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2023年3月28日、株式会社ブレインパッドは代表取締役の異動に関するオンライン記者会見を実施し、新社長にCGO(Chief Growth Officer)(当時)の関口朋宏の就任を発表。同年5月12日には次期中期経営計画を公表し、次いで同年5月23日には、新執行役員体制および委任型執行役員制度の導入に関するお知らせを発表した。
そこで、2023年7月からブレインパッドを牽引する関口に、ブレインパッドの新事業体制のねらいとブレインパッドが目指す未来について聞いた。
DOORS編集部(以下、DOORS) 次期中期経営計画の中で、ブレインパッドの今までのMissionを新たにPurposeと位置づけました。まずはこの理由を説明してください。
株式会社ブレインパッド・関口朋宏(以下、関口) 「データ活用の促進を通じて持続可能な未来をつくる」というテーマは、これからもずっと続けていきたい、変わることのない理念だと思っています。ただ高い志であるがゆえに抽象度も高く、世の中の人たちにとっても、当社の社員にとっても、様々な解釈をし得る言葉だと思っています。そこで、この言葉をブレインパッドにとっての最上位となる存在意義・目的、すなわちPurposeとして掲げ直すことにしたのです。
DOORS なるほど。ではPurposeの他にVisionとMissionを再定義したのはなぜでしょうか。
関口 Purposeは永く続けていく普遍のものですから、むしろ抽象度は高くていい。しかし、具体的な事業で表現していくためにはもう少し時間軸を短く、具体性を持った、「ブレインパッドとは何を実現する人たちが集まっている会社なのか」を示す理念も必要です。そのために定義したのが、VisionとMissionとなります。Purpose、Vision、Missionと下に降りていくにつれて時間軸が短くなり、より具体的になります。
私たちが日本の市場に根ざしていく中で、今回の中期経営計画でも触れた、IMD(スイス国際経営開発研究所)の世界デジタル競争ランキング2022の結果には、大きなショックを受けました。私たちのようなデータ活用を通じて世の中を良くしたいと考えている会社が、現実では何も産業に貢献できていないという実態を突きつけられたからです。しかしそれにより、私たちのPurposeが日本の競争力向上にとって非常に重要なテーマであることも再認識できました。
関口 このPurposeからより解像度を上げたVisionやMissionを考えるにあたり、何がボトルネックかを考えました。データを駆使して新しいもの・ことを創り出すことの遥か手前に大きな課題を抱えているのではないかと。そこで、いまの世の中はそもそもデータを使うことそのものがまだ日常の生活に根付いていない、と課題を再設定することにしました。この課題が解かれた状態が、「息を吸うようにデータが活用される社会」というVisionなのです。データドリブンがもっと日常的(as Usual)になっている社会が実現することで、私たちのPurposeも実現に近づくことになります。
DOORS 「息を吸うようにデータが活用される」とはどういうことか、もう少し噛み砕いてもらえますか。
関口 たとえば天気予報を例に考えてみましょう。天気予報はAIも活用した予測アルゴリズムの塊で、まさに古くからあるデータ活用の典型例です。では、私たちは天気予報の情報を使うことにアレルギーがあるでしょうか。予報が100%正確でなかったとき「天気予報は当たらないから使わない」という極端な否定をするでしょうか。そんなことはありません。予報が外れることも許容した上で、降水確率が60%と言われたときに傘を持っていくかどうか、「今晩は寒くなりそう」と言われたときに、羽織るものを持っていくかどうか、自分なりの判断基準で意思決定し行動に移しています。
古くから慣れ親しんだ天気予報に向き合うように、企業や生活者のさまざまな活動がデータと密接になっている状態。手元にデータを置いて、仮説立案と検証を繰り返して日々の行動の意思決定をする――これが「息を吸うようにデータが活用される」状態と考えています。
DOORS 続いて、Mission「技術と人材のサプライチェーンを再構築し、国際競争力のある豊かな日本の再生に貢献する」について説明してください。
関口 Visionを実現するために解くべき課題の解像度を上げていきます。
データ活用はデジタル技術・IT活用に内包されるものですから、その促進にIT産業が非常に大きな役割を果たすべきことは言うまでもありません。しかし、当社を含む日本のIT産業はこれまで、他の産業の成長に貢献できているとは言えません。
