COLUMN

マーケティングオートメーションでのシナリオ設計:第5回

最終的に「どのように」リーチするのか?でお客様の受け入れる態度が変わる


これまで4回に渡って「誰に」「いつ」「何を」伝えるのか、それらをどう組み合わせてシナリオ設計するかをお話しました(第1回第2回第3回第4回)。

コミュニケーション相手を知り、適切なタイミングで伝えたいこと/伝えるべきことを伝える…それも顧客からどのように見えるのかで効果が変わってきます。

現在のマーケティングオートメーションでは伝える方法(チャネル)が広がってきていますので、最も効果的かつ効率的な方法でコミュニケーションしたいとマーケターの皆様も考えていると思います。

現在、大別してマーケティングオートメーションで活用されているチャネルは以下の5種類になります。

MAで活用される主なチャネル

1. Eメール
最もポピュラーなチャネル。低単価でリーチのカバレッジが大きいがスパムも多く開封率は低下しつつある

2. LINEやSMS
LINEやキャリアのSMSなどで、メールよりさらにパーソナルに感じやすいチャネル。日本では、マーケティング用途で使用されるシーンが少なかったため、販促プロモーション企画には注意が必要

3. ダイレクトメール(DM)
オンデマンド印刷の技術が発達したことで、HTMLメールなどと同様に対象ごとにコンテンツの最適化が可能に。判型が大きく取れるため表現力が豊かでサンプルなどの添付も可能。

4. アウトバウンドコール
リーチ可能な時間が限られ高コストだが、受注プロセスと一体になっているためクロージングには効果が高い

5. 店頭・営業スタッフ
コールセンターと同様に最も高コストのチャネルだがクロージング力は高い


主なチャネルのメリット/デメリット

ECなどネットで完結するビジネスであればEメールやLINEなどを主に使用するかと思います。しかし、必ずしもデジタル系のチャネルのみが有効なわけではありません。ECサイト会員にオンデマンドDMなどを送付すると、メールと比較してかなりの高レスポンスを得ることがあります。もちろん、オンデマンドDMはリーチにかかる時間もメールに対して長く、コストも数十倍になりますのでこれまでと同じプロモーションではROI(コスト対効果)が見合いません。

しかしながら、「誰に」「いつ」「何を」の組合せシナリオで、例えば超優良顧客だった顧客の休眠復活や新規顧客の定着化シナリオのみなど、ターゲットごとに期待されるLTV(Life Time Valueの略、顧客障害価値)が見合うのであれば、これらの高コスト媒体も有効となります。プロモーション単体のCVRだけでなく顧客の育成・維持にも着目してこれらのシナリオ設計をすることが重要といえます。

また第2回「いつ」コミュニケーションするのがよいかでもお話しましたが、シナリオによってはリーチに要する時間が重要なケースもあります。

カートドロップ(カゴ落ち)などのトリガーとなるイベントからリーチまでの時間を空けずに即時性が肝となるケースでは、DMのように数日後に顧客の手元に届いても間に合いません。(カートドロップではお客様が購入意向を持ってカート投入した事実があるため、数時間から数日で購入意欲が減少もしくは他社へスイッチの可能性がある)

メールもしくはLINEのような常に顧客がチェックしているチャネルでリマインドを行うことが効果的です。

逆に、表現力の面ではSMSやLINEなどではテキストが主で、画像もページに誘導するためのアイコンとして機能するため、そこで詳細な情報を伝えるには向いていません。

やはり基本は、今後の収益性とプロモーションなどのイベントを加味して「誰に」を優先して考え、「いつ」に「何を」伝えるシナリオなのか?を考えた上で、「どのように(チャネル選択)」を決定するのが良いかと思います。

前回もお話しましたが、MAでのシナリオ設計は大方針で重点対象を決めて、まずはその対象に対するシンプルなシナリオを実施することで小さくPDCAサイクルを回すことから始めることが重要です。

さいごに

マーケティングオートメーションの世界は日々あらたな技術やシステムが登場し、めまぐるしく変化していますが、その目指すところは究極のパーソナライズマーケティングの自動化です。基本的な考えをご理解いただければ自社に必要なサービスの選択やシナリオの設計に迷うことはなくなるので、迷ったら「誰に」「いつ」「何を」「どのように」に立ち返ってみてください。

 


第1回:パーソナライズマーケティングに重要な4要素。1つめの「誰に」の考え方
第2回:「いつ」コンタクトするのが最適か
第3回:「何を」を伝えるのが最適か
第4回:「誰に・いつ・何を」の組み合わせ方