COLUMN

マーケティングオートメーションでのシナリオ設計:第4回

「誰に」「何を」「いつ」を組み合わせたシナリオ検討:
顧客動態分析からシナリオ大方針の決定

3回に渡りマーケティングオートメーションのシナリオ設計において「誰に」「いつ」「何を」顧客に伝えるべきなのかについて書きました(第1回第2回第3回)。それらを組み合わせたシナリオ設計と例について今回はお話しします。

第1回でMAでのシナリオ設計は「誰に」「いつ」「何を」の順で検討すること、「誰に」の考え方においては、最初に顧客ライフサイクル軸へ顧客を区分することが重要とお伝えしました。

まず顧客ライフサイクル軸の状態・推移を確認

全顧客を顧客ライフサイクルのセグメントに当てはめ、「見込み客」「新規顧客」「一般顧客」「優良顧客」「休眠顧客・離反顧客」などの比率とその推移を確認します。(休眠顧客と離反顧客を分けるか否かは再顧客化の可能性の有無で判断となるため、最初はまとめて管理しても問題ないと思います)

ダイレクトマーケティングのビジネスサイクルでは、以下のようにスタート当初は「見込み客」や「新規顧客」の比率が大きく、売上・利益で大きな比率を占める「優良顧客」は少ない状況です。それが、ビジネスを継続するに従い「一般顧客」「優良顧客」「休眠・離反顧客」が増加し、ビジネスが安定してくると「新規顧客」「一般顧客」「優良顧客」などのアクティブな顧客数が変化しなくなり、代わりに「休眠・離反顧客」が増えていく…といったサイクルとなります。

これらの顧客ライフサイクル軸での顧客の動きによって、シナリオの大方針が決定されます。

流入が多く見込み客や新規顧客が多い「獲得期」であれば、

リードナーチャリング系の

  • 見込み客の顧客化シナリオ
    (多くのBtoBでのマーケティングオートメーションはこのためのシナリオ)
  • 新規顧客の固定化シナリオ
    (化粧品通販で良く行われるトライアル引上げのためのステップメール等)

などを再優先として検討することになります。

一方で、優良顧客の流入や離反が多い成熟期では、

  • 顧客の維持・育成シナリオ(通常の販促活動の高度化や定期会員化など)
  • 休眠復活シナリオ(離反防止の為のポイントインセンティブ等)

などが優先的に検討する項目となります。

見込み客や新規顧客の育成、優良顧客の維持、顧客の離反防止とそれぞれをすべて対応できればもちろんベストですが、全方位で開始すると効果検証や改善など継続するリソース(クリエイティブやスタッフの工数)が続かず、マーケティングオートメーションそのものに挫折してしまうケースも多いため、まずは優先施策の大方針を決定することが重要です。

また、このように顧客ライフサイクル軸で顧客の状況を確認(棚卸し)することでそれぞれのセグメント毎の顧客傾向や行動が把握出来るようになるという意味でマーケティングオートメーション以外にダイレクトマーケティングの顧客分析としても有効です。

優先するシナリオ大方針が決定したら、イベントへの分解を

シナリオ設計の大方針(顧客の維持なのか、離反防止なのか)が決定したら、その対象となる顧客のライフサイクルのマイルストンとなる事象(イベント)を確認します。
保険や自動車などの検討期間が長いの商材においては、「資料請求」「見積り作成」など、見込み客から新規顧客になるまでのイベントをいくつか設定するケースがわかりやすいかと思います。

既存顧客の定着化・育成では、
「初回購入から何日以内に次回購入があれば、定着率が高まる」
とか、
「初回購入後の半年で◯回以上の購入経験があれば、インセンティブなしでも購入する固定客になる」
などのルールが発見されます。

また、離反防止においても、
「◯回以上メールの開封が無くなったら離反率が高まる」
とか、
「最終購入または最終Web来訪から◯日以上経過すると離反率が高まる」
など、
顧客の行動を分析して何がトリガーとなって顧客のセグメント移動が発生しているのか?を確認してイベントを設定します。(この場合イベントとはメール開封やWeb来訪)

 

第5回ではこれら分解されたイベント間の深掘りと、コンテンツ設計までの考え方及びシナリオとしての実装についてです。


第1回:パーソナライズマーケティングに重要な4要素。1つめの「誰に」の考え方
第2回:「いつ」コンタクトするのが最適か
第3回:「何を」を伝えるのが最適か
第5回:「どのように」リーチするのか