O2Oやオムニチャネルの発展型とされるOMOが注目されています。OMOを自社のマーケティングに取り入れたいと考えているマーケティング担当者も多いのではないでしょうか。この記事では、 海外国内など11の導入事例を紹介します。この記事を読むことで、 OMOについての知見を深めることができ、自社に適したOMO導入方法のヒントを得られます。
OMOとは
OMOとは、「Online Merges with Offline」の略称であり、日本語ではオンラインとオフラインの融合を意味します。オンラインを軸にビジネスを捉えることによって、顧客体験の最大化を目指すマーケティング方法です。
詳しいOMOの解説についてはこちらの記事をご覧ください。
【関連】OMOとは?意味・定義、O2Oやオムニチャネルとの違いを解説
以下ではOMOの導入事例・活用事例について紹介します。
海外のOMO導入事例
海外企業のOMO導入は日本より進んでいるとされています。ここでは、海外の導入事例を3つ紹介します。
中国のインターネット大手企業傘下のスーパーマーケットのOMO事例
中国のあるスーパーマーケットは、OMOを取り入れることで、従来型では欠かせないと考えられていた買い物の手順を大幅に簡略化し、従来では考えられなかった顧客体験を提供することに成功しました。これはユーザーが「食品工場で買い物ができる」というコンセプトに基づいています。
具体的には、店舗の商品にはバーコードが表示されており、ユーザーはスマホで買いたい商品のバーコードを読み取り、アプリの買い物かごに入れます。そして、そのスマホをレジで表示すればキャッシュレス決済が完了します。
決済後、半径3km以内であれば30分以内に無料配送されます。商品をカゴに入れる必要もなく、レジで順番を待つ必要もなく、買った商品を自宅まで持ち帰る必要もないサービスです。
世界最大規模を誇るスーパーマーケットチェーンのOMO事例
あるアメリカのスーパーマーケットでは、OMOを取り入れることでオンラインショッピングで購入した商品を店舗で受け取れるというサービスを提供しています。店舗側は、発送の手間がなく、無人で商品の受け渡しができるため、積極的に利用を推進しています。
このスーパーマーケットは独自のアプリを配信し、店内をマップで表示することができて商品の場所や値段などを確認できます。
アメリカでは、宅配待ちのストレスや、玄関に置かれた商品が盗まれるといった問題も多発していました。店舗での受け取りは、実店舗を持つメリットを活かし、ユーザーに新しい買い物体験を提供しています。
中国の大手保険会社のOMO事例
中国の保険会社では、OMOを取り入れることでユーザーデータを取得し、ユーザーの快適な生活に還元するサービスを提供しています。
具体的には、保険会社独自のアプリを開発し、アプリ上で24時間いつでもAIドクターに健康相談がでるというサービスです。また、チャット動画で医師の問診も受けられるのです。診察が必要な場合は、医師のこれまでの実績と客観的な評価、病院の所在地を確認してアプリで診察予約できます。
医療相談などで蓄積したユーザーデータを活用することで、保険適用範囲であれば、保険会社からユーザーに保険適用が伝えられます。OMOの導入によって、新しい保険適用経験をユーザーに与えています。
国内のOMO導入事例
国内にも多くのOMO導入成功事例があります。ここでは、5つの導入事例を紹介します。
国内有数の飲料メーカーのOMO事例
ある飲料メーカーでは、ユーザーの好みにカスタマイズしたコーヒーを提供するサービスをOMOによって実現しています。ユーザーはLINEで、好みのフレーバーを注文し決済します。後は店舗で受け取るだけなので、待ち時間が短縮されます。
コーヒーは飲む人それぞれにこだわりがあります。このOMOの仕組みなら200以上のオリジナルコーヒーを作れるため、ユーザーの好みに合わせたオーダーをデバイスで注文できます。受け取り時間も選択できるため、ユーザーに新たな経験を提供しています。
メガネを世界規模で販売する企業のOMO事例
あるメガネ販売企業は、店舗とオンラインストアのID連携を核となすOMOを導入しています。OMOの内容は、ユーザーのレンズの度数・種類や保証書、検索などをLINEで一括管理できるサービスを提供することです。
ユーザーは、店舗で購入したメガネでも、完成通知はLINEで受け取れます。ユーザー情報の統合により、ネットショップや実店舗でフレームを選択すればメガネを作れるという、新感覚の経験を提供しています。
12のブランドを保有するアパレル企業のOMO事例
あるアパレル企業では、実店舗で発行している会員カードのデータとオンラインストアの会員データの統合しています。別々に管理されていた会員データを統合することで、ユーザーの詳細な買物履歴が個人単位で把握できるようになっています。
