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近年「マーケティングDX」という言葉がトレンドになっています。実際に、マーケティング施策を検討する場合、顧客体験の向上面であらゆるデータを参照するといった動きがより重要性を増しています。
そこで、現場で最前線を走るマーケターの方々をお招きし、抱えている課題や悩みの解決法など、マーケティングDXを進めていくためのTIPS(ヒント)をお話していくシリーズ「マーケティングDXの現在地」を企画しました。
連載記事
本記事では、スターツ出版でOZmallのデジタルマーケティング部門の責任者として、いくつもの新規サービスやマーケティングツールの導入し、データ分析を指揮され、現在はキラメックス株式会社にてプログラミングやアプリ開発を学べるオンラインスクールのプロダクト開発の責任者として従事されている田沼和義氏と、楽天グループ株式会社に在籍し、その後、旅行代理店のゆこゆこホールディングス株式会社にジョインし、マーケティング責任者として同社のマーケティングDXをリードした株式会社ブレインパッド マーケティング本部 小堺秀真による対談形式で、「マーケティングの組織づくり」というテーマでお話します。
※対談全文は動画でもご覧いただけます。
■登壇者
2008年にスターツ出版株式会社に入社。女性向けサイト「OZmall」にてネイルサロン予約サービスの立ち上げ、営業支援ツールの構築、ポイントサービスの立ち上げ、CRMシステムの導入、リスティング広告のインハウス化などを担当。2019年にプレミアム予約事業部統括部長に就任。2020年5月にキラメックス株式会社に入社。プログラミングやアプリ開発を学べるオンラインスクール「テックアカデミー」のマーケティングを担当後、2021年4月よりプロダクト開発やサービス運営を担当。
TV番組制作会社に新卒入社。放送作家、取材作家として複数の番組を担当後、IT業界に可能性を感じ、転身。株式会社サイバードでモバイルコンテンツ事業を、楽天グループ株式会社で楽天市場事業、編成部、コンテンツ事業にて デジタルマーケ、コンテンツ開発、CRM、経営企画を約8年間担当。その後、JCOM株式会社にて事業企画、新規事業開発、ゆこゆこホールディングス株式会社ではマーケティング責任者として、800万会員向けマーケティング戦略実行を担当。2022年7月よりブレインパッドにジョイン。
※登壇者の所属部署・役職は取材当時のものです。
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株式会社ブレインパッド・小堺秀真(以下、小堺) かねてから、田沼さんは組織づくりがとてもお上手だという印象があります。デジタルマーケティングを考える上で、過去在籍された出版業界という領域では、アナログな方々にどうアプローチするか、また、営業組織が強い側面もあり、「デジタルをどう組み合わせるのか?」ということが議論になりがちですが、OZmallさんの「組織づくりのマーケティング」について、僕も学ばせていただきました。
今回、田沼さんとは「マーケティング組織をどのようにつくっていくのか?」「いかに人材をスキルアップさせ、育てていくのか?」というテーマで、データ活用の面も踏まえ、お話をさせていただけたらと思っています。
スターツ出版さんも雑誌に原点がある中で、OZmallという雑誌とはまた違うデジタルメディアを立ち上げられて、会員が今では約400万人で月間総PVが5,000万を超えるという一大メディアに成長していますよね。
メディアの立ち上げ以降、田沼さんが携わられてきて、具体的にこの成長のステップにおいてどのようなデジタルマーケティングに取り組もうとされていたのか、どうやってそれを組織に根づかせてマーケティング組織をつくられていたのかを教えてください。
キラメックス株式会社・田沼和義氏(以下、田沼氏) 前提として、私はOZmallの立ち上げの頃は参画していなかったのですが、スターツ出版にはもともと風土・文化として、“紙が強くてデジタルが大変”みたいなものはありませんでした。OZmallは1996年くらいに立ち上がっていて、インターネットの黎明期から運営されているサイトです。基本的にWebはWebですごく価値のあるサービスだという文化が社内でも浸透していた状態でマーケティングをやり始めたので、その部分ではあまりハードルはありませんでした。
私が参画した頃は、マーケティング、デジタルマーケティングに対して「まだまだこれからつくっていこう」という気運が高かったので結構いろいろな取り組みをやってきました。その中でも、10年間かけて「Life Time Communication(ライフタイムコミュニケーション)」というテーマを一つ大きく掲げていました。これはマーケティングを担当してから3年くらい経った頃につくったテーマです。
