パーソナライゼーションとは、企業側が顧客にあわせて商品やサービスを提案する手法です。この記事では、BtoC企業のマーケティング担当者に向けて、パーソナライゼーションとは何なのかを解説します。あわせて、パーソナライゼーションのコツから注意点まで紹介します。効果的なマーケティング施策の参考にしてください。
パーソナライゼーションとは?
パーソナライゼーションという言葉を知っていても、詳しい意味がわからない方向けに、パーソナライゼーションの概要について詳しく解説します。
「パーソナライゼーション」と「カスタマイゼーション」
パーソナライゼーションとは、顧客のニーズに応えるために、企業側が顧客の属性・行動履歴などのデータを基に、顧客一人ひとりにあわせて商品やサービスなどを選定し、提案する手法です。混同されがちな言葉としては、カスタマイゼーションが挙げられます。カスタマイゼーションは、企業側ではなく顧客自らが商品やサービスを選ぶことが特徴です。
パーソナライゼーションは、CX(顧客体験価値)の向上、顧客満足度の向上や顧客単価の向上などの目的で活用されます。パーソナライゼーションは顧客の属性・行動履歴にあわせて商品・サービスなどを提案するという性質上、顧客に関する詳細なデータの蓄積や分析が重要です。
パーソナライゼーションを進める企業が増加傾向
パーソナライゼーションを活用する企業は増加しています。パーソナライゼーションは生活に浸透しており、目にする機会も増えていることでしょう。。パーソナライゼーションの主な例として以下が挙げられます。
・行動データ履歴を参考にした「コンテンツの提供」
・顧客の属性や行動データ履歴などにあわせパーソナライズされたメールやDMなどを送るといった「コミュニケーション」。それらを送信する「タイミング」
・ECサイトや動画サイトの「レコメンド(おすすめ)表示」
参考:レコメンドとは?マーケティングで活用できるレコメンドシステムを徹底解説
パーソナライゼーションが重要視される理由
パーソナライゼーションの重要性が高まっている背景には何があるのでしょうか。以下では、パーソナライゼーションが重要視される理由を解説します。
情報収集チャネルが多様化したため
従来はテレビCMやラジオでの広告といった、企業が不特定多数の顧客に対して一方的に発信する形のマスマーケティングが高い効果を発揮していました。
しかし、インターネットの普及やtwitter、Instagram、FacebookなどSNSの浸透など、情報収集チャネルの選択肢が多様化しました。多様化により、企業から与えられる情報を受け取るだけでなく、顧客自らが検索し必要な情報の主体的な収集・比較が可能となりました。そのため、不特定多数にアプローチする広告手法だけではなく、顧客ニーズに合わせてマーケティングをおこなうパーソナライゼーションの必要性が高まっています。
顧客の価値観が多様化したため
情報収集チャネルが多様化したことで、顧客の生活や価値観の多様化も加速化しています。
気になる商品・サービスの詳細をインターネットで検索するだけでなく、SNSなどの口コミや評判から自分のニーズに合った商品・サービスを簡単に探し出したり、自らが発信して問いかけたり、トレンドを作ることも可能な時代になりました。
その結果、マスマーケティングが主流の時代以上に、多様な価値観が生まれるようになりました。そういった背景から、個人の趣味嗜好や属性を尊重しながら、個々人に個別のアプローチをするパーソナライゼーションの重要性が向上していると考えられます。
顧客体験を重視する顧客が増えたため
顧客体験は、カスタマーエクスペリエンス(CX)とも呼ばれます。顧客体験は顧客が商品やサービスを体験して、顧客視点でその価値を評価することを意味します。ここでの「価値」とは、商品やサービスを購入する前の対応から購入後のサポートまで、顧客が自社商品に関して体験したすべてが対象です。
先述した情報収集チャネルや価値観の多様化により、商品・サービスそのものの価値だけでなく、顧客体験を重視する顧客は上昇する傾向にあります。
そのため、「上質な体験」を顧客に提供するという点においてもパーソナライゼーションへの注目が高まっています。
関連:カスタマーエクスペリエンス(CX)とは何か?成功事例や向上のポイントも解説
自分の考えや嗜好に合う企業を求める顧客が増えたため
顧客体験が重要視されるようになったことで、商品やサービスなどの性能はもちろんのこと、「自分に合っている・自分を理解しているかどうか」を重視する顧客が増えました。
「上質な体験」を通して自分に合っている・自分を理解している企業だと感じてもらえれば、ファンとなりリピーターになってもらえる確率も高くなるでしょう。それは結果的に競合優位性にも繋がります。
そのためには、顧客一人ひとりの理解と、その人に合った適切なアプローチなどが重要となります。そういった背景もありパーソナライゼーションへ注目が高まっています。
パーソナライゼーションで重要な3つのデータ
パーソナライゼーションを活用する際には、3つのデータが重要です。以下ではそれぞれのデータについて解説します。
