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DXは、特定の業種や職種に限られたものではありません。あくまでビジネスモデルや製品・サービスの変革につなげることがポイントですので、どんな業種・職種でもデータを活用し業務プロセスを変えることができるはずです。
近年、世界中で急速に進化している生成AI技術は、DXに新たな可能性をもたらしています。すでに成果を上げている企業も現れており、生成AIはDXを推進する上での有力な手段の一つといえるでしょう。
こうした技術の進展や成功事例の広がりを見ると、「実際にどんな企業がどのようにDXを進めているのか?」が気になるところです。
そこで本記事では、データ活用によるDX推進を支援するブレインパッドが関わったさまざまな業界のDX事例や最新事例として、DXがビジネス拡大、成長にどのように貢献しているのかを見ていきたいと思います。
▼ご紹介する業界
DX(Digital Transformation)とは、デジタル技術を用いた何らかの「変容」を指しています。ビジネスにおいては、デジタル技術の力で製品・サービスやビジネスモデルを変革することがDXです。
単なるIT化やデジタル技術の導入をDXとは呼びません。デジタル技術の導入によって顧客とのコミュニケーションチャネルにまつわる運用や物流計画などが根本的に変わってこそDXと呼べると考えられます。
近年ではDXの一環として、生成AIやAIエージェント、機械学習などの先端技術の活用が多くの企業で進められています。経済産業省が選定する「DX銘柄2024」でも、AI技術活用を単なる業務の効率化にとどまらず、競争優位性を確立するための基盤としている企業の取り組みが、特に注目されています。
DXの定義や用語の違いなどについては、以下の記事をご覧ください。
【関連記事】DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?その意味や今なぜ求められているか、わかりやすく解説
DXと混同しがちな「デジタライゼーション」や「デジタイゼーション」との違いについて、以下の図で簡単に解説します。
このように、DXが全社規模で価値創出にこだわるデジタル化であるのに対し、デジタライゼーションは特定のプロセスに限ったデジタル化、デジタイゼーションは紙やパンチカードなどの物質的な情報をデジタル形式へ変換することを指します。
【関連記事】DXピラミッド〜一般から最先端、そして未来まで。わかりにくいDXを、3分で理解する~
では、次の章から実際にデジタルトランスフォーメーションに成功している事例をいくつかご紹介します。
製造業はグローバル化による競争の激化、人手不足や職人の高齢化、原材料の高騰などの課題を抱え、AIなど最新技術によるデジタル化・データ活用でビジネスモデルを変革することが必要不可欠です。
経済産業省が日本の製造業についてまとめた「ものづくり白書」では、研究開発-製品設計-工程設計-生産などの連鎖である「エンジニアリングチェーン」と、受発注-生産管理-生産-流通・販売-アフターサービスなどの連鎖である「サプライチェーン」の2つにデータを活用し、企業を超えて製造機能の全体最適を目指す重要性が指摘されています。
【「製造業界×DX」関連記事】
トヨタ自動車様株式会社は自動車業界が大変革期を迎えている中で、新たな取り組みとして材料の研究・開発に情報科学を活用する「マテリアルズ・インフォマティクス」を始めました。
〇トヨタ自動車の取り組み
こうした取り組みを踏まえ、トヨタ自動車はこの技術を外部にも提供することを決定しました。これは、社会課題の解決に寄与するというトヨタの基本理念に基づいています。
【トヨタ自動車の本事例の詳しい解説記事】
経営者の隣にデータサイエンスを。Vol.2 データサイエンスでものづくりの未来を開く「材料開発のDX」でトヨタが目指すもの
