同一顧客への過度なコンタクトを抑制する「プレッシャーコントロール」とは
より多くの施策を実施することが成果につながる
マーケティングオートメーションでは、施策実行数(施策の種類×各施策の対象者数)×反応率が成果として現れるため、より多くの施策を実施することが売上向上を目指すうえで重要になります。
しかし、単純に同じような施策を繰り返すだけではすぐに顧客にあきられてしまいます。顧客のセグメントやステージに応じた施策(ライフサイクル型)や、購買・WEB閲覧といった顧客行動をきっかけとする施策(顧客行動トリガー型)、その商品に興味がありそうな顧客だけにお得情報を送る施策(プロダクトライフサイクル型)等、様々なタイプを組み合わせることで施策数を増やし、長期にわたって顧客と良好な関係を構築することを目指します。
▼様々な施策を組み合わせ顧客育成をめざす
多くの施策を実施することにはリスクも伴う
施策を増やしマーケティングオートメーションで自動実行することで、顧客を網羅的にフォローすることが可能になります。しかし、施策を増やすことにはリスクもあります。
それが過度なコンタクトによる顧客離反・ブランド価値低下のリスクです。
例えば、次のような3つのシナリオ(※1)を実施するとします。
・シナリオ1 初回購入フォロー
→初回購入の翌日、7日後、30日後と自動でフォローメールを配信
・シナリオ2 カート放置フォロー
→カートに商品を入れたが未購入の人に翌日、3日後に自動でフォローメールを配信
・シナリオ3 新商品アラート
→新商品発売開始の14日前、7日前、発売当日にその商品への関心度が高い顧客だけに自動で案内メールを配信
顧客Aさんがこのサイトでパーカーを初めて購入しました。その7日後には初回購入フォローの2ステップ目のメールが配信されますが、もし前日にスニーカーも欲しくなってカートに入れていたら、カート放置フォローの1ステップ目も同日に配信されます。
更にAさんがよく見ているブランドの新商品が2週間後に発売される場合は新商品アラートの1ステップ目も同日に配信されるかもしれません。
メール配信のみのたった3つのシナリオ(8施策)だけでも同日に配信されるというケースが発生しますが、マーケティングオートメーションを導入している企業の同時に実行する施策は数十から多いと100以上になるケースも多く、また配信チャネルもメールの他にLINEやアプリ、DM等も使ってオムニチャネルで設計されます(※2)。
実際にProbanceを導入されている企業では、1日に200や300を超える施策を同時に実施されている企業もありますし、100以上の施策を実施されている企業が多いです。
▼施策を増やすことで過度なコンタクトが発生
過度なコンタクトを防ぐのは難しい
上のケースでは各施策に停止条件が設定されていません。実際にマーケティングオートメーションで自動実行される施策には停止条件を設定します。
▼停止条件の例
・シナリオ2 カート放置フォロー
→カートに商品を入れたが未購入の人に翌日、3日後に自動でフォローメールを配信
停止条件:カート投入後に購入が1件以上ある場合には停止する。
上の施策例でも、カート放置フォローの施策に次のような条件を追加します。
・初回購入フォローの施策が同日に配信される場合には停止する
また、新商品アラートの施策にも次のような条件を追加します。
・初回購入フォローの施策が同日に配信される場合には停止する
・カート放置フォローの施策が同日に配信される場合には停止する
こうすることによって3つのシナリオに次のような優先順位がつけることができ、配信が重なってしまった際に同日配信を防ぐことができます。
1.購入フォロー
2.カート放置フォロー
3.新商品アラート
停止条件を正しく設定することで上の施策例の同日メール配信のような過度なコンタクトを防ぐことができますが、このやり方には一つ欠点があります。
それは、マーケティングオートメーションを運用していくことで施策の数が10、20、30と増えていったときに優先順位の管理と各施策の設定が複雑になり過ぎることです。
実際には多くのマーケティングオートメーションツールでは、上で述べたようなシナリオの優先順位を管理するような機能はなく、一つのフロー図で複数のシナリオを表現する場合もあります。そうすると、シナリオの優先順位や施策間の関係性をマーケターが自身の頭で管理する必要があるので運用負荷が非常に高くなり、とても属人的になります。
Probanceユーザーはなぜ多くの施策を運用できているのか?
マーケティングオートメーションでは、様々な種類の施策を網羅的に実施していくことにより、顧客との長期にわたる関係維持をサポートし、顧客育成の実現を目指します。
しかし、施策の数が増え複雑になると施策同士の関係性の管理が難しくなり、運用負荷も高まりますし、過度なコンタクトが発生してしまうリスクが増え、顧客離反・ブランド価値低下を招いてしまう可能性もあります。
この問題を解決するためにProbanceでは「キャンペーンプレッシャーコントロール」という機能を利用しています。
ここでいうキャンペーンとは上で述べてきた施策にあたり、キャンペーンプレッシャーとは一人のお客様に対して実施する施策の数です。
キャンペーンプレッシャーコントロールでは、一人一人の顧客に対して実施する施策の上限を1日1通まで、1週間で5通までのような形で設定することができます。また、各施策には優先順位を設定することができます。
これらの機能により、同日に複数の施策が重なった場合にも、いちいち施策に停止条件を設定しておかなくても、キャンペーンプレッシャーコントロールで設定した通数の中で最も優先順位が高い施策から順に実行し、他の施策を自動で停止することが出来ますし、1週間の中で連続してメールが配信されている顧客には自動的に次のメールが飛ばないようにする等の制御もできるようになります。
また、誕生日フォローシナリオのように全顧客に必ず実施したい施策はプレッシャーコントロールの管理対象外にすることもできます。
▼キャンペーンプレッシャーコントロール
キャンペーンプレッシャーコントロールを利用することにより、シナリオの追加や変更が柔軟に出来るようになり、マーケターがやりたい施策が思い通りに実施することができるようになります。
最適な配信数は何通?
最後に、マーケティングオートメーションのコンサルティングを行っていると良く「最適な配信通数は何通なのか?」という質問をいただきます。この問いに対して絶対的な答えはありません。
ハイブランドの企業では1日1通以下で週に2通、3通という制限をされているケースもありますし、業界によってはアクティブな顧客には1日に複数配信してもその方が効果が高いというケースもあります。
配信するチャネルによってもキャンペーンプレッシャーへの寛容度は異なります。Eメールと同じだけLINEにメッセージを配信したら、LINEの方が配信拒否(ブロック)される可能性は高いです。
また、パーソナライズされた施策なのか全体的に配信される施策なのかによってもキャンペーンプレッシャーへの寛容度は異なります。
重要なのは、実施する施策毎に目的を整理したうえで、各施策に対する顧客の反応(メールであれば開封、クリック、オプトアウト。LINEであればクリック、ブロックなど)をきちんとモニタリングし、目指すべき目的にあった反応が得られているかを確認することです。
施策の数は少なすぎても多すぎても顧客の離反を招きますので、自社のマーケティング戦略にあわせて最適なシナリオを設計していただければと思います。
その時に、施策実行の制御に手間がかかっているようでしたら、キャンペーンプレッシャーコントロールがお役に立つかもしれません。
もし自社の施策数やシナリオにご不安がありましたら、一度Probanceのコンサルティングまでご相談ください。
※1 一つの目的に対して連続して実施する施策群をシナリオと呼んでいます。
※2 参考記事「デジタル・リアルを融合した「オムニチャネルコミュニケーション」」