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DXはSDGsにどう関連する?持続可能な未来とDX

公開日
2020.12.22
更新日
2024.06.06
DXはSDGsにどう関連する?持続可能な未来とDX

2018年ごろから、DX(デジタルトランスフォーメーション)と同じくらいビジネスにおけるキーワードとして存在感を増しているのが「SDGs(持続可能な開発目標)」です。国連が定めた国際目標であるSDGsは、政治や行政だけではなくビジネスの分野でも注目を集めています。
そこで今回はSDGsの意味を説明するとともに、DXとの関連について整理したいと思います。DXがSDGsにどう関わるのか、あるいは関わるべきなのか理解しましょう。

DXの定義と最終的な目的

DXとSDGsとの関連について理解するためにも、改めてDXの持つ意味についてご説明します。DX推進に際しては、単に「最新の技術を導入する」だけではなく何をどのように変革したいのかという目的が問われます。

DXの定義と推進のポイント

DXはDigital Transformationの略語で、直訳すると「デジタルによる変容」となります。もともとは学問用語で、テクノロジーの発達が人々の生活を改善することを指していました。

その後ビジネス用語として、テクノロジーの発達によって企業が製品・サービスやビジネスモデルを大きく転換させたり、市場構造が根本的に変化したりすることを指すようになりました。単なるテクノロジーの発達自体をDXと呼ぶわけではなく、それによってビジネスや市場が大きな影響を受けることをDXと呼びます。

経済産業省では、「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX推進ガイドライン)」において、以下のようにDXを定義づけています。

「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのも
のや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」

この定義にもある通り、DXのキーワードは「変革」です。デジタル技術やデータの活用によって、何かを大きく変化させることがDXと言えます。したがって、DXの推進に際しては「何をどのように変革したいのか?」という問いに対する答えを検討しなければいけません。

【関連】「DX=IT活用」ではない!正しく理解したいDXとは?意義と推進のポイント

DX推進には「大きな変革の目的の設定」が必須

テクノロジーの発達やデータの活用は、一企業のビジネスモデルのみならず市場構造や社会を動かす力を持っています。当社もミッションとして「データ活用の促進を通じて持続可能な未来をつくる」と掲げているとおり、当社は、テクノロジーやデータは「日本社会へ大きなインパクト」を与えることができると信じています。
「DXの核心はデータ活用にあり」という言葉にあるように、DXを推進する上でテクノロジーやデータを活用することは、自社の現状を打破することで社会へ大きなインパクトを与えていき、成果を上げていきたい、と「大きな変革の目的を目指す覚悟」に繋がっていると、最近のビジネスの現場を担当する中、実感しています。
一方、別の解釈をするならば、「社会を変える」ような大きな目的がないと、本来は何かの目的を達成するための手段にすぎないテクノロジーの導入や実装が目的化してしまい、単なる省力化にとどまり、成果につなげることが難しくなります。


SDGsとは?世界の潮流と日本のアクションプラン

では、SDGsの基本についてご説明します。国連でどのような目標が掲げられているのか、それに対して日本ではどのようなアクションプランを持っているのか見ていきましょう。また、SDGsと類似点の多いCSRとの違いについても解説していきます。

SDGsが掲げる17の目標

SDGsはSustainable Development Goalsの略語で、日本語では「持続可能な開発目標」と呼ばれています。2030年までに持続可能でよりよい世界を目指すために、2015年の国連サミットで採択された国際目標です。地球上の「すべての人々、及びすべての部分で満たされるよう、誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓って、以下の17の目標が掲げられています。

・貧困:あらゆる場所あらゆる形態の貧困を終わらせる
・飢餓:飢餓を終わらせ、食料安全保障及び栄養の改善を実現し、持続可能な農業を促進する
・保健:あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する
・教育:すべての人に包摂的かつ公正な質の高い教育を確保し、生涯学習の機会を促進する
・ジェンダー:ジェンダー平等を達成し、すべての女性及び女児のエンパワーメントを行う
・水・衛生:すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する
・エネルギー:すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的なエネルギーへのアクセスを確保する
・経済成長と雇用:包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する
・インフラ、産業化、イノベーション:強靭(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る
・不平等:国内及び各国家間の不平等を是正する
・持続可能な都市:包摂的で安全かつ強靭(レジリエント)で持続可能な都市及び人間居住を実現する
・持続可能な消費と生産:持続可能な消費生産形態を確保する
・気候変動:気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる
・海洋資源:持続可能な開発のために、海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する
・陸上資源:陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処ならびに土地の劣化の阻止・回復及び生物多様性の損失を阻止する
・平和:持続可能な開発のための平和で包摂的な社会を促進し、すべての人々に司法へのアクセスを提供し、あらゆるレベルにおいて効果的で説明責任のある包摂的な制度を構築する
・実施手段:持続可能な開発のために実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化させ、目標を達成する

