ファンケルと共に成長するRtoasterで、
お客様との長期的な関係性構築を実現
世の中の「不」を解消するーー。そんな想いのもと、祖業である無添加化粧品を始めサプリメントや発芽米・青汁など、さまざまな商品を手がける株式会社ファンケル。通信販売に強みを持つ同社にとって、自社ECサイトの「ファンケルオンライン」は重要なチャネルの1つです。このファンケルオンラインでは、最適なコンテンツをお客様にパーソナライズしておすすめするレコメンドの仕組みとして、2009年から「Rtoaster」を導入いただいています。現在はデータ活用の取り組みをさらに強化しており、関連サービスの「FANCL CLIP」なども含めてRtoasterでさまざまな施策に取り組まれています。今回はその概要について、株式会社ファンケル 通販営業本部 コミュニケーション部 コンテンツ企画グループの萩山氏、永弘氏、福岡氏にお話を伺いました。
施策・導入のイメージ
導入後の成果・ポイント
- ファンケルの成長に合わせてRtoasterも成長してくれるため手放せないツールに
- お客様に購入してもらうだけではなく、ファンになってもらい、長期的な関係性構築のためにはパーソナライズが不可欠
- 何か施策を行おう、と思った時「Rtoasterならできるかも」という発想で施策の幅が広がっている
- Rtoaster、RPA、MAを掛け合わせることで工数削減と送客数のアップに繋げる仕組みづくり
1.長期間にわたってお客様と関係性を築く場所へ
Rtoasterを導入されている「ファンケルオンライン」と「FANCL CLIP」について教えてください。
株式会社ファンケル
通販営業本部コミュニケーション部 コンテンツ企画グループ 課長
萩山智也 氏
- <萩山氏>
- 自社ECサイトのファンケルオンラインは、直販通信販売の売上の半数程度占めるようにさまざまなお客様に活用いただいています。これまでお客様の多くは「買い物をするため」だけにこのサイトに訪れ、必要なものを買った後は離脱していく傾向にありました。
ただ、近年は「ロイヤリティの高いお客様を大切にするべき」「LTVを重要指標として追いかけていくべき」といったことがよく言われるようになってきています。当社でもいかにロイヤリティの高い方々に納得いただいた上で継続してサービスを使っていただくか、買い物以外の楽しさや新しい発見を提供していくことができないかといったことを考える機会が増えました。
そのような考えを実現できるメディアを作ってみてはどうかーー。そんな背景から立ち上げたのがFANCL CLIPです。単発で終わるのではなく、長い期間に渡ってお客様との関係性を築いていくのがFANCL CLIPの役割。もちろん新しいお客様との接点としても活用していきたいという思いはありますが、まずは既存のお客様のためになるサイトにしていきたいと考えて運営しています。
2.他ツールから切り替えのきっかけは「拡張性とアップデートの頻度」
最初にファンケルオンラインでRtoasterを導入いただいたのが2009年です。当時はどのような状況だったのでしょうか?
株式会社ファンケル
通販営業本部コミュニケーション部コンテンツ企画グループ
永弘 絢子 氏
- <永弘氏>
- 当時はレコメンドエンジンがかなり盛り上がり始めていた時期だったこともあり、それをクロスセルの向上に活用したいという考えがありました。
加えて、社内でパーソナライズの需要が高まっていたこともあります。ECサイトを立ち上げた当初は「若い人のためのECサイト」という色が強かったのですが、その頃から少しずつお客様の年齢層が広がってきていました。そのような状況において、年齢や性別などを基にメリハリをつけて商品情報を提示していきたいということからパーソナライズができるツールを必要としていました。
Rtoasterを本格的に活用する前はどうされていたのですか?
