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小売DXとは?求められる背景と成功事例12選・解消すべき課題

執筆者
公開日
2024.03.04
更新日
2025.03.04

デジタル技術やデータの活用によってビジネスモデル変革を実現するDXは、小売業界でも重要な経営トピックとなっています。しかしながら、「DX=ツール導入、データ集計」といった誤解もあって、なかなかDXを推進できない、あるいは成果を出せない事例も少なくありません。

そこで本記事では、小売業界の課題やDXの必要性を改めて挙げたうえで、「小売DX」の始め方や取り組み事例をご紹介します。小売業界でDXに関心のある方は、ぜひ参考にしてください。

【関連記事】DX事例26選:6つの業界別に紹介~有名企業はどんなDXをやっている?~

本記事の執筆者
  • 経営
    近藤 嘉恒
    YOSHITSUNE KONDO
    会社
    株式会社ブレインパッド
    役職
    執行役員 CMO(Chief Marketing Officer)|DXメディア「DOORS」編集長
    2016年7月に、データ分析企業のブレインパッドに参画し、主プロダクト「Rtoaster」の事業統括を牽引。2019年7月に、分析・基盤構築・SaaS全ケイパビリティを束ねたマーケティング部門を立上げ、全社ブランディング・プロモーション戦略活動を指揮。 2023年7月より現職。外交活動を中心に国内大手企業のCxOたちと議論を重ね、「データ活用の日常化」を目指し、啓蒙活動を行う。 当メディアの編集長として、DXに纏わるニュース、トレンド記事やお役立ち資料の編集を担当。

そもそもDXとは?

DXとは「Digital Transformation」の略語です。デジタル技術やデータを活用してビジネスモデルの変革を起こすことがDXの目的とされます。

総務省の情報通信白書では、以下のようにDXを定義づけています。

企業が外部エコシステム(顧客、市場)の劇的な変化に対応しつつ、内部エコシステム(組織、文化、従業員)の変革を牽引しながら、第3のプラットフォーム(クラウド、モビリティ、ビッグデータ/アナリティクス、ソーシャル技術)を利用して、新しい製品やサービス、新しいビジネスモデルを通して、ネットとリアルの両面での顧客エクスペリエンスの変革を図ることで価値を創出し、競争上の優位性を確立すること

総務省|令和3年版 情報通信白書|デジタル・トランスフォーメーションの定義

単にAIやIoT、RPAなどのデジタル技術を導入すれば、DXが実現できたといえません。こうした技術やデータはあくまで手段であり、その目的は新たな製品/サービス/ビジネスモデルを通じて価値を創出し、競争の中で優位な立場を確立することが重要です。

この点を踏まえると、DXは一部の部署や担当者だけが関わるものではなく、経営層のリーダーシップのもと全社的に推進されるべきプロジェクトであることがわかります。

DXの本質や事例については、以下の記事をご参照ください。

【関連記事】
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?今さら聞けない意味・定義・事例をわかりやすく解説


小売業界にDX推進が求められる理由

DXはIT業界のみならず、製造業や金融業などさまざまな業界で進められています。小売業界も例外ではありません。その背景には、以下のような要因が存在します。

  • 消費行動(購買プロセス)の変化
  • システムの老朽化
  • 慢性的な人材不足
  • 経営判断に有効なデータの不足

消費行動(購買プロセス)の変化

言うまでもなく、消費者の購買プロセスが変化したことは小売業に大きな影響を及ぼしています。

かつては直接店舗に来店して購入するか、電話で商品・サービスを注文するかが主流でしたが、今ではパソコンやスマートフォンといったデバイスからECサイトにアクセスができ、さまざまな商品・サービスが購入可能です。

すなわち時と場所を選ばす購買行動を起こせるようになったことを意味します。

ECサイトを運営していると、流入経路や滞在時間、購入履歴、問い合わせ履歴など多種多様なデータが蓄積されます。こうしたデータを分析する人材、ツール、あるいはデータを管理するインフラなどがなければ、豊富なデータといれども宝の持ち腐れです。DXを推進してデータを活用する体制を整えるニーズが、こうして業界内で高まっていきました。

このようなデータ活用に向けた課題と解決ステップについて、以下の記事でブレインパッドの経験豊富なデータサイエンティストがわかりやすく説明していますので、ご参照ください。

【関連記事】
デジタルビジネスの成否を分ける顧客データの資産化への取り組みステップ

システムの老朽化

かつて導入したシステムやデータベースが古くなり、現在の業務に適していない可能性があります。細かな改修を重ねてきた結果、全体最適になっていなかったり、蓄積できるデータがきわめて少なかったりと、老朽化したシステムによって余計なコスト負担を強いられている企業は少なくありません。

