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DX(Digital Transformation)とは、デジタル技術を用いた何らかの「変容」を指しています。ビジネスにおいては、デジタル技術の力で製品・サービスやビジネスモデルを変革することがDXです。
単なるIT化やデジタル技術の導入をDXとは呼びません。デジタル技術の導入によって顧客とのコミュニケーションチャネルにまつわる運用や物流計画などが根本的に変わってこそDXと呼べると考えられます。
DXの定義や用語の違いなどについては、以下の記事をご覧ください。
【関連記事】DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?IT化との違いや事例を解説
DXと混同しがちな「デジタライゼーション」や「デジタイゼーション」との違いについて、以下の図で簡単に解説します。
このように、DXが全社規模で価値創出にこだわるデジタル化であるのに対し、デジタライゼーションは特定のプロセスに限ったデジタル化、デジタイゼーションは紙やパンチカードなどの物質的な情報をデジタル形式へ変換することを指します。
【関連記事】DXピラミッド〜一般から最先端、そして未来まで。わかりにくいDXを、3分で理解する~
では、次の章から実際にデジタルトランスフォーメーションに成功している事例をいくつかご紹介します。
経済産業省が日本の製造業についてまとめた「ものづくり白書(製造基盤白書)」に、研究開発-製品設計-工程設計-生産などの連鎖である「エンジニアリングチェーン」と、受発注-生産管理-生産-流通・販売-アフターサービスなどの連鎖である「サプライチェーン」の2つにデータを活用することで付加価値をもたらすとある通り、デジタル技術の進化は、製造業にも大きなインパクトをもたらしました。
【「製造業界×DX」関連記事】
トヨタ自動車様株式会社は自動車業界が大変革期を迎えている中で、新たな取り組みとして材料の研究・開発に情報科学を活用する「マテリアルズ・インフォマティクス」を始めました。
〇トヨタ自動車の取り組み
こうした取り組みを踏まえ、トヨタ自動車はこの技術を外部にも提供することを決定しました。これは、社会課題の解決に寄与するというトヨタの基本理念に基づいています。
【トヨタ自動車の本事例の詳しい解説記事】
【シリーズ】経営者の隣にデータサイエンスを。Vol.2 データサイエンスでものづくりの未来を開く「材料開発のDX」でトヨタが目指すもの
将来にわたってお客様へ商品を安定的にお届けし続けるためには、市場の変化に迅速に対応するとともに、より強固な供給体制の構築が必要です。
〇キリンビールの取り組み
その目的を、
①物流コストの最適化や業務効率化による自社の経済的価値の向上
②物流負荷の軽減やCO2削減による社会的価値の創出・創出し続けるための業務基盤構築
に定めています。
本プロジェクトは、第1弾として2022年12月にブレインパッドと共同開発した「資材需給管理アプリ」を運用していましたが、第2弾として2023年7月より「製造計画作成アプリ」の運用を開始しました。
【キリンビールの本事例の詳しい解説記事やSCM解説記事】
キユーピー株式会社は、ベビーフードをはじめとした食品の品質検査にAIを活用して、検査精度および速度の向上を図っています。
〇キユーピーの取り組み
目視からの脱却のために自動検査システムの導入を目指したもののうまくいかず、
カメラへの環境光の影響や学習の安定性など、環境に依存する課題が出てきているものの、日々改良を加えて精度と速度を上げています。
【キユーピーの本事例の詳しい解説記事】
AIが高める“食の安全・安心”~キユーピーの理念・現場力に、当社のAI技術をプラスして新しいビジネス価値の創造を支援~
日本たばこ産業株式会社(以下、JT)は、マーケティング活動にAIとデータを活用して「経験と勘」からの脱却を実現しています。もともと会員サービスを展開しており、大量の会員データを保有していたにもかかわらず、行動履歴やたばこ銘柄の履歴などの情報活用がうまくできていませんでした。
〇日本たばこ産業の取り組み
これらの取り組みにより、経験と勘ではなく、データに基づくマーケティング施策の企画・実施が可能となっています。
【JTの本事例の詳しい解説記事】
【前編】「Ploom X」で実装した機械学習のマーケティング活用事例~BrainPad DX Conference 2022~実践セミナー_対談
