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【シリーズ】リスキリング×データエンジニア CASE1:菅井熱志

公開日
2023.06.13
更新日
2024.04.23

近年、新たな学び直し=リスキリングという言葉がバズワード化しており、特に日本においては、IT・DX人材の慢性的な不足から、リスキリングによるデータ活用人材の確保が注目されています。

リスキリングの意義などをより深く知りたい方はこちらもご覧ください。
なぜ今「リスキリング」が必要なのか?DX時代に生き残るための、人材育成の考え方と3つのステップ

データはいざ活用しようとしても生のままで使えることはほぼなく、データ活用人材のうち「データエンジニア」がデータを整理・加工して使えるようにする役割を担います。

【関連】データエンジニアとは~役割、他のエンジニアとの違いなど~

そこで今回は、異業種からデータエンジニアへジョブチェンジを果たしたブレインパッドのメンバーに声をかけ、「リスキリング×データエンジニア」を存分に語るシリーズを企画しました。

シリーズ第1回となる今回は、モバイルネットワークエンジニアからデータエンジニアへと転身した、データエンジニアリング本部ソリューション開発部、菅井熱志さんです。

■登場者

    • 菅井熱志
      株式会社ブレインパッド
      データエンジニアリング本部 ソリューション開発部

大学院修了後、通信事業者を経て2022年にブレインパッドに参画。入社後は化粧品会社向けマーケティング用データ分析基盤開発・運用やエンターテイメント施設のデータ基盤改修に従事。

※所属部署・役職は取材当時のものです。

はじめに

株式会社ブレインパッド、データエンジニアリング本部ソリューション開発部の菅井熱志です。現在は、データエンジニアとして化粧品会社向けのマーケティング用データ分析基盤開発・運用といった業務に携わっています。

今回は、私がどのようにしてブレインパッドに転職するに至り、転職後、リスキリングによりデータエンジニアとしてどのように経験を積んでいるかについてお話しさせていただきます。本記事がリスキリング事例の一つとして参考になれば幸いです。


これまでの経歴

モバイルネットワークエンジニアとして

大学院で通信工学を専攻していたこともあり、新卒で携帯電話通信事業者に入社し、以降9年間、モバイルネットワークエンジニアとして勤務しました。

モバイルネットワークエンジニアは、高品質で安定したモバイル通信サービスを提供するために、モバイル通信網の設計、開発、構築、監視、運用、保守といった業務を担当します。新サービス導入に向けた設備導入や設定変更、バージョンアップのほか、24時間365日サービスが稼働できるよう機器の監視や保守作業を行います。

そのため、ブレインパッドに転職するまではデータエンジニアとしての業務経験はありませんでした。

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新卒入社当時はモバイルネットワーク機器の運用・保守を担当していました。業務内容としてはネットワーク監視チームからネットワークエラーなどのアラート発生の連絡を受けた際に、トラブルシュート、機器交換といった対応を行うというものでした。この時期は、モバイルネットワークシステム間でどういった信号のやり取りが行われているかなどの仕組みを学んでいました。

その後、海外の通信事業者と現地で通信事業を新たに行うプロジェクトに参加し、ネットワーク監視チームの立ち上げに携わりました。赴任した当時は、チームの人数が足りておらず、業務プロセスも確立されていない状態で、適切にネットワークの監視ができていないような状況でした。現地でいちから同僚やパートナー会社と共に、監視チームを作り上げていきました。

この時期には、ネットワーク障害報告やその対策の実行管理を通じて、モバイルネットワーク全体について幅広く学ぶことができました。

交渉・顧客折衝スキルの獲得

当時、プロジェクトには様々な国籍、立場の方が参加しており、どうすれば相手に伝わるコミュニケーションがとれるかといったことも考えながら仕事をしていたので、技術以外に交渉スキルも身につけることができたと思います。

帰任後は、コネクティッドカーのプロジェクトに参加しました。コネクティッドカーとは簡単にいうと通信機能を備えた車のことです。海外通信事業者と技術折衝を行うチームの一員として、現地システムと自社システムとの連携に関する調査やPoCを行っていました。お客様である自動車会社とも日々コンタクトを取りながら業務を行っていたので、この時期に顧客折衝のスキルを身につけていきました。

上記の経験を通じ前職ではモバイルネットワークの技術知識やプロジェクト管理スキル、ビジネススキルを身につけることができました。一方、データエンジニアとしての経験はまったくない状態でした。このような状況から、後述する業務を通じてデータエンジニアという職種に興味を持ち、最終的にブレインパッドに入社することになりました。

次章ではより詳しく、データエンジニアに興味を持ったきっかけについてお話しさせて頂きます。


データエンジニアになろうと考えたきっかけ

クラウドへの興味

前述の通り、もともと大学院で通信工学を専攻しており、その経験を踏まえて携帯電話通信事業者に入社しましたが、モバイルネットワークに関する技術が比較的ニッチだと感じ、人生100年時代に向け、より汎用的な技術を身につけたほうが今後の自身のキャリア設計に生かしやすいのではないかと考えるようになりました。