日本たばこ産業株式会社(以下、JT)は、マーケティング活動にAIとデータを活用して「経験と勘」からの脱却を実現しています。もともと会員サービスを展開しており、大量の会員データを保有していたにもかかわらず、行動履歴やたばこ銘柄の履歴などの情報活用がうまくできていませんでした。
〇日本たばこ産業の取り組み
これらの取り組みにより、経験と勘ではなく、データに基づくマーケティング施策の企画・実施が可能となっています。
【日本たばこ産業の本事例の詳しい解説記事】
【前編】「Ploom X」で実装した機械学習のマーケティング活用事例
DXの推進は、島津製作所グループの中期経営計画の成長基盤強化に必要な要素として盛り込まれており、「ビジネスDX(顧客への情報・サービス提供の拡充)」の強化と「業務DX(グローバル情報の一元化による業務のスマート化と事業機会の拡大)」の両輪にて取り組みを進めています。
これらを成功させるためには、ITスキルに加え、顧客目線・ユーザー視点で物事を考え、ビジネスモデル変革までをも行うことのできるDX人材の育成が必須であり、全部門を対象とした、独自の育成プログラムをブレインパッドとともに構築しました。
【島津製作所の本事例の詳しい解説記事】
島津製作所が目指す「データ×価値創造」:データ活用の楽しさを全社に広めたい パートナーとともに挑んだデータ活用人材育成
パナソニックホールディングス株式会社は、現場プロセスの改革を支援するためにデータを活用しています。特に「現場プロセスイノベーション」を主力事業としており、その一環として、サプライチェーンマネジメント(SCM)におけるデータ活用にも力を入れています。
サプライチェーンの課題解決には、特定領域と別の領域との関連性を見極めることが欠かせません。仮に物流領域で問題が出ていても、その原因が物流以外にあるケースも少なくないといえます。そのため、AIのようなテクノロジーやデータを使って課題領域を見つけていくことが今後の課題になっています。
【パナソニックの本事例の詳しい解説記事】
【前編】パナソニック流「サプライチェーンDX」の現在地と未来
株式会社晃祐堂は、広島県安芸郡熊野町の伝統工芸品「熊野筆」の生産事業者です。熊野筆は熟練した職人によって作られるため、どの製品も筆先の大きさや膨らみなどが少しずつ異なっています。そのため、完成した筆がブランド基準を満たすものとなっているか、最終段階で職人が目視による検品を実施していました。
この目視の基準が職人の経験や感覚にゆだねられているため、判断に迷うケースがありました。
〇晃祐堂の取り組み
熊野筆ブランドの完成基準をデジタルを用いて確立することで、職人の眼や技術の持続可能な伝承に役立てたいと考えています。
【晃祐堂の本事例の詳しい解説記事】
AIが導く「伝統工芸品の技術伝承」
食品・飲食業界では、円安における原材料の高騰や慢性的な人材不足によるコスト増、消費者の高品質・低価格志向などの課題を抱え、DXによる抜本的な改革が求められています。
また2021年、HACCP(危害要因分析重要管理点)に沿った食品衛生管理が完全義務化され、食品の生産から消費までの企業をまたいだトレーサビリティの確保も重要です。
こうした課題を解決するDX事例としては、AIやIoTを活用した生産ラインの自動化・最適化や、不良品の早期発見、サプライチェーンマネジメント、ビッグデータ解析などで消費者の嗜好の変化をとらえた需要予測や在庫管理の精度向上による食品ロスの削減など、多岐にわたります。
【関連記事】
将来にわたってお客様へ商品を安定的にお届けし続けるためには、市場の変化に迅速に対応するとともに、より強固な供給体制の構築が必要です。
〇キリンビールの取り組み
その目的を、
①物流コストの最適化や業務効率化による自社の経済的価値の向上
②物流負荷の軽減やCO2削減による社会的価値の創出・創出し続けるための業務基盤構築
に定めています。
本プロジェクトは、第1弾として2022年12月にブレインパッドと共同開発した「資材需給管理アプリ」を運用していましたが、第2弾として2023年7月より「製造計画作成アプリ」の運用を開始しました。