こうした課題を解消するべく、システムのクラウド化や最新システムの導入などDXへのニーズが高まっていると考えられます。

【関連記事】
DXの「内製化」とは? ビジネス価値の創造をもたらす真の内製化

慢性的な人材不足

小売業に限らず、少子高齢化に伴う労働人口の減少によって人材が不足している状態が続いています。これまで人数をかけて力業でこなしていた業務がままならなくなり、サービスの品質を維持することも難しい店舗は少なくありません。

業務効率化は喫緊の課題であり、それを実現するためにもAIやRPAをはじめとしたデジタル技術の導入、データ分析などが必要とされています。

経営判断に必要なデータの不足

経営層の経験と勘ではなく、データを通じて客観的に意思決定(データドリブン経営)をする風潮は、現代のビジネス市場において強まっています。株主への説明責任を果たすためにも、客観的な根拠が必要とされているのです。

その一方で、経営判断に使えるようなデータをすぐに用意できる企業は少なくありません。データが社内に溜まっていても、それを統合・加工し、分析することで初めて使える状態になります。しかしながら、経営判断というゴールを見据えてデータを管理することは容易ではありません。

こうして、データ分析を可能とするDX推進の気運が高まったと考えられます。

【関連記事】
データドリブン経営とは?5つの成功事例と実現に必要な人材・組織体制


小売業界におけるDXの進行状況

2021年に東京商工会議所が発表した「中堅・中小流通・サービス業の経営課題に関するアンケート調査結果概要」によると、コロナ禍を機にデジタル化・IT活用が増加したと回答した企業は全体の43.6%、小売業の場合、48.7%に達しました。

本調査は中小企業のみを対象としたものですが、小売業界でもDXを推進する企業が増えていると推測されます。その進行状況を「サプライチェーン領域」「マーケティング領域」「インフラ整備」の3領域に分けて見てみましょう。

参考:中堅・中小流通・サービス業の 経営課題に関するアンケート 調査結果概要

サプライチェーン領域

小売業に隣接に紐づく「サプライチェーン領域」は、DXなしにアップデートを図ることはできないでしょう。

サプライチェーンとは、原材料の調達から製造、物流、販売、消費に至る供給の流れであり、在庫管理コストの削減、トレーサビリティの実現など、DX推進がもたらすメリットは多岐にわたります。

DXを通じたサプライチェーンの全体最適化「サプライチェーンマネジメント」は非常に重要であり、データに基づいた運用が強く求められています。

サプライチェーンとDXについての詳細は、以下の記事をご参照ください。

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マーケティング領域

ECサイトを通じた購買が主流となり、多種多様な顧客データを入手できるようになった昨今では、購入活動に紐づく大量のデータを分析し、顧客行動を可視化して最適な施策を推進することが当たり前になってきています。顧客を理解してパーソナライズされたマーケティングメッセージを届けることで、プロモーションの効果を高められるのです。

以下の関連記事では、マーケティングDXを活用したデータ分析の取り組み事例や実践方法について解説されていますので、あわせてご覧ください。

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インフラ整備領域

サプライチェーンにしろマーケティングにしろ、製造・流通・販促(マーケティングを含む)など、さまざまな業務領域が連携して取り組む必要があります。その前提として、デジタル技術やデータがどのチームからも使える形で整備されていることが重要です。

縦割り組織の弊害はさまざま指摘されていますが、その一つとして「社内のデータが分散されていることが原因で他の部門(部署)との連携が取れない」という「データのサイロ化」が挙げられます。

例えば、顧客データ一つを取っても、メールの配信履歴やそれに対するユーザーの反応履歴と、実際の売上データが別々のデータベースに格納されており、メールというマーケティング施策の売上貢献を見るには分析者が自らデータをつなぎあわなければいけないようなことは、多くの企業で発生しています。

こうした課題を解決するために、データ統合を試みる企業は小売業界でも増加しています。ブレインパッドが支援させていただいたお客様の中では、株式会社そごう・西武様のデータ基盤構築プロジェクトを挙げることができます。詳細は以下の記事をご参照ください。

【関連記事】
【AI導入事例】百貨店のマーケティングデータ基盤を構築(株式会社そごう・西武)

小売DXのメリット

小売業界でDXを進めるメリットとして、顧客満足度向上や人材配置の最適化、データドリブンな意思決定が考えられます。

生産性向上・コスト削減

適切なDXやデータ活用が伴うことで、適切な需要予測に基づいた生産管理・在庫管理が実現できます。特にモノを扱うことが多い小売業やECにおいて、生産過程におけるデータに基づいた意思決定は重要です。

