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※2024年現在、金融業界におけるDXはさらにアップデートされています。金融DXの最新解説記事はこちらです。
日本企業でも「DX」を経営戦略やIT戦略の中心に据える企業が増えていますが、金融業界でも例外ではありません。データ活用と最先端のツール・システム・データ基盤などを駆使して、企業文化やサービス・製品、マーケティングなどの革新を実現しようという証券会社や銀行などが出てきています。
今回は、2021年6月に発表された政府と東京証券取引所が行った調査の結果や、ブレインパッドの支援事例を参照しながら、金融業界におけるDXの取り組みについてご紹介します。なお、2020年のDX銘柄およびDX注目企業、その調査概要については以下の記事をご参照ください。
政府は「DX銘柄」をなぜ選んだのか?DX銘柄2020の内容と選定企業の傾向
(DXの定義や意味をより深く知りたい方はこちらもご覧下さい)
【関連】「DX=IT活用」ではない!正しく理解したいDX(デジタル・トランスフォーメーション)とは?意義と推進のポイント
2021年6月7日、経済産業省は、東京証券取引所と共同で「DX銘柄2021」を選定し、発表しました。銀行・証券・保険などの各業界を代表する企業が選ばれています。それぞれの取り組み内容を見ていきましょう。
りそなホールディングスは、2020年4月1日付けで南昌宏社長に事業開発・デジタルトランスフォーメーション担当統括を委嘱することで、「会社ぐるみでDXに取り組む」というメッセージを社内外に発信しました。また、データサイエンティストやDXなど業務分野別の複線型人事制度(コース制)を導入するなど、組織体制の整備にも乗り出しています。
他の金融機関同様に、りそなでもバンキングアプリを顧客に提供していますが、さらに他金融機関へアプリ提供している点が特徴的です。オープン・プラットフォームとして自社のアプリケーション基盤を提供することで、利便性の向上や地域経済の活性化を目指しています。
テクノロジーの発達で事業環境が激変する中、東海東京フィナンシャル・ホールディングスではFinTech機能を連携・発展させた「東海東京デジタルワールド」と呼ばれるDXプラットフォーム機能を実現させています。
東海東京デジタルワールドの主な目的は、以下の3つです。
①資産管理アプリや設立予定のスマホ専業証券のようなユーザーとの接点から得られたデータによる新規ビジネス機会の創出
②デジタル通貨やクラウドファンディングなどを軸とした地方創生プラットフォーム
③営業や管理事務など社内業務の効率化
このプラットフォームを地域金融機関や事業会社に提供し、広範かつ多様な金融ニーズにDXで応えていこうとする取り組みです。
※また、ブレインパッドの支援を受けながらデータ分析の内製化を進め、2021年時点では営業統括部の社員がデータベースの運営やデータの分析を担っているといいます。
MS&ADは、チャットボットやRPAを活用した業務改革を始めとする、DXをグループ横断的に取り組んでいます。傘下のグループ各社に専門部署を設けるとともに、「デジタライゼーション推進委員会」を設置。グループをあげてDXに取り組んでいます。
具体的な取り組みとしては、企業の抱えるリスクを可視化するサービスである「RisTech」が挙げられます。RisTechは、保険会社が保有する事故データなどのデータに加え、取引先が保有するデータなど外部データを取り込んで分析することにより、企業の課題解決を図るというものです。
「DX注目企業2021」には、金融業界から5社が選定されています。それぞれの取り組みの概要をご説明します。
三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)は、グループ各社が多様なサービスを提供していることから、多様かつ膨大なデータを保有しています。それらのデータを活かして、新たなサービスを開発しています。
たとえば、預金や資産運用、住宅ローンなどに関する内部データとグループ会社や外部のデータを連携させることでして、パーソナライズドマーケティングを可能とするマーケティングプラットフォームを構築しました。他にも、電子契約やビジネスマッチングを始め、CRM、名刺管理、人事・労務など必要なデジタルツールをワンストップで調達できるプラットフォームを開設しています。
大和証券グループ本社では、他社資産を含む顧客が保有する金融資産の運用をサポートするツールを導入しました。資産タイプ別の金額などの基本的なデータを表示するだけではなく、投資意思決定のサポート、運用状況のモニタリングまで行います。
他にも、持株会・ストックオプション・特定譲渡制限付株式などといった制度商品サービスの閲覧および各種手続きをオンライン化した「制度商品WEBサービス」を今後リリース予定です。
SBIインシュアランスグループでは、テレマティクス(カーナビのような車載器と移動体通信システムを利用した情報・サービスの提供)やブロックチェーンのように、新たな技術・概念を活用したサービスを開発しています。たとえば、テレマティクス関連サービスを拡充することで、顧客の安全な運転をサポートするプログラムがあります。また、ブロックチェーン技術を使った代理店・募集人管理基盤システムの開発にも成功しました。