【キリンビールの本事例の詳しい解説記事】
「未来の需給」をつくる、キリンビール「SCM(サプライチェーンマネジメント)」の挑戦
キユーピー株式会社は、ベビーフードをはじめとした食品の品質検査にAIを活用して、検査精度および速度の向上を図っています。
〇キユーピーの取り組み
目視からの脱却のために自動検査システムの導入を目指したもののうまくいかず、
カメラへの環境光の影響や学習の安定性など、環境に依存する課題が出てきているものの、日々改良を加えて精度と速度を上げています。
【キユーピーの本事例の詳しい解説記事】
AIが高める“食の安全・安心”~キユーピーの理念・現場力に、当社のAI技術をプラスして新しいビジネス価値の創造を支援~
〇ネスレ日本の取り組み
ネスレ日本では飲料や食品など多岐にわたるブランドを横断するデジタル部門が中心となり、顧客理解に基づいたSEOやプロモーションのサポートを行い、精度の高いマーケティング戦略を構築。
ポータルサイトの顧客の属性や行動パターン分析を深化させ、サイト外の検索データのファクトからも顧客の課題を把握し、仮説にもとづいた施策をスピーディーに展開しています。
【ネスレ日本の本事例の詳しい解説記事】
ネスレ日本が実践する、真の顧客理解に基づいたマーケティング戦略と組織組成
「モノからコトへ」と言われるように、モノが売れない時代に変化しています。顧客の減少、従業員の配置見直し、在庫の大量発生といった問題に直面する中、従来通りのやり方を維持するのではなく、新たな手法・戦略、アイデアを用いて競争を勝ち抜こうとするDX事例が増えています。
【関連記事】小売DXのDOORSメディア記事
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IT、物流、製造など、サプライチェーンの各領域で積極的に内製化を推進していることで知られているニトリホールディングス。同社は「製造物流IT小売業」と自称するほど、多岐にわたってビジネスフィールドを展開している巨大企業です。
〇ニトリの取り組み
データ活用内製化の意義は、自社のビジネスや業務を理解している人間が分析することで、分析のための分析に留まらない高度な分析を可能にすることです。そうすることによって、会社はもちろん、その先にいるお客様にもデータ分析による価値を提供できると考えています。
データ分析プロジェクトの進め方の理解だけではなく、構造を捉える大切さがよくわかったことで、IT戦略を考える上でもより構造を意識するようになりました。
【ニトリホールディングスの本事例の詳しい解説記事】
ニトリのデータ活用内製化の取り組み ~「2032年・3,000店・売上高3兆円」への礎を築くプロジェクトを振り返る~
株式会社ピーチ・ジョンは2023年、基幹システムの大幅刷新を含めて、約15年ぶりにECリニューアルを実施しました。
〇ピーチ・ジョンの取り組み
約10年にわたってブレインパッドの「Rtoaster」「Probance」で蓄積してきたデータ資産を活用しながら、「ピーチ・ジョンの世界観」の表現と、お客様一人ひとりに合わせたパーソナルなEC体験の両立を実現しています。
【ピーチ・ジョンの本事例の詳しい解説記事】
ピーチ・ジョン、約15年ぶりのECリニューアルの舞台裏。~ブレインパッドと創る、これからのEC体験~
〇資生堂ジャパンの取り組み
資生堂ジャパンはECと融合したオウンドメディアを運用して10年を迎え、データ分析とパーソナライズを駆使しながら、顧客一人ひとりに最適な接客体験を提供することを目指しています。
コロナ禍を経て、ユーザーを巻き込んだリアルな体験を求められる中、データでお客様の表情をとらえるためのマーケティング施策の高度化とともに、今後は属人化を防ぐツール活用や組織づくりが課題に挙げています。
【資生堂ジャパンの本事例の詳しい解説記事】
資生堂と考える接客体験の未来。『ワタシプラス』で実現するパーソナルデータ活用
