- 1 顧客属性や興味にあわせたコンテンツのレコメンドで「@nifty」のユーザーエクスペリエンスを改善
- 2 施策・導入のイメージ
- 3 導入後の成果・ポイント
- 4 1.月間5,300万PV、UU250万人を誇る国内有数のポータルサイト「@niftyトップページ」を運営
- 5 2.導入の目的
- 6 3.導入前の課題
- 7 4.選定のポイント
- 8 5.利用方法
- 9 6.導入効果
- 10 7.データサイエンティストのいないニフティにとって、ブレインパッドのサポートはとても心強い
- 11 8.検索クエリ、アクセスログ、も統合していきたい
- 12 9.データがつながると事業がつながる。Rtoasterによって事業部間のシナジーが生まれた
顧客属性や興味にあわせたコンテンツのレコメンドで「@nifty」のユーザーエクスペリエンスを改善
ニフティ株式会社は、国内有数のポータルサイト「@nifty」のユーザーエクスペリエンスを向上するため、ブレインパッドのレコメンドエンジン搭載プライベートDMP「Rtoaster」を導入しました。社内に分散していた顧客データを1つのIDへと統合し、一人ひとりの属性や興味にあわせたコンテンツのレコメンドを行うことで、ユーザーのサイト利用体験を改善しています。Rtoaster導入の経緯と効果について、同社WEBサービス事業部の永井様にお話をうかがいました。
施策・導入のイメージ
導入後の成果・ポイント
- 社内に分散していた顧客の属性データ、@niftyサイト内の行動データを1つのIDに統合
- 「@niftyトップページ」「占い@nifty」「@nifty温泉」にて顧客属性や興味にあわせたコンテンツのレコメンドを実施
- 「Rtoaster」導入後、レコメンド実施箇所のCTR、CVRは軒並み向上。DMPを適用したコンテンツ販売の売上は10%増加へ
1.月間5,300万PV、UU250万人を誇る国内有数のポータルサイト「@niftyトップページ」を運営
ニフティ株式会社様の事業内容を教えてください。
ニフティ株式会社は、光回線やADSLによるインターネット接続、格安スマホ「NifMo(ニフモ)」などのプロバイダーサービスと、国内有数のポータルサイト「@nifty」を中心としたWebサービスの2つを主な事業としています。
ニフティ様における永井様の業務、ミッションを教えてください。
私はWEBサービス事業部に所属し、@niftyのトップページや検索サービスなどの運営を担当しています。月間ユニークユーザー(UU)数約250万人のお客様一人ひとりに最適なコンテンツをご提供することをミッションとし、日々業務に携わっています。
2.導入の目的
“全体の傾向”ではなく“個別のデータ”にもとづいて
「@nifty」のお客様に最適なコンテンツを提供したい
まずは「Rtoaster」の導入に至った経緯を教えてください。
2015年頃から、個別のユーザーデータをマーケティングに活かそうという動きがニフティ社内でも本格化しました。社内で議論を重ねた結果、ユーザーの属性や趣味・嗜好、@nifty上の閲覧履歴データをもとに個人に最適化されたコンテンツを提供し、@niftyの利用体験を快適なものにするone to one的な方向を目指すべきではないか、ということになりました。
それまでは「Google Analytics」などを用いて、どのコンテンツが人気か、実施した施策がPVやユニークユーザー数にどのような影響を与えているかなど分析していましたが、それはユーザーをマス的に捉えているだけで、個人にフォーカスしたものではありませんでした。そのような状態から脱却し、データに基づいてお客様一人ひとりに最適なサービスを提供しようというのがそもそもの出発点です。
このような経緯でプロジェクトを始めたのですが、初めに着目したのが、インターネット接続サービスの属性データとWEBの行動データの統合活用でした。
3.導入前の課題
同じ社内でありながら、
“属性データ”と“行動データ”が個別管理されていた
「ユーザーデータがサービスごとに個別管理されている」とは、具体的にどういうことですか?