「DX銘柄」としても業界内外から注目を集めるアサヒグループジャパン株式会社。「飲食×デジタル」で新規ビジネスの創出を目指す「Food as a Service構想」を掲げています。
〇アサヒグループジャパンの取り組み
同社のDXを推進する野村氏は、「組織そのもの・どの部門であってもDXにつながる」と考え、「実際にトランスフォーメーションはどの部署にも可能性はあります」と言います。
【アサヒグループジャパンの本事例の詳しい解説記事】
熱意を持った社員を育成し、新たな価値を創出:アサヒグループの挑戦
DXの推進は、島津製作所グループの中期経営計画の成長基盤強化に必要な要素として盛り込まれており、「ビジネスDX(顧客への情報・サービス提供の拡充)」の強化と「業務DX(グローバル情報の一元化による業務のスマート化と事業機会の拡大)」の両輪にて取り組みを進めています。
これらを成功させるためには、ITスキルに加え、顧客目線・ユーザー視点で物事を考え、ビジネスモデル変革までをも行うことのできるDX人材の育成が必須であり、全部門を対象とした、独自の育成プログラムをブレインパッドとともに構築しました。
【島津製作所の本事例の詳しい解説記事】
熱意を持った社員を育成し、新たな価値を創出:アサヒグループの挑戦
パナソニックホールディングス株式会社は、現場プロセスの改革を支援するためにデータを活用しています。特に「現場プロセスイノベーション」を主力事業としており、その一環として、サプライチェーンマネジメント(SCM)におけるデータ活用にも力を入れています。
サプライチェーンの課題解決には、特定領域と別の領域との関連性を見極めることが欠かせません。仮に物流領域で問題が出ていても、その原因が物流以外にあるケースも少なくないといえます。そのため、AIのようなテクノロジーやデータを使って課題領域を見つけていくことが今後の課題になっています。
【関連記事】
【前編】パナソニック流「サプライチェーンDX」の現在地と未来~BrainPad DX Conference 2022~実践セミナー_対談
サプライチェーンマネジメント(SCM)とは?成功事例や必要性・メリットをわかりやすく解説
株式会社晃祐堂は、広島県安芸郡熊野町の伝統工芸品「熊野筆」の生産事業者です。熊野筆は熟練した職人によって作られるため、どの製品も筆先の大きさや膨らみなどが少しずつ異なっています。そのため、完成した筆がブランド基準を満たすものとなっているか、最終段階で職人が目視による検品を実施していました。
この目視の基準が職人の経験や感覚にゆだねられているため、判断に迷うケースがありました。
〇晃祐堂の取り組み
熊野筆ブランドの完成基準をデジタルを用いて確立することで、職人の眼や技術の持続可能な伝承に役立てたいと考えています。
【晃祐堂の本事例の詳しい解説記事】AIが導く“伝統工芸品の技術伝承
「モノからコトへ」と言われるように、モノが売れない時代に変化しています。顧客の減少、従業員の配置見直し、在庫の大量発生といった問題に直面する中、従来通りのやり方を維持するのではなく、新たな手法・戦略、アイデアを用いて競争を勝ち抜こうとするDX事例が増えています。
【関連記事】小売DXのDOORSメディア記事
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さまざまな分野においてサステナビリティやデジタルトランスフォーメーション(DX)の重要性が叫ばれる昨今、食品流通分野においても、データを活用した効率化や新たなビジネスの創出による収益拡大、食品廃棄ロス削減などの実現が求められています。
〇伊藤忠商事の取り組み
▼人工知能(AI)を活用したメーカー向け自動発注
【伊藤忠商事の本事例の詳しい解説記事】
IT、物流、製造など、サプライチェーンの各領域で積極的に内製化を推進していることで知られているニトリホールディングス。同社は「製造物流IT小売業」と自称するほど、多岐にわたってビジネスフィールドを展開している巨大企業です。
〇ニトリの取り組み
データ活用内製化の意義は、自社のビジネスや業務を理解している人間が分析することで、分析のための分析に留まらない高度な分析を可能にすることです。
そうすることによって、会社はもちろん、その先にいるお客様にもデータ分析による価値を提供できると考えています。
データ分析プロジェクトの進め方の理解だけではなく、構造を捉える大切さがよくわかったことで、IT戦略を考える上でもより構造を意識するようになりました。