時流から考えて、世界共通でIT産業が成長するのは当然のことですが、特にアメリカではIT産業以外の産業も成長しているのに対し、日本では情報産業・IT産業だけが極端に成長しています。
本来、IT産業は他の産業の成長に貢献する役割を果たすべきだと思いますが、残念なことに日本ではそうはなっていません。産業全体の成長がITにより底上げされないと「息を吸うようにデータが活用される社会」にはならないと危惧しています。これはIT産業全体の課題ですが、当然そこに属している私たちブレインパッドの課題でもあるわけです。
また日本では、データ人材・IT人材の大幅な不足が叫ばれて久しいですし、ビジネスパーソンはデータリテラシー、ITリテラシーが不足しているともよく言われます。これは、リテラシーのある人材の供給側、すなわち人材の発掘や育成のあり方に課題があるのだと思います。
日本ではIT人材不足の課題設定も間違っていると思います。IT人材やデジタル人材といえば、ITシステムやアプリケーションなどを開発する人(=つくる人)が焦点になりがちですが、“使いこなす人”の不足の方がより課題が大きいのではないかと思います。本来は“使いこなす人”も含めて「デジタル人材」と定義すべきです。
それが、「データ・テクノロジー × ビジネスの“ハイブリッド人材”という難易度の高い人材輩出に挑む」というMissionにおける1つのテーマになります。
世界を見渡すと生成AIなど新しい技術が次々と出てきていますが、その一方で日本には「デジタル人材」からほど遠い人材もたくさんいます。そういった人材を「ポテンシャル人材」と呼び、この人たちを「デジタル人材」として育成し、様々な組織に供給することを徹底してやっていきたい。その結果、データ活用の民主化や内製化が進み、企業がより強くなることに貢献できると考えています。
これを「人材のサプライチェーン」と呼ぶことにしました。デジタルやデータ活用の需要側は当面拡大すると思われますが、それを実行する人材の不足、特に社内の人材不足が続いてはこのDXの遅れは放置されます。従来のIT産業では必要な人材を各産業に届けることをしておらず、そのチェーンが壊れていたことが課題と捉えています。誰かがこの課題を解決し、「デジタル人材」をスムーズに市場に届けていく必要があり、データという領域においてはその役割を当社が担っていきたいと思うのです。
もともと日本は理数系の学力も高く技術力の高い国で、人材のポテンシャルは非常に高いはずなので、人材の発掘から育成、登用までの新たなパラダイムをつくれるかどうか、これが非常に重要なテーマだと考えています。
DOORS 日本では少子高齢化による人材不足が今後も続いていくと考えられます。その点について何か策はあるのでしょうか。
関口 そもそも労働人口が少ないので、育成・リスキリングが最重要ではあるものの、それには時間がかかってしまいます。育成一辺倒では日本のこの遅れは取り戻せません。ですから、育成にも取り組む一方でスキルや経験値の不足をテクノロジーで補完していくことも併せて必要になるでしょう。学びはそこそこでもアウトプットが出せることを優先し、そのために高度なテクノロジーをより簡単に使える環境の提供、多くはソフトウェアになるはずですが、これに積極的に取り組んでいきたいのです。
これがMissionの2つ目のテーマである「高度なテクノロジーの民主化を通じて人材育成のスピードを超えるデータ活用の普及を促進」の意味になります。
ここまでの話をまとめると、データ活用という技術領域を足がかりにIT産業のあり方のアップデートに挑むことが、今回再設定したPurpose・Vision・Missionなのです。
DOORS このようなPurpose・Vision・Missionに至った背景は何だったのでしょう。
関口 1つは、既に述べたように、中期経営計画を立案するタイミングで、当社がどういう存在を目指し、何をすべきかを長期的な目線でより解像度を上げたかったからです。もう1つは、FY2024からの新体制に関して、創業者の佐藤、高橋の2人と私で記者説明会を行ったときに、質疑応答の中でIT産業の新しい形が求められているという感触を得たことです。IT産業はコンサル会社もSIerも日本の産業の中では活況ですが、「何か違うもの、新しい形が欲しい」という潜在的な声が聞こえてきました。
発表のタイミングでは今回のPurpose・Vision・Missionの定義は固まっていましたが、改めて私たちの課題設定は間違っていない、という確信が持てました。
IT産業が多くの課題を抱えているからこその現状だと思いますが、その課題についてIT産業側から触れている人が少ないことの表れだと思いました。このような問題提起こそ、私たちのような比較的新しいIT企業が果たすべき役割だと思うのです。