株式会社バロックジャパンリミテッドは、2019年から「ニューリテール」をキーワードとする5年間の中長期計画を策定し、データ活用、ブランド強化、グローバル展開とともに、オンラインとオフラインを融合させたOMOを推進するための、事業構造を再構築を進めてきました。
〇バロックジャパンリミテッドの取り組み
今後の展望としては、データを活かした購買予測、生産や在庫の最適化、動画データの活用などの課題に向き合っています。
【バロックジャパンリミテッドの本事例の詳しい解説記事】
金融業界は「入出金データ」「残高データ」といった宝のようなデータを大量に持っています。ただ、これらが限定的にしか使われてないという実状があります。
金融機関のデータでは、実際の生活や経済に近い動きを見ることが可能です。保険会社や証券会社も、まずは顧客の状況(データ)を見てから、次に何を販売するか、どういうサービスや付加価値を提供するのかを考えられます。
金融機関が所持する「宝の山」のデータを使うことで、さらにビジネスを拡大している事例をいくつかご紹介します。
【関連記事】金融DXで主に解決される3つの課題とDX事例8選
他社に先駆けて金融サービスのデジタル化を進め、1000万DLを超える先進的なスマホアプリなどの取り組みにより、2020年から3度にわたってDX銘柄に選定されたりそなホールディングス。そのまなざしは自社DXだけでなく、全国の金融機関から地方創生と消費者生活にまで向けられています。
〇りそなホールディングスの取り組み
2024年12月には地域金融機関向けに、りそな銀行・ブレインパッドと共同開発した、顧客ニーズをAIで予測する銀行業務支援ツール「Data Ignition」をリリースし、金融業界全体のDXを推進する積極的な取り組みを続けています。
【りそなホールディングスの本事例の詳しい解説記事】
地方銀行のデジタルトランスフォーメーション(DX)を通じて地域経済の活性化を目指すりそなホールディングス×ブレインパッドの共同プロジェクトとして、静岡銀行のデータ利活用の高度化を支援する取り組みが2024年度より本格展開しています。
〇静岡銀行の取り組み
グループで取り組んでいる「トランスフォーメーション戦略」の重要ファクターとして「データ利活用」の内製化を進め、短期間で取り組みを加速しています。
【静岡銀行の本事例の詳しい解説記事】
【前編】静岡銀行のデータ利活用高度化の取り組み-「ビジネスに始まり、ビジネスに終わる」を、「あるべき姿」より「目指すべき姿」を徹底
DX推進のためには社員がデータとテクノロジーを活用できる必要があることから、多くの企業では人材育成が急務となっています。株式会社ゆうちょ銀行は、ブレインパッドの支援を受けつつデータ活用と分析の自走化を目的とした組織風土の醸成とデータサイエンティストの育成を進めています。
【関連記事】【社員が解説】データサイエンティストとは?仕事内容やAI・DX時代に必要なスキル
ゆうちょ銀行は、DXの推進に際して、データ活用・分析業務を自走化することが重要であると考えており、データ活用と分析の自走化に向けた体制と役割を確立するための分析専門組織を立ち上げました。
また、データサイエンスの基礎知識を身につけるための全体学習を推進し、各部署から募ったプロジェクトメンバーが分析テーマを設定するとともに、ブレインパッドからのフィードバックを受けて実践的な学びを深めています。
【ゆうちょ銀行の本事例の詳しい解説記事】
ゆうちょ銀行が考える、データドリブン文化醸成に必要な「インフルエンサー」
〇横浜銀行の取り組み
この取り組みにより、横浜銀行は「マイページ」のPV数が13.7%増加し、約5万件の顧客の興味・関心情報を収集することに成功しました。これらの情報を活用することで、今後は顧客のライフステージやライフサイクルに応じたコンテンツの提供や、金融サービスの提案が可能となります。
【横浜銀行の本事例の詳しい解説記事】