- <萩山氏>
- 実は、もともとレコメンドに関しては別のツールも利用していました。利用していく中で、Rtoasterはバージョンアップや機能拡張の頻度が高かった(多い)ので、それがツールをRtoasterに絞るきっかけにもなりました。
Rtoasterのアップデートによってそれまでできなかったことが徐々にできるようになり、社内でテストをした結果、ツールを切り替えても問題ないだろうという結論に至りました。それを機にRtoasterをいろんな場所で使っていこうという流れが出てきました。
たとえば商品詳細ページでの商品レコメンドなどについても、以前は手動で関連商品を設定していましたが、Rtoasterを使って工数削減をしようといったように少しずつ活用の幅を広げていきました。
ポイントになったのはアップデートの頻度や拡張性でしょうか。
- <萩山氏>
- そうですね。それは今も変わりませんが、Rtoasterのバージョンアップの履歴を見ても頻繁にされていますし、細かいバージョンアップがお客様とのきめ細かなコミュニケーションに効いています。またこれは導入後の話ではありますが、特に直取引(以前は代理店様に間に入っていただいていた)になって以降は密にCS(カスタマーサクセス)の方とコミュニケーションを取らせていただいており、CSの部分も手厚いのが良いところだと思います。
- <永弘氏>
- ツールとしてわかりやすい、使いやすいという側面もあると思います。1度触って慣れてしまえば、直感的に使える。他のツールのデモなども見たことがあるのですが、それと比べてもわかりやすいという印象があります。
3.190以上のパーソナライズ施策で単価向上を後押し
実際にファンケルオンラインやFANCL CLIPではRtoasterをどのように活用していますか?
株式会社ファンケル
通販営業本部コミュニケーション部 コンテンツ企画グループ
福岡 翔悟 氏
- <福岡氏>
- ファンケルオンラインでは、先ほどの話にもあった通り商品のレコメンドに活用しています。現在サイト内で自動レコメンドは30以上、ルールベースレコメンドでは160以上の施策を走らせています。
特に当社では、お客様の購入回数に応じてライト・ミドル・ヘビーといったセグメントを分け、コンテンツの出し分けを始めとした施策を実行しています。
カートに入れた商品から「あなたにおすすめの商品」を表示させたり、セグメントによって自動的に最適な商品情報を出し分けたりしていくことで、お客様に納得していただきながらクロスセルを目指していく。具体的な数値は開示できないのですが、結果としてRtoasterが顧客単価を向上していく一因にはなっていると思っています。
- また、これは別の観点にはなりますが、当社は多数のカテゴリー(商品ラインナップ)を持っているので、一部では総合通販に近しい要素もあります。そのため、良い意味で「どの枠にどの情報を優先的に出していくのか」といったように社内で枠の取り合いが起きかねません。
でもRtoasterがあれば、お客様の属性や状況などに応じて細かくコンテンツを出し分けることができる。社内のメンバーが納得するかたちでサイトを運営できる要因にもなっていて、その点は助かっています。
- <永弘氏>
- FANCL CLIPでもRtoasterを活用しているのですが、当初は他のツールの導入も検討していました。そんな時にブレインパッドの方にご相談し、当社がやりたいことはRtoasterでできるとご提案いただき、解決できる方法を教えてくださったので、結局FANCL CLIPでもRtoasterを活用することになりました。
- <福岡氏>
- その他にも、ファンケルオンラインに来てくださっている方に向けて、FANCL CLIPの認知度を上げるためにスタンプラリーの施策も実施をしました。
Rtoasterのスコアリングの機能などを活用したのですが、CSの方にこういうことがしたい、と相談したところ親身になって教えてくださり、結果的に当該期間のFANCL CLIPの回遊率が120%アップするという効果が得られました。
4.RPAとの併用で工数削減と送客数アップの両立へ
FANCL CLIPではブレインパッドが提供するRPAツール(BrainRobo)を組み合わせた取り組みも実施されていますね。
- <萩山氏>