【ニトリホールディングスの本事例の詳しい解説記事】
ニトリのデータ活用内製化の取り組み ~「2032年・3,000店・売上高3兆円」への礎を築くプロジェクトを振り返る~
株式会社バロックジャパンリミテッドは、2019年から5年間の中長期計画を策定し、データの蓄積や分析・活用、ブランド強化、グローバル展開を推進しています。その中で、オンラインとオフラインを融合させた「ニューリテール」の形で事業構造を再構築することが課題となっています。
〇バロックジャパンリミテッドの取り組み
今後の展望は、新会員制度を生かしてよりブランドのファンがECサイトを使って購入してもらえる施策を行っていくこと、店員接客の良さをECに反映させること、データ活用を通じた生産や在庫の最適化などが挙げられています。
【バロックジャパンリミテッドの本事例の詳しい解説記事】
株式会社フェリシモでは、「クラスター&トライブ戦略」を掲げ、顧客に寄り添った商品やサービスを提案しています。この戦略は、フェリシモのコアバリューである「ともにしあわせになるしあわせ」を実現するためのものです。ニッチながら確実にファンを持つ顧客に対して、独自性のある新しい価値提案を行っています。
〇フェリシモの取り組み
この結果、最初の1年間で計3,300時間、次の1年間で計7,600時間もの業務時間削減につながりました。
※「BrainRobo(ブレインロボ)」は2023年12月末に提供終了。
【フェリシモの本事例の詳しい解説記事】
フェリシモ「クラスター&トライブ戦略」に学ぶ、マーケティングDXの取り組み方
国分グループ本社株式会社は、創業300年を超える「食品卸」の企業です。食品流通の中心となり、10,000社のメーカーから60万の商品を仕入れ、スーパーやコンビニといった小売店・外食産業35,000社に対して商品を販売しています。
〇国分グループの取り組み
今後、現場担当者がVizTactを活用し、「〇〇が売れた背景にはこんな要因がありました」とデータに基づいた提案をお客様にできれば、国分グループの競争力強化が期待できます。
※「BrainPad VizTact」は2024年7月末に提供終了
金融業界は「入出金データ」「残高データ」といった宝のようなデータを大量に持っています。ただ、これらが限定的にしか使われてないという実状があります。
金融機関のデータでは、実際の生活や経済に近い動きを見ることが可能です。保険会社や証券会社も、まずは顧客の状況(データ)を見てから、次に何を販売するか、どういうサービスや付加価値を提供するのかを考えられます。
金融機関が所持する「宝の山」のデータを使うことで、さらにビジネスを拡大している事例をいくつかご紹介します。
【関連記事】
2024年版|金融DXで主に解決される3つの課題とDX事例7選
りそなグループアプリは、「スマホがあなたの銀行に」をコンセプトに、さまざまな手続きをかんたんに完結できるアプリです。他社に先駆けて金融サービスのデジタル化を推し進め、2022年3月にはすでに中期経営計画目標の500万ダウンロードを突破しています。
りそなグループには約1,600万人の個人のお客さまがいるにもかかわらず、対面で営業できていたのは10%を切っており、残りの90%のお客さまに対して、能動的な接点がありませんでした。残りの90%のお客さまにより良い金融サービスを届けるにはどうしたら良いかを考えた結論がスマホアプリだったのです。
りそなグループアプリ上の行動を分析すると、アプリの使い方と外貨預金の利用に相関関係があることが見えてきたことから、預貯金額を軸にしない新たな切り口でお客様を抽出し、その方々に対して提案活動を行ったところ、以前の約2倍のコンバージョンを達成するなど、成果を積み重ねています。
また、りそなグループアプリが軌道に乗り始めた2018年後半から、より俯瞰的に、グループのビジネス高度化を考える必要性が高まってきました。そこで注目したのが『データ』です。リアル店舗からアプリまで、多様化する顧客接点で得たデータを分析・活用することで、各サービスの継続的改善に向けたPDCAサイクルを回す。同時に、一層の新規サービス創出やマーケティング高度化に生かしたいと考え、これらの取り組みを担う中核組織として「データサイエンス室」(現在は「データサイエンス部」)を立ち上げるなど、データ活用の内製化にも積極的です。
【りそなホールディングスの本事例の詳しい解説記事】