株式会社横浜銀行様|お客様のニーズを理解することで、より深い絆でお客様と結ばれる横浜銀行でありたいと考えています。
〇ビューカードの取り組み
ビューカードは顧客満足度と従業員のやりがい向上を目指し、2020年からデジタル戦略部を中心として、全社的にDXを推進してきました。
当初はデータの抽出からブレインパッドが支援していましたが、現在は様々な指標の集計や施策の効果検証まで、通常の業務の中で必要なデータ分析はすべて内製化しています。
【ビューカードの本事例の詳しい解説記事】
【前編】CXとEXの両輪による変革を目指す「ビューカード流DX」―デジタル戦略部による顧客体験と従業員体験向上の取り組み<DX事例>
コロナ禍を経て大きく消費行動が変わり、「2024年問題」などの法改正の波を受けている当業界は、変革の時を迎えています。
グローバル競争の激化を背景に、製品が作られてからエンドユーザーに届くまでのサプライチェーン全体を最適化する「サプライチェーンマネジメント」の必要性が高まっています。複数の企業をまたがりデータの標準化・制御を行うことで、物流コスト増加や人手不足への対応が可能になるためです。柔軟で品質・安全性の高いサプライチェーン再構築が競争力の源泉になると考えられています。
交通領域でも、デジタル技術やAIを活用すれば、利用者への適時・適切な情報提供や、柔軟に移動する新たなモビリティサービスの提供なども可能になります。また、収集した利用者の利用履歴などを基に、より効率的な運行計画を立てる等の応用も考えられるなど、DXの可能性が大きい業界と言えます。
【「物流業界×DX」関連記事関連記事】
さまざまな分野においてサステナビリティやデジタルトランスフォーメーション(DX)の重要性が叫ばれる昨今、食品流通分野においても、データを活用した効率化や新たなビジネスの創出による収益拡大、食品廃棄ロス削減などの実現が求められています。
〇伊藤忠商事の取り組み
▼人工知能(AI)を活用したメーカー向け自動発注
【伊藤忠商事の本事例の詳しい解説記事】
ヤマト運輸株式会社は、宅急便の送り状や請求書・納品書などのビジネス向けツールを提供する会員制のポータルサイト「ヤマトビジネスメンバーズ」を持っています。サービスの拡充、インターフェースの刷新などを目的としてサイトリニューアルを実施した際に、お客様の属性やご利用履歴に応じて表示するサービスを出し分けるようなレコメンド機能を盛り込むことになりました。
施策展開に当たり、ブレインパッドが提供する自動接客プラットフォーム・「Rtoaster(アールトースター)」の「ユーザー分析機能」を用いて最適な顧客セグメントの抽出が可能になりました。結果、トップページのCTRが導入前の0.01%から1%程度にまで劇的に向上しました。サービス申し込み件数も5倍に向上し、セグメント抽出の方法やレコメンド機能の効果が見えてきています。
【ヤマト運輸の本事例の詳しい解説記事】
ヤマト運輸株式会社様|自社開発や他社ベンダーでは困難だった“お客様一人ひとりに、ふさわしいサービスを提供したい”が実現できました。
JR九州は、鉄道事業を中心として、駅ビル開発などの不動産業やホテル事業など、九州全域にわたる総合的なまちづくりを推進する事業を展開しており、同社が推進するグループDX戦略においては、ポイントサービス「JRキューポ」を軸に、グループ全体・多様な外部プレイヤーとのデータ連携・データ活用を推進していく方針を掲げています。
しかし、これまでのシステムではデータ加工・データ抽出が長時間に及ぶことに加え、内製にて顧客分析を行うのが難しいといった課題が顕在化していたため、顧客分析基盤の刷新が行われることとなりました。
〇JR九州の取り組み
【JR九州の本事例の詳しい解説記事】
JR九州の分析基盤の再構築プロジェクト ー データ活用によるさらなる顧客獲得を見据えて
いわゆる、「デジタルネイティブ」である企業が多い当業界。デジタル化、データ活用は他業界よりも抵抗なく進んでいる印象があります。
