マーケティング担当者のなかには、One to Oneマーケティングを実践したいと考える人も多いでしょう。売上の向上や顧客との継続的なつながりを意識している場合、One to Oneマーケティングの実施は有効な方法の一つです。
この記事では、One to Oneマーケティングとはどのようなものか、円滑に進める上での重要なポイントなどを紹介します。ぜひ参考にしてください。
One to One マーケティングとは
One to Oneマーケティング(ワントゥワンマーケティング)とは、それぞれの顧客の要望に合わせたマーケティングを行うことです。顧客の購入履歴や行動履歴などをデータ化・分析することで、それぞれの顧客に適した情報を個別に提供します。
インターネットの普及に伴い、消費者が得る情報も増え続け、そのニーズも多様化しています。こうした背景から、従来のような不特定多数へ向けたマスマーケティングでは、成果を上げることが難しくなりつつあります。One to Oneマーケティングでは、個人のニーズに応じたマーケティング活動ができるため、顧客満足度やロイヤルティの向上が期待できます。
Cookie情報を元にしている
One to Oneマーケティングは、閲覧した情報が保存される機能である「Cookie」を元にした仕組みです。この機能を利用することで、顧客が同じWebサイトを再び訪れた際、前回の情報を元にしたアプローチが可能になります。
たとえば、Webサイトを閲覧している際に以前検索した商品や趣味の広告が現れることがあります。これは、インターネットを利用したときに、閲覧・検索履歴や、好みの傾向、ネット通販などで入力した情報などが、閲覧者のコンピュータに一時保存されるからです。
マスマーケティングとの違い
One to Oneマーケティングの比較対象としてよく挙げられるのが、市場全体をターゲットにするマスマーケティングです。マスマーケティングでは、販売したい商品やサービスの市場全体に対し、すべての顧客に同一のアプローチを行っていました。しかし、同じ市場のなかでも顧客のニーズは一人ひとり異なるため、すべての人に有効とは限りません。
一方、One to Oneマーケティングでは、個々の顧客が求める情報を適切に与えられます。人それぞれのニーズに沿ったアプローチが可能となるため、より大きな成果が期待できます。
One to One マーケティングのメリット
One to Oneマーケティングは顧客とよい関係を築きたい場合や、効果的な販促を行いたい場合に大きなメリットがあります。以下では、その詳細を解説するので、参考にしてください。
顧客との関係性の向上
One to Oneマーケティングを行うと、顧客との関係性の向上も期待できます。情報量が多い現代では、不要な情報ばかりが送られてくると、顧客は「煩わしい」と感じてしまいがちです。しかし、個々のニーズを把握していれば、顧客が必要としている情報のみ発信できます。不要な営業や広告による不快感を与えることなく、商品やサービスの訴求が可能なのです。
マーケティングを行う上では、顧客と良好な関係を築くことが重要です。顧客の趣向やニーズに沿ったアプローチをすることで、企業との間に信頼関係が生まれます。すると、顧客は安心して商品やサービスを利用するようになり、リピート率の向上にもつながります。
コストパフォーマンスに優れている
従来は、マスメディアを利用したマーケティングが主流でした。しかし、そのような手法は多額の費用が必要です。
One to Oneマーケティングであれば、個別のアプローチが可能になり、コストパフォーマンスも高くなります。もともと購買意欲が高い顧客に必要な情報だけを配信できるため、利用につながりやすくなるからです。その際、購買に結びつくようなメール配信や広告、サイト表示などのアクションは自動で行えるため、効率的に宣伝できます。
One to One マーケティングの実現によりもたらされる効果
One to Oneマーケティングを実現することで、個人に合わせたコミュニケーションが可能になります。どの商品を多く購入しているか分析し、ケースごとに対応していくためです。
このような個別のコミュニケーションを積み重ねていくことで、長い期間で利用してくれる顧客の増加にもつながるでしょう。リピーターが長期にわたるほど、LTV(ライフタイムバリュー)も上がり続けます。この結果、企業は継続的な顧客を確保することができます。
One to One マーケティングを実施すべき企業とは?
