レコメンドとは、ユーザーの興味をひきそうな商品やコンテンツを提供する機能です。この記事は、レコメンドエンジンの導入を検討中、またはレコメンドの活用事例を具体的に知りたい人に向けの記事です。レコメンドの機能から具体的な活用事例まで詳しく紹介します。レコメンドを高度なデジタルマーケティングに役立ててください。
レコメンドとは?
レコメンドとは、Web上における閲覧履歴や購入履歴などの行動データを基に、おすすめのアイテム・コンテンツを表示することを指します。
レコメンドについては、以下の記事で詳細に解説しています。
【関連】レコメンドとは?マーケティングで活用できるレコメンドシステムを徹底解説
レコメンドの仕組み
レコメンドは大量のデータを処理し、あらゆるデータを基におすすめの商品やコンテンツを提案します。レコメンドでユーザーの興味にあうコンテンツを提供するには、ロジックが用いられます。ロジックとは条件設定のようなものであり、ロジックが変わると表示されるものも変わります。ロジックは大きく分けて「ルールベース」「協調フィルタリング」「コンテンツベース・フィルタリング」「ハイブリッド・タイプ」の4種類があります。その他アルゴリズムにより自動レコメンドなどもあります。
レコメンドの仕組みについての詳細を知りたい方は、下記の記事をご覧ください。
【関連】レコメンドとは?マーケティングで活用できるレコメンドシステムを徹底解説
レコメンドを活用する3つのメリット
レコメンドの活用により、企業が得られる3つのメリットについて解説します。
1.顧客満足度が向上する
AIの分析は、人が行う分析よりも高精度です。したがってAIによるレコメンドを活用すると、ユーザーが目的のコンテンツを探す手間を省け、未知のコンテンツの提案も可能です。ユーザーの気持ちにしっくりくるコンテンツを提供できると、顧客満足度の向上が見込めます。
2.リピーターを獲得できる
自分に関係のない/興味のないアイテム・コンテンツをおすすめされるサイトよりも、自分の購買行動や好みを理解しているサイトと顧客側に思ってもらうことは、リピーター獲得にも繋がります。また、回遊率が向上するに伴い、1回の訪問単位の滞在時間も伸び購入もされやすくなります。
3.売上が向上する
レコメンドの成果によりリピーターを獲得できると、継続的な売上が期待できます。また、実店舗で行われるような「クロスセル」「アップセル」という手法も、レコメンドエンジンを導入することでWebサイトにて実現できます。
多くのレコメンドシステム・レコメンドツールではアルゴリズムに則った商品表示だけでなく、おすすめする商品を細かく設定可能なため、こうしたクロスセルを柔軟におこなえるでしょう。
業界別のレコメンドの導入事例
ここからは、EC、金融、メディアエンタメの3つのカテゴリに分け、実際大手サイトに実装されているレコメンド施策を紹介いたします。
レコメンドの導入事例【EC】
EC業界では、おすすめのアイテムを提案したり、購入を後押ししたりするレコメンドがよくみられます。導入事例を紹介します。
カート内でのレコメンドによる購入単価向上
顧客単価向上を目的とした、カート内でのレコメンド事例を紹介します。カートに入れたアイテムごとに一緒に買われやすいアイテムをレコメンド表示したところ、顧客単価が最大約110%向上。ユーザーが知らなかったアイテムをレコメンドした点が、課題解決のポイントでした。
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マイページ内でのレコメンドによる購入率向上
購入率向上を目的とした、マイページ内でのレコメンド事例を紹介します。ユーザーの閲覧履歴をもとに分析したおすすめアイテムと、閲覧したアイテムの両方を表示したところ、ユーザーが好感触を示しました。AIの学習精度を向上させ、よりユーザーが求めているアイテムを選定できた点が、課題解決のポイントでした。
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カゴ落ち(カートに商品を入れたままの離脱)防止対策
カゴ落ち防止を目的とした、カート内でのレコメンド事例を紹介します。「購入手続きは面倒で時間がかかるもの」という、ネガティブなイメージをもつユーザーは少なくありません。
そこで、カート内で「最短で1分で手続き完了」「○○のアカウントで即登録」などの表示を行い、ユーザーの心理的負担を解消し購入を後押ししました。結果として、購入完了率が改善しました。
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ロイヤリティ別のレコメンドによる購入率向上
購入率向上を目的とした、トップページでのレコメンド事例を紹介します。ユーザーをロイヤリティごとにわけ、トップページに掲載するカルーセルの内容を出しわけました。たとえば、ロイヤリティが高いユーザーには期間限定のアイテムを、一方初めてサイトを訪問したユーザーには、おすすめランキングを表示します。
ユーザーの興味を引く内容を表示できたことで、トップページのCVRが41%向上しました。
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メール配信レコメンドによるリピート率向上
リピート率向上を目的としてメールの一斉送信を行ったとしても、手間ばかりで再訪が伸びないケースがあります。
メール配信レコメンドでは、ユーザーの閲覧行動をもとに、ユーザー個人にあわせた内容をメールで自動送信できます。また、戦略的にサイトがおすすめしたいアイテムもレコメンド可能です。ユーザーにあわせたレコメンドを行うことで、リピート率の向上が期待できます。
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買い忘れアイテムのレコメンドによる購入率向上
ユーザーがカートにアイテムを入れたことを忘れるケースがあります。ライバルのサイトで類似アイテムを購入されかねません。
買い忘れアイテムについてメールでリマインドを送ると、購入率が向上します。メールに手続きへのリンクを貼っておくと、すみやかに購入手続きにすすめます。また、メールを送る条件を事前に設定しておくと、自動でリマインドが配信されるため手間がかかりません。
