DX・AIデータ活用人材育成研修 株式会社ブレインパッド

企業のデータ活用が進まない原因

進む企業内データ活用と抱える課題


データ分析やその活用が重要であるという認識は浸透しつつあり、実際に過半数(51.8%)の企業ではデータの利活用が進んでいることが分かっています。 「企業のデータ活用状況グラフ」でわかるビジネス課題に対する意識 総務省「平成29年 情報通信白書」をもとにブレインパッドにて作成
企業が本当に求めている人材とは?
データ利活用の先進国である米国では同数値が70%であり、生産システムのデジタル化により製造業に革命を起こすことを国家戦略(「インダストリ―4.0」)として掲げるドイツは72%という数値となっています。 日本企業のデータ利活用は2国と比較すると低いという実情が、情報通信白書(平成29年)で示されています。 なぜ、日本企業のデータ利活用の浸透が遅れているのでしょうか? 同書に「産業データの取扱いや利活用の現在または今後想定される課題や障壁」と題した調査が出ています。 結果として、以下の2つの項目に該当する企業数が突出して多く、この2つがデータ利活用の浸透を阻害している要因であると考察されています。
  • 「収集データの利活用方法の欠如、費用対効果が不明瞭」
  • 「データを取り扱う(処理・分析等)人材の不足」
つまり、「データを何に使いたいのか?」「データをどう扱えば良いのか?」に加えて、「データを扱える人材を確保するには、何をどう工夫するべきなのか?」というポイントの攻略に日本企業は苦戦していると考えられます。 人材不足による課題については、『データ活用人材の不足状況と今後の展望』をご覧ください。

データ活用により効果を得るために必要なこと


データの分析結果からビジネスにとって有益な知見を導き出し、企業における課題の解決に役立てることがデータ活用による効果であると考えています。この文面から効果的なデータ活用には少なくとも3つの機能が求められることが分かります(「データを分析する」機能、「有益な知見を導き出す」機能、「課題解決に役立てる」機能)。 このように、ブレインパッドでは企業が効果的なデータ活用を実現するためには、「人材」に求められる要素と「組織(機能/役割)」に求められる要素を理解し、それらのミッション・目的を明確化することが必要であると考えます。 企業がおかれているビジネス環境の変化スピードは加速し、ここ数十年の間に、労働人口の減少や人口構成比の変化、さらには日進月歩で進化する各種技術等、ビジネスの創造環境は多角的な変動要素を含んでいます。 データ活用を取り巻く環境やトレンドはみるみる変化すると予想される中、新しい問題や課題に直面した際に効果的なデータ活用が実現されるように環境を整備しておくことが、これからの時代をより強く生き抜く基礎体力となると考えています。 そこで、本稿ではデータ活用が進まない原因を「人材」と「組織」の面からご紹介します。

データ活用が進まない原因【人材編】


データ分析・活用を進めるには企業・組織および経営層・現場メンバーへの理解が必要

ケース:データ活用の価値や必要性を意識できていない

繰り返しとなりますが、企業における効果的なデータ活用の実現には組織間連携や役割分担などが必要であり、組織の中で一人のスタッフが担える業務範囲は限られます。 また、企業/組織としての理解がないと分析に必要なデータ生成や収集や分析を行うIT環境などの投資も出来ません。その結果、せっかく価値のある分析結果とその考察、さらには具体的な改善施策が導き出されても、データ活用の価値や必要性が充分に理解されていなければ、それらを活かすことができません。 企業/組織内におけるデータ活用への理解を深めるためにやっておきたいことは、経営層や現場のメンバー向けにデータ活用の先進事例やデータ活用の意義や人工知能(AI)、IoTなど、新しい活用領域に対する理解と啓蒙が重要となります。
ビッグデータ活用人材を育成するには社外研修がおすすめ