あとは、何か優先順位を決めるときに使うのが、Low Hanging Fruit(ローハンギングフルーツ)、つまり簡単に手が届く果実を取るという考え方です。
またもう一つの行動指針としてPDCAのPを小文字のpに小さくすること、これを明示的に行って小さい「pDCA」を回すことを掲げています。これらをベースにしたマーケティングを、10年間かけてやっていました。
小堺 この「Life Time Communication(ライフタイムコミュニケーション)」という話を最初に聞いたときは、かなりの衝撃を受けました。我々マーケターにとってお客様の価値向上というのは一つの大きなミッションです。その中で、当たり前ですが、LTV(ライフタイムバリュー)を上げるということはよく言われます。
そこでライフタイムにおけるコミュニケーション、お客様との接点を重要視するということ、価値だけでなくコミュニケーションにフォーカスされたということには、どのような想いがあったのでしょうか。
田沼氏 ライフタイムバリューは、もちろんマーケティングする上で非常に重要な指標で、しっかりと計算していました。
OZmallは、ユーザーのことを「かけがえのない女友達」と呼んでいました。しかしその「かけがえのない女友達」にバリューという言葉を使うのが少し抵抗があって。何かいい言葉がないかなと思ったとき、「かけがえのない女友達」とコミュニケーションをどういうふうに取るのかを重視していることを思い出したのです。
そこで私がマーケティング担当になって2、3年目のときに、マーケティング戦略のテーマとして初めてLife Time Communication(ライフタイムコミュニケーション)という言葉を使いました。
小堺 会社のMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)などを受けて、Life Time Communication(ライフタイムコミュニケーション)というテーマを標榜されたというお話ですが、そのとき、メンバーの方々の反応はどうでしたか。
田沼氏 「かけがえのない女友達」とユーザーを定義しているのが浸透していたので、ハレーションは何もなかったですよ。
小堺 LTVと言うと、例えば年間の売上に対してどのくらいの購入頻度なのか、あるいは累計売上なのかなど、数字で表すパターンが多いですが、Life Time Communication(ライフタイムコミュニケーション)は具体的にどのようなデータ、数字で表していたのでしょうか。
田沼氏 最初のときはあくまでテーマとして扱っていただけなので、指標として何か計測することはやっていませんでした。近いものとしてはポイントプログラムですね。ステージ制を導入するときに、その指標を意識したものをステージに入れていきました。
ステージプログラムの基本は、OZmallが展開しているOZのプレミアム予約というサービスで、年間の利用回数でステージを組んでいます。しかし、単に予約回数だけで見るのではありません。例えば、OZmallはメディアでもあるので、記事をたくさん見てくださる方も大切なユーザーです。そこで一番コアな方は誰か。やはりアプリを見てくれている方がたくさん記事を見てくれているんです。
そのため、アプリにログインするだけで永久にゴールドステージにするとか、我々と接してコミュニケーションを取ってくださっているユーザーを大切にするようなプログラムにしました。それが、指標ではないですけれども、近いものかもしれないですね。
小堺 お客様の行動データはちゃんと見ていて、それを数字として追うところももちろんある一方で、施策の中でいかにお客様と寄り添えるかというところに、このLife Time Communication(ライフタイムコミュニケーション)というテーマを入れたというお話ですね。結果的に、施策をチームに根づかせていくためのワードにもなったと言えますね。
田沼氏 そうですね、最初は意識してやったということではなかったのですが、結果的にそうなった、といったほうが正しいかもしれないです。
小堺 ありがとうございます。次に「Low Hanging Fruit(ローハンギングフルーツ)」とはどのような考え方なのか、教えてください。
田沼氏 すごく単純な話で、果実は手に届く部分にあるものから取っていくと簡単だよという考え方ですね。
例えば、X軸を施策の難易度、Y軸を施策の効果で引いて4象限をつくって、右上の施策の難易度も低くて効果も高いものがLow Hanging Fruit(ローハンギングフルーツ)です。シンプルに取りやすい。ただ、これはすぐなくなってしまいます。
なくなったら次に優先度が高いもの、難易度は高いのだけれど効果も高いものと、順番を決めていきます。次の、難易度が低いけれども効果も低いものは3番目で、ここはやらない、というように決めていました。
