の影響から、製造業の人材不足は深刻化しています。実際に56.3%もの製造事業者が、「事業に影響を及ぼす社会情勢の変化」に「人手不足」を挙げています。
この先も日本の人口は減少すると予測されているため、製造業においても人手不足は続くと考えられます。したがって、業務効率化や労働力の代替を可能にするDX化が人手不足問題の解消につながります。
労働人口の減少が進む現代社会に対応するための戦略の一つが、製造業DXなのです。
業務を効率的に行うには、できるだけ多くの先端技術を活用する必要があります。しかし経済産業省の調査によると、8割以上の企業が低性能で複雑なレガシーシステムを利用しており、効率的な業務を実現できていないようです。
レガシーシステムは性能が低いだけでなく、保守・維持業務に大きな労力を割かなければならないため、多くの人件費や維持費がかかります。これらを刷新するためにも、DXによるデジタル面のアップデートが必要とされています。
日本は海外に比べてデータの活用が進んでいません。以下の図は、日本・アメリカ・ドイツそれぞれの企業全体におけるデータ活用状況を示しています。
データ活用が実践できている日本企業は2割程度に留まっていますが、アメリカおよびドイツにおいては、3~5割程度の企業が既にデータ活用を実践しています。
データ活用こそがDXの本質であり、海外企業のようにデータ活用が当たり前のような文化を、日本の製造業においても作っていかなければなりません。
製造業でDXを推進すると、主に以下のようなメリットが得られます。
DXによってデジタル化が進み、自動化や業務効率化が実現すれば、生産時間を短縮できたり、より少ない人員で業務をこなせるようになります。労働人口が減少傾向にある現在において、生産性の向上は多くの業界・企業で求められています。
またデジタル技術を活用すれば、劣化や故障リスクなども予測できるため、予知保全が可能です。工場が止まるリスクを抑えられるため、安定的な供給ができるようになります。
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熟練技術者から若手への技術伝承は基本的に、熟練技術者が教育の時間を確保し、指導するのが一般的です。特に製造業においては顕著だと思いますが、こういった「経験を通して身に着けた技術」は、技術指導が抽象的になりやすく、場合によっては技術継承されるまでに膨大な時間やコストがかかります。
しかしデジタル技術が浸透した組織体制となっていれば、これまで熟練技術者の勘や経験に依存していた技術を定量化・一般化できるようになります。属人化からの脱却が可能になるのです。
現在、すでにVRを利用したリアルな訓練をしている企業もあるようです。これにより、本番環境に出る前に多くの練習を積めたり、失敗してもロスがでなかったりと、多くのメリットが受けられます。
このように技術力が必要な製造業において効率的な技術伝承は、人材の力を一早く発揮するために大きく役立ちます。
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製造業においてDXを推進すると、データを効率的に収集することができます。ここで得たデータを活用することで、勘や経験という不確かな情報ではなく、データという客観的根拠に基づいた「データドリブンな経営判断」ができるようになります。
他にも、データを可視化できれば、改善すべき問題やその優先順位が明確になったり、需要予測や予知保全などの解析ができるようになったりします。
※データドリブンの意味や詳細については、以下の記事で理解を深められます。あわせてご覧ください。
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以下の観点から、製造業DXの成功事例を4つご紹介します。
飲料メーカーのアサヒグループジャパン様は現在、DXをけん引する人材を育成するため、「ビジネスアナリスト」を社内で500人以上育成しています。
同社は飲食業界の中で早くからDX推進を行っていましたが、初めはDXのD「デジタル」の意識が強かったために、当時は「DXはシステム部門が行うもの」という方針が定められていました。
しかしDXの本質は「システマチックなことを行う」ことではなく、「全社的なビジネス改革である」と捉え、会社全体で改革を起こしていく必要があると認識します。そのためにまずは「人をトランスフォームする」必要があると考え、人材育成に至りました。
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日本たばこ産業(JT)様は、機械学習を用いて「ユーザーの興味・趣向」と「ユーザーロイヤリティ(企業への愛着)」を推定し、新商品「Ploom X」のマーケティングに活用しました。
従来まで同社は、マーケティングに関わる様々な指標を、勘や経験から予測していました。しかしそれだけでは、「どのようにすればお客様に最高のデジタル体験を届けられるのか」を正確に導き出すことが困難でした。
そこで同社は、蓄積してきた多くのデータを活用して「ユーザーの興味・趣向」と「ユーザーロイヤリティ」を予測する機械学習モデルを作成。データに基づいた需要予測ができるようになりました。
今後は、ユーザーの興味やターゲットをデータを基に予測できるため、より正確な需要予測や、ユーザーニーズに沿った商品開発が可能になります。
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キユーピー株式会社様は、AIを活用し、多くの食品メーカーで用いられる高精度な異常検知システムを開発しました。