DX推進のためには社員がデータとテクノロジーを活用できる必要があることから、多くの企業では人材育成が急務となっています。株式会社ゆうちょ銀行は、ブレインパッドの支援を受けつつデータ活用と分析の自走化を目的とした組織風土の醸成とデータサイエンティストの育成を進めています。
【関連記事】
【社員が解説】データサイエンティストとは?仕事内容やAI・DX時代に必要なスキル
ゆうちょ銀行は、DXの推進に際して、データ活用・分析業務を自走化することが重要であると考えており、データ活用と分析の自走化に向けた体制と役割を確立するための分析専門組織を立ち上げました。
また、データサイエンスの基礎知識を身につけるための全体学習を推進し、各部署から募ったプロジェクトメンバーが分析テーマを設定するとともに、ブレインパッドからのフィードバックを受けて実践的な学びを深めています。
【ゆうちょ銀行の本事例の詳しい解説記事】
【DX事例】ゆうちょ銀行が考える、データドリブン文化醸成に必要な「インフルエンサー」~DOORS -BrainPad DX Conference- 2023 テーマ別 企業DX対談~
〇東海東京証券の取り組み
得られたデータを元に営業担当者の行動変容を促す研修プログラムを展開することで、効率的な営業人材育成を実現し、業績を向上させる土台が形成できました。
※「BrainPad VizTact」は2024年7月末に提供終了
【東海東京証券の本事例の詳しい解説記事】
ブレインパッド、AIと人材アセスメントデータを活用し、東海東京証券の営業組織力向上の取り組みを支援
人的資本経営を推進するために必要な「人事DX」~人材・組織データを活用した「営業組織力向上」と「顧客満足度向上」とは~
東海東京証券における営業生産性向上Projectの全貌~拡張分析と内製化~
〇横浜銀行の取り組み
この取り組みにより、横浜銀行は「マイページ」のPV数が13.7%増加し、約5万件の顧客の興味・関心情報を収集することに成功しました。これらの情報を活用することで、今後は顧客のライフステージやライフサイクルに応じたコンテンツの提供や、金融サービスの提案が可能となります。
【横浜銀行の本事例の詳しい解説記事】
株式会社横浜銀行様|お客様のニーズを理解することで、より深い絆でお客様と結ばれる横浜銀行でありたいと考えています。
〇山口フィナンシャルグループ(以下、山口FG)の取り組み
その一方で、統合データベースには高いセキュリティ水準、今後の環境や状況の変化にもすぐ対応できるような「迅速性」「柔軟性」「信頼性」の3点が求められます。Microsoft Azureとブレインパッドの支援により、要求を満たすデータベースがわずか6カ月強という異例の早さで構築しました。
【山口フィナンシャルグループの本事例の詳しい解説記事】
ブレインパッド、山口FG傘下の3銀行のデータをクラウド上で一元収集・活用する統合データベースを構築
いわゆる、「デジタルネイティブ」である企業が多い当業界。デジタル化、データ活用は他業界よりも抵抗なく進んでいる印象があります。
DX、ITに関する先端的かつ豊富な知識、ノウハウを「外販」する動きも加速するなど、非常に興味深い事例が多いと言えます。
ヤフー株式会社は検索、ニュース、動画、天気、メール、eコマース、地図など多様なサービスを展開しており、これらのサービスからは顧客の属性データや行動履歴をはじめ、ビッグデータが得られます。
こうしたマルチ・ビッグデータを企業や自治体で活用してもらい、日本企業のDX推進に貢献すべくデータソリューション事業をヤフーは展開しています。
また、プライバシー保護を前提としながら、顧客データを統合・分析・活用し、顧客とのエンゲージメントを強固にする必要性が高まる中、トレジャーデータが国内外450社以上に提供している顧客データ活用サービス「Treasure Data CDP」内に格納されたデジタル広告やメール配信、アプリプッシュ通知の履歴などの企業が保有する顧客データを、プライバシー保護を最重視した安全な環境で取り扱い、Yahoo! JAPANが保有する購買意向や興味関心などのデータを用いて分析ができる「Yahoo! Data Xross」(YDX)を2023年春にローンチしました。
【ヤフーの本事例の詳しい解説記事】
【DX事例】ヤフーが「Yahoo! Data Xross」でもたらすマーケティングDXの新時代~DOORS -BrainPad DX Conference- 2023 テーマ別 企業DX対談~