難易度が低くて効果は高いもの:Low Hanging Fruit(ローハンギングフルーツ)
難易度は高くても効果も高いもの:次に優先度が高い、+ α
難易度が低くて効果も低いもの:実施しない
難易度は高くて効果は低いもの:実施しない
ただLow Hanging Fruit(ローハンギングフルーツ)を取り続けていると枯渇してくるので、枯渇させないために何が必要なのか。フルーツに例えると、土壌をしっかり整えるということ、つまり基礎構築をすることです。これを優先度の高いものとして明確に数値を上げようとしていました。
Low Hanging Fruit + αとは、2番目に取り組むべき土壌の部分という意味です。図を見せて4象限のここは基礎です、というようなものを描いて話をしていました。
例えばその土壌づくりでいうと、先ほどのポイントプログラムは月に1回集計の大きいバッチをかける必要があります。けれど、計算するときに会員の皆様が増えれば増えるほど処理が重たくなってくるので、そこのリファクタリング(プログラムの内部構造の整理)が必要です。今は大丈夫だけど、いつ処理が大変になるかわからない、というような状況のときに、しっかりとリファクタリングの優先度を上げられるかという考え方です。そこは土壌づくりとして意図的に優先度を上げていきました。
小堺 なるほど。マーケティングは通常、やはり売上を上げなければいけない、場当たり的に対応しなければいけないなど、具体的な施策が求められますよね。そういう中で、一方でもう少し中長期的に先を見据えて、土壌とおっしゃった基礎になる部分を先にアプローチしておけば、もっとその先にできること、その果実が取れるというところを見ながら打ち手を考える、そんな感覚ですかね。
田沼氏 そうですね。
小堺 ありがとうございます。最後のPDCAを回すことは、マーケティングを行う上では必ず言われることですが、田沼さんの場合、これも特徴的ですけれど、「pを小さく」、小さいロールでどんどん回そうという、Pを小さくした「pDCA」というワードを行動指針とされています。この「pDCA」を浸透させていくために、どのような工夫をされたのでしょうか。
田沼氏 「pDCA」にしたのは、Pに時間がかかりすぎるという現象がいろいろなところで起こって、これを何とかできないかと思ったからです。計画だけ進んで結局実行しないまま終わってしまうプロジェクトがいくつか出てきたときに危機感を感じて、これを明示的に理解してもらえないかと考えました。
そのときに、Pを小文字にしたら伝わるかなと思って、何かの戦略発表のときに今年は「pDCA」でいきます、「p」を小さくしましょうという話をしたら、結構わかりやすかったみたいで。いろいろなところで「pDCA」の「p」が小さくなっている資料が出てきて、“よしよし”と思いながらやっていました。あまり苦労はしなかったので、わかりやすかったのでしょう。おそらく私だけではなく、メンバーも経営も同じ課題を感じていたことも、スムーズに浸透できた要因かなと思います。
小堺 なるほど。メッセージとしてわかりやすいワードがポンと出てきて、それに対しての課題感をみんな共有できていたことはたしかに大きいですね。今までプランニングにずっと時間がかかってなかなか実行ができなかったけれど、そこをこのワードで共通言語化することで明示的に理解して、どんどん施策を回していこうよ、という思考が必然的に浸透していったということですね。
ただこうしたワーディングは、思いつきそうでなかなか思いつかないです。pを小さくすればいいよねとか、「かけがえのない女友達」というワードからコミュニケーションというところに持っていくとか。
田沼さんのマーケターとしての想い、それをメンバーに組織として伝えていこうとするときにそういうワードを思いつかれる発想の原点というのはあるのでしょうか。田沼さんなりのキーワードの見つけ方や思いつくきっかけ、言葉をうまく伝える方法など、コツがあればぜひ教えてください。
田沼氏 あまりコツというものを意識したことはないですが、プランニング自体が好きです。20代後半ぐらいからプランニングは将来ずっとやっていきたいな、という気持ちはあって。企画をすることが好きなんですね。それで結構いろいろなことをよく考えているので、コツと言えばそこかもしれないですね。
小堺 やはり何か気になることがあったらそれをどう生かせるか、どういうふうにしたらもっとお客様や自分のやっていることが面白くなるか、ということを常に考えられておられるのでしょうか。
田沼氏 それはありますね。今のキラメックスに入社してすぐにストレングスファインダーという診断テストをやったのですが、そこで強く出たのが「着想、アイディアを考えるのが好き」と「回復志向」というのが出ました。回復志向というのは「何かトラブルがあったときに、それを回復していくのに喜びを感じる人」みたいです。それが相まってこうなるのかなと思います。