DX、ITに関する先端的かつ豊富な知識、ノウハウを「外販」する動きも加速するなど、非常に興味深い事例が多いと言えます。
ヤフー株式会社は検索、ニュース、動画、天気、メール、eコマース、地図など多様なサービスを展開しており、これらのサービスからは顧客の属性データや行動履歴をはじめ、ビッグデータが得られます。
こうしたマルチ・ビッグデータを企業や自治体で活用してもらい、日本企業のDX推進に貢献すべくデータソリューション事業をヤフーは展開しています。
また、プライバシー保護を前提としながら、顧客データを統合・分析・活用し、顧客とのエンゲージメントを強固にする必要性が高まる中、トレジャーデータが国内外450社以上に提供している顧客データ活用サービス「Treasure Data CDP」内に格納されたデジタル広告やメール配信、アプリプッシュ通知の履歴などの企業が保有する顧客データを、プライバシー保護を最重視した安全な環境で取り扱い、Yahoo! JAPANが保有する購買意向や興味関心などのデータを用いて分析ができる「Yahoo! Data Xross」(YDX)を2023年春にローンチしました。
【ヤフーの本事例の詳しい解説記事】
ヤフーが「Yahoo! Data Xross」でもたらすマーケティングDXの新時代
〇ソフトバンクの取り組み
これまでLPガスの配送員は、勘や経験によって配送計画やルートを策定していましたが、「Routify」を導入することにより、自動で策定された配送先リストや配送ルートを配送員向けアプリ(ハンディーターミナルやスマホに対応)で確認するだけで、最小限の移動で効率的に配送業務を行うことができ、ガス残量のばらつきが少ない状態で容器を回収できます。
【ソフトバンクの本事例の詳しい解説記事】
社会インフラ課題をデータ活用で解決する、ソフトバンクの新サービス・「Routify」開発秘話
〇ニフティの取り組み
ニフティ株式会社は、月間5,300万PV、UU250万人を誇る国内有数のポータルサイト「@niftyトップページ」を運営しています。当時、「同じ社内でありながら、属性データと行動データが個別管理されている」ことが課題でした。そこで、自動Webs接客ツール・「Rtoaster」を導入し、これらのデータを統合させ、よりパーソナライズされたサービスを提供できるようになりました。
Rtoasterの導入後、CTRは4倍、CVRは2.3倍に増加し、コンテンツ販売の月間売上は10%増加しました。これらの成果は、RtoasterがWebページ内にタグを1つ埋め込むだけで、すぐにコンテンツの出し分けやリターゲティングなどの施策がスタートできるという特性によるものです。
【ニフティの本事例の詳しい解説記事】
ニフティ株式会社様|お客様一人ひとりに最適なコンテンツを提供するという点において、「手軽さ」と「きめ細かさ」の両方を兼ね備えているのはRtoasterだけでした。
建設業界では、人材不足や技能継承をDXで解決しようとする動きが加速しています。また、不動産業界では、快適なすまい探しをいかにDXを駆使して提供するか、各社がしのぎを削っています。
八千代エンジニヤリング株式会社の重要な業務の一つに、河川のコンクリート護岸の点検・改修があります。洪水を始めとした災害対策として設置されているコンクリート護岸は、定期的に点検と改修を必要とします。
従来は人間による目視主体で劣化状況を点検していたのですが、設置時期や地域などによって整備の形式が異なるのに加え、点検や改修には熟練の技術が求められることから、手間やコストが膨大になっていました。また、当然ながら劣化状況の判断基準が属人的であり、担当者によってまちまちであることも課題でした。
〇八千代エンジニヤリングの取り組み
【八千代エンジニヤリングの本事例の詳しい解説記事】
【AI導入事例】河川のコンクリート護岸劣化検知