コンテキスト(顧客の環境)
コンテキストとは、背景情報のことです。背景情報とは、顧客が使用しているデバイスの種類やサイトやアプリを利用する時間帯、住んでいる地域などの情報を指します。背景情報を把握することで、顧客行動に間接的な影響を与えられます。例えば、住んでいる地域や行動範囲などから近い店舗の情報をピックアップして提供することが可能です。
デモグラフィック(顧客の属性)
デモグラフィックとは「人口統計学的属性」のことで、性別や年齢といった基本的な情報から、顧客の興味関心といった「顧客の属性」を指します。これらをもとに、顧客にあった情報を提供できます。
デモグラフィックを収集するには、ECサイトの登録時に基本情報を入力してもらうなど、顧客自身で入力してもらう方法が一般的です。また、SNSアカウントからアプリなどにログインして情報を収集する方法も増加しています。
ビヘイビアー(顧客の行動データ履歴)
ビヘイビアーとは、顧客の行動データ履歴のことです。ビヘイビアーは、パーソナライゼーションの効果がもっとも高いポイントだといわれています。ECサイトでどのような商品を閲覧しているか、どのバナーをクリックしているか、購買履歴などが行動データ履歴に当たります。
特定のジャンルの商品を多く閲覧している顧客には関連した商品をレコメンドしたり、購買履歴から関係するコンテンツを表示したりできるため、顧客にあった情報の提供が可能です。
パーソナライゼーションのコツは?
パーソナライゼーションを上手に活用したい場合には、コツを押さえましょう。ここでは、4つのコツを解説します。
タイミングを重視する
顧客の行動データ履歴に注目して、それぞれのタイミングにあわせた情報提供などをおこないましょう。例えば、特定ジャンルの商品をよく検索している、買い物かごに商品を入れたが購入しないままになっているといったタイミングで、メルマガ配信したり割引券を配布したりするのが良い例でしょう。これにより、購買意欲向上が期待できます。
コミュニケーション手段を選ぶ
顧客の購買行動や価値観だけでなく、コミュニケーション方法も多様化しています。例えば、電話やメールだけでなく、SMSやLINE、SNSなどさまざまなコミュニケーション手段が挙げられます。顧客によって電話はしたくない、メールは使っていないなど好みや利用状況が異なるため、それぞれの状況に応じた選択が大切です。
顧客のニーズに合う商品・サービスを提供する
顧客はすべての人に合うものではなく、自分にあった商品やサービスを求める傾向が強いです。そのため、基本的な顧客情報だけでなく、閲覧履歴や購買履歴、背景情報などの幅広いデータを集めましょう。これらをもとに顧客のニーズを分析し、商品やサービス開発に活かします。表面的な情報だけでなく、深層心理を探っていくことも重要です。
A/Bテストにより顧客の好みを探求する
A/Bテストとはマーケティング手法の1つです。具体的には、AとB異なるパターンのコンテンツを同じ条件下で表示して、どちらの方が特定の顧客ジャンルに受け入れられるのかを検証して、それぞれの属性などに応じた効果的なコンテンツ表示パターンを把握します。1回だけ検証するのではなく、場合によっては複数回検証することもあります。
A/Bテストによって属性ごとのパターンや好みなどを把握できるため、これらの情報をもとにしてより精度の高いパーソナライゼーションが可能です。
パーソナライゼーションの注意点
パーソナライゼーションを活用する際には、2つのポイントに注意しましょう。
企業のデータ活用に対する規制
パーソナライゼーションをおこなうには、顧客に関するさまざまな情報を収集しなければいけません。個人情報が漏洩してしまうと、社会的な信用や顧客からの信頼を失ってしまうため、強固な管理体制、セキュリティ対策が必要です。また、個人情報の取り扱いに対して、ユーザー側から情報開示や情報活用を反対されるケースもあります。
ピンポイントでマッチさせる難しさ
パーソナライゼーションで顧客にピタリとあう情報を提供するのは簡単ではありません。パーソナライゼーションによって顧客それぞれのニーズを推測し商品やサービスを提供しても、好みと異なる場合には、マーケティング効果が発揮できません。場合によっては、おすすめがしつこいと感じられ、逆に好感度や信頼度が下がってしまうケースもあります。
そのため、顧客に関する詳細なデータ蓄積とそれに基づいた施策をおこなうのはもちろんのこと、データ分析ができる基盤や社内体制を整えておくことも重要です。
まとめ
パーソナライゼーションとは、企業側が顧客の属性や興味関心などにあう商品やサービス、情報などを提供するマーケティング手法です。顧客の行動や価値観などが変化したことで、パーソナライゼーションの重要性は高まっています。
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記事公開日:2021年2月17日
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