2018年に同社が異常検知システムを開発する前にも、食の安全を守るため、多くの企業が異常検知システムを利用していました。しかし、当時使われていた欧州製の異常検知システムは価格が高く、作業員による再検査も必要とされていたため、改善を検討します。
そこで同社は、日本の食品業界の底上げを図るため、以下の3つの要素を持った異常検知システムの開発に取り組みました。
そして、世界一の検査精度を誇るシステムが完成し、現場のニーズに応えられる性能を実現しました。その結果、80社以上の食品原料メーカーから「使わせて欲しい」との申し出があり、業界全体の大きな進歩に繋がりました。
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家具・インテリア業界のニトリは、現場感覚に照らし合わせながらデータを分析できる人材を育てるため、データ活用の内製化を行っています。
同社は「データ分析だけできる人材」ではなく、分析能力と現場感覚を併せ持った「現場感覚に基づいたデータ活用ができる人材」の育成を行っています。
そのため、データ分析を外注するのではなく、現場を経験した人材がデータ分析を学び、自社で分析ができる仕組みを構築しています。
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製造業DXは一般的に、以下の4ステップで推進されます。
まずは、DXを通じた「ゴール(目的)」の設定をします。最終的に何がどのような状態になることを「DX」と定義するのか、明文化することが重要です。具体的であることが好ましいので、何かしらの数値指標を絡めた定量的な目標を定めると良いでしょう。
最初は実施難易度が高くない課題から着手し始めると、スモールサクセスによるDXの必要性の社内周知がスムーズにできるようになるはずです。
ちなみにDXのゴールを定めるためには、そもそも自社の「現状」を認識することも重要です。自社の立ち位置を理解することで、ゴールまでの道筋も立てられやすくなるからです。
自社の現在地を把握する一つの手段として、情報処理推進機構が提供する「DX推進指標」を活用し、分析してみるのも手です。
DXのゴールを設定できたら、DX推進体制を整える必要があります。ゴールから逆算して、必要なリソースを洗い出しましょう。
特にDXの推進人材は重要です。DX推進のプロジェクトマネージャーやビジネスデザイナーといったビジネス側の人材から、データ分析人材・システム開発人材といった技術側の人材まで、幅広い検討が必要になります。またプロジェクト自体を内製化で推進するのか、外部パートナーと連携しながら推進するのかも考慮しましょう。
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また製造業に限らず、DX推進プロジェクトが始まると多くの場合、ビジネスサイドと現場サイドでの温度感にギャップが生まれることがあります。現場からDX化に対する反対意見が出たり、環境の変化に順応できず生産性が一時的に落ちたりするようなケースです。
DXは単なるデジタル化ではなく、事業全体を巻き込んだ「変革」なので、全社的な取り組みになります。その意思を組織全体に浸透させることは、プロジェクトマネージャーや経営陣・代表における非常に重要な役割であることも把握しておきましょう。
プロジェクトチームを中心に、全社的にDXに取り掛かります。DXは部署ごとの短期的な視点ではなく、あくまで全社的な長期的な視点で進めるようにしましょう。
DXプロジェクトを進めていくにつれて、さまざまなデータが蓄積されるようになります。これらのデータの適切に分析・活用することで、業務効率化やビジネスの最適化を図るための打ち手が見えてくるようになるでしょう。
これまで属人化されていた業務が等しく遂行できるようになったり、データから発見した事業の穴を塞ぐための新たな施策を生み出せるようになったりしながら、徐々にDX化が進んでいくことになります。あらゆる意思決定がデータ起点で行われるようになれば、DX化を成し遂げる大きな一歩目です。
製造業でDXを推進するには、以下の5つが必要になります。
それぞれの理由を解説します。
製造業DXで設計力を向上させるために、データ連携をスムーズに行える仕組みを構築しておきましょう。
製造業では多くの場合、設計部門と製造部門に分かれています。もし、両者のデータ連携がスムーズに行えなかった場合、以下のような問題が発生します。
このような事態を避けるためにも、データ連携をスムーズに行えるようにしておきましょう。
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製造業DXを効率的に進めるには、個人や部門間の連携を強化する必要があります。
例えば、個人(社員)ひとり一人と連携することで、それぞれが持っている技術を集約でき、ノウハウのデジタル化が図れます。また、部門間の連携を強化することで活用できるデータが増え、分析精度の向上や新たな課題発見などの効果が期待できます。
もし製造拠点が数多くある企業であれば、支社間で連携を強め、有益なデータを共有するなどの施策を行うのも効果的です。
DXを推進するためには、デジタルを扱えるIT人材が必須です。しかし現在、IT人材は不足しており、2030年には79万人もの人材が不足すると予測されています。
DXに関するシステム開発を外部に依頼するのも手ですが、システム開発後も維持や管理などでIT人材は必要です。
