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企業のDXを推進する「DXコンサル」とは?コンサルティングの役割やメリット、実際の事例をご紹介

公開日
2022.10.31
更新日
2024.02.17

デジタル技術やデータをビジネスで活用する動きが広まる中、DX推進を掲げる企業は増えています。社内には技術に明るい人材がいないことから、外部にDXのコンサルティングを依頼するケースも多いでしょう。コストがかかることから、「コンサルティングで何をしてくれるのか」「本当に効果があるのか」と疑問に思う人もいるかもしれません。

そこで今回は、DXコンサルタントの役割と利用するポイント、実際のコンサルティング事例について、前後編に分けてご説明します。

▼DXの定義や意味をより深く知りたい方はこちらもご覧ください
DX=IT活用」ではない!正しく理解したいDX(デジタル・トランスフォーメーション)とは?意義と推進のポイント

本当に役に立つ?DXコンサルの役割

コストがかかる以上、DXを進めるに際して「本当に外部のコンサルを入れて効果があるのか?」と懐疑的になる方もいます。ここでは、効果を高めるのに欠かせないDXやコンサルティングサービスをご説明します。

DXコンサルを入れる前に理解したいDXの正しいあり方

DXはDigital Transformationの略語であり、デジタルによる製品・サービスやビジネスモデルの変革を意味しています。単にコンピュータを導入したりデータ活用を始めたりするだけではなく、全社的な変革を通じて市場における優位性を確立しなければなりません。データやAIはもちろん重要なパーツであり、意味のあるデータに変換・加工することや、精度の高いモデルを作成することは成功確率を高めるための必要な要素ではあるものの、それだけで都合良くDXを実現できるわけではないのです。

したがって、DX推進を始める前に経営層がビジョンや戦略を策定する必要があります。なぜDXを実現したいのか(Why)、DXによって何を会社にもたらしたいのか(What)といった問いへの答えを用意することで、初めてどんな技術を使い、どれくらいの予算・期間でプロジェクトを進めるのか(How)を考えられるようになります。

DXの定義や進め方などについての詳しい説明は、以下の記事をご覧ください。

【関連記事】DX(デジタル・トランスフォーメーション)とは?定義や日本企業の課題を解説

DXにおけるコンサルティングサービスの役割

AI関連テクノロジーを始め、各種技術を結びつけてDXを推進していく際に、一般的なコンサルティングサービスは、検討ステージ別に大きく以下の4つに分けられると考えています。

  • テーマ策定フェーズ
  • 戦略・実行計画フェーズ
  • プロトタイプ開発フェーズ(PoC)
  • サービス/システムの本格実装フェーズ

このうち、最後の「サービス/システムの本格実装フェーズ」を除く3つが本格的な開発より前の段階に当たります。取り組むべきテーマの選定、経営インパクトを創出できる戦略や具体的な実行計画の策定、パイロット的なモデル構築と評価などを行うことで、「なぜ・何を・どのように」DXを進めるか具体化される仕掛けとなっています。

DX推進プロジェクトで最も問題となるのは、「何が分からないか分からない」状態で詳細なシステムの設計や開発に取りかかってしまうときです。コンサルティングサービスは、この「分からないこと」を明確化することでプロジェクトのリスクを下げ、複雑化した状況を整理し、より実現可能性が高く効果を出しやすい方向へDX推進プロジェクトを導く機能を持つと言えるでしょう。

DXを成功させる「データ活用コンサルティング」とは?

DXとデータ活用を切り離すことはできず、DX推進にはデータ活用の体制・文化を社内に浸透させることが鍵となります。ここでDXコンサルは「データ活用コンサル」でもあることが求められます。

データ活用コンサルティングの内容は企業によって異なりますが、ブレインパッドでは大きく分けて「AI開発、受託分析、データ活用人材育成・組織開発」「データ活用を支えるIT環境・システム開発」「データドリブンマーケティングを実現するためのプロダクト/サービス」の3つを対象領域としてサービス提供を行っています。


DXコンサルティングが求められる背景

DXを推進する際に直面する課題を説明したうえで、DXにおける人材確保の難しさが外部のコンサルティングサービスの価値につながることを解説します。

IT導入はDXを意味しない

DXにはITがつきものではありますが、何かハードウェアやソフトウェアを導入したからといってDXを実現できるわけではありません。AIやRPA、IoTなど流行りのソリューションありきでプロジェクトを進めると、単なるPoC(概念実証、トライアル)や既存の業務プロセスの効率化にとどまり、全社的な変革にはならないのです。