小堺 何かつくっていき、そのつくったことがうまく回らなかったとしてもそれをきっちり修復、あるいは戻していくという思考は、もともとの田沼さんが根に持っているある種ホスピタリティに近いものだと。
小堺 リーダー論になってしまうかもしれませんが、数十人の組織を束ねていかなければならくなったときに、自分で何か施策を考えて「おれについてこい」という、引っ張っていくようなリーダー型のスタイル、考え方があります。
一方で田沼さんは、プランニングをして何か考えさせて、気づきとか発見を与えていく、それを導いていくスタイルです。回復志向とおっしゃいましたけれど、サポートしながら持ち上げるようなリーダーが必要なのかな、と思います。
田沼氏 そうですね、おそらく私の性格上そういうやり方でないとうまくできない、ということだと思います。数十人であろうが数百人であろうが牽引できる力がある人はいると思うので、そういう力がある人はそういうマネジメント方法だと思いますし、私の場合はその方法が適していない、ということかなと。
小堺 なるほど。OZmallでもキラメックスでも、おそらく田沼さんは考え方はそんなに変えていらっしゃらないのかなと、今のお話を聞いていて思います。
田沼氏 そうですね、やり方は変えていますが、考え方はあまり変わっていないです。やはり一緒に働くメンバーの特性は一人ひとり違うので、それによって会話の仕方なども含めて気をつけるポイントは違いますし、その集団の部分は変わってはいますが、基本的なベースの考え方はあまり変わっていないかもしれないですね。
小堺 だから先ほどのpDCA」や「Life Time Communication(ライフタイムコミュニケーション)」のような鍵となるワードの浸透を、そのメンバーに寄り添いながらやられているというのは、そういうところからなのかなと思います。
田沼氏 あとは、なるべく戦略の資料の中だけではなく、コミュニケーションの中でも出していったり、具体的に施策でやっていることとちゃんとつなげたりするなどの工夫はしていました。
小堺 日々のコミュニケーションの中でも、例えば1on1のときなどに、「キーワードをって体現できる?」みたいな会話をされていたのですか。
田沼氏 はい、「ちょっとp、大きくなっていない?」とか、そうした会話をよくしましたね。
小堺 なるほど、そうした積み重ねもあったのですね。マーケティングはどうしても幅広い領域をカバーしなければいけない、かつ長期スパンで物事を見なければいけない。その中ですごく短期的な施策もやらなければいけないので、結構目線がずれたりしてしまいがちです。そんな中で共通言語としてキーワードを決めて、お互い反芻しながら確認して浸透させていくことが大事なんですね。
やはりマーケターは、どうしても売上とか数字の話にいきがちですし、だからこそ今まではExcelを叩いて手作業で解決していたところを、できる限りデータを使って自動化させていくといった話がよくされます。その反面、マーケターのチームをどう成熟化させていくのかというところが、マーケティングDXを進める上の鍵だと考えているので、今日の田沼さんのお話はまさにそこに当てはまると思いました。
今日は「マーケティングDXの今、現在地」というテーマでお話をいろいろ伺ってきましたが、現在も振り返りながらもう少し先に進めていくための課題だとか、こういうふうにしたほうがいいよね、ということはありますか。例えば、この取り組みをもう少し進めると、もっとお客様にとっていいデータ活用、顧客体験ができる、みたいなことかもしれません。
田沼氏 そうですね、今、キラメックスでCX(顧客体験)チームで顧客対応の部門も一緒に仕事をしています。一般的にはCS(顧客満足)と言われている部門のデータの活用が弊社ではまだまだできていない部分があるので、まずはここを活用すること。それともともと取れているデータの活用をより深くしてお客様に提供できる価値を高めていくことを私自身の課題として持っています。
小堺 お客様をスキル獲得の成功に導くためによりもう少し深い分析やデータ活用をうまく使いながら、よりお客様を理解した上でのアプローチができるようになるともう一段進むということですね。
田沼氏 そうです。
小堺 ありがとうございます。データやツールを使いながら、CX(顧客体験)、まさにCS(顧客満足)の部分を伸ばしていくという話が後段の話ですね。一方で今日の前段のお話は、従業員満足度(ES)がキーワードで、チームのエクスペリエンスをどう高めていくか。この両輪がきっちり相まっていくことが、これからのデジタルやデータ活用をさらに推進していくことになるということを田沼さんにお伺いできて、ここが重要だということをあらためて認識させていただきました。ありがとうございます。
田沼さんとメンバーで、マーケティングを進めていくことの目線を合わせ、キーワードやキーとなる話をつくりながら、それをメンバーに浸透させて繰り返してやっていくこと。特にデジタルマーケティングを推進するための組織づくりとして重要だということを学ばせていただいたと思います。
