デジタル接点が増える時代に、地銀ならではの顧客理解を。
横浜銀行のWebサイト“One to One”プロジェクト
より多くのお客様に愛される銀行、より深い絆でお客様と結ばれる銀行を目指す横浜銀行様は、その理想の実現に向けて、ブレインパッドのレコメンドエンジン搭載プライベートDMP「Rtoaster」を導入しました。非対面なダイレクトチャネルの課題は、お客様と対面するリアルチャネルと比べて、お客様一人ひとりにあわせたご提案が難しいことです。そんな中、横浜銀行様では2019年4月に「ログイン専用ページ」を「マイページ」にリニューアル。実店舗における顧客対応と同じように、Webサイトにおいてもお客様のニーズに寄り添ったOne to One対応を実現するためのこのプロジェクトについて、同社営業戦略部ダイレクトチャネル企画グループの五十嵐様、岩本様、竹村様にお話を伺いました。
施策・導入のイメージ
導入後の成果・ポイント
- お客様のニーズを把握し、寄り添えるWebサイトに
- Rtoaster活用で、ログインページのPV数が13.7%向上
- 5万件に及ぶお客様の興味・関心の把握に成功、新たなサービスにつなげたい
1.事業内容
神奈川・東京を中心に208店舗を持つ首都圏型の地方銀行・横浜銀行
横浜銀行様の事業内容について教えていただけますか。
五十嵐様:横浜銀行は、1920年に横浜興信銀行として設立されました。その後、31行の銀行を受け継ぎながら、現在は神奈川・東京の202店鋪をはじめ、208店鋪のネットワークを持つ首都圏型の地方銀行※としてサービスを提供しています。(※2019年6月時点)
2016年には、東日本銀行との経営統合によってコンコルディア・フィナンシャルグループを設立しました。総合力とシナジー効果を高めつつ、より多くのお客様に愛される銀行、より深い絆でお客様と結ばれる銀行でありたいと考えています。
そうした理想を実現するため、スマートフォンを使った新しい決済サービスである「はまPay」やRPA(ロボットによる業務自動化)による業務の効率化にも取り組んでいます。これからもお客様の利益向上、地域の価値向上のため新しい施策にも積極的に取り組んでいきたいと思います。
横浜銀行
(https://www.boy.co.jp/)
2.Rtoaster導入の背景
お客様のライフステージ、ライフスタイルにあわせた最適なサービスをWebサイトで提供したい
※Rtoasterは、氏名・メールアドレス・住所等の個人を特定できる情報は取得しておりません。
横浜銀行様がRtoasterを導入された理由を教えていただけますか。
- <五十嵐 氏>
- お客様が銀行をご利用になるスタイルが、以前とは大きく変わったことが背景にあります。情報収集にはWebサイト、お取引にはインターネットバンキングをご利用になるお客様が増えています。こうした動きを受けて、横浜銀行は2000年代の早い段階から、インターネットバンキングやコンタクトセンターなどのダイレクトチャネルの開設と高度化を進めてきました。
しかし、ダイレクトチャネルは実店舗でお客様と対面しながらご提案するリアルチャネルと比べて、お客様一人ひとりにあわせたOne to Oneの対応が難しい側面があります。Webサイトをはじめとするダイレクトチャネルでも、実店舗と同じようにお客様のライフステージ、ライフスタイルにあわせた対応をしたいという想いから、2015年にRtoasterを導入しました。
横浜銀行 営業戦略部
ダイレクトチャネル企画グループ グループ長
五十嵐 俊行 氏
導入されてから、どのようにRtoasterを活用されていますか?
- <竹村氏>
- 主に、お客様のWeb閲覧履歴によってメインビジュアルのメッセージを変える取り組みを行いました。当行は様々なローン商品を取り揃えていますが、各商品ページを初めて閲覧するのか、2回目、3回目の閲覧なのかによってお客様が求めている情報は違うはずです。
また、商品ページへの流入経路によってもコンテンツを出し分けています。例えば、広告を経由してWebサイトに来訪された方には、ファーストビューのバナーを流入元の広告にあわせて変えています。商品によっては、6パターンくらい内容を変えています。
今回の2019年4月にリリースされた「マイページ」のプロジェクトは、どのような背景があったのでしょうか?