ケース:データ活用の研修を自社だけで提供することが不可能。どのように採用すれば良いかわからない。

我々のクライアント企業様から寄せられる研修ニーズには、データ活用のための研修と一言で表現しても、データ活用に携わる人材の役割は多岐に渡るため、自社内のリソースだけで、それぞれの人材に対して効果的な研修プログラムを企画・提供するのは難しいというのが、多くのクライアント企業様から寄せられる声です。 大きく分けてデータ分析理論の理解、分析ソフトや処理手法の習得、そしてビジネス課題の解決に分析結果を役立てる実践力の3つを研修で身につける必要があります。1つ目は書籍やe-ラーニングで進めることもできますが、2つ目はトレンドやIT技術の進化等最新情報をインプットする必要があります。データ活用を専門とする人材が社内に在籍していない場合は、社内研修で社員が講師を担当することは非常に難しいです。また、3つ目は、データ活用の知識、経験、そしてノウハウを有する人材が講師を務める必要があります。 データ活用の専門会社、データ分析ツールのベンダー、そしてデータ活用コンサルタント等、企業に不足したナレッジを補うのに適した専門家を適切にご活用して、データ活用人材の育成を進めていただけることをお勧めします。 【データ活用人材の具体的なニーズ:経済産業省「第4次産業革命 人材育成推進会議(第3回)」資料より抜粋】
  • データ分析については、このデータがあるからこういう分析をするということではなく、欲しいデータやデータの取り方を考える力や、データの解釈(ピークを見るべきか、勾配を見るべきか、など)をする力が必要になる
  • ビジネスアナリティクスは、ユーザー企業の情報システム部門における一番の課題である。その課題に対しては、業務(ビジネス)側とIT側をブリッジできる人材が必要である。具体的には、データ分析過程で何が起きるかを把握しながら、ビジネスに踏み込んでいける人材のニーズが高まっている。ここを育てるのが一番難しいが、この人材がいない限り、効果的なデータ分析は行えないという意味で、この人材は非常にニーズが高まる。
  • データ分析は何らかの条件を設定して行うが、実際の現場に適用したときにマッチングするとは限らない。データエンジニアは分析結果を実際の現場にマッチングさせるための現場対応力が必要になる
  • 日本のものづくりの現場では、データサイエンティストではなく、データエンジニアが要。人ありきの現場である以上、単にデータのオペレーションだけでなく、現場が生み出す価値を知り、その実現に対する課題を理解し、課題解決のためのデータ環境をデータサイエンティストに提供できる人材かつ、現場での実装管理ができる人材が必要になる。
  • 組織のピラミッドの中でデータ思考力を身につけるべき人(=現場における事業マネージャー)たちのイメージとしては、例えば外食産業だと店長、製造業だと製造部長や工場長、プラントの責任者など。これらの人たちには、最低限初歩的なレベルのスキルを身に付けてほしい。
ビジネス課題解決は、データ活用と企業内のメンバーへの説得・理解が不可欠

ケース:一般職を含むプレエントリー層にも求められるデータ活用スキル

ブレインパッドのデータ活用人材育成サービスでは、企業内の一般職を含むプレエントリー層に向けたデータ活用スキル・経験値の充足を目的とした企業研修の要望をいただくことが少なくありません。 まず企業内のスタッフ部門で不足していると考えられていることは、企画書やレポートを書ける人材であると言われています(経済産業省「第4次産業革命 人材育成推進会議(第3回)」資料より抜粋)。ただし、その前提として自分の主張のみを書くだけではなく、周りを説得するための表現の仕方や、ヒアリングにより相手が望んでいることを把握したり、相手によって説明の仕方を変えたりする力が必要であると考えられます。その説得力を補強するものの一つにデータ活用があります。 さらに、成果を出すためのディスカッションを実施したり、必要に応じて相手を説得するディベート力もデータ活用という一連のスキルを強化することにより身に付けることができると考えられます。

データ活用が進まない原因【組織編】


登場人物は足りていますか?データ活用組織に必要な4つの役割

効果的なデータ活用を実現する組織には、実現に必要な役割を理解し、そのミッション・目的を明確にする必要があります。 組織が原因でデータ活用が進まないとお考えの場合は、これからご紹介するモデルが充足されてるか是非ご確認ください。 ここでは、経済産業省「ITベンチャー等によるイノベーション促進のための人材育成・確保モデル事業」をもとに、データ活用組織に必要な役割を4つに分けてご紹介します。
ビジネス視点の理解が深い事業マネージャーによりビジネスに貢献するデータ分析が可能

【必要な役割:事業マネージャー】

<当役割に求められる人材ニーズ例> データ分析に先立ちビジネス視点で仮説を立てて、発注をし、分析結果が仮説に合っているか検証する能力が必要。――(中略)(ビジネス視点での理解が深い事業マネージャーの協力により、ビジネスに貢献するデータ分析が可能となる)
事業マネージャーとは、実際にビジネスをドライブしている現場マネージャーを意味しており、彼らの手腕でデータサイエンティストのパフォーマンスが大きく左右されることもある、というのが見解のようです。逆に捉えると、ビジネスに理解が深い事業マネージャーほど、分析担当者がビジネスに貢献するパフォーマンスの高いデータ分析を実現することが可能となるとも捉えられ、ビジネス側とデータ分析をする側の両面をドライブするポジションとして重要な役割と考えられます。
データ分析に目的意識を持った、事業活動に役立つ戦略づくりと設計する人材

【必要な役割:事業活動に役立つ戦略づくりと設計】

<当役割に求められる人材ニーズ例>
  • ・データ分析には目的意識が必要だが、そこを考える人材が不足している
  • ・「データはある、ツールもある。しかし何に使えばいいか解らない!」という人が多い(課題)
データ分析の目的として、一般的に次のいずれかを設定します。
  1. (1)目標値の最大化(売上、成約数、新規顧客数など)
  2. (2)リスクの最小化(コスト、歩留まり率、離反顧客数など)
  3. (3)パフォーマンスの最適化(最適在庫量、成約率、費用対効果など)
事業活動に関わるデータ分析はこれらのいずれかを対象とするケースがほとんどです。また、分析担当者が最終目標をどう設定するかによって、目指すべき方向性や評価基準が変わってきます。どんなに予測精度の高いモデルや正確な分類器が生成できたとしても、その活用方法が定まらないとビジネスの成果に結びつけることが難しくなります。よって、この役割は自社のビジネスの方向性や現状を踏まえて、正しい目的設定をすることがデータ活用を適切に推進するための要になると考えられます。
データ分析結果を活用してビジネス企画を改善に活かす人材