また、IT人材にはシステム思考力や数学力などの高い能力が求められます。短期間ですぐに優秀なIT人材は育成できないため、早い段階からIT人材を育成・確保しておくと良いでしょう。
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製造業DXを進める際には、自社に適したツールを導入することが重要です。製造業で活用できるツールは数多くありますが、工場内で利用するツールなのか、マーケティングで活きるツールなのか、などによって内容は大きく変わります。よって、一概に「このツールが良い」というものはありません。
しかし「製造業DXを推進するための4ステップ」の1ステップ目「DX推進の目的を明確にする」を行えば、自社に適したツールは自ずと見えてきます。
導入事例なども参考にしながら適切なデジタルツールを導入するようにしてください。
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経営層や管理層だけでなく、現場で働く社員にもDX推進の目的や意義が認識されることは重要です。
DXが推進されるにつれて、現場のシステムや業務内容も変化します。その際、組織全体にDXの目的や意義が浸透されていなければ、従業員からの理解がなされず生産性の低下や困惑を招くことになります。
DXの浸透は文化醸成とも言えるくらい大きな取り組みになるので、意識のすり合わせも重要視するようにしましょう。
製造業DXを推進すべきなのかを見分ける基準として、以下の2つが挙げられます。
製造業DXを推進するにはあらゆるコストが必要になります。その投資を回収できるだけのメリットが受けられるのならば、製造業DXを推進するべきと言えるでしょう。
ただし、仮にメリットが小さくても、製造業DXで得られるデータや知見は新規サービスの立案やビジネスモデルの変革に役立つ可能性があります。そのためスモールスタートからまずは着手し、リスクを抑えながら始めてみるのも一つの手です。
特に日本は保守的な企業が多いため、「攻めのIT投資」に後ろ向きな傾向があります。「守りのIT投資」に寄りすぎると事業変革のスピードに後れを取ることになるので、
といった攻めの変革も視野に入れていきたいところです。
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データ活用文化を醸成したい場合、製造業DXは文化醸成の取っ掛かりとなるプロジェクトになります。
ただし、文化醸成は大きな時間を要するので、DXプロジェクトはどうしても中長期的な取り組みが求められます。中長期的な取り組みが求められるという共通認識をプロジェクトメンバーや関係者と持ち、粘り強く推進できるチームを作りましょう。
製造業DXでよく活用される4つの技術・システム・ツールを紹介します。
3Dデータは、メタバースやデジタルツインの根幹にある技術であり、データを3D環境に反映することができます。これにより、2Dよりも視覚的にデータを捉えることができます。
3Dデータは、製造業で以下のようなことに活用できます。
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【前編】「3Dデータ活用」の現在地
数理最適化は、数理演算を用いて、特定の条件下で最良の結果を導く計算手法のことです。人が計算するよりも圧倒的に素早く計算を行えるため、素早く正確な計算が可能になります。
数理最適化は、製造業で以下のようなことに活用できます。
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数理最適化とは?機械学習・AIとの違いやビジネス活用事例をわかりやすく解説
5G・無線通信技術は、データのやり取りをする際に利用されます。5Gのような高性能な通信システムによって、大量のデータを素早く送受信できるようになりました。
5G・無線通信技術は、製造業で以下のようなことに活用できます。
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異常検知は、異常な製品や動作があった場合に異常と判断するシステムのことです。膨大な量のサンプルを機械学習して「正常」と「異常」を学び、異常を検知できるようになります。
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異常検知は製造業で、以下のようなことに活用できます。
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以下のような人材が、製造業DXの推進に求められます。
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DX人材とは?必要な役割やスキル・適正、育成事例を解説
全ての業界に共通しますが、DXに関わる技術の革新スピードは非常に速いため、最新情報へのキャッチアップが必須です。したがって主体的に学び続ける姿勢が関係者には求められます。
先端技術や他企業のDX動向などに常にアンテナを張り、密な情報共有や具体的なアクションへの昇華が鍵を握ります。
DXはデジタルを通じた変革の実現ですが、あくまで目的は「価値を創出し、競争性の優位を確立すること」です。したがって、デジタル面の技術的知見もさることながら、事業スケールのためのビジネス視点も持ちあわせなければなりません。
また、今後DXでも用いられると考えられる「生成AI」を使いこなすための能力として、分析的思考力・創造的思考力・戦略的思考力・批判的考察力が必要と言われています。