「いつも特定の商品しか購入されていない」「リピート率が少ない」「購入のきっかけが作れない」といった悩みがあるなら、One to One マーケティングの導入が必要といえます。
情報量が多い現代では、顧客は自分に関係のある情報だけを求めています。いつも全体へ向けたダイレクトメールばかりでは、いくら配信しても見てもらえないことの方が増えてしまうのです。自分に必要のない情報は顧客にとって価値がありません。価値のない情報ばかり配信していると、顧客が本当に必要としている情報まで見逃してしまう可能性があります。
これまでのアプローチが効かず顧客単価が伸び悩んでいる場合は、個々に合ったアプローチが必要です。ぜひOne to Oneマーケティングの導入を検討してみましょう。
One to One マーケティングの手法
One to One マーケティングには、具体的にどのような手法があるのでしょうか。ここでは、主な4つの手法について、以下で詳しく紹介します。自社に合った手法を取り入れてみましょう。
レコメンデーション
レコメンデーションとは、過去の購買履歴から次のおすすめ商品の広告を掲載する手法です。ECサイトや通販サイトでもよく見られます。顧客自身が購入した商品以外にも、ほかの顧客が購入した商品からのおすすめを表示させることも可能です。
レコメンデーションいくつかの種類があります。以下で紹介します。
レコメンデーションのバリエーション
レコメンデーションの方法は主に、ルールベース、協調フィルタリング、コンテンツベース、ベイジアンネットワークなどがあります。
ルールベースは、Aの商品を購入した人にはBもすすめるなど、あらかじめルールを決めておく方法です。協調フィルタリングは、購買履歴をもとに、ほかのユーザーが購入した商品をすすめます。コンテンツベースは、類似した関連商品をすすめるタイプです。ベイジアンネットワークは、購入履歴や行動履歴、属性といった情報から、高い購入率の商品をすすめます。
どれも大手通販サイトなどで活用されている手法で、複数を組み合わせることも可能です。
マーケティングオートメーション(MAツール)
MAツールとは、マーケティングを自動化するためのツールです。顧客がWebページを閲覧してから、購入するまでのプロセスを自動化してくれます。一度は商品を選んでいた顧客が購入しなかった場合、途中で離脱してしまった場合など、状態ごとに広告表示やメール配信といったアプローチを自動で行うことができます。
リターゲティング広告
リターゲティング広告とは、訪問したWebサイトや商品の広告を表示させる手法です。Cookieにより顧客の閲覧状況や興味を把握し、見込み客がWebサイトを再訪問した際に再度その商品やサービスを表示して利用を則します。また、どのページをどの程度見ているかにより、関心度ごとでも分けることができます。
LPO(ランディングページ最適化)
LPOとは、ユーザーが最初に見るWebページを顧客ごとに最適化することです。趣味や居住地など、ユーザーのプロフィールをもとに関連する情報を表示し、途中でサイトから離れるのを防ぎます。ダイレクトメールやSEOによりWebページに誘導できたとしても、求めていた情報がなければユーザーはすぐに離脱してしまうでしょう。離脱を防ぐことは、費用対効果を引き上げることにもつながります。
One to One マーケティングを実現するために役立つツール
One to Oneマーケティングを実現するためには、各顧客の情報を分析する必要があるため難しいと思われがちです。しかし、上記で解説した主な4つの手法には、それぞれを自動化するツールがあります。
Web接客ツール
Web接客とは、実店舗で行っているようなやりとりを自動で行ってくれるツールです。チャット機能での問い合わせ対応やメッセージの送信、登録フォームへの誘導などを行います。One to Oneマーケティングに必要な情報をこれらのアクセス履歴から読み取り、顧客ごとのセグメントに分類したうえで、それぞれに適した情報を表示させます。
MA(マーケティングオートメーション)ツール
MAツールとは、前述で解説した通り、購入者へのマーケティングを自動化するツールです。購買へつながらなかった顧客がどのような状態なのかを判断し、段階に応じたアプローチをします。商品を検索したりカートへ入れたりしていた顧客に対して広告を表示させることが可能です。また、購入・行動履歴に応じたメール配信などを行うこともできます。
プライベートDMP(データマネージメントプラットフォーム)/CDP (カスタマーデータプラットフォーム)
プライベートDMP/CDPとは、インターネット上で取得した顧客情報を管理するツールです。問い合わせ内容などの履歴やWebサイト内での行動履歴といった情報を、企業が管理しやすいようセグメントします。プライベートDMP/CDPを活用すれば、顧客ごとの膨大な情報をまとめて管理でき、One to Oneマーケティングが効率的に行えます。
まとめ
顧客のニーズをより深く理解してOne to Oneマーケティングを実施するには、ユーザーのデータ収集が重要になります。まずは、効率のよい情報管理をするため、プライベートDMP/CDPの導入から検討してみてはいかがでしょうか。
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