補足として、需要の変動に応じた価格の自動調整「変動料金制(ダイナミックプライシング)」も、収益最大化を図る価格戦略のひとつとして挙げられます。

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顧客満足度の向上

データ分析を通じて顧客理解が深まれば、接客やマーケティング施策のレベルが上がり、顧客満足度が向上することも期待できます。ECと実店舗が同じ顧客データを参照できるようになれば、「ECサイトで参照した商品を実店舗来店時にレコメンドする」というような接客も可能です。

よりパーソナライズされたプロモーションを設計することで、ターゲットから外れる顧客へのプロモーションの押し売りを回避するなど、満足度を下げるアプローチの回避も容易になります。

省人化/適切な人材配置

店舗業務に加えてECサイトで取り扱う商品も準備するため、DXの一つとして業務効率化を達成できれば大きなアドバンテージとなります。逆にいえば、データを通じた人材配置の最適化が進まないと業務負担が大きくなり、人材不足による影響が深刻化することは避けられません。

データドリブン経営へのシフト

サプライチェーンやマーケティング、インフラ整備、人材配置の最適化に加え、DX人材の育成や組織構築など、DX推進プロジェクトの対象範囲は多岐にわたります。経営層のリーダーシップ抜きに実現は困難であり、その意味でDX推進はデータドリブンな経営スタイルへの変革が最終ゴールといえるかもしれません。

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小売DXの取り組み事例12選

小売DXで取り組むべき領域は広範囲であり、どこから取り組めばいいのか途方に暮れてしまうかもしれません。ここではブレインパッドの関わった具体的な事例をご紹介しつつ、いくつかの領域の取り組み内容についてご説明します。

EC×DX

今の時代、多くの企業がECを実施しています。大手であれば自前のECサイトを運用しており、一からWebサイトを構築するリソースのない中小企業であってもAmazonや楽天市場をはじめとする多数のオンライン上のマーケットプレイスを活用して自社の商品・サービスを売ることができます。

小売DXの出発点もECサイトにあると考えられます。オンライン上に顧客接点を設けることでビジネスモデルが変わり、大量の顧客データが社内に溜まっていくことでデータ分析の必要性を高めます。データ分析による成功事例を積み重ねることで、社内のDXに対する期待値も変化するでしょう。

【株式会社ピーチ・ジョン】ECリニューアルで、オンラインでも一人ひとりに“パーソナルな体験”を実現

株式会社ピーチ・ジョンは2023年、基幹システムの大幅刷新を含めて、約15年ぶりにECリニューアルを実施しました。

約10年にわたってブレインパッドの「Rtoaster」「Probance」で蓄積してきたデータ資産を活用しながら、「ピーチ・ジョンの世界観」の表現と、お客様一人ひとりに合わせたパーソナルなEC体験の両立を実現しています。

【ネスレ日本株式会社】数字の裏側にある顧客の”リアル”な心理が、精度の高いマーケティング戦略と組織へと導く

ネスレ日本では飲料や食品など多岐にわたるブランドを横断するデジタル部門が中心となり、顧客理解に基づいたSEOやプロモーションのサポートを行い、精度の高いマーケティング戦略を構築。
ポータルサイトの顧客の属性や行動パターン分析を深化させ、サイト外の検索データのファクトからも顧客の課題を把握し、仮説にもとづいた施策をスピーディーに展開しています。

こうしたデジタル戦略の推進には、分析側と施策側の接着点を作ることが欠かせません。マネジメントが顧客の心を理解した戦略とKPIを設計し、現場に落とし込むことで、組織全体が同じ方向を向いて取り組みが進められています。

【スタイリングライフ・ホールディングス BCL カンパニー】ソーシャルデータを活用した商品開発でヒット商品を生み出す

国内外で多岐にわたるブランドを展開するBCL カンパニーでは、競争が激しい化粧品開発において、ソーシャルデータを活用した分析を内製化し、お客様視点に立った先進的な取り組みを実施しています。

ユーザーの多様性も広がり、トレンドが急速に移り変わる中、個人の感覚やアンケート・インタビュー調査だけでなく、ブレインパッドの「Brandwatch」をはじめとするSNS分析から客観的に需要を予測。
ユーザーのインサイトや行動原理をひも解き、ヒット商品の開発やロングセラー商品の改良を成功させています。

オンライン/オフライン統合(OMO)

