- 1 マーケティング施策の実施数が2倍以上に!施策数増加のための業務改善と社内コミュニケーションの変化を生み出した “データ・ツール一元化プロジェクト”
- 2 施策・導入のイメージ
- 3 導入後の成果・ポイント
- 4 1.“カタログ通販の受け皿” から “新規のお客様獲得のエンジンへ” 、社内で重要度が増すWeb(EC)サイト
- 5 2.複数箇所に散らばったお客様データの一元化で、 さらなるデータ活用を見据える
- 6 3.「ワンストップ」と「柔軟性」が大きな決め手に
- 7 4.打ち手の数が従来の2倍以上に、施策の幅が広がることで社内のコミュニケーションも変化
- 8 5.Web上のデータをカタログ配布にも利活用
マーケティング施策の実施数が2倍以上に!
施策数増加のための業務改善と社内コミュニケーションの変化を
生み出した “データ・ツール一元化プロジェクト”
内面の美しさが充実するミドルエイジの方々を、ファッションの力で応援したい。そんな想いから創業し、40代からの大人向けブランドを展開している株式会社DoCLASSE。実店舗、カタログ、Web(EC)という3つのチャネルを持つ同社ですが、近年は「WEB部」を中心にWebサイトの活用に精力的に取り組んできています。
2019年8月には、Webサイトをリニューアルしてお客様データとWebサイトのデータを連携。また、今後のさらなる成長を見据えて「複数のマーケティングツールに散らばっていたデータを一元化する」取り組みとして、2020年4月からRtoaster(アールトースター)の導入に着手しました。
そのことがきっかけで、実施できる施策の数が2倍以上に増加し、社内のさまざまな場面で大きな変化が生まれました。その大きな変化とは何なのかについてレポートします。
施策・導入のイメージ
導入後の成果・ポイント
- Rtoaster導入でバラバラのツールとデータを一元化。自由かつ柔軟なデータ利活用で、マーケティング施策実施数が導入前の “2倍以上” に!
- 最適な情報を適切にお客様に届ける!「パーソナライズの高精度化」でお客様のロイヤリティ向上と購買促進につなげる。
- 統合されたデータをカタログ通販とWebの双方に活かし、OMOマーケティングの深化を目指す。
1.“カタログ通販の受け皿” から “新規のお客様獲得のエンジンへ” 、社内で重要度が増すWeb(EC)サイト
近年は“DX”がキーワードになっているように、さまざまな業界でデジタルの活用が加速しています。ファッション業界もその例外ではなく、EC化率が上昇してファッションECの市場規模が拡大している状況です。
DoCLASSEでもWebサイトを以前から運営していたものの、これまで主軸となっていたのはカタログを介した通販。既存のお客様に向けてほぼ毎月・1回あたり50万部以上のカタログを配布しており、 Webサイトがその受け皿のような役割を担っていました。
その役割が徐々に変わり始めたのがこの2〜3年のこと。売上増加や新規のお客様開拓のチャネルとして「社内におけるWebサイトの重要度」が増してきました。
それを象徴するように、2019年8月にはWebサイトのリニューアルを決断。並行してWeb接客ツールやレコメンドツールなどの導入にも着手し、Webサイト上での施策の幅もだんだんと広がっていきました。
2.複数箇所に散らばったお客様データの一元化で、 さらなるデータ活用を見据える
社内でWebサイトの活用が加速する一方で、今後のさらなる成長を見据えた際に解決しておきたい「課題」も生まれていました。
それは複数のツールを併用していたことにより、データが分散してしまっていたことです。Webサイトで集めたデータ、レコメンドエンジンで集めたデータ、Web接客ツールで集めたデータ、これらがそれぞれの場所に蓄積されてしまっている状態でした。
「なにか施策をしたいと思った時に、そのデータ取得に関する要件定義や社内への連携・ディレクションに多大な時間がかかってしまい、施策を断念することもあった」という言葉からも、データの点在が大きな課題になっていたことが伺えました。もし各データを一箇所に集約できれば、レコメンドなどWeb上の接客の質を上げられることはもちろん、メールやLINEを活用したマーケティングも進化させることができる、という考えがありました。
また、複数のツールが点在していたことで、各パートナーとのコミュニケーションが複雑化していたり、各ツールの使い方を覚える手間が増えたりといった “運用面での負荷” を削減するという目的もあったものの、特に課題と感じていたのは中長期の事業拡大を見据えた上での「データ一元化」の必要性でした。
もともとDoCLASSEではWebに限らず、マーケティング活動全般においてデータを重視する文化が根付いています。カタログ通販に関しても、過去の購買履歴や直近の購買金額などを分析した上で「誰に配布するべきか」を判断しており、そのようなデータの有効活用の考え方によって事業を成長させてきました。
カタログ通販の場合は、過去に購買経験のある既存のお客様が主な対象になるため、Webサイトにはよく訪れているけど、購買には至っていないお客様は購買データだけを見ると配布対象にはなりません。ただ、頻繁にWebサイトに訪れているということは、正しいアプローチができればお客様になり得る可能性が十分にあります。
ゆくゆくはWebサイト上で蓄積したデータをカタログ通販にも活かしていきたい、そんな構想もありました。
3.「ワンストップ」と「柔軟性」が大きな決め手に
そのような諸々の「課題」を解決する、という思惑に合致したのがRtoasterでした。
もともと使っていたWeb接客ツールとレコメンドツールをひとつのツールに集約する前提だったため、データを集約するCDP(カスタマー・データ・プラットフォーム)としての機能に加えて、高精度なパーソナライズの仕組みや多彩なアクション機能までを備えた総合的なツールであることが求められていました。
中でもレコメンドについては、自動最適化で機械的に出し分けるだけでなく、必要に応じて手動でも出し分けルールを微調整できるような「柔軟性」を重要視していました。
