パーソナライズは、サイトの顧客それぞれに合わせた接客や追客が実現できるマーケティング手法です。この記事では、ECサイトを運営しており、主にBtoCマーケティングの高度化を検討している担当者に向け、パーソナライズについてツールの特徴やメリットなどを解説します。
ECサイトのアクセス数や売上アップにつなげるために参考にしてください。
パーソナライズの概念
パーソナライズとは、顧客それぞれの属性や行動履歴、ニーズに合わせ、その顧客に合った情報を提供するマーケティング手法の1つです。ECサイトの場合、ユーザーの属性や年齢、性別、職業などの登録情報やサイト内の行動履歴などのデータから、関連性の高いコンテンツや商品をおすすめする機能などが該当します。Amazonなどでもみる、関連性の高い商品をおすすめする機能もその一例です。
パーソナライズによって、ユーザーの求める情報を最適な場所・タイミングで提供することで、購買促進が期待できます。
パーソナライズとカスタマイズの違い
パーソナライズとカスタマイズの大きな違いは「ユーザー自身が設定するか否か」にあります。パーソナライズはECサイト側が顧客のデータを基に導き出しおこなうもので、カスタマイズはユーザー自身の目的やニーズに基づいてユーザーがおこないます。
また、One-to-Oneマーケティングはリレーションシップマーケティングの考え方がベースとなっており、パーソナライズはその手段の1つです。詳細は以下の記事をご覧ください。
関連:パーソナライズの意味|デジマ戦略のための活用方法まで徹底解説
ECサイトにおいてパーソナライズが注目される理由とは?
ECサイトで売り上げを上げるためには、パーソナライズの考え方がもはや欠かせないといえます。ここでは、その理由について詳しく解説します。
消費者ニーズの多様化
消費者のニーズは得られる情報が増え続けたことで細分化し続けているため、自分にとって価値があるものや体験ができるかどうかが、重視されるようになりました。大量生産・大量消費の時代から「作っても売れない」状態に変容しています。
この状況から脱却するためには、パーソナライズのように「顧客が何を、どのような目的でどのタイミングで欲しているか」に寄り添うマーケティングが必要不可欠です。
既存顧客維持の必要性
消費者のニーズが飽和化や市場のレッドオーシャン化が進んだ場合、新規顧客獲得はしづらくなるため、既存顧客を維持する必要性は高まります。顧客1人が生み出す利益に対して、新規開拓に必要なコストが上回るような状態であれば、赤字の可能性も増えるでしょう。
リピーターの確保には、中長期的な戦略をもった企業努力や投資が必要です。そのための戦略の1つがパーソナライズです。
マーケティングテクノロジーの進化
マーケティングテクノロジーが進化した結果、正確で高度なデータ入手が可能になりました。かつては、パーソナライズを導入しようとしても、手作業になる部分が多く、効率がよいとはいえませんでした。テクノロジーの進化によってツール導入のコストよりも、売上やリピーターの定着による売り上げの増加がみられ、パーソナライズのニーズが高まっています。
ECサイトのパーソナライズ機能
ECサイトのパーソナライズ機能でできることは多種多様です。それぞれの特徴を知っておくことで、効率的な導入が可能になります。
広告
顧客の属性やサイト訪問履歴などから、顧客ニーズにマッチしたバナー広告を配信する機能があります。広告は多種多様になりましたが、より需要が高い層にパーソナライズされた広告でアプローチできるようになり、CV率が高いといわれています。その場では購入に結びつかなかった顧客にも、パーソナライズされた広告を通して再度アプローチできます。
レコメンド
購買履歴データから、他の顧客が購入した商品や類似商品をおすすめする機能です。顧客のニーズにマッチした商品を提示しやすく、導入したことで、売上やサイトの閲覧数がアップした事例は多々あります。代表例としてはAmazonが挙げられるでしょう。顧客の好みに合った商品を表示して購買を促し、離脱を回避する効果もあります。
参考:レコメンドとは?マーケティングで活用できるレコメンドシステムを徹底解説
ポップアップ
サイトアクセス時に顧客の利用データから、類似商品やおすすめをポップアップ形式で表示させる機能です。タイムセールやキャンペーン誘導、チャットを用いたウェブ接客など、幅広い要望に対応できます。顧客体験(CX)や顧客満足度を高められれば、サイトの離脱率の定価、新規顧客の獲得、コンバージョン率の上昇などの効果が期待できます。
表示商品の出し分け
購買履歴やサイト閲覧履歴などの情報から表示コンテンツを出し分ける機能もあります。顧客がサイトにアクセスした際にブラウザからサーバーに送られる情報や、Cookieからの閲覧記録情報などが判断材料です。顧客の行動データに応じて、最適な情報内容を表示でき、CV率の向上にもつながりやすくなります。
プッシュ通知
プッシュ通知とは、ECサイトで何らかの通知をすることで、高倍率を上げる手法です。カゴ落ち商品がある場合にも使われますが、購買履歴データからパーソナライズされたメールやプッシュ通知を行うことも可能です。顧客に合わせた通知を配信できれば、CTR(クリック率)を上げ、売り上げの向上に貢献します。
