1. 豊富な作品数を活かすにはOne to Oneのコミュニケーションが必要
「TSUTAYA DISCAS」のサービスについて教えてください。
- <秋田氏>
- DVD・CDの宅配レンタルサービスです。「パソコンやスマホで予約→送料0円で自宅に配送→返却はポストへ投函」という手軽さで、国内最大級の作品数の中から話題の最新作や往年の名作を、ご自宅へお届けしています。
スマートフォンアプリにRtoasterを導入された経緯について教えてください
- <秋田氏>
- TSUTAYAグループ内の別サービスでRtoasterを使用しており、評判が良かったことからTSUTAYA DISCASのWebサイト版に導入、その後スマホアプリに導入しました。単純に新作やランキングなどで作品を提案するだけでなく、TSUTAYA DISCASの豊富な作品の中からユーザーの好みに合う作品をOne to Oneでおすすめできるようになるツールであると考え導入しました。
カルチュア・エンタテインメント株式会社
デジタルサービス事業本部 DISCASサービス企画ユニット
ユニット長 秋田 耕平 氏
- 以前のTSUTAYA DISCASとユーザーの接点は、9割がWebサイトで、スマホは1割でした。一般的には、スマホが普及し動画や音楽の視聴は8割から9割がスマホという環境の変化の中で、当社ユーザーがWebサイトの接点比率が高いということは、アプリに何かしらの課題があるのだろうと考えました。スマホにアプリが入っていれば、プッシュ通知等もありますし、ユーザーとサービスへの距離が近く接点が多くなるはずです。
また、ユーザーからも「アプリが使いづらい」という声をいただいていたため、2021年に「TSUTAYA DISCAS 宅配レンタル」アプリをリニューアルして、ユーザーとの接点をスマホに寄せていこうと考えました。そのタイミングで、アプリにもRtoasterを導入しました。
2. レコメンドの活用で無料お試し期間からの有料化率向上
実際に、TSUTAYA DISCASアプリでは、Rtoasterをどのように活用していますか?
- <久保氏>
- スマホアプリの接点比率が増えたことで、DISCASとの最初の接点がアプリというユーザーがいます。アプリ起点の新規ユーザーの方に、最初の無料お試し期間の後、有料会員になっていただくことが最初の壁です。継続してご利用いただくための施策として、「初回のアプリ起動時にのみ表示」するページを設けています。
カルチュア・エンタテインメント株式会社
デジタルサービス事業本部 DISCASサービス企画ユニット
久保 真由美 氏
- <久保氏>
- 無料お試し期間は新作を借りることができないため、旧作の中からいかにユーザーの好みに近い作品をおすすめして借りていただくかが大事です。リニューアル以前は万人に刺さりそうな人気作品をトップページに出していました。レンタルを継続いただくためにはできるだけユーザーの嗜好に合う作品のレコメンドを行いたいのですが、新規ユーザーはお気に入りやレンタル履歴などレコメンドに使うための情報がありません。そこで、初回のアプリ起動時に好みの作品を選択するページを設けそのデータを元に「おすすめ」タブに作品のレコメンドをしています。
- <久保氏>
- 新規ユーザーに最初に選んでいただく作品の候補は、知らない作品だと選択されず、人気がある作品ばかりだと好みの把握が難しいため、ユーザーの好みをつかみやすい作品を掲載しています。掲載する作品選びはコンテンツ調達チームの意見を取り入れつつ選択し、数カ月に一度、メンテナンスをしています。
Rtoasterの導入で行いたい施策は実現できましたか?
- <久保氏>
- 行いたい施策の一つは、新規ユーザーに複数の興味作品を軸として作品をレコメンドすることでした。例えば、アプリ起動時に3つの興味のある作品を選択していただくのですが、そこで選択された3作品を軸に興味のある作品をレコメンドする。1つの興味軸ではなく複数の興味軸にすることで、レコメンドする作品の幅が広がります。この機能は当時のRtoasterの機能にはなく、DISCAS向けに初めて開発してくれたと後から聞き、とても驚きました。対応も大変早く、アプリのリニューアルのスケジュールに間に合い、助かりました。
- <秋田氏>
- 初回アプリ起動時のページは、ユーザーの行動を蓄積して、レコメンドをブラッシュアップしていくためのとっかかりとして考えたものです。初回起動時のユーザー体験の良し悪しはイメージとして残るので、最初に気に入っていただけることはとても重要です。最初のステップとしてきちんとユーザーに刺さるか、PDCAを回しながら最適な施策を検討しています。
3. コアな映画ファンにも刺さるレコメンドでサービスの継続率向上
ユーザーと作品の出会いを増やすためにどのようにレコメンドを活用されていますか?