SOMPOホールディングスは、グループ内外のデータやパートナー企業のテクノロジーを用いて「リアルデータプラットフォーム」の構築に取り組んでいます。介護、モビリティ、防災・減災、農業、ヘルシーエイジングという5つの事業領域に注力して、新たな顧客価値の創出を目指すものです。
リコーリースは、物件販売やリース契約に伴う与信業務および契約受入を効率化するために、デジタル技術を活用したシステムを開発。AI技術を既存の審査システムに組み合わせることで与信業務のスピードアップ、また契約書を電子データとして出力することで契約プロセスのデジタル化を図っています。
DX銘柄やDX注目企業に選定されていなくても、特筆すべき取り組みを進めている企業は少なくありません。最後に、ブレインパッドが携わった金融業界のDX事例についてご紹介します。
山口FG様は、金融資産の流通以外を含めた支援を通じて地域企業を活性化させ、地域に暮らす人々を豊かにする「リージョナル・バリューアップ・カンパニー(地域価値向上会社)」としての取り組みを進めています。この取り組みの実現のためには、銀行の勘定系システムを始めとした複数のシステムに分散している顧客情報、ウェブサイトの行動履歴などを始め、地域のあらゆる情報を統合したデータ活用基盤の構築が必要不可欠でした。
ブレインパッドは、山口FG様の傘下銀行の情報を一元的に収集・管理する「統合データベース」を、日本マイクロソフトとともに「Microsoft Azure」上に構築しました。山口FG様の求める迅速性・柔軟性・信頼性および高いセキュリティ水準を備える統合データベースを、わずか6ヵ月強というスピードで実現したことになります。
山口FG様は、この統合データベースを活用して新たな顧客価値の創出につなげていくことを目指しています。まず、ブレインパッドの持つレコメンドエンジン搭載プライベートDMP「Rtoaster」をウェブサイトおよびポータルアプリ上で活用。お客様ごとにパーソナライズされた商品・サービスを表示するレコメンド施策を開始しました。今後も、ブレインパッドの支援でデータを活用した情報発信やサービス展開を行っていく予定です。
データ活用のためには、データサイエンティストだけではなく、一般社員もデータ分析の基礎的な知識やノウハウの習得が望まれます。ビジネス課題とデータ分析をつなげられるのは、特定のデータサイエンティストというより現場の一般社員だからです。
三菱UFJ銀行様は、一般社員がデータリテラシーを持つ必要性にいち早く気づいた企業の一つです。データを活用できる人材を全社的に育成するための施策として、ブレインパッドの「データ活用人材育成サービス」を採用。あらかじめ、必要なスキルを統計検定2級/3級など69項目定義し、それらを学べる最適なサービスとこれを提供するパートナーを探した結果、ブレインパッドを採用するに至ったのです。
2019年3月からeラーニングによる社員教育を開始し、その後、集合研修を実施しました。開始から7ヵ月間で1,500人がeラーニングを受講し、集合研修にも想定以上の応募があるなど、社員から大きな関心を集めています。
日本生命様は、数年前からデータ活用のために必要なデータサイエンティストの育成・配置を進めていました。しかしながら、特定の担当者以外にはデータ活用の重要性やデータ分析の概要に関する理解が不足していたため、必ずしも想定していたようなデータ活用が進んでいませんでした。
そこで、ブレインパッドの支援で全社向けのデータサイエンス基礎研修、総合演習の選抜研修、アクチュアリー向けのデータサイエンティスト育成研修、新卒・2年目社員向けの基礎研修など、さまざまな階層に対するさまざまなレベルの研修を実施しました。ブレインパッドは、日本生命様に最適化された研修コンテンツを開発しています。
参加者からはおおむね好評で、研修担当者様からも「大きな手応えを感じた」との評価をいただいています。これをデータ活用への第一歩として、全社的なデータリテラシーの向上に今後も取り組んでいきます。
デジタル技術によって外部からの事業参入も相次ぐ中で、金融業界もDXによる新たな価値創出や業務効率化などが「待ったなし」の課題となっています。また、もともと多くのグループ企業を抱え、多種多様なサービスを展開することが多い金融業界。蓄積された豊富なデータを強みとして、新たなサービス展開を目指す企業も増えています。
デジタルやデータの力を活かすには、専門知識と経験を持つ最適な外部パートナーの選定が欠かせません。
経済産業省・東京証券取引所「デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)2020」
ブレインパッド「ブレインパッド、山口FG傘下の3銀行のデータをクラウド上で一元収集・活用する統合データベースを構築」
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