このようにDXを推進する人材には、デジタルに関する知識や技術の他にも、ビジネスに関する思考力や考察力が必要なのです。
【参考文献】
経済産業省「生成 AI 時代の DX 推進に必要な人材・スキルの考え方」
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生成AI(ジェネレーティブAI)とは?仕組みやChatGPTとの関連性を解説
既にAIを事業に活用している企業は多く存在しますが、DX推進においてAI活用を取り入れる企業が今後さらに増えると考えられます。よって今後DXを推進する人材は、AI活用における実行力・応用力に長けた人材も需要があると言えるでしょう。AIをうまく使いこなして業務を遂行することは、立派な能力の一つだということです。
例えばトレンドである生成AIですが、経済産業省では生成AIを使いこなすためには以下のような「AIとうまくコミュニケーションをするスキル」が必要だと定義しています。
【参考】
経済産業省「生成 AI 時代の DX 推進に必要な人材・スキルの考え方」
多くの企業が課題として抱えがちな、製造業DXが進まない理由を3つ解説します。
DX推進の過程には、データ収集やデータ分析、システム構築などの高度な作業が数多くあります。
一口に「データ収集」と言っても、例えばですが「膨大なデータの収集」「データの選別」「データの整形」「ラベル付け(アノテーション)」のように難易度の高い工程が数多くあります。※あくまで一例です
自社のDX推進に必要な人材リソースは正確に洗い出し、計画的なリソースの確保を意識しましょう。
攻めのIT投資とは、サービス強化やビジネスモデルの変革を目的として、中長期的に企業の価値や競争力を上げるためにIT投資を行うことです。
しかし日本のIT部門は「守りのIT(社内業務の効率化・利便性の向上が目的)」が担当業務だと認識されており、攻めのIT投資が行えていません。
守りのIT投資ばかり行っていると、IT部門から変革が起こりにくくなってしまいます。そのため、短期的に利益にならずとも、長期的な視野で捉えた際に企業の競争力に寄与しうるのであれば、スモールスタートでもいいので「攻めのIT投資」を行うと良いでしょう。
【関連記事】
DXを実現する「攻めのIT」とは?「守りのIT」と根本的に異なる2つのIT投資の視点
レガシーシステムの維持・運用にコストがかかっており、DXにかける資金がなくなっている場合があります。経済産業省の調査では、約7割の企業が、老朽システムがDXの足かせになっているという結果が出ています。
実際に日本の企業では、IT予算の8割程度が維持・運営の予算(ランザビジネス)に使われており、戦略的な投資予算(バリューアップ)には2割程度しか使われていません。
2019年度IT予算における現行ビジネスの維持・運営(ランザビジネス予算)の比率は76.7%、ビジネスの新しい政策展開(バリューアップ予算)の比率は23.3%となっている。
出典:総務省「我が国がデジタル化で後れを取った理由」
これを解決するには、維持コストの高いレガシーシステムを一刻も早く見直し、新たなシステムを導入する必要があります。
製造業の中には、まだDXを推進できていない企業が多くあります。それらの企業がDXを推進せずに放置してしまうと、どのような事態に陥ってしまうのでしょうか。
製造業DXをしないまま放置すると、レガシーシステムの維持・運営にかかる費用が大きくなり、多くの技術的負債を抱えることになります。
技術的負債(Technical debt)短期的な観点でシステムを開発し、結果として、長期的に保守費や運用費が高騰している状態のことを指す。本来不必要だった運用保守費を支払い続けることを、一種の負債ととらえている。
引用:経済産業省「デジタルトランスフォーメーションに向けた課題の検討」
これにより、デジタル予算のほとんどが維持・管理費用に回り、戦略的な投資予算が少なくなってしまいます。その結果、技術革新が生まれないことに加え、性能の低い昔のシステムを高い費用を払って利用することになるのです。
もし2025年までにこの課題を克服できない場合、年間最大で12兆円の経済損失が生じる可能性があります。これを「2025年の崖」と言い、多くの企業がこの事態を避けるためにDX化を進めています。
【関連記事】
製造業DXを放置してレガシーシステムを使い続けていると、データの活用においても不利になります。
そもそもレガシーシステムはデータ容量が小さく、処理能力も低いです。そのため、先進企業が利用しているビッグデータや分析規模に追いつけず、ビジネス戦略や打ち手も限られることになります。結果的に、データを最大限活用している企業との競争に敗れてしまいます。
本記事では、製造業DXの具体例や成功事例、推進ステップを解説しました。
今となってはあらゆる場面で「DXは必要である」と叫ばれてはいますが、実現難易度は高く、一長一短で実践できるものではありません。分かってはいるが、なかなか推進に踏み込めないという企業は多いと思います。
「DX」と言うとどうしても大きな大きな取り組みをイメージしてしまいがちなので、まずはスモールスタート・スモールサクセスをゴールとしたプロジェクトを検討してみてはいかがでしょうか。または、DX支援企業や外部パートナーに相談してみるのも一つの手段かと思います。弊社ブレインパッドではDXに基づいたさまざまなソリューションを展開させていただいておりますので、よろしければお問い合わせください。
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