ECサイトの運用が定着して、オンラインにおける顧客接点が確立された次のステップとして、オンラインとオフラインのデータ統合・連携とそれを生かしたマーケティング施策を意味するOMO(Online Merges with Offline)が挙げられます。

オンラインとオフラインでデータが分断されていると、例えば「ECサイトでカートに入れただけで購入しなかった商品を実店舗で購入していたとしても、その商品の購入を促すメール・プッシュ通知などのメッセージが流れ続け、顧客満足度を下げてしまう」というような、思わしくない顧客体験を与えかねません。

顧客の購買行動は必ずしもオンラインとオフラインで完全に分断されているわけではありません。しかし企業側の都合で両者が分断されているがゆえに、顧客ニーズに寄り添わない販促メッセージや接客を行うリスクがあると言えます。

ECと店舗のデータを一元化するCDP基盤を作り、EC在庫を店舗で取り寄せて試着するなど販売機会のロスを軽減したり、店舗スタッフのコーディネート発信を促すツール活用など、チャネルを超えて顧客とつながる取り組みとしては、【オンワード】のOMO事例は多くの学びを与えてくれます。以下の記事をご参照ください。

SNS投稿や商品レビューなどといったUGC(User Generated Content)を活用した接客についてや、OMOの起点となる店舗活用、顧客の思考や行動ペースに合わせたメールマーケティング、EC戦略などを野心的に手がける【バロックジャパンリミテッド】の取り組みが参考になります。以下の記事をご参照ください。

マーケティングDX

OMOを通じて小売企業がビジネス変革を実現するには、顧客との関係構築のためのマーケティング施策にもDX推進が求められます。データが分断されているとMAやCMSなどといったマーケティングツールの個数も増え、その管理にリソースを割かざるを得ません。

マーケティングDXの手始めとして、ツールの一本化や運用体制の整備、あるいはパートナー選定の再考などが求められます。

【資生堂ジャパン】顧客の好む「接客のされ方」を、パーソナライズと他のユーザーを感じさせるコンテンツで実現していく

資生堂ジャパンはECと融合したオウンドメディアで、データ分析とパーソナライズを駆使しながら、顧客一人ひとりに最適な接客体験を提供することを目指しています。

購買履歴や購入経路を活かしたレコメンド施策はもちろん、コロナ禍を経てデジタル上でもライブコマースや口コミ、ハッシュタグなどユーザーを巻き込んだリアルな体験を求められる中、体験情報の閲覧履歴も活用しながら、購入に至る手前の発信を変えていく試みも進められています。
データでお客様の表情をとらえるためのマーケティング施策の高度化とともに、今後は属人化を防ぐツール活用や組織づくりが課題だと考えられています。

【ファンケル】顧客との絆をつくり、LTV(顧客生涯価値)を高める接客体験のためのパーソナライズ

ファンケルは、10年以上前からユーザーのファン化を目指したEC・オウンドメディアを運用し、行動データを活用したマーケティング施策やコミュニケーションの最適化を進めてきました。

多くのカテゴリーを抱えたECでは、セグメントや購入数などによって190にのぼるレコメンドの出し分けを展開。ライブコマース、オンラインイベントなども取り入れながら、パーソナライズされたコミュニケーションにより、ロイヤルティが高い人々に継続して利用してもらえるサービスを実現しています。

【フェリシモ】MAツール活用や日常業務の自動化により、「ニッチではあるが確実にファン」に寄り添うパーソナライズへ

フェリシモではカタログ中心のビジネスから、より細分化されたデジタルのコミュニケーションを求められる中で、MA(マーケティングオートメーション)ツールやRPAを最大限に活用してきました。
ブレインパッドのCDP「Rtoaster」をCMSとしても活用し、EC上のコンテンツとメールDMを連携させ、商品・顧客データ、ステータスなどを組み合わせたプロモーションをスピーディーに行っています。

また部署を横断した業務プロセス改善を実施し、年間数千時間におよぶ業務時間を削減したことで、安定した業務運用と新しい取り組みを両立することにも成功しています。

CRM改革

営業の生産性向上を目的として、Salesforceを導入・運用しつつCRM(Customer Relationship Management)を推進している企業は、小売業界でも多いでしょう。企業の規模がある程度大きくなってくると、一人の管理者やExcelだけでは営業担当者全員をカバーできるものではありません。CRM活動の推進で全体管理を改善しつつ、特定の営業担当者の力量に依存しない組織としての営業を目指す必要が出てきます。