- <秋田氏>
- TSUTAYA DISCASにRtoasterを採用したそもそもの目的は、ユーザーの継続率の向上です。
ユーザーが見たい作品を入れていただく「定額リスト」という機能があり、リストに作品を多く入れているユーザーほど継続率が伸びることが分析結果として分かっていました。TSUTAYA DISCASは、本当に映画好き・音楽好きな方が集まってくれているサービスなので、長期間続けてくださっているユーザーも多く、すでにたくさんの作品を視聴いただいている方に対して、まだ出会えていない作品をレコメンドすることは難易度が高く感じていました。
そこで、ユーザーに新たな作品の出会いを作り、定額リストに入れていただける作品をレコメンドするという目的で、自動レコメンドを導入しています。久保や我々のチームのメンバーに加え、作品の調達メンバーにも協力してもらい、レコメンドの良し悪しをチェックしています。映画好き・音楽好きの社員が多いので、レコメンド精度などを複数の軸で確認できるのが我々の強みです。
- <久保氏>
- テスト環境で仮説通りでない結果の場合は、ロジックを再検討したりフィルタリングでチューニングします。
- <秋田氏>
- 最近は、コアな映画ファンの上司から「この作品ををおすすめしてくるのはさすが」とレコメンドの質をほめられるようになっています。チューニングの成果が出始めており、サービス継続率の伸びにもつながっています。
4. 企画の検討段階からブレインパッドに相談し、施策を効率よく実施
ブレインパッドのサポートについて感じたことを教えてください。
- <久保氏>
- Rtoasterの設定を自走できているのは、飯塚さん(ブレインパッド カスタマーサクセス部)が本当に丁寧に教えてくれたからです。レコメンド施策の企画の段階から仕様検討してくださることが多いので、とても助かっています。ロジック的にも施策内容的にも非常によいものを、一緒に作り上げることができていると思います。
アプリの初回起動時のレコメンドの件もそうでしたが、ブレインパッドさんにはクイックに返答していただけるので、とても助かります。手順も含めての回答なので、当社としてはスピード感をもってテストを繰り返すことができます。
飯塚さんが最初にRtoasterのシステム仕様について教えてくださったので、この設定を変えるとこうロジックが変わるということが理解できています。その知識を活かして、自走化できていると思います。
もうひとつは、当社のWebサイトやアプリのシステム担当ともお話しいただけていること。システム担当も私たちと同じように知識を得ているので、社内で相談して足りないところを改善できています。
株式会社ブレインパッド カスタマーサクセス部
飯塚 有菜
5. 施策を数多く実施してPDCAを早く回すことに貢献
- <秋田氏>
- 施策の推進力という話でいうと、Rtoasterを何のために導入しているか、そのために何が必要かをきちんと明確化することがポイントだと思います。
Rtoasterは「ユーザーに効果的に作品提案をするためのツール」。目指すKPIは「有料化率を高める」と「継続率を高める」の2つです。そのためには、「定額リストの件数を増やす」。ターゲットは「新規会員と既存会員」がいる。このように、きちんとロジカルに考えて、ゴールを明確化すれば、あとは実施するだけです。
- <秋田氏>
- レコメンドは、施策を実行してみなければ正しいかどうか分からない部分もあるので、
とにかく数多く打席に立ちPDCAを回す。それをスピード感を持って実行できる体制が作れたと思います。
6. レコメンドの自動化で工数を削減、企画やクリエイティブに時間を活用
Rtoasterを導入して、考える時間が増えたと伺っています。
- <久保氏>
- キャスト(作品に出演している演者)を軸にしたレコメンドでも、Rtoasterの自動レコメンドを使っています。ランキングで人気のキャストを出すエリアと、視聴履歴に基づいてユーザーの好みのキャストをリアルタイムレコメンドするエリアがあります。
たくさん映画を見ているユーザーが多いので、嗜好を読み切って適切なキャストをレコメンドするのが難しく「開発工数を削減したい」とブレインパッドさんにご相談して、Rtoasterを活用することで自動的にユーザーが直近で興味があったキャストと作品を出すようにしました。
このように、レコメンドを実装する部分はRtoasterに任せることで、コンテンツを運用する我々の時間が短縮できます。結果、コンテンツの量産ができて、新しい特集をたくさんテストできることに繋がっています。
今はおすすめタブや作品詳細ページの一部にレコメンドを置いていますが、もう少し遊び心のある作品提案をしようということで、Rtoasterを利用してゲーム性があるようなレコメンド施策なども企画しています。Rtoasterを活用することで、おすすめする作品の質がある程度担保された状態で、ギミック(作品の提案方法)として面白い企画を考え、チャレンジできます。
自動化できるところはRtoasterで施策を行い、人の考える時間を作ることができるようになったのは、Rtoasterの副次的な効果です。
7. 今後の展望
最後に、Rtoasterを使って今後企画されていることを教えてください。
- <久保氏>
- いま検討しているのは、ユーザーの作品コメントをベースにしたレコメンドです。作品ベースのレコメンドとは違った新たな種類のレコメンドができるのではないかと思っており、飯塚さんと相談中です。
- <秋田氏>
- 僕らとしてはさまざまな切り口で提案しなければなりませんが、そのひとつが、久保が話した「作品紹介のマガジン」のような読み物記事などを含むメディアプロジェクトです。コラムのような読み物ページをいくつか構えて、「DISCASって、一昔前までは単純な宅配レンタルのサービスだったけど、本当に映画・音楽が好きな人が集まるコミュニティだよね」という、もうひとつの軸を作っていきたいと考えています。
記事を読んだ人に、シンプルに「この記事を読んだならこの記事もどうぞ」というおすすめもあるでしょうし、記事に掲載している複数作品から潜在ニーズを深掘りしてレコメンドというのもあるかもしれません。
今は「明らかに作品ページを見た・作品を借りた」というところにしかフォーカスできていませんが、「実際には見ていないが、この記事を読んだということはこの周辺も好きですよね」のように、ある程度嗜好を深掘りできるのではないかという想定で、レコメンドの幅を広げる使い方がRtoasterでできるといいなと考えています。
御社のサービスでRtoasterを活用できる場面が今後も増えそうですね
- <久保氏>
- 作品でつながるコミュニティも検討しています。「こういう企画があるのですが、入りたい方はいませんか」と挙手制で実施しようと検討していましたが、「あなたにマッチするのはこの企画です」とRtoasterを使い、作品を通じてレコメンドされたユーザー同士をつなぐことができたら、とても楽しい会になるのではないかと思います。
- <秋田氏>
- Rtoasterの出番が作品だけでなく記事とか人とか、将来的にはリストの共有もあるかもしれません。やれることの幅は、どんどん広がるのではないかと思っています。
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