OMO (Online Merges with Offline) が進まない3つのパターン
OMO (Online Merges with Offline) 戦略では、オンライン・オフラインを合わせた顧客体験の一連の流れに着目して「顧客インサイトの発見」「シームレスな顧客体験」「マーケティング効果の向上」を狙います。しかし、実際に成果を出すためには、データの活用が不可欠です。本記事では、OMOを進める中でありがちな課題を紹介して、なぜOMOにはデータ活用の環境が必要なのか?を深掘りします。
OMOの意味やメリットを改めて知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
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1. データが分断されて顧客インサイトを発見できない(データサイロ)
OMO戦略において、データサイロが一つの障害となります。これは、オンラインの顧客接点とオフラインの顧客接点のデータがバラバラに管理されており、顧客行動の全体像が追えない状態を意味します。
例えば、オンラインで購買履歴を持つ顧客と、実店舗での購買履歴を持つ顧客が別々に分析されると、その行動パターンや好みが不足してしまいます。オンラインでの利用履歴だけでは、顧客が実店舗での新商品の試着や、店舗スタッフとの相談を通じて得る情報が欠けてしまいます。逆に、実店舗のデータだけではオンラインでのウェブサイト訪問や特定商品の検索履歴が見落とされがちです。
データサイロを解消するためには、オンラインとオフラインのデータを一元化して統合する必要があります。これにより、顧客がどのように両方のチャネルを利用しているかを把握し、新たなインサイトを発見することが可能になります。たとえば、オンラインで商品を検索し、実店舗で試着した後にオンラインで購入するという行動が浮かび上がり、それに基づいたターゲットプロモーションを展開することができます。データサイロの解消は、顧客行動の全体像を理解し、それに基づいて戦略を立てる上で重要なステップです。
2. シームレスな顧客体験の壁になる「分析」特化のデータ基盤
オンラインとオフラインのデータを統合するデータ基盤は、分析にフォーカスして構築されることが一般的です。しかし、これだけではシームレスな顧客体験を実現できません。なぜなら、分析結果がただのレポートやダッシュボードにとどまり、実際の業務オペレーションに反映されないからです。
例えば、オンラインでの購買履歴や検索クエリを分析した結果、顧客が特定の商品に興味を示すパターンが分かったとします。業務オペレーションと統合されたデータ基盤では、この分析結果がリアルタイムで実店舗の端末や会員証アプリに連携されます。その結果、実店舗に足を運んだ顧客には、オンラインで興味を示した商品に関する特別なオファーが提供される仕組みが構築されます。
このような連携により、分析結果が実際の業務に即座に反映され、顧客はより個別化されたサービスを享受できます。データ分析から生まれる価値が、シームレスな顧客体験に直結することで、ビジネス全体の効果的な改善が可能となります。
3. マーケティング効果の向上を阻む間違った効果測定
広告キャンペーンやプロモーションの効果を正しく測定することは重要ですが、オンラインとオフラインの統合が進む中、効果測定の難易度が上がっています。この課題を克服するには、データ活用のスキルが求められます。
例えば、オンラインでのABテストが相対的に容易である一方で、実店舗での実施は制約が多く難易度が高まります。統合されたデータを利用したABテストは、オンラインとオフラインの相互作用を正確に捉えるために、慎重なデータ設計と高度な分析の知見が必要です。また、データの統合が不十分な場合、正確な比較が難しくなり、誤った結論が導かれる可能性があります。
データの複雑さに立ち向かうためには、データ活用の専門家とマーケティングチームが連携し、データモデルの構築やABテストの設計に取り組むことが必要です。このような取り組みがなければ、オンラインとオフラインの統合が進む状況で正確な効果測定が難しくなり、最適なマーケティング戦略の策定が妨げられる可能性があります。
【ここまでのまとめ】OMOを成功させるポイントはデータ活用の環境づくり
OMO戦略において「顧客インサイトの発見」「シームレスな顧客体験」「マーケティング効果の向上」を実現するにはデータの活用が不可欠であることを学びました。また、データの活用には、
- 複数のITシステムに散らばった顧客データの統合
- 分析結果の業務オペレーションへの反映
- データサイエンスに裏付けされた効果測定
を実行できる環境が必要です。この環境を作り、継続的に運用していくことこそが、OMOを成功させるポイントです。
しかし、そのような環境を実現するために既存のITシステムやデータ基盤を改修すると、開発費用や開発期間が大きく膨らむ場合があります。その上、苦労して構築したデータ活用のための環境が、使いこなせるのはスキルを持った一部のチームだけ、といった状況も起こりがちです。
CDP (Customer Data Platform) が顧客のデータを「民主化」する
OMO戦略におけるデータ活用を推進する上でのボトルネックは、ITシステムやデータ基盤の改修に伴う開発費用や開発期間、そしてデータを使いこなす技術障壁の高さです。この課題に対処するために、CDP(Customer Data Platform)は登場します。
CDPは一意な顧客IDに基づいたデータ統合機能により、複数のITシステムに散らばった顧客データを一元的に管理します。これにより、既存の環境を大幅に改修することなく、データのハブとして機能し、簡便な操作で広範なスタッフが顧客データを活用できる環境を提供します。
CDPは、非技術者向けに設計されたUI/UXを通じて、あらゆるスタッフが簡単に顧客データを扱えるようにし、顧客の嗜好や購買履歴に関する洞察を提供します。マーケティング担当者は、この環境でターゲット化されたプロモーションを簡単に企画し、正確な効果測定に基づく効果的なキャンペーンを展開することができます。CDPがもたらす「民主化」されたデータ活用環境は、OMO戦略の成功に向けた重要な要素となります。
CDPの特長や機能について知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
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【まとめ】OMOにはCDP導入が不可欠
オンラインとオフラインの融合であるOMO戦略を成功に導くためには、顧客データの効果的な活用が不可欠です。データ活用の環境づくりが成功の鍵となる中、CDPは顧客データの「民主化」を実現する優れた手段です。CDPの採用は、顧客中心の戦略を推進し、ビジネスがデータ駆動の未来に向けて飛躍する一歩となるでしょう。
プレインパッドは、CDPの導入と活用において強力なパートナーとなります。ブレインパッドが提供するテクノロジーと、多くのお客様を支援させていただいた経験が組み合わさり、効果的なオンラインとオフラインのデータ活用が可能になります。皆さんと共に、ビジネスの進化に貢献していけることを楽しみにしています。
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