DOORS 日本が抱えている諸問題に対して、IT産業としてどのようなことが求められていると考えていますか。
関口 日本は、「2025年の崖」や「2024年問題(トラックドライバーの時間外労働時間が年960時間に制限されることで発生する物流の諸問題)」、「2050年のカーボンニュートラル」など様々な問題を抱えています。
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一方、課題が山積みの中で、結果を出すまでのスピードと投資効率がこれまで以上に求められています。
その成果創出のスピードアップと効率的な投資にむけて、IT人材・デジタル人材の内製化が重要であることについては、日本でもこれまで以上に喫緊の課題として共通認識されています。
【関連】DXの「内製化」とは? ビジネス価値の創造をもたらす真の内製化
しかし日本の労働人口は減り、しかもIT人材・デジタル人材の不足という二重苦の中で内製化しようとしても、有能な人材の多くはIT企業側にいるため採用自体が困難で、人材獲得競争は熾烈です。人材の調達コストも給与も高くなっており、これまで社内にいない人材を抱えるために人事制度を見直す必要も出てきます。デジタル人材の採用は思っているよりも手がかかります。
ならば既存の社員をリスキリングしようとなるわけですが、リスキリングを高速で行える手段がまだ確立していませんので、企業や社会が求めるスピード感と比べるとどうしても遅くなります。
内製化がなかなか大変だという課題を抱える一方で、早く成果を出したいという焦燥感との闘いのなかで、高価な外部の人材にも頼らないといけないという実態があります。さきほどお話したように、日本全体を見渡しても少ない母数のデジタル人材を確保するために投資コストはますます高騰し、コンサル会社やSIerは活況になる代わりに自社の投資体力に対して実現できること・期待成果がどんどん小さくなっていきます。
このようなコスト構造を見直していく必要性を感じ、私たちはこの構造を大きく変えるようなサービスを展開していきたいと考えています。先ほど述べた人材のサプライチェーンとはそのようなサービスを指しています。
関口 このような環境では、当然ながら既存の社員やポテンシャル人材の発掘と育成に目を向けなければなりません。しかしながら、日本における人材育成方法について考え方のパラダイムシフトが必要だと感じます。
日本ではデータ分析においても数学や統計学、プログラミングを網羅的に基礎から身につけることを大切にします。それが決して悪いことではないのですが、海外に目を向けると、よりアウトプットや実践重視で合理的なアプローチをします。
さまざまな分析のユースケース(事例)が整っている分析ツールやソフトウェアを使うことを前提に、基礎学習は最低限にどんどんアウトプットを出していきます。もちろんいい加減なアウトプットを出されては困りますので、品質チェックができる高度な人材も少数ながら存在します。
ただ、分析業務を実行する人材の量的確保を目指す上では、非常に合理的なアプローチです。育成スピードの高速化という点では、ソフトウェアという武器を駆使することを前提に一定レベル以上のアウトプットを素早く出せる人たち、「Software-Enhanced(ソフトウェアで能力拡張した)な人材」の育成をするという考え方を取り入れていくことの重要性が増すと思います。
既に、ソフトウェア開発の場面においてはGitHubに公開されているようなライブラリをうまく使って、短期間で質の良いソフトウェアを作ります。ゼロからコードを書くわけではなく、誰かのノウハウや部品を活用することで速く良いものを作ることは日常になっています。住宅建築にたとえれば、職人芸の宮大工も必要ではありますが、工業化された2×4(ツーバイフォー)住宅を大量に建てられる工務店を増やしていくイメージです。それと似たような形で、経験値やスキルの足りない部分はソフトウェアで補おうという発想が、次期中期経営計画のさらに次の、~FY30 再成長期欄で示した「ソフトウェアと人材サービスの融合型サービス」です。
ブレインパッドのデータサイエンティストは高度な技術を持っていますし、今後もそうであるべきと考えていますが、そのぶん少数精鋭で人数には限りがあります。高度なデータサイエンティストだけでは世の中のすべてのデータ活用ニーズには応えられません。高度なデータ分析、それにはソフトウェアと人材の融合を考えることのほうが合理的です。その方向に私たちのビジネスを進化させていきたいと考えているのです。