また、前職の業務でAWSを使う機会があり、AWSなどのクラウドサービス提供事業者が構築した環境を、他の利用者と共同利用するタイプであるパブリッククラウドに興味を持ちました。

クラウドではオンデマンドでITリソースを瞬時に作り、すぐに試すことができるので、実際に色々と触って試しながら勉強していました。AWSの資格も取得しましたが、次第にクラウドについて業務経験を積んでみたいと思うようになりました。

データ活用への興味

一方、前職の先輩で、現在は転職されてAI関連の会社で働かれている方とお話しする機会があり、それがきっかけでAIにも興味を持つようになりました。その先輩は、事前学習済みの画像認識モデルを利用してPoCを行い、評価が良かった場合に実際に導入するというお仕事をされていました。その話を伺って、自分でもごく初歩的なモデルを作るようになり、そのうち、Kaggleという機械学習コンペティションのプラットフォームを知り、データサイエンティストという職種があることを知りました。

次第にAIや機械学習の業務適用に興味を持つようになり、前職の社内副業制度を活用してデータ分析サービスを提供している会社で働くことにしました。

副業先での業務目的は、お客様の保有しているデータを分析し、そこから洞察を得てアクションに生かせるよう支援することでしたが、そもそもどのようなデータがどこにあるか、といったことから確認する必要があるケースが多くありました。

データを見つけても分析できる状態になっておらず、データを整形してようやく分析が始められるようになります。分析を行うより、分析を行うためのデータの準備に時間が割かれるのです。

当初、データサイエンティストという職種について、最先端でスマートなイメージを持っていましたが、実際にはお客様との交渉・折衝やデータの整形といった分析の事前準備に要する時間が多く、想像していたよりも泥臭い仕事だと感じました。

データを集める大変さを体感し、データを適切に管理して活用することの重要性を認識しました。当時はデータエンジニアという言葉は知りませんでしたが、ここで初めてデータ活用やデータ管理に興味を持ちました。元々AIや機械学習の業務適用について知りたいと考え、副業に取り組みましたが、結果的にこれが、データエンジニアという職に興味を持つきっかけになりました。

転職活動について

当初は新卒で入社した携帯電話通信事業者から転職をすることは考えておらず、社内異動をして自身の望むキャリアを積むことができればと考えていました。

一方で、前職では外国籍の方々と働く機会が多く、彼らが転職してキャリアアップしていく姿を頻繁に見ていました。彼らと出会ったことで転職することへのハードルが下がり、自分でもチャレンジしてみようと思うようになりました。

そこで、自身が持っているスキルを生かしながら、クラウドでのデータ活用にチャレンジできる会社を探し始めました。特に重視していたのが、自分で手を動かすことができるという点でした。

会社によってはプロジェクト管理や社内調整といった業務がほとんどということもあるので、そういった部分に注意して転職活動を行っていました。最終的にプロジェクトマネジメントや顧客との折衝経験を評価頂き、ブレインパッドに入社することになりました。ブレインパッドでの業務は私の求めていた環境そのものでした。

データエンジニアになるには

データエンジニアに転身して苦労した・良かった点

苦労した点

データエンジニアとして必要になる知識は多岐にわたります。便利なツールやフレームワークもさまざま色々とあり、日々キャッチアップする必要があります。単にツールが使えるというだけでなく、根底にある技術も学んでいかなければならないと感じています。

また、適切にデータを収集・管理するためには、最終的にそのデータがどのように活用されるのかという点を理解しておくことが重要だと感じています。

例えば、データをマーケティングに利用するのであれば、マーケティング業務についてもある程度知識があるほうが望ましいと考えます。お客様のビジネスや業務についても、より理解を深めていかなければいけないと思っています。

良かった点

第一に、多岐にわたる技術に携わることができる点です。

データエンジニアリングでは、クラウド等でデータレイクやデータウェアハウスを構築して、Pythonやシェルスクリプトでバッチ処理を実装し、SQLでデータを変換・蓄積します。さらにデータウェアハウスに蓄積したデータをBIツールで可視化することもあります。大事なデータを保管しているため、セキュリティについても知っておく必要があります。こういった幅広い技術について、実際に手を動かしスキルを身につけることができるという点が大きな魅力です。

第二にデータ利活用の現場を知れる点です。

お客様がデータを活用してどのようなビジネス上の課題を解決しようとしているか知ることができます。お客様とコミュニケーションを取りながらプロジェクトを進めるので、実際にお客様がどのような課題をお持ちなのか、それをどのように解決しようとされているのかについて理解することができます。

また、これまでの様々なプロジェクトのナレッジが社内で共有されているので、そこから学ぶこともできます。データ利活用のノウハウを理解することは、今後のキャリアにとって有益だと考えています。

データエンジニアに必要なスキルとは

一般的に、データエンジニアに求められるスキルは、以下の通りです。

  • RDBに関する知識とRDBを扱うためのSQL
  • セキュリティも含めたネットワーク設計
  • クラウドに関する知識
  • 分散処理に関する知識
  • データ処理ワークフローなどを構築するためのプログラミング技術(エラーハンドリング等、細かい処理が必要)