たとえば、インターネット接続サービスでは、お客様とプロバイダ契約をする際に、性別、年齢、お住まいなどの属性データを取得しています。一方、WEBサービスではお客様がどのページを閲覧しているか、どのようなコンテンツを購入したかなどの行動データを取得しています。
この2つのサービスのデータは同じ社内にありながらも個別管理されていて、有効活用されていませんでした。これらを統合できれば、たとえば「@niftyニュースは、40代で会員歴の長い男性によく見られている」とか「20代の女性が意外に@niftyゲームを利用している」などの傾向が見えてきます。属性データと行動データが紐づくことで、もっとone to one的なサービスを展開できるのではないかと考えたのです。
そこで、複数サービスのデータを統合し、お互いにメリットのある形でデータ活用を進めていくことにしました。まずは、属性データと行動データをひとつのIDに統合することから始め、次にこの統合されたデータをさらに活用するためプライベートDMPの導入を検討しました。ベンダー6社のお話をうかがい、最終的にはブレインパッドのRtoasterに決定しました。
4.選定のポイント
“手軽さ”と“きめ細かさ”を両立した
ソリューションはRtoasterだけだった
Rtoasterを選ばれた理由を教えてください。
プライベートDMPに求める必須要件として、属性データや行動データなど、マーケティングアクションに必要なデータを取り込める必要がありました。当時、データ取り込みに対応できないものもある中で、Rtoasterは社内で利用していたクラウドDWH(データウェアハウス)などからの、外部データの取り込みに柔軟に対応していました。
外部データ取り込み以外の決め手はありましたか?
一番の決め手は導入の手軽さでした。RtoasterはWebページ内にタグを1つ埋め込めば、すぐにコンテンツの出し分けやリターゲティングなどの施策がスタートできました。他社の製品にもタグを埋めるだけというものもありましたが、反面、ユーザーのセグメントが細かく設定できなかったり、セグメントは細かく設定できるがWebサイト側の作り込みが必要だったりと、どこか性能が落ちるDMPがほとんどでした。
お客様一人ひとりに最適なコンテンツを提供するという点で、手軽さときめ細かさの両方を兼ね備えているのがRtoasterだったのです。
5.利用方法
1ページからトライアルを始め、
効果を見ながら少しずつレコメンド適用箇所を増やす
コンテンツの出し分けは、具体的にどのように設定されていますか?
リターゲティングによる出しわけと、協調フィルタリングの活用の2通りで行っています。
リターゲティングの方はとてもシンプルな形をとっており、「@niftyの特定ページを1度閲覧したら1点付与する」といったスコアリングの設定をしていて、60日など一定期間内にあるカテゴリのスコアが何点以上になったら、同カテゴリの売れ線コンテンツを自動表示する、ということを行っています。
協調フィルタリングの方は、Rtoasterの自動レコメンドを利用しています。
アイテム軸とユーザー軸の二つのレコメンド手法があるので、各サービスの各ページ特性を考えて、どのように適用するかを設計しました。ロジックの詳細は私たちにはわからないので「精度は実際のところどうなんだろう?」と最初は不安もありました。そこで、まずは1ページからトライアルを始め、その効果を見ながら少しずつRtoasterで表示する箇所を増やしていきました。
6.導入効果
CTRは4倍、CVR2.3倍、
コンテンツ販売の月間売上は10%増へ
Rtoasterの効果を感じ始めたのはいつ頃でしたか?
効果でいえば、Rtoasterを導入した直後から明らかな効果が出ました。Rtoasterでのリンク表示に置き換えた箇所が、その前に貼っていたリンクや、その上下に並んでいるリンクよりも明らかにCTRが高く出たんですね。
気になっていたのは他のリンクのクリックを奪っていないかという点で、こちらはサービスの担当者と定例会を開き、確認を取りながら施策を進めていきました。
2ヶ月ほど確認期間を設け、周辺リンクのクリック数が下がっていないという結果を得て、確かな手応えを感じました。
その効果は、定量的にはどのようなものですか?