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従来型のIT産業を批判する言い方になるかもしれませんが、コンサル会社でもSIerでも人材サービスに特化しているベンダーは、顧客企業をその人材に依存する形に持っていきたいとどうしても考えてしまいます。しかし私たちは人材だけでなく、ソフトウェアを持ち、人材とソフトウェアの両方を使っていく会社なので、極端な話、人がいなくなってもソフトウェアが残ればいいという顧客の都合に応じた柔軟なサービス展開ができます。
最初は外部の人間の力が必要かもしれませんが、最終的にはソフトウェアだけあれば顧客側だけで進めていけるので、もしそうしたければそうしてもらえればいいし、人によるサポートも継続してほしいと言うのであれば、必要最小限の人数でサポートしていく展開もできます。そこがプロフェッショナル・サービスとプロダクト・サービスの両方を併せ持っている私たちの強みだと考えます。その強みを活かして、「ソフトウェアと人材サービスの融合型サービス」も展開できると確信しています。
DOORS 先ほど「IT産業のアップデートに挑む」と言っていましたが、ブレインパッドは社員600名ほどの小さな会社です。無謀な挑戦にも思えます。
関口 おっしゃる通り、日本のIT産業は巨大であり、私たちはその中のまだまだ小さなプレイヤーです。常にチャレンジャーの立場に置かれていることは間違いありません。ただ、ブレインパッドには、データサイエンティストもデータエンジニアも、その他にも高い能力を持つ人材がたくさんいますが、他社と比べればまだまだ少数精鋭と言わざるを得ません。この少数精鋭であることがブレインパッドの価値であることは変わりませんし、いかに少数精鋭で大きな価値を出していくかが私たちにとっての当面のチャレンジです。
それには、1人が持つ能力をどのようにして超越して価値を出すかに尽きます。自分の能力が1だとしたら、その1をどうすれば100人の人を喜ばせる価値に変換できるかを考えるということです。だからソフトウェア提供が重要になってくるのです。
少数精鋭であることは、いまのブレインパッドのプライドです。私たちは有能であらねばならず、有能であるというプライドを持ち続けないといけない。少数精鋭だからこそ、自分たちの英知と能力を結集してより多くの、広範囲の事象に影響を及ぼす価値に還元する――このようなマインドセットが大切です。この点はGoogle社の発想と似ていると思っています。Google社にも優秀な技術者がたくさんいますが、同社の発想はその優秀な人たちが作ったものをいかに多くの人に使ってもらえるかにあります。使用する現場には技術者がいなくてもいいように、より簡単に使えるものを作ることを考えます。私たちも同じで、高度なスキルを持ったアナリストがいなくても分析できる環境を作ることを考えないといけない。そのほうが、データ分析という営みが浸透すると思うからです。
また、多くのプロフェッショナルは究極的には「個」で戦うスタイルです。そのスタイルでは、結局は自分(個人)の価値を上げることに終始するだけでなく、その個人の能力が成し遂げられることの限界値になります。より多くの人に還元するという発想になるためには、有能な人間同士が力を合わせることもとても重要なことです。
DOORS ブレインパッドの少数精鋭という特長は、新しい組織体制にも活かされるのでしょうか。
関口 創業来、データサイエンスとそれを体現するデータサイエンティストがブレインパッドの価値の源泉です。
そして、データサイエンスの価値がどこに求められるかと言えば、やはりビジネスの課題解決にあるわけですから、ビジネスの課題に対する感度をもっと上げていかなければなりません。
このたび、ブレインパッドはマトリクス体制に変わります。それは、ビジネス課題を解くために、より産業の課題とその産業に属する企業が抱える課題を深く解くにはそれが最適だと考えたからです。
これまでブレインパッドは、データサイエンスを活用して課題を解く技術を磨いて価値を出してきました。その解く力を評価されてきましたが、課題を解く存在から課題を設定する力も求められるようになってきました。
実際、お客様であるクライアント企業側も問題は把握していても、それをデータや技術で解くべき課題にまで落とし込めていないことが増えてきました。したがってお客様から「これが課題だ」と言われて、それを一生懸命に解いたとしても、「本当の課題」ではなかったとしたら、成果が伴わないことになります。どんなに頑張って分析しても成果が出ませんし、評価もされません。
ですから、私たちはお客様と一緒になって、課題を設定する(仮説を導く)ところから解くところまでを一気にやらなければなりません。産業とその構造であったり、お客様の主力製品だったり、お客様が大事にしているカルチャーなど、様々なことへの理解が深くないといけませんし、お客様が問題だと言っていることに対する想像力も極めて高くないといけません。