〇ソフトバンクの取り組み
これまでLPガスの配送員は、勘や経験によって配送計画やルートを策定していましたが、「Routify」を導入することにより、自動で策定された配送先リストや配送ルートを配送員向けアプリ(ハンディーターミナルやスマホに対応)で確認するだけで、最小限の移動で効率的に配送業務を行うことができ、ガス残量のばらつきが少ない状態で容器を回収できます。
【ソフトバンクの本事例の詳しい解説記事】
【DX事例】社会インフラ課題をデータ活用で解決する、ソフトバンクの新サービス・「Routify」開発秘話~DOORS -BrainPad DX Conference- 2023 テーマ別 企業DX対談~
〇ニフティの取り組み
ニフティ株式会社は、月間5,300万PV、UU250万人を誇る国内有数のポータルサイト「@niftyトップページ」を運営しています。当時、「同じ社内でありながら、属性データと行動データが個別管理されている」ことが課題でした。そこで、自動Webs接客ツール・「Rtoaster」を導入し、これらのデータを統合させ、よりパーソナライズされたサービスを提供できるようになりました。
Rtoasterの導入後、CTRは4倍、CVRは2.3倍に増加し、コンテンツ販売の月間売上は10%増加しました。これらの成果は、RtoasterがWebページ内にタグを1つ埋め込むだけで、すぐにコンテンツの出し分けやリターゲティングなどの施策がスタートできるという特性によるものです。
【ニフティの本事例の詳しい解説記事】
ニフティ株式会社様|お客様一人ひとりに最適なコンテンツを提供するという点において、「手軽さ」と「きめ細かさ」の両方を兼ね備えているのはRtoasterだけでした。
コロナ禍で行動制限を余儀なくされた期間もあり、特に当業界は大打撃を受けました。しかし、デジタル技術を活用すれば、利用者への適時・適切な情報提供や、柔軟に移動する新たなモビリティサービスの提供なども可能になります。また、収集した利用者の利用履歴などを基に、より効率的な運行計画を立てる等の応用も考えられるなど、DXの可能性が大きい業界と言えます。
ヤマト運輸株式会社は、宅急便の送り状や請求書・納品書などのビジネス向けツールを提供する会員制のポータルサイト「ヤマトビジネスメンバーズ」を持っています。サービスの拡充、インターフェースの刷新などを目的としてサイトリニューアルを実施した際に、お客様の属性やご利用履歴に応じて表示するサービスを出し分けるようなレコメンド機能を盛り込むことになりました。
施策展開に当たり、ブレインパッドが提供する自動接客プラットフォーム・「Rtoaster(アールトースター)」の「ユーザー分析機能」を用いて最適な顧客セグメントの抽出が可能になりました。結果、トップページのCTRが導入前の0.01%から1%程度にまで劇的に向上しました。サービス申し込み件数も5倍に向上し、セグメント抽出の方法やレコメンド機能の効果が見えてきています。
【ヤマト運輸の本事例の詳しい解説記事】
Rtoaster_お客様の声_ヤマト運輸株式会社様
JR九州は、鉄道事業を中心として、駅ビル開発などの不動産業やホテル事業など、九州全域にわたる総合的なまちづくりを推進する事業を展開しており、同社が推進するグループDX戦略においては、ポイントサービス「JRキューポ」を軸に、グループ全体・多様な外部プレイヤーとのデータ連携・データ活用を推進していく方針を掲げています。
しかし、これまでのシステムではデータ加工・データ抽出が長時間に及ぶことに加え、内製にて顧客分析を行うのが難しいといった課題が顕在化していたため、顧客分析基盤の刷新が行われることとなりました。
〇JR九州の取り組み
【JR九州の本事例の詳しい解説記事】
ブレインパッド、JR九州のDX戦略を支える顧客分析基盤を、クラウド型DWH「Snowflake」で刷新
建設業界では、人材不足や技能継承をDXで解決しようとする動きが加速しています。また、不動産業界では、快適なすまい探しをいかにDXを駆使して提供するか、各社がしのぎを削っています。
八千代エンジニヤリング株式会社の重要な業務の一つに、河川のコンクリート護岸の点検・改修があります。洪水を始めとした災害対策として設置されているコンクリート護岸は、定期的に点検と改修を必要とします。