- ブレインパッドさんが提供するRPAツールを使ってFANCL CLIPの記事コンテンツをクローリングし、記事を作成するだけで記事マスタができる仕組みを整えました。それをサイト上に反映させ、Rtoasterを組み合わせて記事コンテンツの出し分けができる体制を作れたことが1つの成果だったと思っています。
その次のステップとしてはMA(マーケティングオートメーション)を活用して、記事が新しく作られたタイミングで、その記事に関心がありそうなお客様に対して自動でメールを送るような取り組みも始めています。
記事マスタをどう活用していくかについては、当初は手探りで理解が大変だったところもあったのですが、そのベースが整ったところが今は活きていて、成果にもつながっています。
- <永弘氏>
- その記事マスタとMAの仕組みを使って、定期購入いただいているお客様にFANCL CLIPの記事をメールで配信するという取り組みを実施したところ、10日間にメール経由で約1,700名の方にFANCL CLIPへ来訪いただくことができました。
FANCL CLIPを立ち上げた背景にもあるように、もともと定期購入者の方々は定期購入を申し込んでいただいた後にタッチポイント(コミュニケーション機会)が減ってしまい、サイトへの来訪も少なくなる傾向がありました。そこでお客様の興味に合った記事をメールの中に盛り込むことで、少しでもサイトに来てもらうきっかけを作りたいと考えました。
10日間の実績としては良いものだったと思いますし、今後への期待という意味でもプラスに捉えています。
5.今後の展望
そのほかにもかなり幅広い用途で活用いただいていますね。
- <永弘氏>
- 結果的に実行できる・したい施策が増えたというか、売上アップにつながる施策だけではない場面でお客様との密なコミュニケーションを加速するためにRtoasterを使うシーンが増えてきていると感じています。
たとえば当社では告知に使うパターンも多いです。特定のお客様向けに告知をする場合に、今まではサイト上に目立たないように表示していたところを、Rtoasterを使って対象のお客様だけにしっかりと表示できるようになりました。
- <福岡氏>
- 他にも、ランディングページやバナーのA/Bテスト、チュートリアルガイドの設置など、それぞれ専用のツールでしかできないと思っていたことが、実はRtoasterを使えば一括で実現できるということもわかりました。まだまだ実施できていないことも多いのですが、さまざまなツールを個別に契約しなくても、Rtoasterでたくさんのことができる可能性があるというのは嬉しい部分です。
- <萩山氏>
- 近年の当社の動きとして、まずは行動、まずはやってみようというところを強く意識してきました。Rtoasterに関しても以前であれば社内で2〜3人ほどしか使えていなかったと思いますが、今は7〜8人が使えるようになっています。その土台が強くなったという観点ではすごく良かったと思っています。
- <福岡氏>
- 今後開発を予定されていると伺っているKPIレポート(※現在開発中の新機能)については期待をしています。たとえば、FANCL CLIPを見た方がその後実際にご購入いただいたのかどうか、お客様へのコミュニケーション施策がどれくらい購買に寄与したのかどうかといったところが可視化されていくと良いなと思っています。納得してご購入いただくためにどうすれば良いかを考えるキッカケになると思います。
また、当社の中期経営計画では「ファンケルらしいOMO」といったことも掲げています。ブレインパッドさんにはツールだけではなく、データ分析の部分も今後支援してもらえると嬉しいと思っています。
最後に13年間Rtoasterを使い続けている理由はどういったところにありますか?
- <萩山氏>
- 実は過去に別の会社様から提案を受けてリプレイスの検討をしたことがありました。実際、他のマーケティングツールに関しては入れ替えているものが多く、13年にわたって利用しているのはRtoasterしかありません。
振り返ってみると、入れ替えてきたツールはバージョンアップが少なかったり、サポートが弱かったりなどありましたが、Rtoasterはどんどんバージョンアップしていて、今後もいい機能が出てきそうだなと期待ができるツールです。自社開発で多くのエンジニアを抱えているのも信頼しています。
時にはツールを変える決断も必要だと思っていますが、自社の成長に合わせてツールも成長してくれているので、今後も期待をしています。