UX(ユーザーエクスペリエンス)とは、ユーザー体験ともいわれ、Webマーケティングを行う中で重要性が高い概念です。簡単に言えば、UXは、あらゆる製品やサービスを通してユーザーが感じる使いやすさ、感動、印象といった体験すべてを指します。この記事は、マーケターに向けてUXに関する内容を解説しています。UXとUIの違いやUXの改善方法、さらに改善事例も紹介していますので、ぜひご活用ください。
目次
UXとはユーザー体験のこと
UXとは「User Experience(ユーザーエクスペリエンス)」を略したものです。ユーザーが得られる体験のことを指し、「Experience」は「体験・経験」といった意味を持つため、「ユーザー体験」、「ユーザー経験」とも訳されています。先述のとおり、UXは、あらゆる製品やサービスを通してユーザーが感じる使いやすさ、感動、印象といった体験すべてを指します。
例:Webサイト上のUX
WebサイトのUX(ユーザーエクスペリエンス)は、ユーザーがサイトを利用する際の体験全体を指します。以下にいくつかの主要な要素を挙げてみます。
- ユーザビリティ: サイトが使いやすく、直感的であること。ユーザーが目的を達成するために必要な手順が最小限であることが求められます。
- デザイン: 視覚的な要素(色、タイポグラフィ、画像、レイアウトなど)が魅力的で、ブランドのメッセージを強化し、ユーザーの興味を引くこと。
- コンテンツ: 提供される情報が価値あるもので、ユーザーの問いに答えることができること。
- インタラクション: ユーザーがサイトとどのように相互作用するか。これには、ナビゲーション、フォーム、ボタンなどの要素が含まれます。
- パフォーマンス: サイトが速く、効率的に動作すること。遅いロード時間はUXを大きく損ないます。
- アクセシビリティ: すべてのユーザーがサイトを利用できること。これには、視覚障害や聴覚障害などの障害を持つユーザーも含まれます。
これらはすべて、ユーザーがサイトを使いやすく、満足できる体験を提供するための重要な要素です。
具体的には
・レイアウトやデザインが、どのページを開いても同じパターンであるほうが情報を探しやすいとなという感想・体験
・コントラストをしっかりとついていて文章が読みやすいなという感想・体験、
・画像やアイコンには、色覚障害者を考慮したラベルや形状の変化をつけてあり親切なサイトという感想・体験
・画像など含め・表示速度が速くてストレスがなく快適だという感想・体験。
・関連性の高い情報が近くに表示させていて親切な動線設計だなという感想・体験
・お問い合わせフォームの入力が簡単で楽だなという感想・体験
など、これらすべてUXと言えます。
例:Webサイト以外での体験
・スマートフォンのロック画面の解除方法が、楽に且つ精度が高くなって便利だという感想
・ECサイトでも、商品に関する必要な情報の手に入りやすくなったという感想や体験
などこれらに関してもすべてUXと言えます。
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UXとUIの違いとは?