その一方で、商品・サービス・ブランド全体を俯瞰できる体制が整備されていなかったり、単にメールや電話で商品に関する情報を押しつけているだけだったりと、CRMに課題を抱える企業は極めて多いものです。

こうしたCRM活動を改善するためには、「データ資産化→データドリブンUX→全体診断」という3つの領域を整えていく必要があるとブレインパッドは考えています。こちらの詳細については、「CRMの見直し方」のシリーズでご説明していますので、ぜひご参照ください。

物流DX

物流領域のDXも重要な課題です。働き方改革関連法によって、2024年4月1日から自動車運転が伴う業務の年間時間外労働時間の上限が960時間に制限されます。ドライバーの長時間労働に依存した業務遂行ができなくなります。この「2024年問題」解決に向けて、データ分析とデジタル技術によって人員配置や配送ルートなどを最適化し、生産性を向上させる必要があります。

【伊藤忠商事】未来を見据えた「流通DX」による食品サプライチェーンの最適化

衣食住に関する事業を多く持つ伊藤忠では「食品サプライチェーンのDXによる最適化」を重要施策と位置づけ、24時間営業のための労働力不足・食品廃棄ロス、SDGsなど直面する課題に取り組んでいます。

その一環として、小売店や卸売の業務データ等を活用した機械学習AIモデルを作成し、一部の物流渠底んにおいて需要予測と発注自動化の実証実験で成果を上げています。

【パナソニック】AIやデータの力でサプライチェーンのボトルネックを特定しながら、DXを現場に適応

パナソニックホールディングスは、現場プロセスの改革を支援する「現場プロセスイノベーション」を主力事業としており、その一環として、サプライチェーンマネジメント(SCM)におけるデータ活用にも力を入れています。

「物流」「流通」「製造」と領域が分かれるサプライチェーンの課題解決には、特定領域と別の領域との関連性を見極めることが欠かせません。AIやデータにサポートさせることで、素早く仮説を検証しボトルネックを特定しながら、業務プロセスの中にAIやDXを適応しています。

【ユナイテッドアローズ】消費者起点のデータ活用で、生産から販売、顧客コミュニケーションまでつなげる

ユナイテッドアローズはブランド認知が競争の源泉と考え、顧客データやアンケート調査などゼロパーティーデータからマーケティング施策を行うだけでなく、店舗や商品開発までつなぐことを目指しています。
「お客様のほしいものをつくる」だけでなく、「お客様をアップデートできる提案」こそが、顧客満足度を高めブランド向上につながるためです。

そのうえで、社内育成や外部パートナーとの専門チームの立ち上げなど、DX人材の組織づくりを急ピッチで進めながら、「全社員のベース戦略としてDXを提供する」ことに取り組んでいます。

データ活用内製化

DXやデータ活用を推進するうえで、自社のケイパビリティや特性を把握しているメンバーがチームに属することは大きなパワーになります。すなわち「DXの内製化」は、実現難易度こそ高いものの、実現できた暁には濃密なデータ活用がなされることになります。

IT、物流、製造など、サプライチェーンの各領域で積極的に内製化を推進していることで知られている【ニトリホールディングス】は、次なる内製化のターゲットと定めたものがデータ活用でした。そんなニトリ様の掲げるビジョン、内製化にこだわる理由、およびデータ活用内製化の具体的な取り組み内容について以下の記事で紹介しています。

まとめ

小売業がDXに取り組む場合、ECサイトや物流、人員配置など個別領域の改善にとどまらず、バリューチェーン全体を変革する必要があります。経営層のリーダーシップのもと、営業・設計/開発、情報システム、マーケティングなど、複数の業務領域が連携してプロジェクトを進めることになるのです。

こうしたDXプロジェクトを進めるには、高い業務理解度とデジタル技術への知識、そしてプロジェクトマネジメントスキルが求められます。社内関係者だけでは手詰ってしまうので、専門知識を持つパートナーを選定することをおすすめします。

ブレインパッドは長年小売・流通・卸売の分野で多くのお客様と協業し、DXやデータ活用を通じた事業支援に取り組んで成果を上げてきました。関係者の方は、ぜひブレインパッドまでお気軽にお問い合わせください。


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株式会社ブレインパッドについて

2004年の創業以来、「データ活用の促進を通じて持続可能な未来をつくる」をミッションに掲げ、データの可能性をまっすぐに信じてきたブレインパッドは、データ活用を核としたDX実践経験により、あらゆる社会課題や業界、企業の課題解決に貢献してきました。 そのため、「DXの核心はデータ活用」にあり、日々蓄積されるデータをうまく活用し、データドリブン経営に舵を切ることであると私達は考えています。

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