AIもRPAも、DXを実現するためのひとつの手段です。これらの手段を活用してDXをどのように実現するのか、さらに言えばDXによってどの部分をどう変革して市場における優位性に結びつけるのかを考えることが最優先であり、その後にDXの実現方法として必要なソフトウェアやハードウェアなどを検討するのが、あるべきステップとなります。

こうしたDXとIT(IT化)の関係の詳細については、以下の記事をご覧ください。

【関連記事】「DX=IT活用」ではない!正しく理解したいDXの意義と推進のポイント

DX推進で最も苦労するのは組織づくりと人材確保

DX推進に際しては、ITへの投資に加えて、人材確保および組織づくりへのリソース投下が欠かせません。企業のDX促進に向けた取り組みを行う経済産業省は、以前よりDXを進める人材の不足とその確保・育成の難しさを課題として取り上げており、2021年に入って「デジタル時代の人材政策に関する検討会」を立ち上げました。

ここでは人材確保が重要であることを踏まえつつ、確保のためには外部から獲得するだけではなく、内部人材のリスキリングが重要であるとしています。リスキリングについては、以下の記事をご覧ください。

【関連記事】リスキリングとは?DX時代の人材育成に必要な考え方と方法論

人材育成が難しいなら外部リソースを活用

必要な人材をすべて社内で育成することが難しいのであれば、外部のリソースを活用することになります。ここでDXコンサルが検討に入ってくるはずです。

外部リソースというと、プログラミングやテストなどのノウハウを持つITベンダーが考えられます。しかし、DXにおいては、開発以前のビジョン策定や戦略策定、具体的な実行計画の策定などに課題を抱える企業が少なくありません。この場合、戦略策定や実行計画への落とし込みに豊富な実績を持ち、あるべき方向へプロジェクトを導くことのできるコンサルタントを入れるのが適しています。


DXコンサルティングを受ける際の注意点

DXについて外部ベンダーのコンサルティングを受け、プロジェクトを成功へ導くためには、受け入れ側の準備が必要です。ここでは、注意点を3点にまとめて解説します。

DX推進には経営層のコミットが必須

DXはビジネスモデルの変革であり、組織づくりや人材戦略を伴います。そのため、経営層が深くプロジェクトにコミットし、担当チームへ適切な権限付与を行うことが不可欠です。

DX推進は自社の変革を伴う、プロジェクトであることから、複数の部門やチームの間で軋轢が生じ、計画推進に支障をきたすリスクもあります。「組織の壁」を超えてDXを実現するためには、CEOやCTOなどトップのリーダーシップと覚悟が必要となります。

トップダウンだけでは動かない「抵抗勢力」への対処方法

トップのコミットメントが不可欠とは言っても、変革による「痛み」の前に抵抗が出ることはある程度避けられません。利害関係が錯綜する中で、DXの実現によって業務や組織を変えることに対して経営層と現場、あるいは部署同士の摩擦が発生する可能性はいつまでもつきまといます。

この際、経営層や現場のさまざまな利害関係者の意見を集め、自社の課題や向かうべき方向性を共有する作業が大切です。課題の共有を通じて「だからDXを進めなければならない」と利害関係者がDXへの当事者感を持つことができれば、経営層の判断にも納得感が生まれます。

経営層のコミットメントや関係者間の合意形成については、以下の記事をご覧ください。

【関連記事】【後編】DXの成果は「課題の自分ゴト化」と「トップのコミット」で決まる~全社一丸となって取り組む合意形成・協力体制の作り方~

自走できる状態まで伴走してくれるコンサルの選定

外部のベンダーやコンサルタントの力を借りるとしても、最終的には自社のメンバーが中心となってDXに関する議論や、実際のオペレーションを回していける状態になることが理想です。この状態へ持っていくことを目的としたコンサルティング会社を選ぶことが重要です。

具体的には、構想策定から関与してくれて、しかも先端IT技術への造詣が深く、開発力のあるベンダーが望ましいと言えます。単なる開発ベンダーではなく、また絵を描くだけのコンサルティング会社でもなく、両方にコミットしてくれるのがDX推進のベストなコンサルです。