UXはユーザー体験と前述しましたが、UXと並列して語られるUIとはUXとどのように異なるのでしょうか。
UI(ユーザーインターフェース)とはユーザーとの接点
UIは「User Interface(ユーザーインターフェース)」の略であり、「Interface」とは接点や接触面を意味します。ものとユーザーをつなげる窓口のようなもので、Webサイトでいえば、文字の大きさやメニューの場所、申し込みボタンの色・文言といった視覚的な情報がUIにあたります。これらの工夫や改善を行うことで、作業効率や使いやすさの向上を実現できます。
また、Webサイトおいて特定のユーザーに対しての使いやすさを示す「ユーザビリティ」という指標がありますが、UIと一緒によく使われる言葉です。IT技術が発達し、さまざまな分野でコンピューターを使用するようになると、使いにくさや難しさといった課題が浮上してきました。そこでユーザビリティが注目されるようになります。ユーザビリティを考慮することで、UIが向上してきたと言われています。
UXとUIの関係性
UXとUIは、名前が似ているためセットで覚えられるということもありますが、強い関係性や境界線が曖昧であるため混同されやすくもあります。UXとUIの違いを解説すると、UXは製品やサービスを利用する際のユーザーの全体的な体験を指し、使いやすさや効率、感情的な反応などが含まれます。
一方で、UIは、ユーザーが直接触れるインターフェースの設計に焦点を当てたもので、ボタンやアイコン、レイアウトなどの視覚的・対話的要素を指します。UXは製品の使用感や経験に関わる広範な概念であり、UIはその具体的な操作部分に関するものです。わかりにくいUIでは、ユーザーが離れてしまいます。UX向上のためには優れたUIが不可欠です。
しかし、気をつけなければいけないのは、UIはUXを向上させるための要素のひとつだということです。UXを生みだすのはUIだけではありません。Webサイトの目的や充実したコンテンツなどユーザーに寄り添った、意義のあるWebサイトにするためのひとつの手段としてUIを活用することが重要です。
UXとUIの具体例
UXとUIは、関係性が密接なため違いがわかりにくいかもしれません。ここでは、事例をもとにそれぞれの違いについて紹介します。
UXの事例
①飲食チェーン店のUX
ある飲食チェーン店のUX事例を紹介します。顧客はその店舗で販売されているメニュー(モノ)を買いに来ているだけでなく、その空間で飲食するという体験(コト)も味わうためには来店します。店員の接客、店内のインテリア、スマートな雰囲気や流れている音楽など、「商品(モノ)」に「体験(コト)」という付加価値をつけることで競合他社にはないUXを生み出しています。
②スマートフォンアプリ開発のUX
スマートフォンアプリの開発でも、UXは重要視されています。スマートフォンやタブレットの利用が一般化したことで利用ユーザーが増えているとあるスマートフォン用メールアプリでは、幅広い年齢層が使いやすく、会話を楽しんでもらえるようにUXデザインをしています。また、そのUXデザインを高める要素としてUIやデザイン、機能などが設計されています。
その結果、従来のメールアプリより会話の流れがわかりやすく、気軽に楽しめるというUX(ユーザー体験)を提供し利用者数を伸ばしています。
③大手料理教室のUX
その大手料理教室は、女性が集うというイメージを払拭し、友人や家族で気軽に参加できるという今までになかったUXを提供することでと人気を集めています。性別や年齢に関係なく参加できるレッスンメニューを増やし、おしゃれな空間でコミュニケーションを楽しめる、新しいUXを実現することで事業を拡大させています。
UIの改善事例
UIの改善事例として、お問い合わせフォームの改善を紹介します。メールアドレスを入力する項目に、入力例として薄くダミーテキストを記載しておいたり、入力したメールアドレスが確認用として欄外に表示されたりなど、Webサイトのユーザーに合わせた改善が考えられます。
さらに、申し込みボタンの色や文言、配置順を変更することで、クリック率やコンバージョン率の向上につなげる、重要度の高い文言を目立つように大きく表示することで、新しい情報やサービス側からのお知らせを認知させるといったこともUI改善のひとつです。
UIの改善は、施策をおこなわないと判断がつかないケースが多いです。そのため、ユーザーに実際に利用してもらい、改善を繰り返すことで理想のUIに近づけていくやり方が一般的です。
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サービスや製品のUXがなぜ重要なのか
UXの重要性が高まっているのは、どのような背景があるからでしょうか。その理由について解説します。
スマートフォンなどデバイスの多様化