一方でその顧客体験とその先と言いますか、お客様とのコミュニケーションを適切に理解しながらフィードバックしていかないとマーケティングは進んでいきません。マーケティングは、こういうところのもう少し取り組めば発展させられる、あるいは今後はこういうところを特にブレインパッドに期待したいというところはありますか。
田沼氏 そうですね、マーケティングを進めていく上でツールの活用は切っても切れない関係にあると思っているので、私がご一緒させていただくツールを検討するときには、我々の戦略をしっかりと理解していただいて、伴走してくださるようなパートナーさんと一緒にお仕事をしたいと思って選定をしていました。我々の目的や戦略、そういったところをきちんと把握してコミュニケーションを取ってくださるのが一番かなと思っています。
あと、ツールはマーケターではない人が使うケースもあるので、できればあまりデジタルに明るくない人も使えるのが望ましいですね。ただマーケターに関して言えば、慣れればいいと思っているので、あればいいぐらいの気持ちで考えていました。
小堺 なるほど。そういった意識も含めて、マーケティングを進めていくための感覚や想いみたいなところを醸成しながら進めていくことが大事なのでしょうか。
田沼氏 何か戦略を共有して、アイディアも話せるような関係で進められるといいなと。そこからあわよくばプロダクトに反映してくださったりしたら嬉しいな、という思いはありますね。
小堺 ありがとうございます。ちなみにまさに今、キラメックスさんで進めていらっしゃる、スキルアップをするためのメニューやプログラムが結構あります。おそらくこういったところも、マーケティング人材を育てていくようなプログラムにもなるのではと考えていますが、いかがでしょうか。
田沼氏 そうですね、デジタルマーケティング全般、広告であったりSEOであったり、集客の部分を中心に学習する「Webマーケティングコース」があります。今までマーケティングをやったことがない方向けのコースだけではなく、プログラミングやWebデザインなどを学ぶコースも人気で、このあたりのコースで共通して学習するのがHTML/CSSですね。
普通のマーケティングツールを使うときに、HTMLやCSS、JavaScriptをちょっといじったりできると、より表現の幅が広がるということは、いろいろなツールであると思います。
また、マーケティングの仕事をしているとエンジニアやデザイナーとやり取りするケースも出てくるのですが、プログラミングやWebデザインについて少しでも学習しておくと共通言語が増えるので会話の質が変わります。さらにエンジニアやデザイナーにお願いせずとも自分で解決できることが増えれば、エンジニアやデザイナーにはもっと高度な仕事を任せられて、時間の有効活用にもなります。
そういう意味でも、宣伝になってしまいますがテックアカデミーの受講をおすすめしております。もちろん独学でHTML/CSSを学ぶのでもいいです。より実践的なスキルを身につけたい方、1人で学ぶことが苦手で講師のサポートが必要な方には、ぜひテックアカデミーを選んでいただけると嬉しいです。
小堺 僕自身もマーケティングで何もないところからスタートして、自分でHTMLを書くところを実地でやって、CSSも書けるようになりました。そこから、今度は少しデータ化の分析もしてみようと、どんどん進んでいきました。そういうところに寄り添ってくれるようなプログラムも、マーケターが育つための大きな要素だと思うので、やはりマーケターとしては感度を高く持っていないといけないなと、あらためて思います。
田沼氏 そうですね、一緒に働くメンバー、マーケターにもよく話していたのは、自分の得意領域に「+ α」で別の領域をつくるようにして、それは画一的なものではなくていいかなと思っています。デザイン系でも分析でも、強みを少しずつ増やしていくとチームとしていろいろなことができるようになる。自分もそれでスケールを覚えようということになって、今でも活きているので、いつになっても学習するのはいいことだなと思いますね。
小堺 ありがとうございます。今日は田沼さんとさまざまな観点でお話をさせていただきましたが、マーケターはおそらくずっと勉強しなければいけないんだと思います。お客様のことを知ってどういうふうに売上を上げていくのか、そしてどういうふうにお客様の期待に応えていくのか、そこに終わりはないと思います。
また今日のお話のようなキーワード、土壌 + α、というような話を繰り返していくことが、マーケティングの組織づくりには必要なことをあらためて学ばせていただいきました。本日はありがとうございました。
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