【必要な役割:結果を活用し、ビジネス企画を改善等に活かす】

<当役割に求められる人材ニーズ例>
  • ・データの意味を知らないとデータを使いこなせない。どう組み合わせたらどういう意味があるのかが分かるようになる必要がある
  • ・データを使いながらビジネス戦略を立てられる人が日本全体で足りていない。データを自ら扱えなくても、企画したりするときの勘所がわかり、データサイエンティストをマネージメントできるようにするため、ビジネス側のデータ活用能力も育てる必要がある
この役割は、どちらかというと分析結果を受け取って使う側にあたります。 ビジネスの最前線で起きている現象とデータから得られる情報を組み合わせて、ビジネス企画や改善を活かす取り組みは、現場担当者(企画担当者、制作担当者)、データサイエンティストのいずれか片方だけでは実現することが難しく、双方が互いに意見やアイディアを突き合せたり、共創したりすることが重要です。 現場担当者がデータサイエンティストから上がってきたデータ(分析結果)に対して、アイディアを提供するなど適切にフィードバックしたり、次の企画アイディアに繋げられるようにするには、やはりデータサイエンスの現場で起きていることも、少なからず理解できることが重要です。 つまり、データサイエンスに基づいた創造的なビジネス企画や改善は、両者の深い理解と信頼関係があってはじめて実現できると考えます。
現場の経験・習得スキルに加え、創造性・問題解決できるデータサイエンティストが必要

【必要な役割:実際に手を動かしてデータ分析する】

<当役割に求められる人材ニーズ例>
  • ・データサイエンスの現場においては、花形の職業ではありますが、最近ではデータサイエンティストをお客様側におかなくてもすむサービスが出てきている
  • ・自社でデータを分析する作業はどんどん置き換えられる。統計や数学的な分析手法を知らなくても分析できるソフトが海外ではすでに出てきている
これはデータサイエンティストが要らなくなり、すべてのデータ分析業務が人工知能(AI)や機械アルゴリズムに取って代わられると述べているわけではない、とブレインパッドは考えます。単純に手を動かすだけの役割に対するニーズが縮小していき、今後は徐々にデータサイエンスの現場における経験・習得スキルに加えて、創造性や問題解決スキルの重要性が拡大していくことを示唆していると捉えています。 具体的には、「このデータがあるからこそこういう分析をすべき」ということだけではなく、「欲しいデータやデータの取得方法を考え設計する力」、「データを正しく解釈していることを前提に、ビジネスの目的に沿ってイマジネートする力」などが該当します。

実際にデータ分析を回したときによく起こる、2つのスタックポイント

まずはじめに企業内で回すデータ活用のPDCAをご紹介します。 一般企業で行われるデータ活用のPDCA このPDCAサイクルフローに2つのスタックポイントがあります。 企業内のデータ活用にスタックポイントが2つあること。それは創業来、幅広い業種にデータ分析・活用をご提供してきた経験があるからこそ、「よく起こる」ことをブレインパッドは断言することができます。 2つのポイントは以下のどれでしょうか?是非、真剣に検討してみてください。 企業内ではデータ分析だけでなく、総合的なデータ活用プランを設計することがポイント 如何でしょうか? 答えは、「B」と「D」です。 【解説:「B」】 状況として、課題整理して優先順位付けして分析を実施しました!・・・分析結果が出力されました!・・・「あれっ!?そもそも何のための分析するんだっけ?」や「この分析って、何の取り組みに繋がるんだっけ?」という疑問が現場のマネージャやスタッフから続出! このような事象の原因は、課題の設定が間違っていたり、検討が不十分であったりすることに起因します。当然ながら、分析をすれば何かが出てくるという訳ではありません。 データ分析においては、ビジネス上の課題や目的に沿って適切な分析課題を設定することで、正しい分析プロセスが実現できます。 【解説:「D」】 状況として、予測精度のものすごい高いモデルを作りました!・・・精度の高い結果を得ました!・・・「事前にモデルの実装を依頼する開発部門、あるいはユーザー部門との調整や具体的な活用プランができていなかったため、施策に結び付きません。」 これでは、施策に落とし込めない分析結果の報告書が埃を被って残ってしまうだけです。 では、どうすれば効果的なデータ活用を実現できたのでしょうか?何が敗因なのでしょうか? それは、企業内で総合的なデータ活用プランを設計できていないことにあります。 組織内でデータ分析を担う機能(チーム、人材)のみを強化してもデータ分析によって自社のビジネスを変革したり、新しいビジネスを創造することはできません。 組織を動かすには、データ活用を通じてビジネス改善を実現しようという経営層や社員一人ひとりの思いや理解、そして新しい技術を受容する風土など、企業全体で一丸となって取り組む姿勢が重要となります。 そのような意味でも、データ分析~活用を視野に入れたトータルでのプランニングが成功の鍵となります。
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