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洪水などの河川の災害対策として重要な役割を担っているコンクリート護岸の点検・改修業務は、熟練した技術者による目視点検が必要だったが、コンクリートのひび割れなどの劣化の有無を撮影した画像から自動で判断できるアルゴリズムを開発。
【関連記事】ブレインパッド、河川の護岸コンクリートの劣化検知をAIで支援 - 八千代エンジニヤリングに「機械学習/ディープラーニング活用サービス」を導入 -
コンクリート護岸を撮影した画像をアップロードするとひび割れ箇所を示すWebアプリケーションを、クラウド環境に構築しました。Googleのオープンソース化された深層学習ライブラリ「TensorFlow」を使ってアルゴリズムを実装しており、劣化検知アルゴリズムには、医療画像を認識するために開発されたモデル(U-Net)や画像認識コンペティションで優勝したチームが考案したモデル(ResNet)を応用しました。学習用データには実際に撮影された画像からGAN(Generative Adversarial Network)使って生成したデータを用い、さらにコンクリート護岸以外のものが映り込んだ場合のための工夫も行い、高い認識精度を実現しました。
日本国内には数多くの河川があり、その周りには洪水などの災害対策として重要な役割を担うコンクリート護岸が設置されています。これまでは人間による目視主体で劣化状況を把握していましたが、設置された時期や地域などによって整備形式が異なり、点検・改修には熟練された技術が必要とされるため、その手間やコストが膨大になること、また、劣化状況の判断基準が人によってさまざまになることが問題となっていました。
護岸のひび割れをスケッチし、5年ごとの変化を捉える業務に携わっていましたが、河川の護岸のように長い構造物の劣化状況を人がスケッチすることに限界を感じていました。
もともと統計解析や機械学習に関心があり、従来の画像処理技術では難しいだろうという予見がありました。DeepLearningのアプローチを検討している中で、ブレインパッドがAI開発を手掛けていると知り、連絡をとりました。
コンクリート護岸の劣化検知において、撮影した画像からひび割れなどの劣化の有無を自動で判断するためのアルゴリズム(ニューラルネットワークモデル)の実用可能性を検証しました。その結果、現状の人手による検査と遜色ない精度で劣化を検知できることが判明し、このアルゴリズムが有用であることが実証されました。今後は、劣化検知の判定プロセスのシステム化や、河川のコンクリート護岸以外の社会インフラ分野への展開も検討していく予定です。
ディープラーニングを活用した画像処理といっても、アウトプットに至るまでのデータ処理プロセスにはさまざまな選択肢があるため、ディープラーニングを初めて扱う当社としては、今回のプロジェクトの実施にあたり、信頼できる船頭役が不可欠でした。ブレインパッドには、これまでのデータ活用実績の中で培った知見や最新の海外事例なども拠り所にしながら、解析プロセス等を合理的に解説していただき、常に納得のいく結果を提供いただきました。今後もブレインパッドの支援に大いに期待しております。
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