@nifty温泉のCTRは2倍、占い@niftyのCTRは3倍から4倍近くを叩き出していますし、他のコンテンツサービスでは、CVRが約2.3倍になった例もあります。
また、商材によってCVRの変化はありますが、セグメントを分けることで基本的にCVRは高く出る傾向にあり、DMP経由の売上げが各サービスの5〜10%を占めるようになりました。
本格的な適用から約1.5年経ちますが、CTRやCVRは落ちておらず、成果に繋がっている実感はありますね。
接続サービスでも一定の成果が上がっており、担当者も手ごたえを感じています。
その他にも、何か成果はありましたか?
Rtoasterを使った取り組みではないのですが、今、試験的に行っているのがメールマガジンでのコンテンツの出し分けです。@niftyのお客様向けメールマガジンで、占いコンテンツの購入履歴があるお客様とそうでないお客様それぞれに、通常通りの原稿と占いコーナーのリンクの位置を上部に位置させた原稿の出し分けをしました。占いコンテンツの購入履歴があり、なおかつ占いのリンク位置を変えたメールを送付したお客様は、他のお客様に比べて占いコーナーのCTRが約10倍になるなど、明らかな差が出ています。
現在はRtoasterとメールシステムの連携を考えており、システム基盤を統括している部署との検討を行っております。
7.データサイエンティストのいないニフティにとって、ブレインパッドのサポートはとても心強い
さまざまな成果が出ているようで、大変嬉しく思います。ここに至るまでブレインパッドからはどのようなサポートがありましたか?
Rtoaster導入後しばらくは定例会を開催していただきました。私たちが漠然と悩んでいることにも積極的に情報や提案をくださって、そういったサポートはすごく手厚かったです。 データ分析は自分たちで行っているのですが、ニフティにはいわゆるデータサイエンティストのような専門家がいないので、データ分析に関する知見やアドバイスの部分ではかなり相談にのっていただいています。
「こういう先進的な取り組みを行っている」などの事例の情報や活用のヒントを教えていただけるのも非常に助かります。ブレインパッドはいろいろな会社、業種での実績があるので、他業種でのノウハウや、当社と同じ規模感の会社での事例を持っているのはとても頼りになりますね。
WEB サービス事業部 ポータルサービス部 課長
永井 智様
8.検索クエリ、アクセスログ、も統合していきたい
今後、さらに実現していきたいシステム構想があるそうですね。
はい。現時点ではインターネット接続サービス利用者の属性データと、@nifty上での行動データを1つのIDに統合していますが、今後はそこに検索クエリや、アクセスログの情報も紐付けたいと考えています。顧客接点も、@niftyのWEBサイトやメールマガジンだけでなく、アプリやSNSなど、複数のチャネルを使って複合的に展開できたらいいなと。
社内の技術委員会やシステム基盤統括部署との協業も取り付けることができ、少しずつ取り組みの範囲が増えてきています。
9.データがつながると事業がつながる。Rtoasterによって事業部間のシナジーが生まれた
データ活用に取り組まれた初期の段階から、ここまでの構想を描かれていたのですか?
いえいえ、とんでもない。冒頭でお話したように、最初はリターゲティングによるコンテンツの出し分けといったレベルからのスタートでした。協調フィルタリングやメールマーケティングのアイデアは最初からありましたが、Rtoasterを導入して結果が出たことで、自信がつきました。そこから色々情報を収集したり、社内のデータやシステムを調べたりして、構想が一気に広がりました。
Rtoasterを中心にして、社内の既存のシステムやデータといったピースを組み合わせた形になりますね。
それにより、事業部をまたいだデータ活用など、one to oneに近いことが少しづつ実現できるようになってきました。
現在実現していることを統合的なシステムで一気にやってしまう方法もありますが、それには多大なコストがかかりますし、どれだけの投資対効果が出るかも未知数です。だったら、今ある資産を活かし、着実に成果を出しながら範囲を広げていきたいと考えました。こういった進め方ができたのもRtoasterがあったからこそです。
構想が今後さらに実現していけば、事業部間のシナジーはもっと進んでいくと思います。
分断されていたデータがつながると、事業までつながっていくんですね。
おっしゃる通りですね。同じユーザーを対象としているのに、事業が違うというだけでユーザーの情報が分断されてしまうことにもったいなさを感じていました。Rtoasterを核に、事業がさらに密接に繋がり、新たな成果を出せればいいなと思います。