このデータをもとに、ユーザーに購入した商品のスタイリング画像などを提案しています。ユーザーは、スタイリングの提案されることで、コーディネートの参考になるなど、新たな購入経験ができます。
飲食店のOMO事例
モバイルオーダーは、飲食店の新たなサービスとして注目されているOMO施策です。事前にモバイル端末で注文し、商品を受け取る仕組みですが、支払いもアプリで済ませることができます。
あるファーストフード店では、テイクアウトとイートインが店舗で選択可能です。ユーザーはレジ前でならぶフラストレーションが解消し、ユーザーを待たせないことで店舗スタッフのストレスも軽減されます。
ショッピングモールのフードコートでは、席に座ったまま複数の店舗のメニューを一括で注文可能です。ユーザーは、それぞれの店舗のレジでならぶ必要がないため時間短縮になり、店舗もレジ作業が軽減されます。
カスタムサラダ専門のレストランでは、受け取る店舗と時間を選択し、メニューを選んで決裁する仕組みを導入しました。ユーザーは、アプリでの注文により周囲の目を気にしなくてすみます。店舗は、所定の場所にオーダーされたサラダを置くだけなので接触がほとんどありません。
スポーツ用品を扱うメーカーのOMO事例
あるスポーツ用品メーカーでは、オンラインデータとオフラインデータの連携を軸にして、ユーザーがメーカー独自のアプリをダウンロードすれば、自動的に会員サービスが受けられるメンバーになる仕組みを提供しています。
会員になれば、実店舗でサイズを測って、ユーザー自身のサイズをアプリに登録します。登録後は、メーカーのオンラインショップで、ジャストフィットの商品を試着せずに購入できると新しい購買経験を提供しています。
RtoasterによるOMO導入事例
Rtoasterは、多くの企業のプライベートDMPを構築し、OMO施策をサポートしています。ここでは3つの事例を紹介します。
大手ECサイトのOMO事例
洋服を買う際は、素材や質感、着心地やコーディネートも把握するものです。しかし、ECサイトでは手触りや質感を伝えきれないことが弱点でした。そのため、このECサイトでは「店舗スタッフが紹介する商品動画」をポップアップで表示することでオンラインでも実店舗(オフライン)に限りなく近い顧客体験を提供しています。
動画では素材のドレープ性や質感、厚さなども伝えています。また、1つの商品に対し、多種多様なコーディネートを見せることで具体的なイメージが湧くように訴求しています。その結果、商品購入率は1.5倍、カートイン率は2倍に向上しました。
大手バス&ボディケアコスメブランドのECサイトのOMO事例
あるコスメブランドでは「店舗と変わらない体験価値をWebで提供」することを軸としてOMOを取り入れています。ノウハウの蓄積とデータの有効活用のため、プライベートDMP「Rtoaster」を導入しました。
導入後、実店舗での購買時にも重要とされる「香り」を軸としたレコメンドを実施しました。同じ香りのアイテムに関する問い合わせがあったため、香りを軸にしたレコメンドのニーズがあることを活用したものです。
これはまさにオフライン・オンラインに関係なく「香り」を軸にした顧客体験を実現したOMO施策と言えます。
ユーザーのロイヤルティによって、興味や関心は変化するものと仮定して、常にユーザーに合わせたレコメンドを強化しました。トップページのCVRは、以前の平均よりも41%向上しています。
日本最大級のワイン通販サイトのOMO事例
ワイン通販サイトでは、実店舗でしか経験できない「ソムリエがワインを勧める経験」をオンラインで再現することが軸に施策をおこないました。CDP/プライベートDMP「Rtoaster」を導入し、購入履歴やWeb閲覧履歴、独自の味わいデータベースを基にECサイト(オンライン)でも実店舗(オフライン)と変わらない購買体験を提供しています。
結果、前年度と比較して、商品購入に至ったCV(コンバージョン)は約1.5倍となりました。
まとめ
OMOは、オンラインとオフラインを隔てずに徹底した「顧客目線」「顧客体験志向」で、よりよい顧客体験を提供していこうという考え方です。今回紹介した事例を参考に、自社でもOMOをとりいれてよりよい顧客体験を提供できないか考えてみましょう。
OMOマーケティングに必要なデータの統合や活用を進めるためには、CDP/プライベートDMPがおすすめです。
「Rtoaster」は、オンライン・オフライン問わずあらゆる顧客データを統合・分析し顧客理解を深めることで、精度のマーケティング施策を実現するCDP/プライベートDMPです。
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記事公開日:2021年6月23日
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