Webサイトでは数多の商品・サービスが販売され、消費者は時間と労力を費やして適切なものを探し出さなければならない状況にあります。こういった状況で「どのようなプロセスで商品やサービスを選び購入するのか」という顧客体験の向上が必須の課題となっています。
最近ではAIを使ったパーソナライズが発達し、ユーザーにマッチした提案ができるようになってきました。
〇野村不動産ソリューションズの取り組み
【野村不動産ソリューションズの本事例の詳しい解説記事】
お客さまのこだわりが見つかるWebサイトの新しい検索体験―野村不動産ソリューションズと考えるデータを活用した顧客体験の追求―
大東建託株式会社のWebサイト運用における業務の一つに、不動産賃貸物件の写真の分類・登録があります。従来は担当者が写真を逐一目検で確認し、手作業でカテゴリ分けと登録を行っていました。1つの物件だけで5~10分を必要とし、年間登録物件数が30万件近くに及ぶことから、膨大な工数がこの基本業務に費やされていました。
〇大東建託の取り組み
こちらのシステムで物件サイトへ画像を掲載する作業まで自動化するため、1件あたりの作業時間を約70%削減し、1か月換算で約3,000時間の工数削減に寄与しています。
【大東建託の本事例の詳しい解説記事】
【AI導入事例】不動産物件の画像登録作業の自動化
世界に先駆けて超高齢社会に直面する日本では、健康寿命を延ばし、医療・介護費にまつわる社会保障制度を持続可能な状態に保って、将来にわたって安心して暮らせるようにすることは重要です。
厚生労働省は「医療DX令和ビジョン2030」の提言に基づき、マイナンバーカードと健康保険証の一本化を含む、全国医療情報プラットフォーム、電子カルテ情報の標準化等、診療報酬改定DXなどの政策を進めており、医療・製薬業界は大きな変革の時を迎えています。
またコロナ禍を経て、医療従事者の人手不足や医療機関の経営難が浮き彫りになり、素早く正確な診断や治療で業務負担を軽減したり、リモート診療や医療連携のための医療DXも求められています。
一方で製薬業界では、原材料費の高騰や政府の薬価引き下げによる創薬の採算性の問題を抱えており、製薬プロセスの効率化や開発の成功率向上、医療従事者への情報提供のデジタル化なども急務です。
【関連記事】製薬・医療DXのDOORSメディア記事
〇昭和大学の取り組み
昭和大学では健康寿命の延伸を目指し、画像を含めたマルチモーダルAIによる診断支援システムの開発により、医師の診断精度を向上させる取り組みが行われています。
このAI活用の先進的な取り組みは、2024年12月に画像認識応用技術の学会「ViEW2024」にてブレインパッドと共同発表が行われ、医療関係者に注目されています。
【昭和大学の本事例の詳しい解説記事】
ノバルティスファーマでは、2023年にデータ利活用を推進するCustomer Data and Analytics部を立ち上げ、薬剤情報の提供にとどまらず、医療従事者の抱える課題を解決する顧客体験の提供を目指しています。
〇ノバルティスファーマの取り組み
人材系の施策「Analytics boot camp(ABC)」では、研修、コミュニティ運営、データ分析支援の3つの取り組みを平行することで、メンバーが自ら率先して日常業務のデータフローを定義し、データ分析を進める風潮を組織に根付かせることに成功しています。
【ノバルティスファーマの本事例の詳しい解説記事】
「Patient Centricity」実現に向けたノバルティスのデータ利活用民主化
「DX」という言葉が定着するにつれて、あらゆる業界でレガシーシステムからの脱却、AIの導入やデータに基づいた探求により、本質的なイノベーションと課題解決が期待されています。
またデータ活用はビジネス分野にとどまるものではありません。スポーツや芸術、農業、教育など、分野にかかわらず先進的なデータサイエンスの取り組みが、新たな可能性を拓く鍵となるでしょう。
【関連事例】その他業界のデータサイエンス事例
〇東京電力エナジーパートナーの取り組み