パーソナライズ化されたECサイトのメリット
パーソナライズ化されたECサイトに具体的にどんなメリットがあるのか、疑問に思う人もいるのではないでしょうか。ここではパーソナライズ化された、ECサイトのメリットについて解説します。
顧客離れ防止
パーソナライズのメリットは顧客離れを防げることです。ECサイトではちょっとした手間1つで購入をやめてしまうことも少なくありません。パーソナライズを利用し、顧客に適した情報を提示できれば、顧客が利用停止するのを防いだり、他社サービスへの利用へ乗り換えたりするのを防ぐ効果があります。
最適な顧客に、最適なタイミングで、最適な情報を、最適な方法で提供できるというメリットもあります。平均顧客単価の増加にも効果があるでしょう。
既存顧客の囲い込み
パーソナライズを通して、既存顧客の要望に合わせた情報提供が行いやすく、既存顧客の囲い込みができます。その結果、リピーターが増え、サイトへのアクセスや売り上げの向上が期待できます。サイトや商品のファンになった人はそう簡単に離れません。そのような関係が構築できれば、長期的な目線での利益が期待できます。
潜在顧客の取り込み
Webサイトやアプリに訪れた顧客自身が自分のニーズに気づいていないケースも少なくありません。パーソナライズを活用し顧客の情報を深く分析しアプローチすることで、顧客へのニーズの掘り起こしが可能となります。
ブランドイメージアップ
パーソナライズされたサイトでの満足度やよい体験などは、企業や商品・サービスへの信頼につながります。顧客はサイトや商品・サービスに対して自然と好感を抱くようになり、よい印象を持つようになるため、ブランドのイメージアップにも効果的です。ブランドイメージの向上によってロイヤリティも上がるため、競合との差別化を図れるでしょう。
PR効果
パーソナライズによって顧客満足度が上がることで、口コミやSNSでの拡散効果も期待できます。多くの人に拡散されることで、潜在顧客にもアプローチ可能です。口コミやSNSでの評判は広告効果が高いだけではなく、コストもかかりません。ポジティブな評価が広がれば、サイトや会社の信頼性も高まります。
ECサイトでのパーソナライズの導入方法
ECサイトでパーソナライズを導入する場合、正しい手順で導入することが大切です。ここではECサイトのパーソナライズ導入手順について解説します。
導入目的・課題の整理
ECサイトの現状を把握し、サイトが目指すべきゴールを設定しましょう。ゴールを設定した上で、到達のために必要な課題を整理します。離脱率の低下なのか、顧客単価の向上なのか、目標を数字化できなければ、改善は期待できません。課題を整理した上で、理想的かつ、実現できる内容に目標を落とし込みます。その上でパーソナライズをおこなうためのツールを導入するかを検討しましょう。
ツールなどの選定体制構築
最初に設定したサイトが目指すべきゴールやツールの導入目的などをベースに、ツールを導入することが決定したら、初期段階における体制構築や実行者を決定します。誰が何を担当するのか、リリースまでにおこなうべきこと、詳細なスケジュールなどを設定していきましょう。社内だけで体制構築するのがベストですが、初めてのツール導入の場合うまくいかないこともあるでしょう。
ツール選定の段階で、ツールの構築・導入サポートまでおこなってくれるかという視点を持っておくと良いでしょう。
また、最初は手段としてツール導入・実装を進めていたつもりが、途中から目的がツール導入・実装になっているといったことも、ツール導入時に陥りがちなケースです。あくまでツール導入は手段でありスタートラインですので、目指すべきゴールやツールの導入目的などから逆算した準備を心がけましょう。
施策決定・実装
実際に何をするのか、具体的な施策の決定と実装方法を決めていきます。ツール導入に必要なタグの実装や、管理画面の設定など以外にもコンテンツの準備なども必要です。先述したとおり、あくまでツール導入は手段でありスタートラインです。リリース後に顧客のどのような情報を収集するのか、どのようなパーソナライズ施策をするのかもこの段階で決めておくようにしましょう。
次の策定
ツール導入・施策実行後、リリース後の動きについて、レポート結果を元に分析し、継続的に運用状況を確認します。ここで課題に対してどのような改善があるのか、目標まで到達しているか、到達していない場合は何を改善するべきか、など動向に合わせて次の策定を検討します。
まとめ
ECサイトにおけるパーソナライズの概要、具体的な機能、メリット、導入手順について解説しました。顧客に関して様々な多様化が進む現在、ECサイトでの売り上げ向上のためにパーソナライズを行い、顧客一人ひとりを大切にすることが求められます。
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記事公開日:2021年2月17日
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