スマートフォンやタブレットなどさまざまなデバイスが普及したことにより、商品やサービスとユーザーの接点も多様化しています。そのためインターネットでいつでも、どこからでも繋がる時間が増えたことや、Webサイトだけでなくアプリの開発が増えたことが、UXが重視されるようになった要因のひとつです。アプリだけを選んでいくなかで、使いやすいという視点だけでなく、「そのアプリを使うことでどんな新しい体験(UX)が得られるのか?」が求められてきています。
また、IoTを利用した製品が普及したこともUXの重要性を高めています。モノのインターネット化であるIoTを利用した製品が進んだことで、IoTを通して利用動向などが企業側へもフィードバックされるなど商品提供後もユーザーと企業の接点が持ちやすくなりました。IoT化でユーザーと企業が繋がりやすくなったことで、ユーザーが企業と接点を持ちたいと感じるUXデザインを生みだせるかが重要になってきています。
商品やサービスの付加価値を体験し満足が得られる
市場や技術の変化により、機能や価格だけでは競合との差別化が難しい状況になってきています。また、あらゆる情報が手に入るようになったことで、ユーザー自らが情報を取得し、商品やサービスを容易に比較できるようになりました。もし、機能や価格などの価値以外に差がなければ、ユーザーは価格が安い方や普段利用している方を選ぶでしょう。
ただ、実際ユーザーが購入やサービス利用をするには、機能面や価格以外の付加価値の部分で競合と比べ、満足できる方を選んでいるのが一般的です。例えば、ECサイトなら、欲しい商品を探しやすい機能、他サイトにはない商品説明の充実度、決済の容易さなども付加価値と言えるでしょう。購入する商品やサービス(モノ)だけでなく、モノを通じて得られるUXまで考えることの重要度は高くなっています。
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UXを向上するための方法
UXを向上させるためには、どのようなことを意識すればよいでしょうか。ポイントを解説します。
UXを改善する目標(ゴール)を設計する
UXを改善するために、まずはどこに課題があるのかを発見して分析をおこないます。そのうえで、何のためにUXを改善するのか、UXを改善して実現したいことやユーザーに求める行動などを明確にしましょう。例えば、「新規ユーザーの獲得を目的とする場合」と「既存ユーザーの継続率や既存リピート率のアップ」では、方向性が違ってきます。目標(ゴール)を決め、方針を定めることができれば、曖昧になることを防げます。
ユーザーの分析を行う
ターゲットユーザーをどこに置くのか分析をおこなったうえで、実際の顧客データを参考に、ペルソナの設定をおこないます。アンケートやインタビューをおこなったり、アクセス解析や一般公開されている調査結果を参考にしたりするのもよいでしょう。データから代表的なパターンをピックアップし、年齢や性別はもちろん、家族構成、生活パターン、職業、趣味といった情報まで詳細に設定をしましょう。
ペルソナを設定することで、ユーザー目線での発想がしやすくなり、悩みやニーズ、不満点を考えながら、ユーザーにとって価値のあるUX改善をおこなえるようになります。
ユーザー体験を明らかにする
自社の顧客となりうるユーザーが、商品やサービスに対してどのような体験をしているかを明らかにしていきます。そこで使用されるのが、カスタマージャーニーマップです。カスタマージャーニーマップは、ユーザーが商品やサービスを認知し、購入に至るまでの行動や思考、感情を時系列で可視化させたもので、ユーザー視点でのマーケティングに役立ちます。認知から購入後までの動きや顧客の行動、思考などの枠組みは、業種やサービスによって異なります。
設定したペルソナが、どんな悩みやニーズを持ってサービスや商品に興味を持ったのかなど、フェーズごとに必要な情報を想像したり、実際のデータを参考したりにしてマップに当てはめていくことでユーザー体験の理解に活用できます。
まとめ
提供する商品・サービス(モノ)だけでなく、モノによって得られるUX(コト)までを考えることは、今後ますます重視されると考えられます。日々変化するユーザーの立場や視点に寄り添いながら、新しいUXを考えながら提供していくことが求められるでしょう。
Rtoasterは、ワンストップでの提供はもちろん、豊富な連携先により、現在活用されているツール・システムとの組み合わせが可能です。あらゆる顧客データを統合・分析し、高度なアルゴリズム・多彩なアクション機能により、精度の高いパーソナライズ化をワンストップで実現します。
UXと近い言葉に、CX (カスタマーエクスペリエンス)という言葉もあります。UXとCXの違いについては、下記の記事をぜひ御覧ください。
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