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ユーザーに適したアイテムのレコメンドによる購入率向上
エノテカ株式会社が運営する日本最大級のワイン通販サイト「エノテカ・オンライン」は、おすすめワインに関するコンテンツを作る手間と、コンテンツを経由した購入率の低さが課題でした。課題解決に向け、AIに2,000種類を超えるワインの味わい要素を学習させました。ユーザーごとに適したワインをレコメンドしたところ、コンテンツからの購入率が2倍に増えました。
施策事例の詳細:エノテカ株式会社様 レコメンドエンジンRtoaster活用事例
ユーザーデータにもとづいた多彩なアクションをレコメンドで実現
ふるさと納税サイトさとふるでは、寄付額向上が課題でした。ユーザーデータをもとにあらゆるパーソナライズを実施したところ、アクション導入後のCVRが2.07倍になりました。なおパーソナライズの適用対象は、お礼品のレコメンドやメルマガやデジタル広告のパーソナライズなど多岐にわたります。
施策事例の詳細:株式会社さとふる様 レコメンドエンジンRtoaster活用事例
ユーザーデータのスコアリングで最適なアイテムをレコメンド
全日空商事株式会社が運営する「ANAショッピングA-style」では、売上向上が課題でした。そのため、ユーザーの閲覧履歴をもとに、サイト内のカテゴリへの興味をスコアリングし、保有しているマイル数も加味してレコメンドを実施しました。結果、業績が伸び悩んでいたカテゴリで売上が回復しました。
施策事例の詳細:全日空商事株式会社様 レコメンドエンジンRtoaster活用事例
レコメンドの導入事例【メディアエンタメ】
メディアエンタメ業界では、契約率・予約率を向上させ、解約を防ぐためのレコメンドがよくみられます。導入事例を紹介します。
閲覧傾向を元にしたレコメンドによる契約チャンネル数の増加
ビデオ・オン・デマンド(VOD)サービスでは、契約チャンネル数の増加とサイト回遊率向上が課題でした。そこで、トップページや番組詳細ページでおすすめの番組をレコメンドし、特に、直近の番組はポップアップで表示しました。結果、既存契約者の追加チャンネル数は約2倍になり、回遊率も向上しました。
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レコメンドによる解約防止
とある月額課金制のビデオ・オン・デマンドサービスでは、解約防止が課題でした。対策として、解約手続きのページに翌月のおすすめ番組をレコメンドで表示しました。レコメンドする番組は、入会時に興味があったジャンルから選ばれており、入会当時の気持ちを思い出してもらうことが狙いです。結果、月間の解約阻止率が最大で2%減少しました。
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嗜好にあう店舗やスポットの提案による予約率向上
旅行メディアでは、予約率の向上が課題でした。ユーザーの嗜好にピンポイントでマッチする店舗やスポットを提案しなければ、予約に結びつきません。
対策として、2,000を超えるエリアをレコメンドの対象として設定し、ユーザーの閲覧傾向をスコアリングしたものと組み合わせました。エリアの情報を熟知しているからこそ可能な、高精度なレコメンドがポイントでした。
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レコメンドの導入事例【金融】
金融業界では、ユーザーの利便性や、金融商品の購入率を高めるためのレコメンドがよくみられます。地方銀行における導入事例を紹介します。
ログイン画面最適化によるログイン率向上
ログイン率を向上させた事例を紹介します。ユーザー別にログイン画面を最適化し、新規ユーザーには登録を促すポップアップ、利用経験のあるお客様にはログインボタンを表示させました。また、ログインができなかったときには、パスワード再設定画面が表示されるよう設定し、ユーザーの利便性を高めています。
リニューアル後2カ月で、ログインページのPVは17.3%向上しました。
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マイページ内の「お気に入り」表示で利便性向上
金融商品の選択に関し、利便性を向上させた事例を紹介します。各商品ページに「マイページに登録する」ボタンを設置し、マイページでリコメンドできるよう設定しました。リニューアル後2カ月で、お気に入り商品登録数は3,000件を達成しています。
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アンケートを基にしたレコメンドで購入率向上
商品購入率を向上させた事例を紹介します。初めてサイトを訪問したユーザーに対し、ポップアップでライフスタイルに関するアンケートを表示させました。興味のあるテーマをチェックボックスで選択してもらうと、ユーザーが興味ある内容を把握できます。
リニューアル後2カ月で、これまで把握できていなかったユーザーの興味・関心にかかわる内容を約5万件収集できました。
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まとめ
レコメンドは、ECサイトやメディアエンタメサイトをはじめ、さまざまな業界のサイトで活用されています。効果的なレコメンドは顧客満足度を高め、サイトからの利益・企業の利益に貢献します。紹介した事例を参考に、自社でもレコメンド活用ができないか検討してみてはいかがでしょうか。
レコメンド活用をするためには、データを管理・分析し、最適なサービスの提供につなげるCDP・レコメンドエンジンの存在が欠かせません。これからレコメンドを活用するのであれば、レコメンドエンジン搭載のCDP「Rtoaster」も検討してみてはいかがでしょうか。Webの全体最適を実現する多様なレコメンド機能のほか、機械学習を用いた高度な分析サービスで、マーケティングを強力に支援します。
記事公開日 2021年6月17日
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