それが今まで以上に産業に根付くということですし、産業やクライアントの課題解決のアプローチとしても必要なことなのです。そのために、創業来はじめて、産業別のチームをつくることにしました。
一方で、課題解決のプロであるデータサイエンティストがすべて担うのはそう簡単ではありません。だからこそ、データサイエンティストとコンサルタントの力を今まで以上に融合し、さらにエンジニアによる実装力を加え、課題の設定から解決までを総合的に実行できる体制を目指しています。
図の右側(アナリティクスコンサルティング、データエンジニアリング)は、コンサルティング会社やSIerと競合する領域なので、競争は激しいと思っていますし、データサイエンスを極める私たちだからできることを磨いていくべき世界だと思っています。あえて言うならば、データサイエンスの貢献できることの中でも、消費者の行動や企業の意思決定をより良いものにするにする"Decision Science"に強みを発揮していきたいと思います。
一方、コンサルティングやSIだけをやり続けていても、ここまでしてきた話からわかるように、世の中が抱える企業の内なる力を高めることにはあまり役に立ちません。前述した内製化を推進するために、Software-Enhancedな人材をつくっていく、あるいはこれまで以上にソフトウェアと協働している状態への変革を推進して初めて、日本の社会に貢献できるのです(図の左側:トランスフォーメーション、XaaS)。私たちが、10年以上をかけて培ってきた人材育成のコンテンツと、SaaS(ソフトウェア)はより一層重要になります。このような素材をブレインパッドは十分に持っていると考えたからこそ、それが私たちの独自性であり、これからの社会貢献の形だと考えています。
DOORS マトリクス型組織を志して失敗する企業が多いと言います。かなりのチャレンジだと思うのですが、関口さんが課題だと思っていることと、その課題を克服できると考えている根拠を教えてください。
関口 一般論として、失敗する理由は、大きく2つの異なる価値観や目標をもつ組織が混在すること、そして2人の上司が存在することに起因することだと思います。しかしながら、これまでも当社はプロジェクト単位で仕事に取り組むことが多く、特に近年は複数の職種が一体となってプロジェクトに参加するケースが増えています。
そして、重要なことは向き合っているクライアント企業に対して「善いことをする」、「本質に向き合う」という精神を企業として育んできたことです。時に意見が食い違っても、納得がいくまで対話をすることで、立場を超えて最善を目指す風土がありますので、十分にやれると思っています。その点では、当社に集う人々と企業風土を信じています。
DOORS 最後に、お客様やパートナーの方々へのメッセージをお願いします。
関口 出身学部を問わず、ブレインパッドには理系学部の出身者のみならず、理系的思考をする人材が多く在籍しています。それがデータサイエンスを強みにしている私たちの特徴です。
課題の解決策であるテクノロジーやデータサイエンスを理解しながら、ビジネス課題を設定する力がさらに備われば大きな進化を遂げることができ、これがこれからのブレインパッドが成長していくポイントです。
これは、デジタル人材やデータ人材不足という課題を抱えている企業のみなさんにとっても同様のチャレンジだと思うのです。ですから、私たちが率先してこの課題に取り組むことが使命だと考えています。日進月歩のテクノロジーをより身近なものに変換して産業にお届けするのと同時に、いまの日本に必要なビジネスとテクノロジーの両方のスキルをもった人材の輩出に率先して取り組んでいきます。
データ活用の普及をひとつの事業として形にした時代の先駆者としてのプライドを大切に、常に時代の先駆者でありたいと考えています。
そして、そのチャレンジによって得た経験値とノウハウを産業に広く還元する。ボランティアではなく事業として展開していくことを、本質的に産業に貢献できる新しいIT産業のカタチとして表現することを目指していこうと思っています。
お客さまである企業の方々の大きなチャレンジを支援するだけでなく、私たちも負けないくらいのチャレンジを一緒にしていきますので、これまでのIT産業に足りていないものや、もっとこうあって欲しいという率直な意見を私たちにぶつけてもらいたいです。
さまざまな産業と私たちIT産業が二人三脚で取り組むことで日本のデジタル競争力の遅れをスピーディに取り戻すことができれば、より善い未来を創ることに貢献できるのではないかと考えています。
DOORS 本日はありがとうございました。
関口 ありがとうございました。
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