- <五十嵐氏>
- 横浜銀行では、地方銀行ならではのリアルでの接客に加え、デジタルチャネルの高付加価値化をすることで、もっとお客様のライフイベントに即したサービスを提供できるOne to Oneを目指しています。中期経営計画でもアクセスポイントの拡充として、ダイレクトチャネルの強化を掲げております。その第一弾の取り組みとして、今回の「マイページ」のプロジェクトに着手することになりました。
3.WebサイトのOne to One化に向けて
お客様のニーズを理解し、最適なサービスの提案を目指す。
「ログインページ」を「マイページ」としてリニューアル
それでは、「マイページ」のリニューアルについて詳しく教えていただけますか。
- <竹村氏>
- 今回、インターネットバンキングにログインするための「ログインページ」を、お客様一人ひとりに最適なサービスをご提案するためのページ=「マイページ」としてリニューアルしました。
Rtoasterを活用した施策は3つあります。
1つ目は「お気に入り登録」です。マイページでの提供機能の1つに「お気に入り登録」がありまして、横浜銀行のWebサイトにある各商品ページのうち、お客様自身が気になるページを「お気に入り」として、マイページ上に登録することができます。
商品ページ上部に[お気に入り追加]というボタンを新たに用意し、これを実現しています。
営業戦略部 ダイレクトチャネル企画グループ 副調査役
竹村 あや子氏
- <竹村氏>
- 2つ目は「おすすめの商品・サービス」です。この機能では、お客様が関心のあるテーマを選択することができ、選択したテーマに関連したコンテンツがマイページに出てくるというものです。
まず、マイページに初めて訪れるお客様には、ポップアップのアンケートで興味のあるテーマを選択いただくようになっています。ここで選択されたテーマと関連したコンテンツが「おすすめの商品・サービス」としてマイページ上に並ぶ仕組みになっています。
- <岩本氏>
- 3つ目の施策は、インターネットバンキングの利用有無による、ボタンなどのパーツ配置を出し分けるものです。
例えば、インターネットバンキングのご利用経験のないお客様には、ユーザーIDやパスワード入力フォームよりも、まずはご利用登録を促すボタンが先に表示されるべきです。逆に、インターネットバンキングのご利用経験があるお客様には、ログインの入力フォームや、ID・パスワードを忘れた場合のご案内をわかりやすい位置に表示する必要があります。
- <岩本氏>
- これら3つの機能(「お気に入り登録」「テーマ登録」「おすすめの商品・サービス」)はすべてRtoasterの基本機能によって実現しています。
以前のWebサイトは、すべてのお客様に画一的な情報を提供して、そこからお客様に見たい情報を探してもらう形でした。Rtoasterを導入してからは、お客様の望む情報を先回りして予測し、ふさわしい情報をこちらから提供するという発想に切り替わりました。
営業戦略部 ダイレクトチャネル企画グループ 調査役
岩本 孝 氏
4.「難しい要件でも、一緒になって実現方法を考えてくれるそこがブレインパッドの良いところ」
「マイページ」を構築する上で、苦労した点などあれば教えていただけますか。
- <竹村氏>
- 「お気に入り登録」は、Rtoasterがもともと持っていた、ECサイト等で商品をカートに入れるための機能を応用して実現しています。まったく別の用途で開発された機能ですが、コンサルタントの児玉さんが、私たちの要件を咀嚼して応用的な使い方を提案してくれました。Rtoasterでこうしたことが実現できるイメージはまったくありませんでしたが、「マイページ」の構想を伝えたところ、Rtoasterを上手く使えば実現できそう、という回答をいただきました。
いわゆるパッケージベンダーさんの場合、「それはできません」「機能範囲外です」といった回答をいただくことが多いのですが、ブレインパッドさんの場合、まずは実現方法を一緒になって考えてくれるところがありがたいと感じています。
- <児玉>
- 横浜銀行さんのように、ご要望を相談していただけるとありがたいです。もともとある機能を応用することで、できることもたくさんありますので、そういった支援を今後もさせていただければと思っています。
株式会社ブレインパッド
児玉
5.WebサイトのOne to One化の成果
これまでWebサイトでは把握できなかったお客様の興味のあるテーマ情報5万件の把握に成功、「ログインページ」のPV数が13.7%増加
「マイページ」の効果を教えていただけますか。
- <岩本氏>
- 「お気に入り登録」の件数は現在3,000件近くに達しており、お客様に徐々に認知され始めているという手応えを得ています。また、「マイページ」リリース後のPV数は、かつて「ログインページ」だったころのPV数と比較して13.7%増加しています。
- <五十嵐氏>
- 大きな価値を生みだすものと期待しているのが、「マイページ」の「テーマ登録」で初めて収集可能になった、約50,000件に及ぶお客様の興味のあるテーマの情報です。これまでのWebサイトでは、お客様のニーズ、言い換えれば、今どのようなライフステージにあるのかが把握できませんでした。
今後、これらのデータを活用していくことで、お客様のライフステージやライフサイクルに応じたコンテンツのご提供や、金融サービスのご提案ができるようになると考えています。
6.今後の展望
Rtoasterを通じて得られたお客様の興味・関心情報を活かしWebサイトのさらなる高度化を実現していきたい
今後の展望についてお聞かせください。
- <五十嵐氏>
- 「マイページ」の取り組みはまだ始まったばかりです。今回の取り組みで取得できたお客様の興味関心データを活用し、様々な施策を通じてPDCAを回していくことで、Webサイトをはじめとするダイレクトチャネルをさらに高度化していきたいと考えています。
こうした取り組みは、お客様一人ひとりに最適な金融サービスを提供するという、横浜銀行の企業理念の実現にも貢献するはず。今後もリアルチャネル、およびダイレクトチャネルをさらに高度化することで、より深い絆でお客様と結ばれる横浜銀行でありたいと考えています。
ありがとうございました。
株式会社横浜銀行様が初めてRtoasterを導入した過去事例はこちらをご参照ください。