詳しくは、弊社メディアの記事に様々な実例が載っておりますので、データエンジニアに興味のある方はご覧いただければと思います。

【関連】

どのようにデータエンジニアリングスキルを身につけていけばよいか

ベストな方法は、業務を通じて実践経験を積むことだと思います。しかし、そのような機会を作るには時間がかかるので、まずは簡単に試してみることをお勧めします。

どのように試すかというと、パブリッククラウドであれば、容易にITリソースを作って削除することができるので、書籍やUdemyの講座を購入してハンズオン形式で取り組んでみるのが良いのではないかと思います。

実際に取り組んでみると、自分が楽しいと思う領域を発見できたり、反対に、データエンジニアリングは自分には向いていなかったということも分かるかもしれません。

データエンジニアリングについてある程度理解ができたら、資格取得を目指しても良いと思います。資格取得が目的ではなく、資格取得の学習を通じて体系的に学ぶことが目的です。

資格は「こういうところを知っておいた方がいいよ」という学習ガイドのようなものだと思うので、何を学ぶべきかを調べることに時間を割くことなく、必要な知識をまとめて得られる機会だと考えます。もちろんそれだけではスキル習得には不十分なので、やはり実際に手を動かす機会を作る必要があります。

データエンジニアの職につくには?

もし機会があれば、現在の職場でデータを扱う機会がないか探してみるのが良いのではないかと思います。データを利活用したいという企業は多くあると思うので、意外とチャンスがあるかもしれません。

そういった機会を逃さないためにも、日頃から学習しておくことが大切だと思います。いざチャンスがあったときに機会を捉えて挑戦させてもらえるかもしれません。

データエンジニアとしての今

入社後の経験

ブレインパッドに入社してからは、マーケティング用データ分析基盤の開発・保守を担当しています。お客様とコミュニケーションを取りながら、課題を見つけて対策を考え、技術的な提案も行っています。お客様と直接お話しする中で、喜んで頂いている姿を見ると、とてもやりがいを感じます。

どのようにスキルを身に着けているか

上司とも相談しながらどういった技術スキルを優先的に身につけるべきかを考え、半年から1年先の予定を立てるようにしています。業務の都合などで優先順位が変更になったり、新たに追加になることもありますが、事前に計画を立てておくことは重要だと思います。実践経験を積むことで効率的にスキルが定着するので、身につけた知識はなるべく業務に活かすよう意識しています。

在宅勤務の場合は通勤にかかる時間を学習に充てています。それだけでは不十分なので、週末にも勉強をしています。

弊社ではスキルアップエイドという制度があり、書籍やUdemy等の購入や資格受験にかかる費用を補助してもらえるので、積極的に制度を利用しています。また、社内での勉強会や社内公開情報も活用して学習しています。

学習内容としては、SQLやAzure・GCPのデータ関連サービス、データベース、BIツールのTableau、Python、Terraform、Docker、Kubernetesを学習しています。まだまだ色々と気になる技術があるので優先順位をつけながら勉強していければと思っています。

【入社後に取得した資格】

  • Microsoft Azure Data Engineering Associate
  • Microsoft Azure Administrator
  • GCP Professional Data Engineer
  • GCP Associate Cloud Engineer
  • OSS-DB Silver 2.0
  • Oracle Master Silver SQL 2019
  • Terraform Associate
  • Certified Kubernetes Administrator

データエンジニアとしてのこれから

昨今、データガバナンスというキーワードを耳にするようになってきましたが、データ基盤は一度構築して終わりではなく、データを使用するユーザーが各種業務に活用しやすいよう継続的に改善していく必要があります。技術スキルも高めていきながら、こういったデータガバナンスの領域にチャレンジしてみたいと考えています。

【関連】【シリーズ】データガバナンスがもたらすもの-第5回 データ基盤構築とデータガバナンス(前編)

また、データエンジニアリングに使用するツールやシステムはどんどん新しいものがでてきますが、それらをキャッチアップしつつ、根底にある技術を学ぶことで、より技術者としてのスキルを深め、技術進化に対応できる人材になりたいと考えています。

最後に

リスキリングと聞くと大きな転換のように思えるかもしれません。しかし、これまで培ったスキルを活かしながら新たなことにチャレンジしていけば、無理なくスキルを習得できるのではないかと思います。本記事がリスキリングやデータエンジニアへの転身を考えている方のお役に立てれば幸いです。

リスキリングの意義などをより深く知りたい方はこちらもご覧ください。
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2004年の創業以来、「データ活用の促進を通じて持続可能な未来をつくる」をミッションに掲げ、データの可能性をまっすぐに信じてきたブレインパッドは、データ活用を核としたDX実践経験により、あらゆる社会課題や業界、企業の課題解決に貢献してきました。 そのため、「DXの核心はデータ活用」にあり、日々蓄積されるデータをうまく活用し、データドリブン経営に舵を切ることであると私達は考えています。

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