レコメンドとは、日本語で直訳すると「おすすめ」「推薦」といった意味です。デジタルマーケティング領域においては大手ECサイト・通販サイトなどで「レコメンド機能」として実装されており、マーケティング施策で欠かせない仕組みとなりつつあります。自社でも取り入れたいと考えている人は多いのではないでしょうか。
この記事では、デジタルマーケティングにおけるレコメンドシステム・ツールの基本や手法、レコメンドシステムツールの選び方・導入方法などについて解説します。導入を検討している場合は、ぜひ参考にしてください。
レコメンドとは?
自社のマーケティングを最大限に強化するために、まずはレコメンドの意味・内容を正しく理解しましょう
レコメンドの意味
レコメンドとは、英語の「recommend」をカタカナ表記したものです。「おすすめ」「推薦」といった意味があり、日本でもほぼ同じ意味で使われています。
インターネット上で閲覧した商品が、おすすめ商品として表示されているのを目にしたことがある人も多いでしょう。このように、デジタルマーケティングにけるレコメンドは、Web上における閲覧履歴や購入履歴などのデータを基に、おすすめのアイテム・コンテンツを表示することをレコメンドと呼びます。いわばWeb接客と考えて良いでしょう。顧客側すると、自分で探さなくても勧められるレコメンドアイテムやコンテンツをチェックするだけで自分のニーズにあった情報を見つけやすくなるといったメリットがあります。広義では、オフラインの実店舗におけるPOPなども含まれます。
レコメンドの目的
レコメンドの目的は、顧客の購買行動におけるCX(カスタマーエクスペリエンス)を向上し、購入単価や顧客単価を上げることです。商品を売りたい場合、広告などを打ち出してお客さんを集める必要があります。しかし、どれだけお客さんが集まっても、購買意欲がなければ購入には結びつきません。
レコメンドではお客さんの閲覧履歴や購入履歴などのデータや商品の属性を通じて、購入の可能性が高い商品をダイレクトにおすすめします。そうしてお客さんの購買意欲を高め、購入単価や顧客単価のアップを図ります。
顧客側としても、自分に関係のない/興味のないアイテム・コンテンツをおすすめされるサイトよりも「自分の購買行動や好みを理解している」と感じるため、利便性とともにECサイトへの信頼性も向上します。これは、リピーター獲得などにも繋がるでしょう。
関連:カスタマーエクスペリエンス(CX)とは何か?成功事例や向上のポイントも解説
レコメンドをクロスセルに使うか?アップセルに使うか?
クロスセルとは、Aという商品を購入した人に対し、Bという商品をおすすめするという手法です。クロスセルを用いると、関連商品をまとめて購入させる効果が期待できます。たとえば、モバイルバッテリーの購入時に、USBケーブルやUSBポートをさりげなく掲載して足りないものを気づかせるといった方法です。
多くのレコメンドシステム・レコメンドツールではアルゴリズムに則った商品表示だけでなく、おすすめする商品を細かく設定可能なため、こうしたクロスセルを柔軟におこなえるでしょう。
購入単価を上げたい場合は、アップセルに用いることもできます。アップセルとは、Aという商品を購入検討中の人に対し、よりBというより価格の高い商品をおすすめするという手法です。たとえば、テレビを検討している人に対して、より画面が大きく多機能だが価格が高いテレビへ誘導するといった使い方をします。
デジタルマーケティングで活用されるレコメンドエンジンとは?
Webサイトでレコメンドをおこなう場合は、レコメンドエンジンと呼ばれるシステムを利用します。閲覧履歴や購入履歴などのデータをもとにおすすめのコンテンツを紹介するシステムです。過去に購入した商品や閲覧した記事から、お客さんが興味を持ちそうな商品や記事などを提示できます。
次に紹介するレコメンドエンジンの仕組みをうまく活用すれば、マーケティング担当者の勘や経験だけに頼ることなく、データドリブンなマーケティングが可能になり売上や閲覧数の大幅なアップも期待できます。
レコメンドエンジンの仕組みとは?