従来は人間による目視主体で劣化状況を点検していたのですが、設置時期や地域などによって整備の形式が異なるのに加え、点検や改修には熟練の技術が求められることから、手間やコストが膨大になっていました。また、当然ながら劣化状況の判断基準が属人的であり、担当者によってまちまちであることも課題でした。
〇八千代エンジニヤリングの取り組み
【八千代エンジニヤリングの本事例の詳しい解説記事】
河川のコンクリート護岸劣化検知
Webサイトでは数多の商品・サービスが販売され、消費者は時間と労力を費やして適切なものを探し出さなければならない状況にあります。こういった状況で「どのようなプロセスで商品やサービスを選び購入するのか」という顧客体験の向上が必須の課題となっています。
最近ではAIを使ったパーソナライズが発達し、ユーザーにマッチした提案ができるようになってきました。
〇野村不動産ソリューションズの取り組み
【野村不動産ソリューションズの本事例の詳しい解説記事】
お客さまのこだわりが見つかるWebサイトの新しい検索体験―野村不動産ソリューションズと考えるデータを活用した顧客体験の追求―
大東建託株式会社のWebサイト運用における業務の一つに、不動産賃貸物件の写真の分類・登録があります。従来は担当者が写真を逐一目検で確認し、手作業でカテゴリ分けと登録を行っていました。1つの物件だけで5~10分を必要とし、年間登録物件数が30万件近くに及ぶことから、膨大な工数がこの基本業務に費やされていました。
〇大東建託の取り組み
こちらのシステムで物件サイトへ画像を掲載する作業まで自動化するため、1件あたりの作業時間を約70%削減し、1か月換算で約3,000時間の工数削減に寄与しています。
【大東建託の本事例の詳しい解説記事】
不動産物件の画像登録作業の自動化
成功要因はさまざまですが、大きく2点を挙げたいと思います。
いわゆる高度なDXを推進している企業にも共通しているのは、日々蓄積されるデータをうまく活用し、データドリブン経営に舵を切り、成功していることにあります。
すなわち、データが活用される場面が増えることは、DXが進むことと同義と言えるのではないでしょうか。
残念なことに現在、データの活用率は3%と言われていて、まだまだデータ活用が進んでいないことも事実です。
しかし、見方を変えて見ればどうでしょう。残り97%に活用の余地があるとも言えます。
企業に「データ活用」という力を加え、データを隅々にまで巡らせることが、DXを成功に導く、つまり日本のビジネスを成功に導くチャンスになると考えます。
【「データドリブン」解説記事】
DX先進企業は「内製化」を強く意識、推進しているという一つの背景・特徴があります。
デジタルを使うのではなく、使いこなすことでビジネスの成長と価値向上に努めていかなければならない。こんな課題感が出てきているのが内製化が注目される背景といえます。
ブレインパッドでは、「DXの内製化とは何を指すのか」と聞かれた場合、「デジタル/データを使いこなすための人材/組織および仕組みが自社で具備できていて、恩恵を享受できている状態」と答えます。
組織といった箱を作るだけなら、企画して上申すればいいだけですが、その箱が価値を生み出していくためには、箱の中にいる人材の確保と育成および動かす仕組みが必要であり、そのための予算確保も必要です。その上で、その組織に属する人たちが会社全体に内製化の取り組みを伝播していかなければなりません。
この広げる活動=文化醸成が、内製化成功の鍵といえます。
内製化を推進するならば、パートナーが不要かというとそうではなく、先進企業は「社内にスキルのある人がいないから外部委託する」のではなく、「継続的な成長をするためにビジネスパートナーを選ぶ」ことに意識を変えているのも、一つの共通項かもしれません。
【「DX 内製化」解説記事】
DXの「内製化」とは?ビジネス価値の創造をもたらす真の内製化
DX推進を成功させるためには、やはり成功企業の事例を知ることは重要と言えます。ここまで、ブレインパッドが支援させていただいた事例の一部を紹介させていただきましたが、経済産業省が主催している取り組みで、東京証券取引所に上場している企業のうち「DX推進や実現のための仕組みが社内に構築されている」もしくは「DXに関連する実績を有する」企業を選定した「DX銘柄」から最新事例を知ることもおすすめします。
経産省選定「DX銘柄2023」から読み解く日本企業のDX傾向と事例
今回ご紹介した事例を参考に、自社のDXを推進していただければ幸いです。
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