また、ユーザーが自ら考えてオペレーションすることを考慮して、使いやすいUI・機能の構築、必要な知識・情報の提供を定期的にしてくれるかどうかも判断ポイントに入れた方がよいでしょう。

実際のDXコンサルティング事例

DXコンサルティングのイメージを持つために、実際にブレインパッドが実施しているコンサルティング事例についてご紹介します。

ベンダーとの「ワンチーム」で合意形成をサポート

社外のコンサルタントに戦略策定からソリューション導入、導入後の運用計画策定と実施まで、すべてを任せきりにしてしまっては、DXを達成できる可能性は高くありません。クライアントのコミットメントがないと、外部ベンダーは事業モデルや組織改編を含む踏み込んだ提言を行うことは難しく、結果としてシステム開発や分析結果の提供など、成果物を納品するだけで終わってしまい、その先にあるビジネスの変革にはつながりにくいからです。

ブレインパッドは、データ分析や活用/分析基盤の構築など技術的な対応はもちろん、それ以前の戦略策定段階からコンサルティングに関わることも多くなっています。具体的な要件が固まる前から支援を開始することによって、クライアントと課題やゴールを同じ目線で共有しやすいからです。

社外のコンサルタントと認識を共有することを意識して体制づくりや情報提供、ミーティングの場を設定すると、クライアントとベンダーの垣根を越えて「ワンチーム」でビジネス変革に取り組むことができるのです。

ワンチームで取り組むコンサルティングについては、以下の記事をご覧ください。

【関連記事】ベンダーとのワンチームで“トランスフォーメーションの壁”を突破する

エンジニア・非エンジニア双方に人材育成用研修サービス提供

ブレインパッドでは、データサイエンティストを育成する講座を始め、DX人材育成用の研修サービスを提供しています。DX文脈で育成すべき人材を「DX推進者」「一般スタッフ」「データ分析実務者」の3種類に分類し、それぞれに対して、各企業に求められるレベルのスキル・知識を提供できるような企業ごとのカスタマイスサービスとなっています。

ブレインパッドの研修サービスの特徴は、非エンジニア層にも全社的なDXを推進していくためには、データ分析スキルが必要であるとの観点から、サービス対象者を広く設定している点です。経営層やプロジェクトリーダーのようなDX推進者は、先端技術やデータ活用に関する知識を踏まえて、事業モデルを運営する必要があります。エンジニアではない一般スタッフも、データ活用スキルを身につけて効率的に自身のタスクを実行するとともに、必要な場合には外部のデータサイエンティストなど専門家の力を借りるなど、DXプロジェクトをディレクションすることで業務の質を高めることが求められます。

詳細は以下の記事をご覧ください。

【関連記事】DX時代に不可欠な、データ活用人材を育成するコツとは~累計4万人以上の育成経験を通して見えてきたこと~

ツール導入の先を見据えたデータ分析体制の組織コンサルティング

ブレインパッドでは、単なるツール導入やデータの受託分析にとどまらずお客様が自らデータによる価値創造を実現できるような組織開発・人材育成を支援しています。

マーケティングや生産(開発)、販売、顧客サポートなど、個々の組織ではデータ活用が進んでいるものの、施策が組織で分断されているためデータのサイロ化が進む傾向にあります。

ブレインパッドはこうした組織の壁を越えて、データを連携・統合できるデータガバナンスづくりや組織づくりを支援しています。これらの詳細については、以下の記事をご覧ください。

【関連記事】金融×デジタルマーケティング~サイロ化されたデータの価値を最大化する方法~

巨大グループの「流通DX」支援で社会課題の解決へ

ブレインパッドは、2018年から総合商社の伊藤忠商事様が進める「流通DX」のプロジェクトをパートナーとしてともに進めています。

伊藤忠商事様のデータ活用の軸は、「サプライチェーンの最適化」と「消費者接点の高度化」の2つです。サプライチェーンのコスト改善に加え、フードロスや過剰生産・過剰在庫の削減、また消費者データを用いた広告・金融サービスの拡大や店舗運営の高度化など、細かなテーマは多岐にわたっています。