レコメンドエンジンにおける重要な仕組みがロジックです。ロジックとは条件設定のようなものであり、ロジックが変わると表示されるものも変わります。ロジックは大きく分けて4種類あります。以下でそれぞれの内容を紹介しましょう。
ルールベース
ルールベースとは、流入元や累積スコアごとのセグメントによってルールを決めてコンテンツ出し分けるレコメンド施策です。たとえば、母の日ギフトの広告から流入した人には、母の日ギフトのコンテンツや特集を選んで、レコメンドするケースなどです。。
ルールベースレコメンドは、売り手側がこのセグメントにはこの商品が売れる・売りたいという場合などに有効です。ただし、レコメンドの内容と顧客の嗜好にズレがあると、効果が出にくいというデメリットがあります。そのため、決め打ちではなくセグメントごとのABテストなどをおこないながら効果的なコンテンツ表示をするのが一般的です。
協調フィルタリング
協調フィルタリングとは、サイト上での行動が似ているユーザーの特性をデータ分析して、興味を持ちそうな商品をおすすめ紹介するロジックです。
具体的には、ユーザーAが購入した商品をユーザーBも購入しようとする場合、ユーザーAが購入した他の商品を紹介します。ユーザーにとっては思いがけない好みの商品が紹介されることも少なくありません。
協調フィルタリングには、次に紹介するアイテムベースとユーザーベースがあります。
アイテムベース
アイテムベースとは、ある商品に対して一緒に買われていることの多い商品を紹介することです。たとえば、英語の参考書を購入した人が、同じ出版社の問題集も購入していることが多い傾向があるとします。そこで、参考書を購入したユーザーに対して問題集を紹介し、購入につなげるのが狙いです。
ユーザーベース
ユーザーベースとは、購入パターンが似ている複数のユーザーの購入履歴を分析し、まだ買っていない商品をおすすめすることです。たとえば、購入履歴がよく似ているユーザーAとユーザーBがいる場合、ユーザーAは購入しているがユーザーBは購入していないものを紹介します。それぞれの趣味や嗜好が似ていれば、購入につながる可能性があります。
コンテンツベース・フィルタリング
コンテンツベース・フィルタリングとは、商品の属性に注目して、類似する属性の商品を紹介することです。
たとえば、あるブランドのカバンを購入するユーザーに対して、同じブランドが出す別の商品を紹介します。注目する属性は商品の色やデザイン、種類などさまざまです。コンテンツの属性とユーザーの好みなどが一致すると、高い購入率が期待できます。
ただし、属性ごとにコンテンツを分類するのは時間がかかります。また、ユーザー側からすると商品に目新しさを感じにくいというケースもあるでしょう。
ハイブリッド・タイプ
先に紹介したロジックを組み合わせた方法のことをハイブリッド・タイプと呼びます。特定の組み合わせを指すものではありません。それぞれのロジックのデメリットを解消することを目的に使用されます。
たとえば、お皿を購入する人は、マグカップも購入する傾向があるとしましょう。あるユーザーが過去に青色の商品をよく購入しているのであれば、お皿の購入時に青いマグカップをレコメンドします。このように、2つのロジックを組み合わせることで、顧客の購買意欲を高めることが可能です。
レコメンドエンジンについて、さらに詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
レコメンドエンジンとは?一般的な仕組み・機能からツール導入のポイントまで解説
レコメンドエンジンの選び方・チェックポイントとは?
自社サイトに合わないレコメンドエンジンを導入しても、高い効果は期待できません。ここでは、レコメンドエンジンの選び方・チェックポイントを確認しましょう。
導入の目的
まず、レコメンドエンジンを用いて何をしたいのか目的を明確にしましょう。売上高や顧客単価アップのほか、マーケティングにおける課題の改善など、導入の目的は企業によって異なります。目的が明確になれば、導入したいレコメンドエンジンの方向性が定まってくるでしょう。
運用ツールとの相性
ECサイトなどですでに使用している運用ツールと、導入したいレコメンドエンジンが両立するかどうかを確認しましょう。組み合わせによっては相性が悪く、うまく起動しないケースもあります。
レコメンドエンジンを導入する際には、ECサイト上におけるタグの設置や分析する商品の登録といった作業が発生します。いつまでも使えないということのないように、導入時に必要な作業は事前に把握しておきましょう。
アクセス数に対する料金
レコメンドエンジンのなかには、サイトのアクセス数によって料金が変わるものがあります。現状のアクセス数から必要と思われる料金を算出し、予算を超えないようにしましょう。また、今後のアクセス数の増加を見越して将来的に見込まれる料金を算出しておくことも大切です。
機能と運用に対するコストの確認
レコメンドエンジンによっては、導入目的に対してオーバスペックとなるケースもあります。必要な機能や運用にかかる工数、そして利用コストの3点をよく確認して、無駄のないレコメンドエンジンを導入しましょう。
レコメンドエンジンの活用事例
ブレインパッドが提供するレコメンドエンジン(基盤)Rtoasterは、さまざまな業界のサイトに導入されています。
「味わいベースレコメンド」で、おすすめワイン枠からの購入率2倍!ソムリエの接客を目指すエノテカ・オンラインのRtoaster活用事例
エノテカ株式会社が運営する日本最大級のワイン通販サイト「エノテカ・オンライン」は、ブレインパッドのレコメンドエンジン搭載プライベートDMP「Rtoaster」を導入しました。2,000種類を超えるワインの味わい要素を機械学習で関連付けした「味わいベースレコメンド」を構築し、お客様一人ひとりに適したワインを提案することで、おすすめワイン枠からの購入率が2倍へと向上しています。
詳細:エノテカ株式会社様 レコメンドエンジンRtoaster活用事例
データにもとづく多彩なレコメンドやWeb接客をRtoasterで実現ふるさと納税サイト「さとふる」でのRtoaster活用事例
株式会社さとふるは、ふるさと納税サイト「さとふる」に「Rtoaster」を導入しました。Rtoaster によってWeb接客、お礼品レコメンド、メルマガ連携、デジタル広告連携など、お客様データにもとづく多彩なアクションを実現し、「さとふる」の収益性向上を目指していきます。
詳細:株式会社さとふる様 レコメンドエンジンRtoaster活用事例
お客様へのサービス向上のために蓄積したデータをレコメンドなどに活用し続ける「ANAショッピングA-style」でのRtoaster活用事例
全日空商事株式会社は、お客様のサイト内の動きから興味・関心をスコア化し、加えてお客様でご使用いただけるマイル数などを加味したレコメンドをおこなっています。
詳細:全日空商事株式会社様 レコメンドエンジンRtoaster活用事例
レコメンドとは「まとめ」
自社マーケティングの強化やデータドリブンマーケティングの実現には、レコメンドエンジンが不可欠です。紹介した内容を参考にして、自社に合ったレコメンドエンジンを選びましょう。
レコメンドでは、データを管理・分析し、最適なサービスの提供につなげるCDP・レコメンドエンジンの存在が欠かせません。これからレコメンドを活用するのであれば、「Rtoaster」も検討してみてはいかがでしょうか。Webの全体最適を実現する多様なレコメンド機能のほか、機械学習を用いた高度な分析サービスで、マーケティングを強力に支援します。
記事公開日 2020年1月10日
最終更新日 2023年8月29日
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