ファッション業界はトレンドの移り変わりが早く、季節性の影響が大きいのが特徴。たとえば季節の真っ只中の時期と季節の変わり目の時期ではレコメンドのルールを変えないと、「秋になったのに夏物ばかりが提案される」といったようなズレたレコメンドを表示してしまう恐れがあるからです。
ある程度は自動最適化を活用してルールを決めつつ、担当者の意思で設定を柔軟に変えることもできる。これもツールを選定する際の重要なポイントでした。
導入後に「お客様ごとに条件を変えて施策が打てるようになったことは大きな成果です」という言葉からも、自動と手動のハイブリッドが重要なポイントだったことが伺えます。
実際の導入プロジェクトは、DoCLASSEのWEB部とシステム部だけでなく、ECサイト構築ツールのベンダーなど、多くのステークホルダーが関連していたこともあり、お客様データとRtoasterを連携するにあたって、決して楽なプロジェクトではありませんでした。
ただ、WEB部で「あるべき姿(お客様に最適な情報を適切に届けるために実現したいイメージ)」が明確にあったこと、システム部がそれを理解して臨機応変に進めてくれたことで、想定よりスムーズにプロジェクトを進めることができました。
「ブレインパッドが、私たちの実現したいことをシステム部や外部ベンダーとの間に入って、調整・ハブ的な役割をしてくれたことで、プロジェクトをスムーズに進められました」というお話もあり、各関係者が適切に連携できたことがプロジェクト成功の要因でした。
4.打ち手の数が従来の2倍以上に、
施策の幅が広がることで社内のコミュニケーションも変化
Rtoasterを導入したことで、実際にはどのような変化が起こったのか。一番の違いは「打ち手の数」に現れました。
以前は1カ月に1〜2回の頻度で新しい施策を実施していたところが、現在はその2倍以上となる「週に1回ペース」で新たな取り組みにチャレンジできるようになりました。
従来は施策のアイデアがあっても、前述のようにそれを実行に移すまでの設計や社内ディレクションに多大な時間と手間がかかっていました。それが手数を増やせない原因になっていました。その点、Rtoasterの場合は簡単な操作でコンテンツの出し分けやWeb上での接客アクション、A/Bテストなどの施策を試すことができます。施策回数を重ねるほど、過去の事例を応用するかたちで新たな施策に結びつけやすくもなりました。
「Rtoasterだったらあまり手間がかからないので、簡単なバナーだけ用意して1週間テストしてみたりするなど、施策に対する心理的なハードルが下がったことで、施策のアイデア企画に対して前向きに取り組めるように変わった」といったように、WEB部でのマインドに変化が生じました。
何よりも、施策に対する心理的なハードルを下げたのは「施策に活用したいデータが手元にある」という状態でした。活用したい時に活用したいデータが自由に扱える、このことが大きな変化につながりました。
また、手数が増えて施策の幅が広がったことは、WEB部内だけでなく社内の他部署とのコミュニケーションにも変化をもたらしました。
冒頭で触れたように、DoCLASSE全体でWebサイトへの期待が高まってきていることもあり、WEB部には「新規ユーザーにこのような訴求ができないか」「カタログを配布している人にはこの情報を出したい」など、さまざまな要望が寄せられてきます。
たとえばWebサイト上のランキングひとつとっても、過去の情報を基に自動的に売れている商品を上位に表示しているだけだと、涼しくなってきたのにTシャツが1位になってしまったりします。こうしたルールの微調整や細かいコンテンツの出し分けなどは、以前までは対応しきれず断っていたものが多くありました。それが今では「その依頼から派生させて、こういう施策もできるのではないか」といったように、考えの幅が広がるとともに建設的に応えられるように変わってきています。
施策の数やPDCAの回数が増えるほど定量的なデータも溜まるため、社内のさまざまな場面でデータを用いて説得力のある提案やフィードバックができるようになりました。
5.Web上のデータをカタログ配布にも利活用
Rtoasterの導入により、散らばっていたデータを一箇所に集約するための土台ができた。DoCLASSEにとっての次なるチャレンジは「溜め込んだデータをどう活用していくのか」です。
足元で見据えているのが、LINEやメールなどのチャネルを活用したPUSH施策の最適化です。同社のWebの中でLINEやメール経由での売上が約4割を占めるため、この効果を向上できれば、全社的な売上に大きなインパクトが見込めます。加えて、レコメンド施策に関する知見も溜まってきていることから、Webサイトに訪問してくれたお客様へのコミュニケーションを最適化するなど、Web全体のCVR改善に貢献していく予定です。
そしてその次のステップとして思い描いているのが、カタログ配布を軸としたリアルなビジネスとの連動です。Webサイトのデータを用いて、また逆にリアルのデータを用いて、DoCLASSEに興味を感じてくれているお客様に対して、最適なコミュニケーションを構築していく。その結果として全社的な売上の貢献度を高めていき、OMOマーケティングの深化を目指していくことを想定しています。
マーケティングツールとデータの統合を実現したことで、さまざまな面で大きな変化がありました。OMOマーケティングの深化なども含めて、今までやりたいと思っていたことに積極的にチャレンジできるようになった今、やらなければならないことはたくさんある状態です。
それでも「カタログ通販を利用するお客様とWebサイトを利用するお客様に、どうしたら最適な商品情報を届けることができるのか?どうしたらもっと購入していただけるのか?という部分に可能性を感じている(島元様)」、「もっと新しい施策を試していって最適解を求めていきたい。絶えず実験していきたい(寺澤様)」という言葉のように、積極的にチャレンジしていける環境ができていることが伺えました。そんなDoCLASSEのさらなるチャレンジに、ブレインパッドはRtoasterを通じてしっかり伴走していきます。