大阪大学大学院情報科学研究科が「数理最適化寄附講座」を開設
- データドリブンな意思決定を実現する数理最適化技術の産学連携と研究開発を推進 -
大阪大学大学院情報科学研究科は、株式会社ブレインパッドほかから寄付を受け、「大阪大学数理最適化寄附講座」を開設し、産学連携と研究開発を主な活動として、数理最適化技術のビジネス実装への貢献と基盤技術の開発に取り組んでいくことを発表いたします。
■数理最適化とは
数理最適化は、与えられた制約条件を満たした中で、最も良い結果を導き出すという計算技術です。機械学習が、データからパターンを見つけ出すことを得意とし、「気づき」や「問題点」を明らかにするのに対し、数理最適化は、データ分析・予測の結果を元に、制約条件を満たしたうえでの最適解を見つけ出します。意思決定のための将来予測や材料づくりをするのが機械学習で、その予測結果や材料をふまえて最適な意思決定に導くのが数理最適化であるとも言えます。
機械学習アルゴリズムは、直近のAIブームやITベンダー各社の技術開発競争によってコモディティ化が進み、さまざまな分野で実用化が進みつつあります。一方、数理最適化については、産業や学術の幅広い分野における現実問題の多くが最適化問題に定式化できることは知られるようになりましたが、この問題を現実的な時間で解き、実用化していくためには、より一層の産業界と学術界の連携が求められている状況です。
このような背景をふまえ、大阪大学大学院情報科学研究科は、株式会社ブレインパッドほかから寄付を受け、数理最適化技術の実用化に向けた取り組みを産学連携の力で加速させることを目的に、寄附講座を開設することといたしました。
開設する寄附講座の概要は次の通りであり、主に以下の3点に取り組むことで、数理最適化のビジネス実装への貢献と基盤技術の開発を推進いたします。
・寄附講座名 :大阪大学数理最適化寄附講座
・開設場所 :大阪大学大学院情報科学研究科
・開設期間 :2020年10月1日~2023年9月30日
・担当教員 :大阪大学大学院情報科学研究科 情報数理学専攻 梅谷 俊治 寄附講座教授
・主な取り組み :
1.数理最適化を基盤技術とした、ビジネスの各段階にて生じる多様な課題の解決
2.数理最適化の専門家の育成と、産業や学術の幅広い分野への数理最適化の普及
3.数理最適化をビジネスに活用するうえでのボトルネックを解消するための基盤技術の開発
■大阪大学大学院情報科学研究科 情報数理学専攻 梅谷 俊治 寄附講座教授のコメント
最近は、多くの企業が数理最適化技術の活用に強い関心を持つようになり、大学においても企業との共同研究など産学連携の機会が急激に増えています。
一方で、企業には数理最適化の専門家は少なく、大学から輩出できる人材にも限りがあるため、ビジネスにおける数理最適化技術の活用は限定的な範囲に留まっているのが現状です。
数理最適化寄附講座では、多くの企業が抱えるビジネスの各段階にて生じる課題の解決に深く関わることで、企業において数理最適化技術の専門家を育成し、基幹事業に数理最適化を活用する枠組みを創出します。
また、幅広い現実問題に迅速に対応するための基盤技術として、高性能かつ汎用的な数理最適化ソフトウェアを開発します。
このように、数理最適化寄附講座の活動を通じて、大学から企業まで広い範囲で人材育成に努め、ビジネスの幅広い分野に数理最適化技術を普及することを目指します。
■株式会社ブレインパッド CDTO(チーフデータテクノロジーオフィサー) 太田 満久のコメント
ブレインパッドは、2004年の創業来、1,000社を超えるデータ活用プロジェクトを推進する中で、トラックの配車計画や広告出稿の最適化、ダイナミックプライシングなど、数理最適化を用いたさまざまな課題解決に取り組んできました。
「データ活用の促進を通じて持続可能な未来をつくる」を企業ミッションとするブレインパッドにとって、データ活用の成果に直結する数理最適化技術は当社にとって必須の技術の1つです。
世間一般に機械学習への理解が進み、社会実装への流れができつつある今、機械学習による予測結果をアクションにつなげる数理最適化技術の重要性は今度どんどん増してくるものと思います。
このようなタイミングで、数理最適化技術の研究でたいへん著名な梅谷先生が寄附講座教授を務める「大阪大学数理最適化寄附講座」に携わらせていただくことは、ブレインパッドのデータサイエンス力の向上と、当社が支援するデータ活用プロジェクトの付加価値の向上に繋がるものと期待しております。
●「数理最適化」についてもっとよく知りたい方のために、数理最適化技術を解説したブログ記事を公開しております。こちらもぜひご覧ください。(ブレインパッドが運営する公式ブログ「Platinum Data Blog」にリンクします。)
【連載】ブレインパッドの数理最適化ブログ(目次)
https://blog.brainpad.co.jp/entry/2020/10/01/000000
第一回:最近学んだ数理最適化の定式化のチップスたち 【ブレインパッドの数理最適化ブログ】
https://blog.brainpad.co.jp/entry/2020/10/01/000001
■ご参考情報
●大阪大学について
大阪大学は、大阪の政財界ならびに大阪府市民の強い要望を受け、1931年に帝国大学の一つとして創立されました。その精神的源流は江戸時代の学問所であった懐徳堂と適塾に見出すことができます。2007年には大阪外国語大学と統合し、外国語学部のある総合大学になりました。人文・社会科学系、医歯薬学系、理工学系の充実した11学部、16研究科、6附置研究所等を擁する我が国有数の研究型総合大学です。
2031年に創立100周年を迎える大阪大学は、「地域に生き世界に伸びる」をモットーに「社会変革に貢献する世界屈指のイノベーティブな大学」になることを目指しています。
●株式会社ブレインパッドについて
(東京証券取引所 市場第一部:証券コード 3655)
本社所在地:東京都港区白金台3-2-10 白金台ビル
設立:2004年3月
代表者:代表取締役社長 草野 隆史
資本金:575百万円(2020年6月30日現在)
従業員数:372名(連結、2020年6月30日現在)
事業内容:企業の経営改善を支援するビッグデータ活用サービス、デジタルマーケティングサービス
*本ニュースリリースに記載されている会社名・商品名は、それぞれ各社の商標または登録商標です。
*本ニュースリリースに掲載されている情報は、発表日現在の情報です。
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以上