以上の17分野にわたって、さらに169項目のターゲットが定められています。

日本の達成度は?課題とアクションプラン

日本では、2016年に総理大臣を本部長とするSDGs推進本部が設置され、その下で広範な分野の有識者が意見交換を行うSDGs推進円卓会議が設置されました。その結果、2030年の目標達成に向けて2020年に実施する具体的な取り組みを盛り込んだ「SDGsアクションプラン2020」が掲げられました。

こちらのアクションプランでは、以下の3点が柱とされています。

Ⅰ.ビジネスとイノベーション~SDGsと連動する「Society 5.0」の推進~
Ⅱ.SDGsを原動力とした地方創生、強靱かつ環境に優しい魅力的なまちづくり
Ⅲ.SDGsの担い手としての次世代・女性のエンパワーメント

ビジネスとの関わりについて言えば、特に1点目の「ビジネスとイノベーション」が重要です。ここでは、企業経営へのSDGsの取り込みや「スマート農林水産業の推進」などと並んで、「ICT分野の研究開発、AI、ビッグデータの活用」の文言が見られます。この点は、SDGsとDXとの関連を感じさせる部分となっています。

SDGsとCSRの違いとは?

CSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)とは、利潤追求や法令遵守だけではなく、企業が市民として社会に果たすべき責任を意味しています。人権に配慮した雇用、地域社会への貢献、環境への配慮など、消費者のみならずあらゆるステークホルダー=利害関係者に適切な対応をとる義務が企業にはある、というのがCSRの持つ意義です。

SDGsとCSRには、社会への責任を強調している点のような類似点もあるものの、相違点もあります。企業にとってのSDGsは、まさしく本業であるビジネス活動の中で企業が果たすべき責任を指しているのに対し、CSRは本業以外の部分で企業が果たすべき責任を指しています。CSRでは「本業+α」が問われており、SDGsでは本業そのものが問われているのです。


政府・経団連が提唱する「Society 5.0」とは?SDGsに貢献するDX

DXは、SDGsを実現するための手段の一つであると考えられます。日本が提唱する「Society 5.0」の説明とともに、DXとSDGsの関連性についてお伝えします。

DXはSDGsを実現する手段の一つ

日本政府のアクションプランにも「ICT分野の研究開発、AI、ビッグデータの活用」と記載されているように、DXがSDGs達成の鍵の一つであるという議論が存在します。経団連でも「SDGs達成に向けたデジタルトランスフォーメーション(DX)」と題された分科会が開催されており、DXを通じてグローバルな課題を解決しつつ経済成長を遂げるとの枠組みで議論が行われています。

政府・経団連による「Society 5.0」の提唱

DXとSDGsをつなぐキーワードとして、日本政府や経団連は「Society 5.0」という概念を提唱しています。

経団連によると、Society 5.0とは「AIやIoT、ロボット、ビッグデータなどの革新技術をあらゆる産業や社会に取り入れることにより実現する新たな未来社会の姿」であり、「狩猟社会(Society 1.0)、農耕社会(Society 2.0)、工業社会(Society 3.0)、情報社会(Society 4.0)に続く、人類社会発展の歴史における5番目の新しい社会の姿」です。

Society 5.0の描き出す未来社会は、人間がデジタル技術を使いこなし、誰もが質の高い生活を送ることのできる理想的な社会に他なりません。その実現手段として、DXによるビジネスと社会の変革があるわけです。

DX推進が提示する未来の可能性

SDGsは必ずしも企業活動だけに焦点を当てたものではありませんが、その実現手段の一つとしてDXがあるのは間違いありません。DXによって企業のビジネスモデルや社会が変わり、AIやビッグデータなど新たなテクノロジーを人間が使いこなせるようになれば、これまでの社会課題が解決され、誰もが必要なモノ・サービスを享受できる社会が実現すると考えられているのです。

したがって、DXを実現させることの意義は極めて大きいものと言えます。一企業の売上向上や市場構造の変化だけではなく、未来社会のあり方そのものに関わるプロジェクトこそがDXなのです。

まとめ

DXは、デジタル技術やデータの活用によって、企業の製品・サービスやビジネスモデルを変革することです。さらに一企業の枠を超えて、市場構造を根本的に変化させたり、社会課題の解決につながったりする可能性をも秘めています。

この点において、DXとSDGsが関連してきます。持続可能な社会の実現に向けた目標を定めたSDGsの達成のために、DXが果たす役割は決して小さくないと考えられているのです。

(参考)
・UNDP「Sustainable Development Goals」
・外務省「SDGsとは?」
・経団連「Society 5.0 for SDGs」
・経団連「週刊経団連タイムス SDGs達成に向けたDX」


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2004年の創業以来、「データ活用の促進を通じて持続可能な未来をつくる」をミッションに掲げ、データの可能性をまっすぐに信じてきたブレインパッドは、データ活用を核としたDX実践経験により、あらゆる社会課題や業界、企業の課題解決に貢献してきました。 そのため、「DXの核心はデータ活用」にあり、日々蓄積されるデータをうまく活用し、データドリブン経営に舵を切ることであると私達は考えています。

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