これらの取り組みの根底には、データ活用による収益性向上はもちろん社会課題の解決を志向する考え方があります。特にサプライチェーンにおいては、24時間営業のための労働力不足や食品廃棄ロス、SDGsなど社会課題が山積みです。現場と向き合って課題を解決するために、ブレインパッドは業界理解や現場理解を踏まえながらデータ活用の気運を浸透させる試みを進めています。

こちらの詳細については、以下の記事をご覧ください。

【関連記事】【前編】未来を見据えた伊藤忠「流通DX」のリアル~BrainPad DX Conference 2022~テーマ別 企業DX対談

【関連記事】【後編】未来を見据えた伊藤忠「流通DX」のリアル~BrainPad DX Conference 2022~テーマ別 企業DX対談

【関連記事】【シリーズ】経営者の隣にデータサイエンスを。Vol.3 地に足をつけ、実益重視の変革を推進 伊藤忠商事が目指す、DXの「その先」

企業の「データ活用したい」を実現する組織づくりの支援

ブレインパッドは、金融業界におけるDXのフロントランナーであるりそなホールディングス様のデータ活用を2019年から支援してきました。特に、同社のデジタル戦略の中核を担う組織であるデータサイエンス室(現データサイエンス部)のデータ活用パートナーとして、組織立ち上げのマネジメントから環境整備、スキルトランスファー、人材育成までトータルに支援しています。

りそなHD様はデータ分析の外部委託を避け、外部の専門家とともにデータ活用の内製化を目指す方針を採っていました。そこで高度なデータ分析を請け負うこともでき、データ活用の自走化支援の経験も豊富なブレインパッドに白羽の矢を立てた形となります。

2022年には新たに資本業務提携契約を締結し、さらに一歩踏み込んだ試みとして「金融デジタルプラットフォーム」の構築による地域経済への貢献を掲げています。これは、りそなグループの金融デジタルサービスやデータを外部の金融機関と共有して、地域間/金融機関間の壁を越えて顧客の利用体験向上を目指しています。

こちらの詳細については、以下の記事をご覧ください。

【関連記事】【シリーズ】経営者の隣にデータサイエンスを。Vol.4 データの力で持続可能な変革を推進する りそなHDが目指す、新しい銀行の形

マーケティング・基盤構築・画像解析……広範囲にわたる支援事例

機械学習やディープラーニングの活用事例は幅広く、ブレインパッドでも業務効率化から顧客属性や嗜好に合わせたマーケティングの最適化、データ分析のための基盤構築、将来予測などデータ活用に纏わる幅広い実績があります。

データ活用スキル研修を通じた人材育成、活用したい技術や戦略が固まるより前の段階におけるテーマ選定や戦略策定、実行計画策定なども手がけています。DXに興味と危機感を持つお客様に深く入り込み、その実現を目指すお手伝いをコンサルティングと技術的支援の双方から実行しています。

ブレインパッドの提供サービスについては、以下のページをご覧ください。

【関連情報】ブレインパッドの提供サービス

まとめ

クライアントの課題とゴールについて利害関係者からヒアリングを行いながら整理し、全社的なビジネス変革の実現可能性を高めることがDXコンサルの仕事です。受け入れる企業は、可能な限り事前に長期的・短期的な課題とゴールを洗い出し、コンサルに自社と同じ目線で認識を共有してもらえるよう配慮する必要があります。

デジタル技術の進化やコロナ禍を受けて、DXはひとつの流行り言葉のようになっています。しかし、技術の目新しさや急激な事業環境の変化に惑わされず、外部のコンサルと「ワンチーム」で汗をかきながら困難に立ち向かう泥臭さこそが、DX実現へ突き進む推進力となるのです。

▼DXの定義や意味をより深く知りたい方はこちらもご覧ください
「DX=IT活用」ではない!正しく理解したいDX(デジタル・トランスフォーメーション)とは?意義と推進のポイント

DX人材に関しては下記の記事も是非ご覧ください。

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参考


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株式会社ブレインパッドについて

2004年の創業以来、「データ活用の促進を通じて持続可能な未来をつくる」をミッションに掲げ、データの可能性をまっすぐに信じてきたブレインパッドは、データ活用を核としたDX実践経験により、あらゆる社会課題や業界、企業の課題解決に貢献してきました。 そのため、「DXの核心はデータ活用」にあり、日々蓄積されるデータをうまく活用し、データドリブン経営に舵を切ることであると私達は考えています。

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