東京電力エナジーパートナーは、事業部自らデータ活用を推進できる「自走型」データ活用を目指しており、ブレインパッドと連携して2023年スタートした「EP Data College」はその根幹となる取り組みです。
カリキュラムは知識の修得と、実務に即した分析テーマの実践型演習から成り、受講後は事業部の業務オペレーションに組み込めるデータ分析がスムーズに進められます。
【東京電力エナジーパートナーの本事例の詳しい解説記事】
〇日本スポーツアナリスト協会の取り組み
バレーボールはデータ活用が進んでいるスポーツ競技で、監督やコーチが試合中もタブレット端末からのデータをもとに戦略や指示を出し、ナショナルチームの多くはアナリストを雇っています。
日本スポーツアナリスト協会では、全日本バレーチームの優位を築くため、世界中のどのチームも実現していない試合中におけるリアルタイムの未来予測AIモデルを構築に成功。今後の課題としては、試合の流れに即した精度向上が挙げられ、AIの実戦投入を目指しています。
【日本スポーツアナリスト協会の本事例の詳しい解説記事】
スポーツアナリティクス×AI開発ストーリー対談|AIによる「未来予測」で、試合に勝つ
成功要因はさまざまですが、大きく2点を挙げたいと思います。
いわゆる高度なDXを推進している企業にも共通しているのは、日々蓄積されるデータをうまく活用し、データドリブン経営に舵を切り、成功していることにあります。
すなわち、データが活用される場面が増えることは、DXが進むことと同義と言えるのではないでしょうか。
残念なことに現在、データの活用率は3%と言われていて、まだまだデータ活用が進んでいないことも事実です。しかし、見方を変えて見ればどうでしょう。残り97%に活用の余地があるとも言えます。
企業に「データ活用」という力を加え、データを隅々にまで巡らせることが、DXを成功に導く、つまり日本のビジネスを成功に導くチャンスになると考えます。
【「データドリブン」解説記事】
DX先進企業は「内製化」を強く意識、推進しているという一つの背景・特徴があります。
デジタルを使うのではなく、使いこなすことでビジネスの成長と価値向上に努めていかなければならない。こんな課題感が出てきているのが内製化が注目される背景といえます。
ブレインパッドでは、「DXの内製化とは何を指すのか」と聞かれた場合、「デジタル/データを使いこなすための人材/組織および仕組みが自社で具備できていて、恩恵を享受できている状態」と答えます。
組織といった箱を作るだけなら、企画して上申すればいいだけですが、その箱が価値を生み出していくためには、箱の中にいる人材の確保と育成および動かす仕組みが必要であり、そのための予算確保も必要です。その上で、その組織に属する人たちが会社全体に内製化の取り組みを伝播していかなければなりません。
この広げる活動=文化醸成が、内製化成功の鍵といえます。
内製化を推進するならば、パートナーが不要かというとそうではなく、先進企業は「社内にスキルのある人がいないから外部委託する」のではなく、「継続的な成長をするためにビジネスパートナーを選ぶ」ことに意識を変えているのも、一つの共通項かもしれません。
【「DX 内製化」解説記事】
今の日本企業が目指すべきDX内製化の理想形「DX内製化3.0」とは?
DX推進を成功させるためには、やはり成功企業の事例を知ることは重要と言えます。ここまで、ブレインパッドが支援させていただいた事例の一部を紹介させていただきましたが、経済産業省が主催している取り組みで、東京証券取引所に上場している企業のうち「DX推進や実現のための仕組みが社内に構築されている」もしくは「DXに関連する実績を有する」企業を選定した「DX銘柄」から最新事例を知ることもおすすめします。
今回ご紹介した事例を参考に、自社のDXを推進していただければ幸いです。
記事・執筆者についてのご意見・ご感想や、お問い合わせについてはこちらから
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